転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1728話

「……ほう?」

 

 ピースミリオンが連合宇宙軍に襲撃されていると聞き、視線をセプテムに……連合宇宙軍のトップに向ける。

 だが、当然ながらその視線を受けたセプテムは、首を横に振る。

 

「知らん! そんな事は命じておらん! そもそも、連合宇宙軍とシャドウミラーの関係は良好だった筈。その状況でこちらから一方的にその関係を切るような真似はせん!」

「だろうな。別に俺も本気でセプテムが俺達を裏切ったとは思っていない」

 

 そう告げると、セプテムが安堵の息を吐く。

 まぁ、俺が生身でどれだけの力を持っているのかというのは、それこそ自分の目でしっかりと確認したんだ。

 その状況で俺と敵対しようとは普通なら思わないだろう。

 

「けど、セプテムが命じたんじゃなければ、一体誰が命じたんだろうな。……まぁ、予想は出来るが」

「……トレーズか……」

 

 苦々しげなセプテムの声。

 そう、恐らく現在ピースミリオンに攻撃を仕掛けているのは、間違いなくトレーズの手の者だろう。

 もしくは、レディ・アンが命令したのかもしれないが。

 ともあれ、様々な組織にトレーズの手の者が入り込んでいた以上、その中に連合宇宙軍があっても不思議ではない。

 その上、連合宇宙軍の中には俺達シャドウミラーに対して面白く思っていない者も多い。

 トレーズなりレディ・アンなり、内応させるのは難しい話ではなかっただろう。

 とにかく、今やるべき事はここでこうして話している事ではない。

 出来るだけ早くピースミリオンの救助に向かう事が必要だった。

 ピースミリオンも一応ステルス装置を装備している筈なんだから、そうそう見つかる可能性はないと思ってたんだけどな。

 ただ、実際に攻撃されているとなれば、既にステルス装置は役に立たない。

 そうなると、俺がやるべき事はやはりピースミリオンに急ぐという事なのだろう。

 

「向こう側にとっても、俺達がすぐ援軍に来るとは予想出来ていない筈だ」

「いや、けどよ……どうするんだよ? このHLVだってすぐに出発出来るって訳じゃないんだぜ? 目一杯検査とかを省略するにしても、どうしたって数時間は掛かる。そうなれば、ピースミリオンは……」

 

 ピースミリオンにいるヒルデを心配しているのだろう。

 デュオは何とか自分を落ち着かせようとしているが、その身体からは半ば殺気のようなものが噴き出している。

 まぁ、ヒルデはただピースミリオンにいる訳じゃない。

 トーラスのパイロットとして、ピースミリオンの護衛を任されている人物だ。

 そしてヒルデは責任感が強い。……生真面目と言ってもいい性格をしているだけに、例え相手がどれだけの数で攻めてこようと絶対に逃げたりといった真似はしないだろう。

 そしてヒルデが乗っているトーラスは、ビームサーベルを使えるようにと若干の改良をされてはいるが、あくまでも通常のトーラスとそう大差はない。

 更に言えば、ヒルデの操縦技術は決して高い訳でもなかった。

 一応俺達シャドウミラーの面々と訓練をしているので、一般の兵士よりは高い操縦技術をもってはいるのだが……それでも、結局のところMD以上の実力という訳ではない。

 残念だが、これに関しては純粋に才能の差だろう。

 まぁ、原作でもMDを相手にしては逃げの一手しか打てなかったしな。

 原作と違って、十分に訓練出来てもMDに対抗出来るようにはならなかったのだろう。

 もっとも、MDに勝てないからといって、必ずしも自分だけでどうにかしなければならないとは限らない。

 こちらもまた原作でだが、コロニー付近で戦っていた有人機がMDをコロニーに設置されているビーム砲の射程圏内に引き込んで撃破するという手法を使っている者がいた。

 そしてコロニーではないが、ピースミリオンには大量にビーム砲がある。

 それを上手く使えば、多少はMDに対抗する事は可能だろう。

 ただ、それではあくまでも多少であって、実際にはそう長い時間対抗出来るという訳ではない。

 だからこそ、デュオはヒルデを心配しているのだろう。だが……

 

「心配するな。ピースミリオンの援軍には間に合う」

「いや、だからどうやってだよ! 連合宇宙軍も敵に回ってるんだろ!?」

 

 デュオの苛立ち混じりの怒声に、セプテムの顔が顰められる。

 まぁ、連合宇宙軍を任されていたセプテムにしてみれば、自分の配下があっさりと裏切ってシャドウミラーに攻撃をしたというのが面白くないのだろう。

 痛恨の極み……といったところか。

 元々セプテムの部下にはシャドウミラーを面白くないと思っている連中がいた。

 トレーズ――もしくはレディ・アン――は、そんな者達に手を伸ばしたのだろう。

 勿論、連合宇宙軍の全てがトレーズに寝返った訳でないと思う。

 俺達を面白く思わない奴がいるのとは逆に、シャドウミラーと友好的な関係を築いた者達も決して少なくないのだから。

 ……それでもピースミリオンに攻撃を仕掛けられたという事は、ある程度以上の地位を持つ者が多く引き込まれた……といったところか?

 

「そうだな。……そっちの話をしておく必要もあるか。セプテム、こうしてピースミリオンに攻撃を仕掛けている以上、そいつらは撃破しても構わないな?」

「……うむ。こうなってしまった以上は仕方がないだろう」

 

 不承不承ながら、セプテムは頷く。

 まぁ、裏切ったとはいえ仮にも部下だった者達だ。

 何だかんだと部下思いな一面もあるセプテムにとっては、顔を知っている者もそれなりにいるだろう。

 そうなると、出来れば殺して欲しくはないと、そう思うのは当然だった。

 それでも宇宙軍のトップとしては、現状でそれを口に出す事は出来ない。

 そんなセプテムの様子を一瞥すると、安心させるように口を開く。

 

「心配するな。今の連合軍の構成を考えれば、襲ってきているのはほぼ間違いなくMDだ。MSパイロットも指示をするという意味ではいない訳ではないだろうが、それでも人数は限られている筈だ」

「済まない」

 

 深々と頭を下げるセプテム。

 ……ノベンタ程ではないにしろ、それでも連合軍のトップに近い立場にいる者がこうして頭を下げるってのは、正直どうかと思うんだが……

 特に俺達だけならまだしも、ここには中東連合、サンクキングダム、ロームフェラ財団の面々がいるんだから。

 っと、そう言えばこの事を言うのを忘れていたな。

 その事に気が付くと、俺は客室にいる全員に視線を向けてから口を開く。

 

「今からHLVは宇宙に移動する。このままHLVに乗っているという事は、全員がシャドウミラーと行動を共にする事になる。もしそれが嫌だというのであれば、すぐに降りてくれ。ただし、その場合は残念ながら安全は保証出来ない」

 

 その言葉に、話を聞いていた全員の表情が引き締まる。

 当然だろう。安全が保証出来ないという事は、つまりこの場に残っていれば死ぬかもしれないのだから。

 一応この周辺にいたトレーズの戦力……正確には違うのかもしれないが、ともかく便宜上はトレーズ派でいいか。

 そのトレーズ派の戦力は軒並み撃破したが、そうである以上続いてここに追加戦力を送ってくるという可能性は否定出来ない。

 そもそもの話、ここで俺達を拘束……それが出来なければ命を奪うというのが、トレーズ派の狙いだった筈だ。

 そう考えると、今の戦力が全滅したからといって諦めるとは限らない。

 そう説明し、ただし……と言葉を続ける。

 

「こっちもお前達をそれぞれの拠点まで送っていくだけの時間的な余裕はない。……こうして話している間にも、俺達の本拠地のピースミリオンはトレーズ派に攻撃されてるんだからな。だから、悪いが判断出来る時間はそうやれない。3分だ。3分以内にこのHLVから降りていなければ、お前達は俺達と行動を共にすると判断する」

「待って下さい」

 

 俺の言葉が終わった瞬間、カトルがそう声を挟む。

 そして俺の視線が向けられると、口を開く。

 

「もしこのHLVに乗ったままで宇宙に行ったとして……そうなればトレーズ派と戦闘になりますよね?」

「そうだな、間違いなく」

「では、その戦闘が終わった後で僕達はどうなるのでしょう? その、宇宙に行くというのであれば、宇宙で放り出されても困るのですが」

「ああ、その心配があったか。……問題ない。これから俺達が宇宙に行く手段を使って直接お前達が希望する場所に送ってもいいし、D-120コロニーからシャトルか何かを使って地球に降下してもいい。……だよな?」

 

 D-120コロニー……連合宇宙軍の本拠地を支配しているセプテムに視線を向けると、少し躊躇いながらも頷く。

 まぁ、今の状況を考えればああだこうだと言ってはいられないだろうしな。

 

「そんな訳だ。……では、今から3分だ。それと、綾子、デュオ、五飛の3人は自分の機体に乗っていつでも出撃出来るように準備しておいてくれ」

 

 呟き、俺はそのまま影のゲートを使ってHLVから出る。

 そんな俺に誰かが声を掛けようとしているのが聞こえたが、残念ながら今は本気で時間がない。

 ふと、もしかして3分ではHLVから降りられるのか? と思いもしたが、HLVはそこまで広い降下カプセルではない。

 3分もあれば、走れば確実に、早歩きでも間違いなくHLVから降りる事は出来る筈だ。

 そんな風に考えながら、俺はHLVの外で空間倉庫から俺の相棒を……いや、分身とすらいえる機体を取り出す。

 レモン達技術班が俺だけの為に作り上げた、シャドウミラーのフラッグシップ。

 他の世界と比べても突出した技術力を持つシャドウミラーの技術班が、貪欲に他の世界の技術を取り込み、それを活かして作り上げた、まさに俺の力を最大限に発揮する為のオンリーワン。

 

「久しぶりだな」

 

 呟き、そのまま空中に浮かび上がってニーズヘッグのコックピットに収まる。

 すると機体は様々な……それこそ念動力のチェックまでをもして、俺が本当に俺だと、アクセル・アルマーだというのを認識してから動力炉を起動する。

 そうして動き始めた機体は、間違いなくニーズヘッグ……嘲笑する虐殺者の名前に相応しい力を持っている。

 一応……と機体を起動させてからシステムXNを使ってホワイトスターと連絡を取ろうと試みるが、残念ながら反応はない。

 ちっ、やっぱりまだ駄目か。……そろそろホワイトスターと連絡が取れてもいいと思うんだけどな。

 いや、こっちから連絡を取る事が無理でも、レモンとかならそろそろこのW世界の座標を特定して姿を現してもおかしくはない筈だった。

 そんな事を考えている間に、HLVから何人かの人間が飛び出てくる様子が映像モニタに映し出された。

 幸いと言うべきか、それとも残念ながらと言うべきか、HLVから出て来た面子の中にはヒイロを始めとした主要人物の姿はない。

 ……ノベンタ達はともかく、カトルやトロワ、ヒイロ、ドーリアン辺りはHLVから降りてもおかしくないと思ってたんだが。

 ちなみにデルマイユに関しては、降りようとは思わなかった筈だ。

 これは別に根性があるとかそういう訳ではなく、単純にデルマイユがロームフェラ財団の指導者……いや、旧指導者だからだ。

 ほぼ確実にロームフェラ財団をトレーズに乗っ取られた以上、デルマイユが迂闊に動けば間違いなくレディ・アンからの刺客がやってくる筈だ。

 トレーズ辺りならデルマイユを生かしておいても構わないと考えるかもしれないが、トレーズ教の狂信者たるレディ・アンはトレーズに悪影響を与えかねないデルマイユを生かしておくとは思えない。

 それを考えれば、デルマイユはHLVに……シャドウミラーの懐にいた方が安全だろう。

 何しろ、シャドウミラーがどれだけの実力を持っているのかというのは、それこそロームフェラ財団を動かしてきたデルマイユが一番よく知っているのだろうから。

 それに、魔法という存在を見せたし、綾子にいたっては物干し竿でトーラスカノンのビームを切断するという離れ業まで見せた。

 これを見た上で、俺達シャドウミラーと一緒にいるよりも安全な場所があるとは、考えられないだろう。

 いや、もっと時間とかがあればその選択肢もあるかもしれないが、今はその時間がない。

 HLVに通信を繋ぐ。

 

「今の時点でHLVに残っている面子は暫く俺達と行動を共にするのだと判断する」

『アクセル代表!? その機体は一体……』

 

 映像モニタに映し出されたサリィが驚きながら叫んでくるが、今はそれどころではない。

 

「その話は後だ。……これから宇宙に行く。色々と驚くと思うが、安心してくれ」

 

 それだけを告げると、まだ何かを聞きたそうなサリィをそのままに通信を切り、システムXNを起動していく。

 

「システムXN、起動。……転移座標入力。転移フィールド生成開始」

 

 ニーズヘッグを中心に光の繭が生み出され、ニーズヘッグとHLVを包み込む。

 先程HLVから脱出した者達が転移フィールドに入っていない事を確認してから、呟く。

 

「転移」




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1360

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