転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0181話

 アークエンジェルから出撃したブリッツは、前回と同じように甲板へと降り立った。

 そしてブリッツのすぐ後にこれもまた前回と同じくソードストライカーを装備したストライクが射出され、そのまま海中へと沈んでいく。

 

「キラ、海中は任せてもいいな? 俺は海上から魚雷の迎撃と、浮上してきた敵を担当する」

「分かりました! アークエンジェルをお願いします」

 

 ブリッツが海中の敵に使える武器は、グレイプニールにランサーダートのみ。格納庫の隅に放り出されている棍棒代わりの重斬刀でも持ってくるべきだったか? とも思ったが、すぐに首を振る。どのみち念の為にアークエンジェルの護衛は必要で、何もかもを俺がやる必要もないのだ。

 

「アクセル、じゃあこっちは任せたぞ」

 

 ストライクの次にリニアカタパルトから発射されたスカイグラスパーのムウから通信が入る。そしてそのすぐ後にはもう1機のスカイグラスパーが。

 

「……いいのか?」

 

 俺が何を言いたいのか分かったのだろう。通信画面の向こう側でムウが軽く肩を竦める。

 

「放っておいても勝手に出撃しそうだったからな。それなら俺の管理下に置いておいた方がまだマシだろう。……それに、敵の潜水艦をやりに行くんだ。火力は多い方がいいしな」

「そうか、お前がそう言うのなら俺としても文句は無い」

 

 結局原作通りの流れ、か。まあ、アスランとジャスティスが3隻同盟の戦力となるのだから文句は無い。ぼんやりとだが、現在考えている俺の計画通りに進めば原作よりも3隻同盟の戦力が増えるだろうが、戦力は多いに越した事はないだろう。

 

「って、考える暇もないな!」

 

 海中から飛び出してきたグーンが、その身を空中に晒した一瞬でその両腕から数発の魚雷を発射する。それに対応してアークエンジェルの各所に備えられているイーゲルシュテルンが起動し、魚雷の大半を撃ち落とすが数発の撃ち漏らしがこちらへと向かって来る。

 

「集中」

 

 精神コマンドの集中を使用し、増した集中力で的確にこちらへと向かって来る魚雷を確認、トリケロスに内蔵されたビームライフルで迎撃する。

 空中でビームライフルに貫かれた魚雷はそのまま爆発し、アークエンジェルは無傷で敵の第一波攻撃をやり過ごす事に成功した。

 

「……魚雷を空中で撃つ、か」

 

 固定観念といってもいいのかもしれないが、魚雷というものは水中を進むものだとばかり思っていた。実際、俺が知っている水中専用機のシーリオンが使う魚雷は水中以外では驚く程にその命中率が下がる。それが染みついているだけに、グーンのように魚雷を空中に発射する敵というのは違和感がある。もっとも、魚雷ではなくミサイルだと認識してしまえば問題無いのだろうが。

 

「っと、そこか!」

 

 アークエンジェルの後方に現れたグーンから発射された魚雷。それを再びビームライフルで撃ち落とす。

 その魚雷は無事迎撃に成功したものの、次の瞬間には艦の前方に現れたグーンが魚雷を発射してすぐにまた海中へと戻っていく。

 グーン2機だけがアークエンジェルに攻撃してくるという事は、ゾノはストライクが押さえていてくれているのだろう。それでも2機が分散して攻撃してくる現状はこちらが常に後手に回ってしまっている。

 これが地上ならこちらから攻撃に出る事も出来るのだが、海中ではモグラ叩きのように顔を出したグーンを狙うしかない。そして……

 

「うおっ!」

 

 突然足場にしていたアークエンジェルが揺れ、ブリッツも一瞬バランスを崩す。幸いすぐに平衡状態に戻ってくれたので被害はないが、先程から何度か続いているこの揺れが厄介だ。

 アークエンジェルの真下から攻撃を加えてくるグーンからの魚雷攻撃をなんとか回避し、底部イーゲルシュテルンで迎撃する。それはいいのだが、その度に足場であるアークエンジェルが揺れてこちらの神経を削ってくる。なにしろ、敵の攻撃が頻繁なのでブリッジからわざわざ連絡をする暇がないのだ。そしてこっちはこっちで、魚雷を迎撃する時に揺れようものなら下手をしたらアークエンジェルにビームライフルを当ててしまう事になる。ラミネート装甲があるからそうそう被害は出ないだろうが、マリューやナタル、マードックを始めとする整備班に後で小言を貰うのは御免だ。

 だが、そんなギリギリの攻防もブリッジから入ってきた通信で終わりを告げた。

 

「アクセルさん、これからアークエンジェルはバレルロールをしてゴットフリートでグーンへと攻撃を仕掛けます! 振り落とされないように気をつけて下さい!」

「了解した、こちらはいつでもOKだ」

 

 ミリアリアからの通信に短く答え、次の瞬間にはアークエンジェルがバレルロール回転を始めたのを確認し、スラスターを吹かして上空へと跳躍する。アークエンジェルが回転を始めた所で一端右翼の端へと着地し、再度またスラスターを吹かして跳躍。

 同時に完全に下を向いたアークエンジェルのゴットフリートが海面へとその姿を見せたグーン1機を撃破する。

 そして……

 

「そこだ!」

 

 仲間が撃破されて驚いたのか、あるいはアークエンジェルのバレルロールに驚いたのか。海面へと姿を現していて海中へと身を沈めるのにいつもより時間が掛かっていたのを利用し、アークエンジェルから跳び立ったブリッツが海面から出ているグーンの身体へと着地する。同時に殆ど零距離といってもいい位置でトリケロスに内蔵されているビームライフルを発射、その機体を蹴って跳躍して元の態勢に戻ったアークエンジェルの甲板へと着地する。それと殆ど同時に海中でグーンが爆発して巨大な水柱を上げていた。

 

「取りあえずこれでグーンは撃破した。後はキラとムウ次第、か」

 

 着地したアークエンジェルの甲板上から海面の様子を探ると、うっすらと影が見える時がある。そのどちらかがストライクだったりゾノだったりするのかは分からないが……いや、待てよ?

 

「ブリッジ、聞こえるか?」

「はい、何でしょう?」

「そちらのレーダーでストライクがどこにいるのかは分かるか?」

「えっと、ちょっと待って下さい」

「アクセル・アルマー、どういう事だ?」

 

 ミリアリアに変わって、ナタルが通信に出る。

 

「俺の位置からは時々海中で戦っているMSの影がうっすらと水中に見える。ただ、それがストライクか、敵のMSかはこちらで判断出来ないんだ。そっちでその判断が可能なら、ストライクに対する援護が可能なんだが」

「……なるほど、了解した。こちらで敵の判別を行うので援護は任せる」

 

 ナタルの承諾を貰い、アークエンジェルの甲板から海中へと目をこらす。それから1分程経った頃、海中に再び機影が見えてきた。ただし2機分。追う方と追われる方といった関係だろう。

 

「ブリッジ、こちらからは影が2つ見える。追う方と追われる方のどちらがストライクか分かるか?」

「前方、追われている方がキラです!」

 

 ミリアリアからの通信を聞き、左腕に装備されているグレイプニールで狙いを定めて決定的な瞬間を待つ、待つ、待つ……

 

「ここだ!」

 

 ロケット推進により発射されたグレイプニールがその速度を使って海中へと突入する。海中に入った事により急激に速度が落ちるが、幸い敵MSのゾノは浅い水深を移動しているのでその背中へとグレイプニールの爪を突き立てる事に成功する。

 

「ぐうぅっ!」

 

 グレイプニールで捕まえたといっても、ゾノの速度を殺した訳ではない。結果、ゾノに引きずられるかのようにアークエンジェルの甲板上をブリッツが引きずられる。

 

「キラ!」

「今行きます!」

 

 ゾノの前を進んでいる筈のキラへと通信を送るが、かなり進んでしまっていたストライクはまだ戻って来る事は出来ないらしい。元々水中用MSという訳でもないストライクなのだから無理もないのだが、このままではこちらが持たない。

 

「くそっ!」

 

 ゾノにグレイプニールを突き刺したまま、ブリッツは甲板を跳躍。水面近くまで引き上げられていたゾノの背中へと着地する。

 

「何が起こった!? 背中だと!」

 

 接触回線により戸惑う敵パイロットの声が聞こえるが、こうしている間にも海の中へと沈み込もうとしている状態だ。悠長に話をしている暇はない。

 

「愛」

 

 精神コマンドの愛を使用し、身体中、機体中に漲る不思議な力を自覚して……トリケロスからランサーダートを3本全て発射する。

 

「何ぃっ!」

 

 そしてそのままゾノの背中を蹴ってアークエンジェル甲板へと戻り、ゾノは海中で爆発した。

 

「……ふぅ」

「すいません、遅れてしまって」

 

 ストライクが近づき、申し訳なさそうにキラが通信を送ってくる。

 

「何、お前が敵の注意を引きつけてくれたから相手も海上に対する警戒が薄くなったんだろう。それよりも……」

「それよりも?」

「ブリッジ、ムウから連絡は?」

「……」

「ブリッジ?」

「あ、す、すいません。フラガ少佐から敵潜水艦は撃破したと連絡がありました。ただ、その……」

 

 言い淀むミリアリア。これは、上手い具合に原作通りになったとみていいだろう。

 

「敵の援軍でも来たか?」

「いえ、スカイグラスパー2号機に乗って出撃したカガリさんが消息不明に。それで艦長から簡単な整備と補給が済んだらブリッツとストライクで捜索に出て欲しいとの事です」

「カガリが!?」

「……ブリッツも、か? その間、艦の防衛戦力に問題が出るが」

「アクセルさん、なんでそう平気な顔をしてられるんですか! カガリが行方不明になったんですよ!」

 

 こちらへと噛みついてくるキラに溜息一つ。

 

「落ち着け。2機で捜索に出てカガリを発見したとしても、その間にこの艦がザフトに落とされでもしたらどうする? 俺達の帰る場所が無くなるんだぞ?」

「それは……」

「それでもお願いよ、アクセル」

 

 通信に割り込んできたのはマリューだった。カガリの行方不明により、どこか憂いを帯びた表情をしてこちらを見ている。

 

「フラガ少佐がもうすぐ帰還するわ。いざという時の護衛はスカイグラスパーでなんとかするから」

「……了解。補給と整備を終えたら捜索活動に出るよ」

「ありがとう」

「すまないな」

 

 マリューの後ろからキサカが顔を出し、頭を下げてくる。守り役としては今回の行方不明は手痛い出来事なのだろう。

 こちらとしても、オーブに対して恩を売るのはそう悪い選択ではない。薄々考えている計画が実現可能なのだとしたら、今回の事は限りなくでかい貸し付けになるだろうしな。

 

「気にするな」

 

 だからそれだけ言って、MS格納庫へと移動した。

 

 

 

 

 

 結局、その後は原作通りに進んだ。その日はカガリを見つける事が出来ないままに一晩が過ぎ、翌日になって救難信号を捉える事に成功してストライクが救出。ほぼ独断に近い形で出撃したカガリはマードックを始めとする整備班達にたっぷり数時間の説教と、罰として一週間程小間使いに奔走させられる事になったのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:36
PP:115
格闘:254
射撃:274
技量:264
防御:264
回避:294
命中:314
SP:446
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:278

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