転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0179話

 アフリカ大陸からインド洋へと進んでから数日が過ぎた。その間に海を移動している時の最大の懸案事項であるソナーの問題も解決し、傭兵としての俺は特に仕事もなかったので例の如く自分の部屋でムウから貰った雑誌を眺めていた。

 いつもはグラビア系がメインの雑誌を持っているムウだが、何故か昨日もらったこの雑誌はレストラン特集のような内容になっている。……ナタルとのデート用に入手した奴か? そんな風に思いつつも、俺もマリューといずれ行ってみたいと思い読んでいたのだが……

 

『総員、第2戦闘配備。繰り返す、総員、第2戦闘配備』

 

 アラームと共に、艦内にそんな放送が流れた。第2戦闘配備という事は、3分以内にMS格納庫に移動できる場所にいればいいんだから、取りあえずパイロット控え室にいれば大丈夫だろう。

 

「来たか」

 

 原作では確かディンが数機にグーンが数機どこぞの隊長に率いられて襲撃してきた筈だ。

 雑誌をベッドの上に放り投げ、パイロット控え室へと向かう。

 既にパイロット控え室の中ではムウがパイロットスーツへと着替え終わり、いつでも出撃可能な状態になっていた。

 

「早いな」

 

 俺に割り当てられたロッカーからパイロットスーツを取り出しながらムウへと声を掛ける。

 

「格納庫にいたんでな。それよりこんな所で襲撃されるとは思わなかった。どんな奴等だと思う?」

「そうだな、この状況なんだし空中用MSのディンか、あるいは水中用MSのグーンか……あるいはその両方かもな」

「ザフトのMSに詳しいな」

「なに、傭兵をやっていればその程度の情報は自然と集まってくる。それよりもこの状況で戦闘になるという事は、スカイグラスパーに負担を掛けるが大丈夫か?」

「ま、その辺はしょうがない。海の上を移動すると決めた時点で予想出来ていただろう?」

「遅れました!」

 

 キラが慌ててパイロット控え室へと入って来て、そのままパイロットスーツへと着替え始める。

 

「まだ第2戦闘配備なんだし特に遅刻と言う訳でもない。ただ、いつ第1戦闘配備になるか分からないからな、早い所着替えておけ」

「はい!」

 

 そんな事を喋っていると再び放送が流れる。

 

『総員、第1戦闘配備。繰り返す、総員、第1戦闘配備』

 

「ほら来た。よし、行こうぜ」

 

 真っ先に格納庫へと向かったムウの後を追い、俺とキラが続く。

 

「兄ちゃん、武器で使えるのはもうシグーのバルカンシステム内装防盾しかないが、どうする?」

 

 格納庫に入った所でマードックにそう聞かれる。使い勝手の良かったジンの突撃機銃はバルトフェルド達との戦いで弾を使い果たしてしまっている。巨大ビームライフルはバクゥを殴りつけた時に壊れているし、重斬刀に関しては宇宙でイージスのPS装甲を滅多打ちにしたせいで棍棒と大して変わらない状態だ。

 

「しょうがない、ノーマルで出る」

 

 シグーのバルカンシステム内装防盾は使えそうなのだが、左腕に装備するのでそれをブリッツに装備させてしまうとグレイプニールが使えなくなるし、なによりその大きさかから巨大ビームライフル程ではないにしろ取り回しが不自由極まりないのだ。……折角クルーゼから奪い取った奴なんだが、MS格納庫の肥やしになってるようなものだな。後でストライクに装備させるというのはありかもしれないが。

 

「あいよ、じゃあ特に用意するものはないな。ブリッツのコックピットに向かってくれ」

 

 マードックの言葉に従い、コックピットへと乗り込む。

 

「アクセル、キラ、空の敵は俺が迎撃する。海の敵はキラ、お前に任せていいか? 武器の関係上、ブリッツよりもストライクの方が海中でもどうにかなる筈だ」

「そうだな……俺はアークエンジェルの甲板で砲台代わりをさせてもらおう。キラ、頼めるか?」

 

 ブリッツの武器のうち、海中でも使える物となるとグレイプニールとランサーダートくらいしかない。それに比べてソードストライカーパックを装備したストライクなら対艦刀のシュベルトゲベールやアーマーシュナイダー、イーゲルシュテルンがあるのでブリッツよりは余程戦力になるだろう。

 

「分かりましたけど……本当に水中用MSが出てくるんですか?」

「この海原で、ディンだけって事はないと思うがね。それにアクセルの勘が洒落にならないのは坊主も知ってるだろう?」

「はぁ、まぁ、確かに」

「じゃ、そういう事で頼んだぜ。ムウ・ラ・フラガ出るぞ!」

 

 その声と共に、スカイグラスパーが発進していく。そしてその直後に今まで海に浮かんでいたアークエンジェルが唐突に離床して空中へと浮かび上がった。恐らくグーンの魚雷を回避する為だろう。

 

「どうやらお出ましのようだな。俺は先に出るから海の中は頼んだ」

「はい!」

「アクセル・アルマー、ブリッツ、出る!」

 

 リニアカタパルトで射出され、そのままアークエンジェルの甲板へと着地する。まず視界に入ってきたのは空を飛ぶディンが2機。そしてディンに背後から狙われているスカイグラスパーの姿だ。

 

「そっちばかり見てていいのか……よっ!」

 

 トリケロスに内蔵されているビームライフルでディンへと狙いを付けるが、それを察知したのかその場から離脱するディン。恐らくこちらが隊長機なのだろう。その機体の後を追うようにしてもう1機が移動している。

 さすがクルーゼと同じ白服というべきか。

 チラリと視線を向けると、ソードストライカーパックを装備したストライクが海面に姿を見せたグーン目掛けて飛び降りた所だった。自分を目掛けて降りてくるストライクに気が付いたのか、すぐに海中へとその身を沈めようとするグーンだったが……遅い。数m沈んだ所でストライクが持っていたシュベルトゲベールが突き刺さり、爆発を巻き起こす。

 

「ムウ、キラがグーンを1機やった。それと少し奴等を引っ掛けるから、ディンをそのまま引き連れてアークエンジェルの右翼の上を飛んでくれ。俺はそこから見えない位置に潜んでいる」

「分かった。坊主だけに良い格好をさせてはおけないってね」

 

 簡単な打ち合わせを行うと、アークエンジェルの右翼へと移動しながらPS装甲の代わりにミラージュコロイドを展開する。

 その状態のままに身動きせず、ムウのスカイグラスパーが敵を誘き寄せるのを待ち……来た!

 つい先程のように、背後からディン2機に狙われている……ように見せかけたスカイグラスパーが打ち合わせ通りにアークエンジェルの右翼上空へと近づいてくる。そしてもちろんディンもその後へと続いている。アークエンジェルからのイーゲルシュテルンやバリアント、ヘルダート等の武器には警戒しているが、この右翼付近ではイーゲルシュテルンだけに注意を向ければいいと思っているのだろう。そしてそれは正しい選択だ。……その右翼にミラージュコロイドで姿を消したブリッツが待ち伏せをしていなければ、だが。

 

「アクセル!」

 

 ブリッツの上空をスカイグラスパーが通り過ぎ、それに続いて先程こちらの攻撃を回避した隊長機が。そして最後に一般兵の乗っているディンが……今だ!

 ミラージュコロイドを解除し、PS装甲を展開しながら左腕に装備されているグレイプニールを発射する。放たれたグレイプニールは最後尾のディンの胴体にクロー先端の鋭い爪先を食い込ませる。

 突然MS1機分の重量が増えた影響でまともに飛ぶ事が出来なくなったディン。アークエンジェルの右翼を足場に踏ん張り、ディンの機体を手元へと引き寄せる。

 元々ディンは空を飛ぶ為に限界まで軽量化されている影響で重量自体が非常に軽く、ブリッツの半分もない筈だ。その軽い機体故にブリッツの膂力に勝る事は出来ずに動きを止められる。

 結果としてスラスターの噴射に機体強度が耐えられる筈もなく……ディンは空中で上下に分断されて部品をアークエンジェルの甲板と海へとばらまく事になった。

 何も見えない所からの攻撃で仲間が撃破されたのに驚いたのか、一瞬空中で動きを止めるディン隊長機。もちろんアークエンジェルがそんな隙を逃す筈もなく、近くにあったイーゲルシュテルンから発射された弾丸がディンの背にある羽根のような部品を破壊する。

 

「ムウ!」

「ああ、分かってる」

 

 俺の通信に短く答えたムウが空中でスカイグラスパーを反転。これまでの仕返しとばかりに隊長機へとアグニを撃ち込んでいる。

 しかしさすがは隊長機というべきか、ムウの攻撃を回避しつつ羽根を壊された状態でも特に危なげなく飛びながら撤退していった。俺もビームライフルで狙おうと思ったのだが、グレイプニールを引き戻し終わった時には既にディンの姿はこちらの射程距離外まで移動していた。

 

「ブリッジ、ストライクは?」

 

 その様子を見送り、ブリッジへと通信を繋げる。そこには笑みを浮かべたマリューの姿が映っていた。

 

「水中用MSの反応消失を確認したわ。キラ君も無事よ。3人ともご苦労様です。MS格納庫に戻って下さい」

 

 ふぅ、なんとかなった……か。だが、海上を進むこの状況で空を飛ぶ事が出来ないというのは痛いミスだな。確かザフトにはグゥルとかいうサブフライトシステムがあったと思うが……出来れば手に入れておきたい所だ。

 と、MS格納庫へと向かっているとふとモニタに映った物があった。俺が撃破したディンの持っていた武器だ。銃口の大きさから見るに、ついこの前まで使っていた突撃機銃のようなものではなく散弾のようだが……まぁ、ないよりはあった方がいいだろう。そう判断し、その武器を回収してMS格納庫へと向かった。

 

「よく無事だったな……って、兄ちゃん何持ってるんだ?」

 

 マードックが格納庫へと戻ってきたブリッツの手に持っている散弾銃を見ながら通信を送ってくる。

 

「ディンの武器だ。撃墜した奴が持ってた奴だが損傷も少ないようだから拾っておいた。見た感じは散弾銃か何かだと思うんだが……詳細を調べられるか?」

「分かった。こっちのデータベースで調べておく。兄ちゃんは取りあえずブリッツから降りて構わねぇぞ」

「頼む」

 

 通信を切り、ブリッツから降りてからパイロット控え室で連合軍の軍服へと着替えているとキラが戻ってきた。ちなみにムウはスカイグラスパーの設定が気に食わない所があったのか、まだ格納庫で調整作業中だ。

 

「海中の敵は上手く撃破出来たようだな」

「ええ、まぁ……なんとか」

 

 どこか歯切れの悪い様子だが、恐らくまた敵を殺したくないとか思い悩んでいるのだろう。つい数ヶ月前までは一般人の学生であった事を思えばそれもしょうがないのかもしれない。

 

「それより、ディンの武器を上手い事手に入れる事が出来た。ブリッツのFCSの調整を頼んでも構わないか?」

 

 せいぜい俺に出来るのは、こうやってやるべき事を与えて考え込ませないようにするくらいのものだ。……いや、FCSの設定が必要というのは事実なんだが。

 

「あ、はい。分かりました。……それにしても、アクセルさんはよく敵の武器を拾ってきますね。今までもジンやシグーの武器を拾ってましたけど……それが傭兵流なんですか?」

「使える物は使わないと損だろ? それにブリッツはお前のストライクと違って豊富な武装がある訳じゃないしな」

「確かにストライクはストライカーパックの換装で万能機と言えますけど。……それで、ディンの武器ってどんなのです?」

「詳しい事は不明だが、マードックが調べておいてくれるそうだ。調整作業をする時はそっちから情報を貰ってくれ」

「はい、分かりました」

 

 そうやって頷くキラの表情には、つい先程まで浮かんでいた暗いものはなくなっていた。




名前:アクセル・アルマー
LV:36
PP:105
格闘:254
射撃:274
技量:264
防御:264
回避:294
命中:314
SP:446
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:276

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