転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0172話

 敵襲の報告を聞き、急いで部屋からMS格納庫へと向かう。その途中で敵の攻撃を迎撃したと思われる衝撃を感じるが、この感覚からいうと上手く迎撃に成功しているのだろう。

 そんな状況なのでパイロットスーツに着替える余裕など無くMS格納庫へと辿り着く。

 本来ならパイロットスーツは衝撃をある程度吸収してくれる効果があるのだが、俺の身体能力を考えれば着る必要は全く無かったりする。宇宙での戦いの時はその環境上仕方なかったのだが。

 

「兄ちゃん、出撃準備は出来てるがコックピットで待機していろとの事だ。武器はどうする?」

「そうだな……OSを地上、特に砂漠用に調整してないからな。ビーム系なんかは熱対流の関係上あまり使えないだろう。確かジンの突撃機銃があったな? あれを頼む。それ以外はノーマルでいい」

「あいよ」

 

 ムウが整備員に調整を急がせるように食ってかかっているのを横目に、俺はとにかく出撃準備を整える。

 

「敵はどこだ!? ストライク、発進する!」

「キラ? 待って、まだ!」

「早くハッチ開けて!」

「まだ敵の位置も、勢力も分かってないんだ。発進命令も出ていない」

「何暢気な事を言ってるんだ! いいから、早くハッチ開けろよ! 僕が行ってやっつける!」

「キラ……」

 

 キラとナタル、ミリアリアのやり取りが聞こえてくる。

 ……何故だ? ふとそんな疑問が脳裏をよぎる。原作でキラがこうなったのはシャトルを守れなかった事で自分を責めて、そこをフレイに慰められた結果傲慢とも言える言動を取るようになった筈だ。だが、この世界ではシャトルは撃墜されずに無事地球へと降下している。それなのに何故キラがこうなっている?

 そんな風に考え込んでいたが、名前を呼ばれて我に返る。

 

「アクセル?」

 

 ブリッツのモニタにはどこか心配するような表情をしたマリューの姿が映し出されていた。

 

「どうした?」

「戦闘ヘリ相手ではアークエンジェルだと小回りが利かないから、出て貰えるかしら?」

「こちらはいつでもOKだ」

「それと……キラ君の様子が」

「ああ、通信を聞いていた。確かにちょっとおかしかったな」

「気にしてくれる?」

「構わないが……ブリッツはOSが宇宙戦闘用のままだから砂漠だと碌に動けない。アークエンジェルを足場に戦う事が多くなると思うから、どこまで出来るか分からないぞ」

「ええ。それで構わないわ、お願い。……アクセル」

「ん?」

「無事で帰ってきてね」

「ああ」

 

 ランチャーストライカーを装備したストライクがリニアカタパルトで発進し、その後に続くようにジンの突撃機銃を左手に装備したブリッツも発進される。

 

「ちぃっ、やっぱりか」

 

 眼下ではストライクが砂に足を取られて膝を突いている。その様子を確認した俺は、スラスターを噴射させてアークエンジェルの甲板へと降り立った。

 

「キラ、屈め!」

 

 砂に足を取られているストライクを狙い、ザフトの戦闘ヘリが3機それぞれミサイルを発射する。その3機を狙って左手に持っていた突撃機銃で弾をばら撒き、撃ち放たれたミサイルを撃破して同時に戦闘ヘリも1機爆散させる。

 続けて攻撃しようとするも、味方機が撃破された所を見ていた2機は砂丘へとその身を隠し、こちらを無視するかのようにストライクに攻撃を仕掛け、砂で碌に身動きの取れないストライクを翻弄する。

 そしてそんなストライクを嘲笑うかのように躍り出てきたのは4足獣型のMS、バクゥだった。

 5機のバクゥがその特徴的な速度を活かしながら、その背に装備されたミサイルポッドから多数のミサイルやレールガンを発射している。砂に足を取られて動きの鈍いストライクへと狙いを絞ったようで、アークエンジェルとブリッツには攻撃してこない。

 

「ちぃっ、お目が高い事で」

 

 ストライクを中心にその周囲を動き回るバクゥだったが、ブリッツの左手に持っていたジンの突撃機銃の銃口を向けられたと知ると、すぐにストライクの向こう側へと逃れる。そうなると射線軸上にストライクがいる為、こちらとしても攻撃出来ない。

 さすが砂漠の虎の部隊、と言うべきだな。だが!

 

「加速」

 

 精神コマンドの加速を使用し、スラスターを全開にして空中へと跳び上がる。そのままストライクの頭を越えるようにして空中を移動し……ここだ!

 

「食らえ!」

 

 左手のグレイプニールを発射。今にもミサイルを発射しようとしていたバクゥの首根っこをその爪先で捕らえる事に成功する。そのまま逃がさないようにバクゥの背へとブリッツを着地させ、その衝撃でミサイルポッドを破壊した。破壊されたミサイルが暴発した衝撃が伝わってくるが、PS装甲のブリッツにしてみればそれ程気にするものでもない。

 そしてその背にトリケロスに内蔵されているビームライフルの銃口を向けてトリガーを引く。いくら熱対流によって照準がずれると言っても、この至近距から発射すればそんなものは関係ない。

 爆発する寸前のバクゥの背を蹴り、再びスラスターを噴射してアークエンジェルの甲板へと降り立つ……のと殆ど同時に、アークエンジェルの艦尾からスレッジハマーが数発発射された。

 

「キラ、避けろ!」

「キラ、避けて!」

 

 俺のその忠告と、ミリアリアからの通信は殆ど同時だった。しかし地上戦闘に特化しているバクゥはミサイルの接近を察知してその場を退避し、砂に足を取られたストライクはスレッジハマーの爆発に巻き込まれる。

 ……PS装甲だからと言って、無茶な真似を。

 だが、それも無理はないのかもしれない。なにせこの時点で撃破した敵機は戦闘ヘリが1機に、バクゥ1機のみだ。なるべく早い内に敵の数を減らしたいと考えたのだろう。……この厳しい選択は原作通りにマリューじゃなくてナタルの判断だな。

 そしてバクゥも1機が倒されてからはより慎重になり、ブリッツが少しでも動こうとすると距離を取ろうとしてくる。そんな状況で俺が出来るのは、バクゥがキラに攻撃しようとした時に無駄を承知で突撃機銃で射撃をして時間を稼ぐ事くらいだった。

 

「キラ、今のうちに砂漠に対応出来るようOSの調整をしろ! いつまでも時間稼ぎは出来ないぞ!」

「接地圧が逃げるんなら、合わせればいいんだろ。逃げる圧力を想定し、摩擦係数は砂の粒状性を-20に設定」

 

 俺の言葉に返事をする事もなく既にキラはOSの設定を変更し始めていた。聞こえてくるのは設定に必要な数値を変更する時に漏れ出た言葉か。

 その結果はすぐに現れる。ジャンプして砂漠に着地しても砂に足を取られずに踏ん張る事が出来るようになったのだ。

 ジャンプして飛び掛かってきたバクゥに左足で踏ん張りながら右膝を叩き込む。背後から襲いかかってきたバクゥに対してはアグニの銃床の部分で後ろも見ずにそのまま殴りつけ、ひっくり返ったバクゥを踏みつけて動きを止めてから至近距離でアグニを撃ち込んだ。

 350mm高インパルス砲の名の通り至近距離から発射されたビームはその強大な威力でバクゥを一瞬にして消滅させる。なにせコロニーにすら一撃で莫大な被害を与える威力を持つ武器だ。それを至近距離で食らったらどうなるかなんて想像するまでもないだろう。

 砂漠用に設定されたOSを持つストライクにとって、既にバクゥは敵ではなかった。ミサイルポッドから発射されたミサイルも右肩に装備されたバルカン砲で全て落とされる。

 そんな様子を見ていた俺だったが、唐突に念動力が危険を知らせる。これは……アークエンジェルを狙ってる!? レセップスの砲撃か!

 俺がその砲撃を感知するのと、その砲撃が飛んでくるのは殆ど同時だった。砲撃を回避しようとアークエンジェルが砂漠から浮き上がる。

 咄嗟の回避のおかげだろう。レセップスからの砲撃はその殆どが外れたが、数発はアークエンジェルへと命中した。

 その衝撃が甲板に陣取っているブリッツにも伝わってくる。

 

「くそっ! 砲撃相手に勿体ないが……愛!」

 

 カタパルトデッキからスカイグラスパーが射出されるのを横目で見ながら精神コマンドの愛を使用。

 ストライクに弾き飛ばされたバクゥが数発の砲撃を防ぎ、同時に放たれたアグニの砲撃によりその殆どの砲弾が消滅し……

 

「食らえ!」

 

 ブリッツが左手に装備した突撃機銃で残りの砲弾を撃墜した。

 OSの設定を変更してからのストライクはまさに鬼神の如き活躍だった。しかしその活躍も永遠に続く事はない。

 

「ストライクのパワー、危険域に入ります!」

 

 通信を通して、ミリアリアの切迫したような声が聞こえてくる。それも無理はない。ただでさえエネルギー消費の激しいアグニを使用しており、戦いの前半では何度も無駄撃ちを繰り返しているのだから。

 しかしOSの設定が変更されていないブリッツではどうする事も出来ない。助けに行ったとしても、今度はブリッツが砂に足を取られてバクゥに集中攻撃され、撃破されるだけだろう。

 かと言ってストライクをアークエンジェルに戻せば、今度は動きの取れないアークエンジェルがバクゥに狙われる事になる。レセップスの砲撃にしても時間を置けば再開されるだろう。

 この状況を打破する為には、原作通りにレジスタンスの明けの砂漠の接触を待つしかないんだが……

 

「ちぃっ、今はとにかく時間を稼ぐしか! 愛!」

 

 再度精神コマンドの愛を使用し、戦闘ヘリへと左手に装備している突撃機銃を放つ。こちらが動いたのを見計らい回避しようとする戦闘ヘリだったが、精神コマンドの愛の効果もありその胴体を何発もの弾丸が貫く。そして爆散。

 本来ならバクゥを狙いたい所なのだが、こちらが動いたと見るや思い切り距離を取って射程ギリギリの地点からストライクへと攻撃を仕掛けるのだ。いくら精神コマンドの愛を使ったとは言っても、さすがに射程外では攻撃そのものが届かない。

 くそっ、まだか!

 そう思ったその瞬間、横合いから放たれたミサイルが戦闘ヘリに命中する。来たかっ!

 何台ものジープや自走砲が戦闘区域へと侵入してその車に積まれているミサイルやバルカン砲を発射してくる。

 

「……あれは何だ?」

 

 呆然としたナタルの声を聞きながらも成り行きを見守る。するとジープの1台がストライクの足下に止まり接触回線用のワイヤーガンのようなものを撃ち込むと同時に、その通信内容がこちらへも流れてきた。

 

『そこのMSのパイロット、死にたくなければこちらの指示に従え。そのポイントにトラップがある。そこまでバクゥを誘き寄せるんだ』

「レジスタンス……なの?」

 

 マリューのその声を聞きながら、俺はブリッジへと通信を送る。

 

「マリュー! 今はとにかく信じてみるしかない。このままだとジリ貧でこっちがやばい。この状況でレジスタンスが俺達に罠を仕掛けるなんて事はまずない筈だ」

「……そうね。キラ君、彼等の指示に従って」

「はい!」

 

 キラは短く答えると、明けの砂漠の車の後を追って移動する。そしてその後を追うバクゥ。

 アークエンジェルとブリッツを無視してストライクを追ったのは、PS装甲がダウン寸前だという事をバルトフェルドから教えられているからだろう。幸か不幸かブリッツは攻撃の殆どをジンから奪った突撃機銃で行っており、敵からの攻撃も受けていないおかげでバッテリーにはまだまだ余裕がある。

 そしてストライクは逃げ、バクゥはそれを追い……明けの砂漠が仕掛けた地雷原へと突っ込んだバクゥ部隊は巨大な爆発と共にこの砂漠から消滅した。




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:525
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:262

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