転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1857話

「え? それ本当?」

「ああ」

 

 学校に向かう途中、例によって例の如くゆかりと遭遇した俺は、有里が入院したという情報を教える。

 それに対してゆかりが口にしたのが、今の一言だった。

 そこにあるのは、不安と驚き。

 転入してきたばかりとはいえ、クラスメイトがいきなり入院したと言われれば……それもシャドウとの戦いが原因でとなれば、そうなるのは当然だろう。

 ちなみに荒垣には電話をしたが留守電になっていたので、メールで送っておいた。

 まぁ、まだ7時くらいだったし、そうであれば起きていてもおかしくはないが……それはあくまでも普通ならの話だ。

 残念ながらと言うべきか、荒垣は普通ではなく不良なので、当然のように夜は遅くまで起きていてもおかしくはない。

 もっとも、影時間……特に昨日の戦いは色々と大変だったから、見ているだけで緊張して疲れていてもおかしくはないけど。

 

「そう言えば、ゆかりは昨日の疲れ、大丈夫なのか? 最終的に、かなり疲れ切っていたようだったけど」

「あー……うん。一応帰ってからすぐに寝たし。けど、正直昨日みたいな件はもうごめんね。家に帰った途端ベッドに倒れ込んだし」

「かなり疲れたんだな」

 

 そう言い……ふと、何故か周囲の様子が静寂に包まれている事に気が付く。

 つい先程までは通行途中という事でかなり騒々しく、友人達と話している声が聞こえてきたのだが……何故か今は、静寂に包まれている。

 

「ん? どうしたのよ?」

 

 ゆかりも俺の様子に疑問を思ったのか、周囲に視線を向ける。

 そこで自分に……正確にはゆかりと俺の2人に視線が集まっているのに気が付いたのだろう。

 驚いたようにこっちを見て……何か周囲の注目を引くような事があったのかを考える。

 そうしてゆかりとの会話を思い出し……

 

『あ』

 

 俺とゆかりの口から、揃って声が上がった。

 先程の会話を考えれば、色々と微妙なところがあったのは間違いない。

 それこそ、俺とゆかりが夜に会い、ゆかりの体力が限界になる程に消耗するような運動をした。

 うん、それだけを聞けば何を思い浮かべるのかはすぐに分かるし、周囲が静寂に満ちている理由についても納得は出来る。

 ゆかりもそれを理解した為か、顔が急激に赤くなっていく。

 何だかんだと、男慣れしてないんだよな。

 

「……っ!? さ、先に行ってるわね!」

 

 それだけを告げ、ゆかりは俺を置いて校舎の中に入っていく。

 この場から逃げ出すのはともかく、俺を置いていくってのは正直どうよ?

 出来れば俺だってここにはいたくないんだが。

 そう思うも、既にゆかりの姿がない以上、周囲の者達の視線は当然のように俺に集まる。

 さて、どうしたものか……そう思っていると、少し離れた場所に順平の姿を見つける。

 今こっちにやって来たらしく、どうやら俺の話は聞こえていなかったらしい。

 運がよかったな。

 

「よお、順平。今日は随分といつも通りだな」

「いや、それは言葉が変じゃないか? ……うん? 何かあったのか?」

 

 俺に言葉を返しながら、順平は周囲の様子が変だという事に気が付いたのだろう。

 不思議そうに周囲を眺める。

 だが、俺はそれを気にした様子もなく、順平と一緒に校舎に向かう。

 

「ま、ちょっとあったんだよ。……それより、有里は今日から何日か学校を休むらしいぞ」

「え? 何でだよ? つか、何でアクセルがそれを知ってるんだ?」

「ちょっとした伝手でな。……何でもちょっと怪我をして入院したらしい」

 

 病気で入院という言い訳も考えたのだが、それだと退院してきた時の事を考えると、怪我の方が理由付けはしやすいだろうという考えだ。

 それに、病気だと退院した後に体育とかで休ませられる可能性もあるし。

 ……もっとも、有里は何気に面倒くさがり屋なので、寧ろ体育を休める事を喜ぶかもしれないが。

 ともあれ、有里が入院したという話はしっかりしておく方がいい。

 そう考えて、順平にそう告げたのだが……ふと、何かに気が付いたように順平の表情が曇る。

 

「有里が入院して休みって事は……クラスの女達が色々と騒ぎそうだな」

 

 小さく呟かれたその言葉に、俺は思わずといった様子で頷いてみせる。

 順平の言葉が事実だと、そう理解してしまったからだ。

 クラスの女……いや、2年の女や、場合によっては1年や3年の女にも、有里は人気がある。

 友近から聞いた話だと、ファンクラブまで作られつつあるという話なのだから、それがどれ程の人気なのかが分かるだろう。

 もっとも、有里本人は決してそれを喜んでいる訳ではないようだが。

 それも、分からないではない。

 もし有里が女に対して貪欲であれば話は別だったのだろうが、生憎――いや、幸いか――と有里本人はそこまで女好きという訳でもないらしいし。

 どちらかと言えば、あの気怠げな態度のようにどうでもいいと思っているのは間違いない。

 結果として、有里は多くの女に好かれているが、本人は出来れば面倒臭いからそういうのは止めて欲しいと思っている、と。

 この辺は昨日の昼休みに有里から直接聞いたので、間違ってはいないだろう。

 ……女達にしてみれば、自分たちの魅力を完全否定されている気がして、面白くないのかもしれないが。

 いや、寧ろそうやってすぐに自分達に興味を抱かないからこそ、好意的になるのか?

 高嶺の花的な意味で。

 ともあれ、順平と話しながら学校に向かい、何とかこっちを見てくる視線から逃れる事に成功する。

 そうして教室に入ると、当然のように既にゆかりは自分の席に座っており、近くの女と何かを話している。

 そのゆかりは、教室に入ってきた俺を見て一瞬頬を赤く染めるものの、無理矢理視線を逸らして再び友達との話に戻っていく。

 そんなゆかりを眺めつつ、俺は自分の席に向かう。……まぁ、ゆかりの隣なんだが。

 

「あ、おはようアルマー君。ねぇ、ゆかりどうしたの? 何だか様子がおかしいんだけど」

 

 俺が席に座ると、それに気が付いたゆかりの友達が、そう尋ねてくる。

 その顔に浮かんでいるのは、心配そうな色……ではなく、どこか興味深い視線。

 まぁ、クラスどころか学年、学校全体で見ても人気の高いゆかりだ。

 当然のようにその行動には色々と注目が集まるのは当然だろう。

 特に俺との間には色々と噂が流れているらしいし。

 ……ネギま世界の朝倉辺りがいれば、もの凄い事になってそうだな。

 ふと、そんな事を思う。

 

「ちょっ、何でもないったら! アクセルも余計な事は言わないでよ!」

 

 俺が何かを言うよりも前に、ゆかりがそう告げてくる。

 うん、まぁ……さっきのやり取りを思い出せば、ゆかりがそう言いたくなるのも分からないではないけどな。

 

「はいはい、まぁ、俺が何も言わなくても、情報は自然と広がると思うけど」

「ぐっ、そ、それは……」

「ん? 何があったんだよ? 知ってるか?」

 

 友近が順平に尋ねているが、それに対して順平は首を横に振る。

 

「さぁ? ただ、俺がアクセルに話し掛けた時、何だか妙な雰囲気だったけど……それだけだな」

「それだろ。あー、ちょっと気になる」

「ちょっと!」

 

 友近のわざとらしい言葉に、ゆかりは非難を込めて叫ぶ。

 その気持ちは分からないでもないが。

 ともあれ、そんな風に俺達はそれぞれ鳥海がやってくるまで会話に花を咲かせる。

 何だかんだと俺と仲のいい順平と友近が俺と話をし、月光館学園の中でも人気の高いゆかりの周囲にも、仲のいい連中が集まっていた。

 そうして話していれば、当然のように有里が怪我で入院したという件が話題に出るのも当然であり……ゆかりと話していた女の中には有里のファンもいたので、当然のように大騒ぎになる。

 

「ちょっと、アルマー君。それ本当なの!?」

「ああ。間違いない情報だ。まぁ、詳しい話は朝のHRでされると思うけど……」

「こうしちゃいられないわ。他の同志にも知らせてこなきゃ!」

 

 そう言いながら、女は俺達の前を足早に去っていく。

 にしても……同志、ね。また随分と大袈裟な。

 けど、正直有里がここまで人気が出るとは思ってなかったな。

 桐条や真田程ではないにしろ、ゆかりと同じくらいの人気はあるんじゃないか?

 そんな風に思っていると、不意に携帯が着信を知らせてくる。

 誰だ? と一瞬疑問に思うが、そもそも俺の携帯の番号を知ってる奴はそう多くない。

 いや、それでもこのクラスに転入してきて、順平や友近を始めとして他何人かと電話番号の交換はしているが……そもそも、今は学校にいるんだから、何か用事があるのであれば、電話じゃなくて直接声を掛けた方が早いだろうし。

 そんな風に思いながら誰からの連絡かと思えば、そこに表示されているのは荒垣だった。

 ……どうやら荒垣に送ったメールを読んで、折り返し連絡してきたのだろう。

 時間差があるのは、俺がメールを送った時はまだ寝ていて、起きてから俺のメールを見て連絡してきた……といったところか。

 色々と込み入った話になるのは確実なので、順平達に軽く断ってから教室から出る。

 

「もしもし?」

『アキ達の後輩が入院したってのは本当か?』

「ああ。……けど、詳しい話を聞きたいんなら、別に俺じゃなくて直接真田や桐条に連絡すればよくないか?」

 

 実際、荒垣とより親しいのは俺達と真田達のどちらかと言われれば、その答えは後者だ。

 ……まぁ、元々一緒に行動していた真田達のパーティから抜けたのが負い目になっているのかもしれないが、それでも今は積極的に――本人はあくまでも認めないが――影時間に関わっている。

 仲直り……という表現はどうかと思うが、関係を良好にしてもいいと思うんだけどな。

 

『出来るか、そんな事』

 

 だが、荒垣は言外にそれを却下する。

 この辺りの頑固さも、色々と思うところはあるんだが……いやまぁ、その辺は今はいいか。

 

「それにしても意外だな。荒垣は有里とまだ会った事はないだろ? なのに、その有里が入院したと聞いて、わざわざ俺から情報を集めようとしてくるとはな」

『……アキの野郎が馬鹿な真似をして、何も知らない奴がその被害にあったんじゃないかと思ったからな』

 

 あー、まぁ、その辺は何となく理解出来る。

 実際、今回の一件も真田が引き金を引いたようなものだし。

 もっとも、桐条から聞いたくらいに特殊なシャドウであったのなら、それこそ真田が見つけたのは何気に最善の一手だったと思うが。

 もし真田がそのシャドウに遭遇していないのであれば、それこそ色々と厄介な事になっていた可能性は高い。

 であれば、今回の真田の行動は何気に最善だったと言えなくもない。

 勿論本当の最善は真田が独力で……もしくは桐条と共にそのシャドウを倒す事だったのだろうが。

 

「真田の行動に若干迂闊なところがあったのは間違いないが、それでもそこまで悪いって訳じゃないと思うけどな。……もしどうしても気になるんなら、見舞いにでも行ってみたらどうだ?」

『俺がか? 直接はまだ一度も会ってない相手だぞ?』

「今は、な。……メールにも書いた通り、有里はペルソナ使いとして覚醒した。であれば、当然のようにこれからは接触する機会は増える筈だ」

 

 それに、ペルソナの中からペルソナが生まれた……といったような事も、桐条は言っていた。

 それが具体的にどのような意味を持つのかは分からないが、ともあれペルソナ使いの中でも特殊な存在なのは間違いない。

 幾つかあった俺の予想のうちの1つ、有里がこの世界の原作の主人公である……というのは、意外と当たっているかもしれないな。

 ……まぁ、この世界の原作が具体的にいつから始まっているのかは分からないが、原作の主人公がいきなり入院というのはちょっと珍しいと思うが。

 ともあれ、恐らく原作が始まったというのは間違いないだろう。

 

『そうだな……いや、やっぱり止めておくよ。俺が行けば色々と迷惑になるかもしれないし』

「そこまで気にする必要はないと思うけどな」

 

 荒垣は身体も大きく、強面の顔立ちだ。おまけに何故か春になったのに未だにコートを着ているという点もあり、かなり目を引く。

 そんな荒垣が有里の見舞いに行けば、どうしても目立ってしまうのは止められないだろう。

 ……そして、荒垣のような人物が見舞いにいったのを他の奴に見られれば、心配してしまう。

 やっぱり荒垣は、何だかんだと面倒見がいいよな。

 そんな風に考えつつも、俺は気になっていた事を口にする。

 

「昨日に限ってタルタロスのシャドウが凶暴だった理由……やっぱり真田が遭遇したシャドウに関係していると思うか?」

『多分、だがな。でなきゃ、なんで急にあんな事になったのか説明がつかねえ』

 

 どうやら荒垣も俺と同じ予想らしい。

 もっとも、それは別におかしな話ではなく、少し考えれば容易に予想出来る事だろう。

 そうして数分話していると、やがて廊下の向こう側から鳥海が姿を現し、俺は電話を切って教室に戻るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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