転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1960話

 残り6匹のイレギュラーシャドウを倒せば影時間は消滅する。

 幾月からそんな情報を聞いて、嘘か本当かと色々思うところはあったが、だからといって学校にいかない訳にはいかない。

 いやまぁ、俺は別にこの世界で進学するつもりも、ましてや就職するつもりもないんだから、サボろうと思えばサボっても問題はなかったりする。

 だが、元々純粋に普通の学校生活……高校生活を楽しんでみたくて、月光館学園に入学したのだから、飽きたからといってすぐにそれを放り投げるような真似をするのも正直どうかと思うんだよな。

 

「おはよう。……元気がないのはあの話のせい? それとも今日からのテスト?」

 

 いつも通り、月光館学園に行く途中でゆかりと合流すると、そんな風に尋ねられる。

 あの話というのは、6匹のイレギュラーシャドウの件で間違いないだろう。

 実際、それが全く関係していないかと言われれば、こっちとしても否と言うしかない訳で……

 取りあえずテストに関しては俺は問題ないので、その部分はスルーして口を開く。

 

「昨日の今日で普通に学校に行くのって、何か違和感がないか?」

「そう言われればそうだけど、でも、それを言うのなら私達は普段からタルタロスで戦ってるのよ? そして毎朝学校に行ってたじゃない」

「それは……」

 

 まぁ、それは間違いのない事実ではあるんだよな。

 寧ろ普通に考えれば、タルタロスに行った翌日に普通に学校に通学してるという時点で色々と異常な訳で。

 

「……何でだろうな?」

 

 ゆかりに言われて、初めて俺達が以前から異常だったことに気が付く。

 けど、月光館学園に通う前からタルタロスに挑んでいたのは間違いないし、そう考えればやっぱりイレギュラーシャドウの件の方が色々な意味で大きな衝撃だったのだろう。

 

「あのね、アクセルも学生なんだから……その辺はもうちょっと考えたら?」

「この場合、学生云々ってのはそんなに関係ないような気がするけど?」

「あるわよ。そもそも、私達は学生なんだから。そこに重点を置かないでどうするのよ?」

 

 そう言われてもな……どう言葉を返せばいいのか迷っていると、やがて見覚えのある人物の姿が視線の先にあった。

 

「順平!」

「ん? おお、アクセル。それにゆかりッチも……にひひ。今日も2人揃って仲のいい事で」

 

 満面の笑みを浮かべ、順平がそう言ってくる。

 そんな順平の様子を見れば、とてもではないがイレギュラーシャドウの件を知らされたようには思えない。

 そんな順平に対し……俺はそっと口を開く。

 

「テスト」

 

 ビクリ、と。

 順平はその動きを止める。

 やっぱりな。

 順平にとって、イレギュラーシャドウの件もそうだったが、やっぱりテストの方が重要であり、しかも昨日の今日でテスト勉強も手につかなかったのを何とか誤魔化そうとしていたといったところか。

 まぁ、テストも近い日にああいう事を聞かされれば、それこそテスト勉強どころではないよな。

 一応あの話を聞くよりも前からテストの準備期間に入ってはいたので、勉強をする余裕はあった筈だ。

 それに順平の場合、美鶴が寮にいるという事で、迂闊な点数を取れば処刑される事も考えられる。

 そうなると、勉強に力を入れるのは当然だと思うんだが……こうして順平を見る限り、半ば現実逃避をしているように見えた。

 前回のテストで赤点を取らなかった事もあって、油断したのか?

 ……まぁ、順平が何をどう思おうが俺には関係ない以上、その辺は気にする必要がないって事にしておこう。

 ここで迂闊に順平に何かを言えば、それこそどうにかして欲しいと言われる可能性もあるし。

 

「あーあ。……行きましょ、アクセル」

 

 順平の様子を見ていたゆかりがそう告げ、俺はその後に続く。

 ゆかりも幾月からの話を聞いたって意味では、衝撃を受けている筈だ。

 いや、それこそ父親の件も含めれば、順平とは比べものにならないだけの衝撃を受けた筈なのだ。

 それでも、ゆかりはショックを表に見せてはいない。

 自分1人の時には、色々と思うところもあったんだろうけどな。

 ともあれ、ゆかりと共に月光館学園の校舎に入っていく。

 そうすると、当然のように俺には嫉妬の視線が集まる。

 ゆかりのファンは、まだ結構多いんだよな。

 いや、別に『まだ』って言っても、特に何かがあった訳じゃないけど。

 ……ラブホテルの件が知られていないだけ、まだマシか。

 もしあの件が知られていたら、色々と……それはもう、本当に色々と凄い騒ぎになっていただろうし。

 ましてや、ゆかりと美鶴の2人と一緒に裸でラブホテルの中にいた……なんて事になれば、間違いなく大きな騒動になる。

 場合によっては、学生だけではなくそれこそ教師まで巻き込んだ騒動にすらなりかねない。

 勿論、もしそんな事になった場合は桐条グループの方から手を回して貰えるだろうが。

 そう考えると、やっぱり月光館学園が桐条グループの手の内にあるってのはかなり便利な事だよな。

 山岸のクラスの担任の時もそうだったが。

 

「こうして見ると……やっぱり、かなりざわついてるな」

「そりゃそうでしょ。テストなんだもの。……こういう日にそこまで落ち着いてるのは、それこそもうテストの成績は諦めて赤点で補習を覚悟している人か……」

 

 そこで一旦言葉を止めたゆかりは、改めて俺に視線を向けてから口を開く。

 

「アクセルみたいに、もう十分に勉強して慌てなくてもいいような人だけよ」

 

 そう言われてもな。

 別に俺は家で予習復習といった真似をしている訳じゃない。

 いや、既に大体の勉強は以前やって覚えているので、学校の授業そのものが復習だと言われれば、それは間違っていないんだが。

 そんな訳で、テスト勉強と言われてもな。

 これでも、士官学校を主席で卒業した身なのだから、高校の勉強くらいは容易に出来る。

 敢えて注意するのは日本史や世界史といったものだが、それだってそうだと知れば、覚えるのはそこまで難しい話ではない。

 これも、混沌精霊になったおかげだったりするんだろうが。

 ふとそんな事を思うも、取りあえず今は気にしない事にしておく。

 

「そういうゆかりも、慌てているようには見えないけど?」

「それはそうでしょ。一応、しっかりとテスト勉強はしてきたもの」

 

 そう告げるゆかりの表情には、特に不安な色はない。

 元々中間試験でもゆかりの成績は決して悪いものではなかった。

 いや、張り出された成績上位者の中にゆかりの名前があったのを思えば、それこそゆかりは成績上位者と言ってもいい。

 ……それでも、やっぱり今回は色々と厳しいだろうが。

 

「テスト、か。……まぁ、どれだけ勉強しているのかを見るって意味だと、決して間違った方法って訳じゃないんだけどな」

「何よ、急に。テストの批判?」

「別にそういう訳じゃない。ただ、ふと思っただけだよ」

 

 実際、学校のテストというのは社会に出た時に使えるかどうかと言えば……答えは否だ。

 勿論、知識というのはないよりもあった方がいいんだから、テストという制度を一概に否定はしない。

 だが、順平や友近のように一夜漬けでやっているのを見ればな。

 一夜漬けというのは、当然ながら実際の試験に対しては有効かもしれないが、本当の意味で知識を蓄えるという点では明らかにマイナスだな。

 恐らく今日覚えた内容でも、1週間後、2週間後……1ヶ月後となれば、その殆どを忘れている筈だ。

 社会に出て高校で習った勉強を殆ど使わないとなれば、それも間違いではないんだろうけど。

 ……そういう意味では、順平が将来どういう職業に就くのか気になるな。

 美鶴は間違いなく桐条グループの後継者になるだろうし、真田は格闘家。ゆかりは……意外と女優? 荒垣は料理人の可能性が高いな。山岸は普通のOLと来て……有里はちょっと想像も出来ない。

 そんな風に思いながらも俺とゆかりは教室に到着する。

 教室の中は、予想通りに殆どの生徒が最後の足掻きとばかりに勉強をしており……そこにやがて鳥海が入ってくると、いよいよ期末試験が始まる。

 夏休み前の、高校生にとっての最大の試練の始まりと表現してもいいだろう、そんなテストだったが、当然のように俺は特に緊張したりせず、テストに挑むのだった。

 

 

 

 

 

 放課後、友人と女同士で買い物に行くというゆかりを見送り、順平や宮本は一夜漬けの勉強をする為に図書館に向かう。

 有里は山岸と2人で出かける用事があるって事で、友近からのカラオケの誘いを断った俺は、スーパーで適当に買い物をした後でたこ焼きオクトパシーで買ったたこ焼きを、近くにある公園で食べていた。

 たこ焼きオクトパシーのたこ焼きは、結構美味いと評判ではあるんだが……同時に、何かタコ以外の具が入っている事もあるという噂がある。

 取りあえず俺が食ってる限りでは、普通にたこ焼きなんだが……本当に何か違う具が入っているのか?

 まぁ、たこ焼きといいながら豚肉を入れたりとか、そういう変わり種もあるらしいけど。

 ともあれ、たこ焼きは値段はそこそこで、味もそこそこ美味いと、コスパ的には悪くない。

 ……ただ、別に金に困ってる訳じゃないんだし、はがくれにでも行ってもよかったな。

 そんな風に思いながら、夏らしい天気の良さに空を見上げていると……不意に携帯が着信を知らせる。

 連絡をしてきた相手は、美鶴。

 その事に少し驚きつつ、電話に出る。

 

「もしもし、どうした?」

『うむ。実はその……昨日の今日でアクセルに連絡をするのはどうかと思ったのだが、今週の週末の予定を聞こうと思ってな』

「週末の予定? 特にこれといってないな。あるとすれば、タルタロスくらいか」

 

 より正確には、タルタロスの攻略を進めるのではなく、タルタロスにあるマジックアイテムを根こそぎ入手してくるというのが正しいが。

 桐条グループに渡して既に効果が判明している分はそのまま空間倉庫に、初めて入手した物は桐条グループの研究者達に渡すといった事をするつもりだ。

 普通の高校生であれば、それこそ友人達と遊んだり、もしくはナンパをしたりといった事をするのかもしれないが、生憎と俺の友好関係は殆どが影時間に関係している連中だ。

 友近や宮本辺りは違うが、宮本は恐らく夏休みともなれば部活、部活、部活の剣道一色だろうし、友近の方は……そうだな、友近となら結構暇な日は合うかもしれない。

 ただ、友近は何だかんだと友人の数も多いんだよな。

 

『ふむ、それは丁度いい。……実は、理事長から屋久島に行ってはどうかと言われていてな。屋久島にはうちの別荘があるんだ』

「屋久島? ……へぇ」

 

 この場合、寧ろ気になるべき場所は、屋久島という場所ではなく、幾月が俺達を誘ってみたらどうかと言った事か。

 何かが裏にある。そう思うのは、深読みになるか?

 

『ああ。本来なら私達だけで行く予定だったが……理事長もそう言ってるし、アクセルと話すのはお父様も楽しそうだったしな』

 

 美鶴の言葉に、微妙な嫉妬が混ざっているような気がする。

 ファザコンの美鶴にしてみれば、武治の興味が俺に向けられているのが、あまり面白くないのだろう。

 ただ、俺が見た限りでは、武治は表に出さないようにしていたが、かなり美鶴の事を可愛がっているように見えたけどな。

 何だかんだと、不器用な面があるのは間違いないと思うが。

 

「そうだな。日程的にはいつになる?」

『明後日、7月20日からだ』

「……随分と急だな。普通そういうのは、もっと早くに決めるんじゃないのか?」

『すまんな。この事が決まったのが今日なんだ』

「今日?」

 

 何故そんなに急に? と思うも、恐らく武治の都合でそうなったのだろう事は容易に想像出来る。

 

『ああ。それで、どうだ? 勿論無理にとは言わないが……』

「いや、俺は構わないが。……あー、そうだな。ゆかりがいいなら、俺も行くよ。荒垣は最近連絡が取れない事も多いし、コロマルは長鳴神社からそう長い時間離れたくないだろうし」

『ふむ、岳羽だな。分かった。では、後で連絡をしてみよう』

 

 美鶴が俺の言葉に、少しだけ嬉しそうに呟く。

 こうして美鶴の態度から、向こうがどんな風に思っているのかを理解出来るようになったのは、俺も美鶴との付き合いが長く、そして深くなってきた証だろうな。

 もっとも、そういう意味で一番深い付き合いがあるのは、間違いなくゆかりだろうが。

 

「そうしてくれ。……まぁ、多分大丈夫、だとは思うけどな」

 

 武治に会う。

 それは、ゆかりにとって色々と大きな意味を持つ事になるのは間違いない。

 ゆかりにとって武治は、自分の父親に全ての罪を被せてスケープゴートにした者達のトップという存在なのだから。

 もっとも、そういう意味では美鶴はその武治の娘で、その美鶴とも上手くやっている以上……多分大丈夫ではないかと、若干楽観的な感情を抱いてもいたのだが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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