転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1827話

 取りあえずゲイ・ボルク騒動とでも呼ぶべきものが終わり、俺達は改めて応接室……リビングか? ともあれ、寮の1階にあるソファに座って、向き合う。

 俺の隣にゆかり、そして俺の向かいには桐条と真田が揃って座り、荒垣のみは我関せずといった様子で少し離れた場所で立ったまま壁に寄りかかりながらこっちに視線を向けていた。

 

「ん、こほん。先程は色々と失礼をした。とにかく、そちらの岳羽ゆかりと……すまない。そう言えば君の名前はまだ聞いていなかったな。私は……」

「いや、いい」

 

 自己紹介をしようとする桐条の言葉を遮り、口を開く。

 

「そっちのメンバーに関しては、荒垣から話を聞いている。俺はアクセル。アクセル・アルマーだ」

「そうか。……だが、生憎と私は月光館学園の生徒でアルマーという生徒がいるとは聞いていない。月光館学園の生徒ではないのか?」

「そうなるな」

 

 まさか、月光館学園の生徒全員の名前を覚えているのか?

 いや、桐条グループの令嬢ともなればそのくらいは出来てもおかしくはないのかもしれないが。

 もっとも、俺の外見は色々と目立つ。

 もし学生全員の名前を覚えていなくても、俺のような人物の姿は忘れることが出来ない……というのが、正直なところかもしれないが。

 

「君の年齢を見る限り、学生だろう? だとすると、月光館学園とは別の学校に?」

「残念ながら違う。そもそも、こういう能力を持っている俺が学生をやっているのはおかしいと思わないか?」

「……おかしいか? 別に私はそうは思わないが。大体、それを言うのであれば、私や明彦、岳羽も同様だろう? 荒垣はともかくとして」

 

 岳羽と呼ばれたゆかりだったが、その表情に嫌悪の感情はない。

 桐条グループに対して色々と思うところがあった筈だが、どうやらさっきの一件である程度はどうでもよくなったらしい。

 もっとも、だからといって完全に桐条に気を許したのかと言われれば、答えは否だろうが。

 

「あー……そうだな。まぁ、それは否定しない」

 

 取りあえず、そう言葉を返す。

 まぁ、実際のところ、俺の外見だけを見て考えれば、そんな風に思っても仕方がない。

 桐条の言葉に、決して誤魔化しの類がないというのは、容易に理解出来たし。

 

「残念ながら、俺は学校に行っていないし。それどころかこの国の人間でもない。まぁ、これは俺の名前から考えれば、すぐに分かるだろうが」

「だろうと思ったよ」

 

 アクセル・アルマーなんて名前の日本人がいたら、それはかなり珍しいだろう。

 もっとも、外見だけでは桐条も赤い髪だし、真田も白髪、銀髪? そんな髪型なんだから、外見だけで判断は出来ないが。

 ……なるほど、この辺りはネギま世界的な感じなのか。

 桐条も真田も、別に髪を染めてるようには見えないし。

 

「そんな訳で、戸籍も何もない俺が学校に通える訳がない」

「戸籍もないとなると……住む場所はどうしてるんだ?」

 

 そう尋ねてくるのは、心配だ……というのもあるだろうが、それと同様に影時間に対して適性を持ち、ペルソナ使いではなくても戦力として数えられるという意味で俺を心配しているというのもあるんだろう。

 まぁ、普通なら身分証や戸籍がない相手にアパートやマンションを貸すような者はいない。

 もしそんな状況で俺が泊まる場所をどうにかするとすれば、それこそ自分でアパートやマンションを借りるのではなく、誰かの家に転がり込むといった真似をする必要がある。

 だが……それは、あくまでも普通の場合であれば、だ。

 つまり、普通でなければそれは幾らでも手段があるという事。

 例えば、不法入国者の為に用意された古いアパートとか。

 

「ま、その辺は何とかなった。大体、金があれば大抵は何とかなるしな」

「む? そうか。正確なところを聞きたいが、今はそれは置いておくとしよう。とにかくアルマー、岳羽、荒垣の3人でタルタロスに挑んでいる……という認識でいいのか?」

 

 どうやら、ようやく話が本筋に戻ったらしい。

 

「ああ。今のところは14階で小ボスを倒したところまでだ」

「……そうか」

 

 俺の言葉にショックを受けた様子の桐条。

 特に真田は悔しげな表情を浮かべている。

 それでも俺を睨み付けたりといった真似をするのではなく、自分の不甲斐なさを悔やんでいる辺り、見所はあると言ってもいい。

 ここで、何故自分達に黙ってタルタロスを攻略したといった事や、14階まで攻略したというのは嘘だろう、と。そんな風に絡んでくるような相手であれば、これから先色々と面倒になっていたのは間違いない。

 だが、こうしてみる限りそういう性格ではないのは明らかだった。

 荒垣から聞いた話では、かなりの負けず嫌いらしいが。

 

「それで、小ボスとは何か聞いてもいいか?」

「ああ。もっとも、それは俺が適当に名付けただけだがな。5階、10階、14階には、雑魚シャドウは存在しない。その代わり、本来ならその階層にはいないだろう強力なシャドウだけがいる。それと、他の階層に比べるといい物が入ってるだろう宝箱もあるな」

「……ほう、それはいい知らせだ。だがそうか。私達はまだそこまで到達していなかったが、そのようなシャドウが……」

 

 実際に、桐条と真田が何階まで到達していたのかは、俺には分からない。

 だが、5階の小ボスを倒していなかったということは、最高でも4階までという事になるだろう。

 

「ま、そこまで心配する必要はないと思うけどな」

「……それは、どういう意味だ?」

「今のところ、小ボスが復活したといった様子はない。勿論俺達がタルタロスに挑み始めてから1ヶ月くらいしか経っていないから、その時間経過と共に復活する可能性は十分あるけどな」

「そうか」

 

 うん? 予想していたよりも喜びは少ないな。

 タルタロスを攻略する上で必要な障害が減ったのだから、喜んでもいいと思うんだが。

 今の桐条を見る限りでは、どこか落ち込んでいるようにすら見える。

 どうせなら、真田と同じく悔しさを表に出してくれれば、こっちもそれなりにやりやすいんだが。

 

「情報提供、感謝する。それで……君達はこれからどうするのだ?」

「ん? どうするとは?」

「その……私としては、出来れば私達と行動を共にして欲しい。知っての通り、タルタロスに挑むにしても、私達は戦力不足なのだ」

「だろうな」

 

 桐条の言葉に俺は素直に頷く。

 ただし、無言でこの会話の成り行きを見守っている荒垣に視線を向ける事は忘れない。

 言うまでもなく、桐条と真田が戦力不足に陥っているのは、荒垣が抜けたからだろう。

 元々ペルソナ使いは非常に希少な才能だ。荒垣が抜けたからといって、すぐに代わりを用意する……という訳にもいかないだろう。

 それは、荒垣が抜けてから桐条と真田が2人だけで行動しているのが証明している。

 勿論ゆかりのように、ある日突然ペルソナ使いとして覚醒するという例もある。

 だが、それはあくまでも非常に希少な例だ。

 そんな桐条達にとって、荒垣が抜けた穴は非常に大きいのだろう。

 もっとも、出ていった荒垣を恨んでいる訳でもないというのは、突然尋ねてきたのを喜んで迎え入れたという点からも明らかだが。

 

「ふん」

 

 俺に視線を向けられているのに気が付いたのだろう。

 荒垣は不機嫌そうに鼻を鳴らすと、こちらから視線を逸らす。

 そんな荒垣を、桐条はしょうがない奴だといった視線で見ると、再び口を開く。

 

「どうだろうか? 私達と行動を共にしてもらえないだろうか?」

 

 桐条の視線が、俺に向けられる。

 まぁ、今まで話を進めてきたのは俺なんだから、俺がこのパーティの主導権を握っていると思われるのは、当然だろう。

 

「……どうする?」

 

 ゆかりに視線を向けて尋ねるが、返ってきたのは首を横に振るという行為。

 

「桐条先輩。私は……正直なところ、桐条先輩自身はそこまで嫌っていません。いい人だとも思っています。ですが、桐条グループは……」

 

 言葉を途中で切ったゆかりだったが、桐条も、そして荒垣もゆかりが何と言おうとしたのかは分かったのだろう。残念そうな表情を浮かべる。

 いや、桐条は残念そうじゃなくて悲しそうな表情か?

 

「岳羽、よければ何故君がその、桐条グループをそこまで嫌っているのか、教えて貰えないか?」

「……岳羽詠一朗。この名前を知っていますか?」

「岳羽詠一朗? それは、どこかで……」

「調べてみて下さい。そうすれば、私が桐条グループを信用も信頼も出来ないのは分かります。ただ、こうして話してみた限り、少なくても桐条先輩は悪い人じゃないというのは分かりました。なので、一緒に行動はしなくても別々に行動しながら協力するというのはどうですか?」

「……協力? 話を聞く限り、君達の方が圧倒的にタルタロスでも進んでいる。私達が協力するような事など、ないと思うが?」

 

 そう疑問を口にした桐条だったが、そこで俺がゆかりに変わって口を開く。

 

「そうだな。荒垣に聞いたり、小ボスの存在を知らないのであれば、タルタロスを攻略するという意味ではお前達と協力する必要はないように思える」

 

 はっきりと言われた言葉に、桐条は特に表情を動かさなかったが、真田の方は更に悔しそうな表情を浮かべる。

 まぁ、ぶっちゃけ自分達は役立たずに等しいと言われているようなものなんだから、それは仕方がない。

 もっとも、俺達が14階まで進む事が出来たのは、こちらには俺という戦力が存在している為だ。

 これは自惚れでも何でもなく、純粋な事実だろう。

 影のゲートや空間倉庫、そして何より純粋に俺という戦力がいるからこそ、俺達はどんどんとタルタロスを攻略する事が出来ていた。

 

「けど、俺達にはない影時間やシャドウのノウハウがお前達……桐条グループにはある。違うか?」

「それは……否定しない」

 

 実際、影時間でも機械の類を使えるというのは、桐条達にとっては大きな利益だろう。

 一応ニーズヘッグは影時間でも使えるが、タルタロスを破壊するならともかく、普通に攻略するという点では役に立たないしな。

 

「それに桐条グループは、影時間についてずっと研究していた。つまり、研究という意味では俺達よりも大きな力を持っている筈だ。違うか?」

「うむ。自慢ではないが桐条グループの研究者達は優秀だぞ」

 

 俺が褒めたのが意外だったのか、桐条は少しだけ嬉しそうに唇に弧を描く。

 自分の実家が褒められたのが嬉しかったのだろう。

 だが、別に俺はお世辞を言ったり、褒め殺しをしようと思って言った訳ではない。

 実際、桐条グループの研究者達が優秀なのは、Be blue Vで売られているアクセサリーの類を見れば明らかなのだから。

 あのマジックアイテムは、影時間についての調査の副産物と考えてもいい筈だ。

 まぁ、実際には全く違う所から入った情報や技術から作られた可能性もあるが。

 それでも、あのマジックアイテムを桐条グループが作っているというのは、間違いのない事実だ。

 その一点だけで、シャドウミラーの技術班を上回っている。

 ……まぁ、技術班の面々はマジックアイテムよりも自分の研究の方に力を入れている者の方が多いのであって、実際には相当な魔法技術も持っているのだが。

 それはシャドウミラーにエヴァがいるといった点や、何よりFate世界で入手した金ぴかの腕を解析して量産型Wに組み込む事が出来たというのを考えれば、明らかだろう。

 ともあれ、現在のペルソナ世界ではホワイトスターと行き来出来ないのだから、それを考えれば今は桐条グループに頼るしかない。

 

「知ってると思うが、タルタロスには宝箱がある」

 

 その言葉に桐条と真田がそれぞれ頷く。

 4階までしか攻略していない状況であっても、宝箱は当然入手しているのだろう。

 

「その宝箱から出てくるアイテムの中には、マジックアイテムの類もある。そのマジックアイテムの解析を頼みたい。何しろ、現在の俺達だとそのマジックアイテムがどんな効果を持っているのか分からないからな。まさかどんな効果があるかも分からない以上、味方に使ってみる訳にもいかないし」

「結果として、シャドウを回復させたりしてしまったけど」

 

 以前の時の事を思い出しているのだろう。ゆかりは苦笑を浮かべながらそう告げてくる。

 

「そう言えば、そんな事もあったな。……そんな訳で、桐条グループにはマジックアイテムの解析を頼みたいんだが、どうだ?」

「……ふむ。こちらもタルタロスで見つかる物のデータを入手出来るのは嬉しいが、それだけだと少し足りないな」

「なら、ついでに俺達が戦ったシャドウの情報も付けよう。どうだ? 5階以降のシャドウの情報、欲しくはないか?」

 

 その言葉に桐条は少し考え……やがて、頷く。

 

「分かった。確実にとは言わないが、理事長に相談してみよう」

 

 そう、告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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