転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1725話

 影のゲートを使って、俺達が姿を現したのは……当然のように、HLVの格納庫だった。

 というか、これだけの人数をあっさりと受け入れるだけの空間的な余裕があるのは格納庫しかないんだが。

 だが……当然ながら、格納庫には大勢の整備員の姿があり、いきなり影から姿を現した俺達を見て、唖然としている。

 そんな整備員達に向け、口を開こうとし……だが、次の瞬間にはHLVが大きく揺れたのを見て、眉を顰める。

 

「何があった?」

「え? あれ、アクセル代表? えっと、今……」

 

 俺の姿に、話し掛けられた整備員は戸惑ったように呟く。

 まぁ、その気持ちは分からないではない。分からないではないんだが……それでも、こちらとしては、時間を取られる訳にはいかない。

 

「この件については、後でしっかりと説明してやる! それより、今何が起きているのかをしっかりと話せ!」

「え? あ、え? え、えーっと……あ、そう! 何だか急にトーラスがこのHLVに向けて攻撃してきてるんです。……幸いと言うべきか、このHLVはガンダニュウム合金製なのでまだ大きな被害は受けてませんが……」

 

 トーラスの持つトーラスカノンは、それこそガンダニュウム合金製のMSであっても破壊出来る。

 そんなトーラスから攻撃を受けてもこのHLVが無事なのは……まぁ、ハワード達が何かやったんだろうな。

 そもそも、ガンダニュウム合金と一言で言っても、調整によって色々と特色を付ける事が出来るらしいし。

 ともあれ、HLVが頑丈なのはいい事だ。

 

「分かった、トーラスだな。……で、俺達のMSはどうなっている? すぐに出撃出来るのか?」

「あ、はい。それは勿論」

「よし、ならシャドウミラーの実働班は出撃する。ノベンタを含め俺達以外の面子は、客室にでも入れておけ。そこからなら通信システムも使えるだろうし、情報収集も出来るだろう。……だが」

 

 一旦そこで言葉を止め、シャドウミラー以外の面子――ノベンタ達も含む――に視線を向け、口を開く。

 

「くれぐれも余計な真似はするなよ? シャドウミラーに対して被害を与えるような事があれば、相応の礼はさせて貰う。分かっていると思うが、お前達も経験した影のゲートがある以上、どこに逃げても無駄だ。ましてや俺はシャドウミラーのアクセル・アルマーなんだからな」

 

 一瞬だけ軽く殺気を発しながら告げる。

 それでも俺の前にいる面子にとっては、それで十分だったのだろう。

 一番反抗的な態度を取りそうなデルマイユですら、大人しく俺の言葉に頷いていた。

 もっとも、会議をしていた場所からここまで転移して来たのを考えれば、普通ならとてもではないが俺の言う事に逆らおうなどとは思わないだろう。

 幾ら警備をしていても、直接自分のいる場所に乗り込んで来られるといった真似をすれば、暗殺され放題だ。……命は普通なら1つしかないが。

 ともあれ、俺の言葉を全員が了承したのを確認してから、サリィに声を掛ける。

 

「サリィ、この連中を客室まで連れていってくれ。それが済んだら、お前はHLVの武装で援護を頼む」

「いいですけど……知っての通り、HLVの武装は……」

 

 サリィが何を言いたいのかは分かっていると、頷きを返す。

 HLVに装備されている武装は、マシンキャノン。

 近距離であればMSに対してもある程度有効だが、離れている場所からではMSを相手にすれば殆ど無力と言ってもいい。

 だが……今回俺がやって欲しいのは、あくまでも牽制だ。

 それなら、マシンキャノン程度でも十分だろう。

 

「牽制でいい」

 

 それだけを告げると、俺はそのまま空中に浮く。

 既に綾子もデュオも五飛も、全員が自分の機体に向かっている。

 それだけに、俺も後れを取る訳にはいかなかった。

 ……まぁ、俺が空を飛んだ事でまた騒ぎが起きているが。

 転移魔法やら炎獣やら操影術やらを見せているんだから、それこそ今更空を飛んでいるくらいで驚かれてもな……というのが、俺の正直な気持ちだ。

 人間にとって、空を飛ぶというのはそれ程に大きな意味があるんだろうが。

 ともあれ、そのまま騒いでいる整備員を含む他の面子には構わず、ウイングゼロのコックピットに乗り込む。

 乗り込むのに手間が掛からないというのは、こっちとしては非常に楽だ。

 そんな事を思いながら、機体を起動させていく。

 

『アクセル、悪いけど先に出るぜ』

 

 最初に機体を起動して行動を開始したのは、予想外な事にデュオ。

 まぁ、考えてみればトールギスは幾ら性能が良くても古い機体だ。

 色々と改修は加えているが、それでも機体の立ち上がりという点においては後回しにされていてもおかしくはない。

 続いて五飛のアルトロンガンダムが出撃し、ウイングゼロとトールギスは丁度同じくらいに機体の起動が完了する。

 

「綾子、デュオ、五飛。まず大事なのはHLVを守る事だ。……トレーズが今回の件の裏にいる以上、恐らくかなりの戦力が用意されていると思う」

 

 俺達シャドウミラーを計算に入れてのオペレーション・サンライズだという話だしな。であれば、当然のようにこちらを抑える事が出来る程度の戦力は用意されているだろう。

 

『了解』

 

 短い返事が聞こえ、同時に早速爆発音が聞こえてくる。

 まぁ、トーラスカノンは遠距離攻撃の武器だが、それでもビルゴのビーム砲よりは射程が短い。

 いやまぁ、ガンダムの開発者達が開発したヴァイエイトやメルクリウスをベースとして開発されたビルゴと、OZの技術者が開発したトーラスとでは性能が違って当然なのだが。

 ともあれ、俺もまたウイングゼロでHLVの外に出る。

 そうして見たのは、ツインビームサイズに切断されているトーラスや、ドラゴンハングによって顔面を掴まれて振り回され、武器とされているトーラスの姿だった。

 ……デスサイズヘルはともかく、アルトロンガンダムはらしくない戦い方だな。

 その性能がトーラスを圧倒しているのは分かるのだが、それでもこういう戦い方は五飛の趣味じゃないと思っていたんだが。

 ともあれ、その戦いに俺達もまた参戦する。

 

「行くぞ、綾子」

「了解」

 

 短く言葉を交わし、トールギスとウイングゼロは戦場に飛び出ていく。

 まず真っ先に振るわれたのは、ビームサーベル。

 ……本来ならツインバスターライフルで一掃したかったんだが、残念ながらここは宇宙でも、ましてや周囲に何もない荒野でもない。

 空中のトーラスなら攻撃しても構わないのだが、ほぼ全ての機体が地上にいる以上、ここでツインバスターライフルを使うような真似は出来なかった。

 会議室があった建物が半ば崩壊してはいるのだが、それ以外の建物はまだ無事だ。

 勿論その中にも、トレーズの手の者は多いだろう。

 そう考えれば、使う事の出来る武器というのは限られる。

 元々ウイングゼロはツインバスターライフルの威力とゼロシステムに半ば特化されている状況だ。

 ……そのゼロシステムは、俺だと使えないしな。

 ともあれ、そのツインバスターライフルが使用出来ない以上、現在ウイングゼロが使える武器は両肩のマシンキャノン、ビームサーベル、そしてシールドの打突攻撃とバルカン。

 量産型MSとしては破格の威力だが、ガンダムとして考えれば……いまいち物足りない。

 まぁ、ガンダニュウム合金製のゼロフレームのお陰でビームサーベルの威力も高くなっているし、マシンキャノンも距離が近ければガンダニュウム合金を破壊する事が出来る。

 武器の種類はガンダムとして物足りないのだが、その武器の威力そのものはガンダムと呼ばれる機体だけはある。

 

「はぁっ!」

 

 振るわれるビームサーベルの一閃。

 トーラスの胴体が真っ二つにされ、上半身が地上に落ちる。

 そのままシールドを大きく振るい、トーラスの下半身部分を少し離れた場所からこちらにトーラスカノンを向けていたトーラスにぶつける。

 まさかMDもそんな攻撃をされるとは思っていなかったのか、次の瞬間にはトーラスカノンが動き、その砲口は仲間のトーラスに向かって放たれた。

 HLVの周囲のトーラスは、全部で50機を超えている。

 ……まぁ、数だけは多いが、当然ながらその数の殆どは動きからMDであると把握出来る。

 となると、会議室の外でこちらを狙っていたトーラスもそうだったが、今回の件を任されているのは汚いレディ・アンの方か。

 色々と失敗を繰り返しているにも関わらず、まだトレーズからの信頼は厚いらしい。

 いや、寧ろこの場合は熱いと表現した方がいいのか? 2人の仲が熱い的な意味で。

 そうなると、トレーズに対して恐らく保護されているマリーメイアはどう思うんだろうな。

 ちょっとその辺が気になる。

 そんな事を考えながら、トーラスの下半身をぶつけられてバランスを崩したトーラスのコックピット部分目掛けてシールドの先端を突き刺す。

 元々ウイングゼロのシールドの先端は打突用に設計されている。

 それこそ、ガンダニュウム合金製ですらないトーラスの装甲は容易く貫かれ、MDシステムが搭載されているコックピット部分は破壊された。

 地面に崩れ落ちたトーラスに目も暮れず、次の機体に向かって攻撃を仕掛ける。

 近距離から放たれたマシンキャノンは、トーラスの装甲を次々に貫いていく。

 そうして力を失ったトーラスを、そのままシールドで殴りつけて地面に倒す。

 

「ほら、次だ次!」

 

 そう言いながらビームサーベルを振るい……HLVの周囲に集まっていたトーラス全てを破壊するまでに掛かった時間は、10分程度。

 

「誰かMDを指揮している有人機を倒したか?」

 

 MDは所詮人形。それも、自立的な判断についてはまだかなり甘い人形だ。

 だからこそ、MDに対して適切な指示を出す人物が必要となる。

 だが、残念ながらと言うべきか、今回の戦闘で俺は有人機を倒していない。

 ならば、誰か他のメンバーが? と、そう思う。

 逃げられたという判断がないのは、シャドウミラーの面々を信頼しているからこそだろう。そして事実……

 

『俺が倒した』

 

 五飛が通信でそう答える。

 ドラゴンファングや火炎放射器を使って戦っていたアルトロンガンダムだけに、その攻撃範囲は長く、広い。

 いや、ビームライフルとかを使えば、それこそもっと長射程、広範囲の攻撃が出来るのだが。

 この立地条件がな……

 

「そうか。なら、暫くは安全だろう」

 

 MDの厄介なところは、やはり無人機という事だろう。

 指示を出している有人機が残っていれば、MDを用意すると再びすぐに出撃出来る。

 勿論MDといっても無料ではない。

 MS1機を作るのに、相応の資源や労力が必要となるのは事実だ。

 ……もっとも、それを可能とするのがロームフェラ財団の持つ資金なのだろうが。

 そしてあの通信の様子を考えると、トレーズは間違いなくOZはもとより、ロームフェラ財団にすら手を伸ばしている。

 実際原作でもリリーナが築いた世界国家をそのまま乗っ取るような形で奪っているのだから。

 まぁ、それはホワイトファングの存在と、それを率いるゼクスの存在から兄妹同士で戦わせたくないというトレーズの思いやりもあったんだろうが。

 ともあれ、トレーズが本気になれば今の弱り切ったロームフェラ財団を乗っ取るのは難しい話ではない。

 また、これによりトレーズ派も当然のようにロームフェラ財団に合流し、再びOZ……いや、ロームフェラ財団は1つになるだろう。

 おまけに連合軍、中東連合、サンクキングダム……色々な場所にトレーズの部下は入り込んでおり、こちらの隙を狙ってくる。

 明確に敵だと判断出来るのであればともかく、味方を装って肝心の時に裏切ると言った真似をする奴は、非常に厄介だ。

 

「とにかく、HLVの周辺にいる敵は全て倒した。後はHLVに戻って、世界がどういう風に動いているのかを確認し、そして俺達シャドウミラーがどう動くのかを決める必要がある。他の勢力の連中も、送ってやる必要があるしな」

『……アクセル、その前にお前には色々と聞かせて貰う必要があると思うけど?』

 

 デュオの表情は厳しく引き締まっている。

 まぁ、デュオにとって俺という存在は……そして綾子という存在、それとここにはいないが凛という存在も、一気に詳細不明の相手という事になってしまったからな。

 その辺は分からないでもない。

 それはデュオだけではなく、五飛も同じだ。

 映像モニタに映し出された五飛は、強い視線をこちらに向けている。

 そして綾子は、俺に任せると視線を向けていた。

 そんな三人に対し、俺は頷いてから口を開く。

 

「分かっている。HLVに行ったらお前達が知りたい事は説明させて貰うよ。……まぁ、他の勢力の連中にそれが出来る余裕があるのかどうかは分からないが」

 

 そう告げ、俺はウイングゼロをHLVに向けて移動させるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1360

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