転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1712話

 財団派との戦いは、呆気ない程に終わりを告げた。

 ……正直なところ、元々の戦力的な問題からどうあってもこちらの勝ちは揺るがなかったのだが、それでも予想していたよりも遙かに早い勝利となった。

 一応俺はゼクスとの戦いがあって、そちらに多少なりとも集中したし、それが終わった後では綾子をHLVの護衛に回したので、完全にこちらの全力……という訳でもないんだが。

 ともあれ、そんな俺の感想やら思いは何だったのかと言いたくなるくらいに、戦いはあっさりと終了した。

 財団派の戦力が最後の最後まで抵抗すれば、もう少し戦いは伸びたのだが……

 

「まさか、こうもあっさりと降伏するとは思わなかったな」

 

 HLVにある客室の中で、TVを見ながら呟く。

 もっとも、この客室は客室という名前ではあってもそこまで快適な部屋という訳ではない。

 連合軍に預けてあるMS輸送機……デルマイユの屋敷から奪ってきた高価な家具の類が使われている客室とは比べものにならない程だ。

 まぁ、この辺りはハワード達に任せた俺が悪かったんだろうけど。

 いっその事、まだ空間倉庫の中に入ってる家具から出すか?

 そうも思ったが、一応その手の品は地球にいる知り合いに預けているという事になっている以上、まさかどこからともなく持ってくる訳にもいかないだろうし。

 これが地球であれば……いや、そうか。俺達はまだ地球にいるんだから、知り合いに家具を持ってきて貰ったという事にして運び込んでもいいのか?

 

「高貴なる身分がどうとか言ってた割りには、プライドも何もないままに降伏したしな」

 

 少し離れた場所でTVを……そこに映し出されている、財団派が連合軍に降伏したというニュースを見ていたデュオが、面白くなさそうに呟く。

 本来なら財団派が降伏しても攻撃したかったのだろう。

 何故そこまでデュオがOZを憎んでいるのかは、分からない。

 俺が知らないだけで、デュオは過去にOZと何かがあったのかという可能性は十分にあるが……まぁ、正直なところ、それはそれこれはこれといった感じだろう。

 勿論デュオが自分から言うのならそれを聞いてもいいが、俺から聞き出そうとは思わない。

 

「何だかんだと言っても、結局命あっての事なんだろ。それに、今回降伏したのはあくまでも財団派だ。OZの派閥であって、その上位組織のロームフェラ財団じゃない」

「だが、それでも結局ロームフェラ財団にこれ以上の戦力が殆ど残っていないのは間違いないだろう」

 

 こちらもまた、同じくTVを見ていた五飛が静かに呟く。

 その言葉は、決して間違っている訳ではない。

 実際、財団派こそがロームフェラ財団最大の戦力であったのは間違いないのだから。

 

「ロームフェラ財団に所属している奴等は金持ちが多いからな。私兵集団を用意していてもおかしくはないだろ。……ただ、問題はその私兵集団が具体的にどれ位の実力かって事なんだが……」

 

 呟き、缶紅茶を飲む。

 俺が紅茶派だと知ってなのか、このHLVの客室には缶紅茶が入っていた。

 ペットボトルの紅茶もあったのだが、今日は何となく缶の方を選んだ。

 

「それで、あたし達はこれからどうするの? 一旦宇宙に?」

 

 俺の隣で、こちらも缶の紅茶を飲んでいた綾子が聞いてくるが、俺はそれに対して首を横に振る。

 

「現在、凛が連合軍と折衝中だ。連合軍としては、出来れば俺達にはまだ暫くの間いて欲しいらしいが……」

「凛が反対してるの?」

「ああ。もっとも、心の底から反対してる訳じゃなくて、単純に連合軍を焦らしてより多くの報酬を得ようとしているというのが大きいんだと思うが」

「……何だって、連合軍はあたし達をまだ雇っておきたいの? もう財団派は消滅したんだし、残ってるのはそれこそ私兵集団くらいだろ? なら、あたし達がいなくても問題はないと思うんだけど」

 

 綾子の言葉に、デュオと五飛もそれぞれ頷く。

 ロームフェラ財団の主力と呼ぶべき財団派が消滅してしまった以上、シャドウミラーの存在は別に必須という訳ではない。

 それは分かっているのだが、それでも連合軍が俺達を手放したくない理由は……

 

「トレーズ派だろうな」

『トレーズ派?』

 

 ここにいる、俺以外全員の声が重なる。

 まぁ、疑問に思う気持ちは分からないでもない。

 宇宙においては、トレーズ派というのはもう消滅している。

 その宇宙にいたトレーズ派が地球にいるトレーズ派と合流したとしても、戦力的にはそう大した事はないだろう。

 こう言うのもなんだが、純粋な戦力という意味ではトレーズ派よりもMDを使える財団派の方が上だったのだから。

 元々トレーズ派と財団派では、トレーズ派の方が少数だ。

 それだけに、トレーズ派の戦力は侮ることは出来ないまでも、厳しい相手という程でもない。

 ……ぶっちゃけ、今の連合軍は財団派の上位互換と言ってもいいような構成になっている。

 まぁ、水中用MSのキャンサーやパイシーズをMDとして使う事が出来ないという点では財団派の方が技術力は上だが。

 それでも、トレーズ派の人数が少ない以上、正面から戦えば間違いなく連合軍が勝つ。

 そんな状況で、こうして俺達をまだ地上に留めておくのは……

 

「トレーズとゼクス。この2人が理由だろうな」

 

 そう、連合軍がこの2人を恐れているというのが大きい。

 トレーズは、言うまでもない。

 そもそも、連合軍の上層部は以前のOZ……いや、スペシャルズ時代のトレーズを知っている者が多い。

 そしてスペシャルズがどれだけの成果を上げてきたのか……それを間近で見てきたのだ。

 そもそも、現在連合軍で主戦力のMS――今はMDが主戦力だが――にしても、MSそのものがOZによって開発されたのは、それこそ10年以上前の話だ。

 何しろガンダムを開発したドクターJ達が最初に作ったトールギスが、一番最初のMSだ。

 で、そのMSが完成したのが10年以上前。

 ……にも関わらず、その10年程の間に新しく作られたMSはリーオー、エアリーズ、トラゴス。

 ちなみにエアリーズとトラゴスはリーオーをベースにした改修機――殆ど面影は残ってないが――という扱いだ。

 で、そのリーオーはトールギスの量産仕様。

 オペレーション・メテオが始まった当初こそ、トーラス、キャンサー、パイシーズといった新型機が出て来ていたが、それまでの10年で何故ここまでMSが発展していなかったのか。

 その辺りを調べてみると、面白い事が分かった。

 原作開始から数年前……月で反乱騒ぎがあり、それをMSを使って解決したのがトレーズだったらしい。

 それだけを聞けば、凄いとは思ってもそこまで注目するべき出来事ではないのだが……ここで驚くべき事は、MSを主戦力として使ったという事だ。

 つまり、それまではMSという兵器はあっても、主戦力という扱いではなかったらしい。

 調べて見た限りでは、戦車と一緒に行動させていたとか。

 ……まぁ、それも間違いとは言えない。

 このW世界にとってMSというのは初めて出て来た兵器なのだから、それをどのように使えばいいのかというのは試行錯誤する必要があったのだろう。

 だが、そんな中でトレーズはMSだけを主力として使い、連合軍が手こずっていた月の反乱をあっという間に解決した。

 そしてこれがスペシャルズという、地球軍、宇宙軍に続く第3の軍へと続いていったのだ。

 つまり、トレーズはMSの運用について礎を築いたと言ってもいい。

 それを知っている……それどころか間近で見てきた者が多いだけに、トレーズに対して畏怖に近い思いを抱いている連合軍の将兵は多いのだろう。

 もっとも、トレーズ派にトレーズは合流してないのだから、そこまで恐れる必要はないと思うが。

 ともあれ、そんなトレーズに対して俺達シャドウミラーという存在も連戦連勝、それこそトレーズが率いていた時代のOZを相手にしても一切の負けはなく、相手がガンダムであろうとも勝利し続けた。

 不敗神話……というにはちょっと俺達の活動した時間が短いような気もするが、ともあれそんな具合にトレーズと同様か、それ以上に畏怖を持たれている。

 そんな訳で、トレーズ派と戦うのであれば俺達シャドウミラーを使おうと考えるのは、それ程おかしな話ではない。

 缶紅茶を飲みながらそんな説明をすると、何故かデュオが驚きの表情を浮かべていた。

 

「何だ、もしかしてこの事は知らなかったのか?」

「……残念ながら、俺はそんな風に色々な事は知らないで育ってきたんでな」

 

 そう言えばデュオはジャンク屋とかで育ってきたんだったか。

 なら、その辺りは知らなくも仕方がないのか?

 まぁ、少し調べれば分かる事ではあるんだが。

 

「ふんっ、連合軍が俺達を宇宙に帰さないのは、トレーズ以外にゼクスの件もあるだろう」

 

 俺と違ってコーヒーを飲んでいる五飛が鋭く告げる。

 ……中華系の五飛だから、それこそ中国茶とかそういうのを飲むのが相応しいと思うんだが、何気にコーヒーを好むんだよな。

 原作でも、トロワの淹れたコーヒーを美味そうに飲んでいたんだから、知ってはいたが。

 

「そうだな、それも否定は出来ない」

 

 財団派との戦いの中で乱入してきた、ゼクス。

 そのゼクスが乗っているトールギスⅡを、俺は撃破出来るだけの余裕があったにも関わらず、そのまま見逃した。

 この件については、連合軍の方からもチクリと注意というか、嫌味を言われたから理解している。

 俺も、何も関係のない状況からでは、倒せるべき敵を意図的に見逃したと聞かされれば、眉を顰めるだろうし。

 だが、エピオンを戦場に……表舞台に出すには、どうしてもゼクスの存在が必要だった。

 いっそ俺が自分でトレーズの潜んでいる場所を見つけ出し、そこからエピオンを盗み出す……という手段も考えはした。

 しかし、エピオンというMSを入手するのに一番手っ取り早いのは、やはりゼクスに任せるという結論になったのだ。

 実際、トレーズの居場所を探すのはかなり手間が掛かるだろうし。

 ……原作ではルクセンブルク基地にいたんだが、この歴史だとルクセンブルク基地は一時的にOZに占拠されたものの、すぐに連合軍が……そして俺達シャドウミラーが奪い返してるしな。

 

「とにかく、暫くはこうして暇な時間をすごさなきゃいけない訳か。……なら、それこそトレーズ派を攻撃する時に改めて俺達を呼べばいいのにな」

 

 デュオの言葉に、頷きを返す。

 実際、機体の整備はともかくとして、トールギス以外の3機はどれもまだそれ程実戦を経験している訳ではない。

 そうである以上、出来れば戦闘が終わる度にハワード達に見せるのが最善なのだが……それが無理となると、色々とこっちでどうにかするしかない訳だ。

 いっそハワード達を呼ぶか?

 ただ、呼ぶとしてもどうしたものか……HLVがもう1機あればまだしも、これしかないし。

 つまり、俺達がやるべき事は……

 

「出来る事をやるしかないんだろうな。幸い整備員は最低限の人数いるし、こうして俺達を地上に留め置いている間はエネルギーを含めてその他諸々を連合軍に提供して貰える。そう考えれば、決して悪い事だけじゃないだろ」

「俺は色々と不安だが」

 

 小さく呟く五飛。

 いや、その気持ちも分からないではないんだが。

 だからといって、現状で何か文句を言っても特にどうにかなる訳でもない。

 

「機体に関しては、整備員に頼むしかないな」

 

 結局そうなってしまう。

 まぁ、実際そうするしかないというのは事実なんだが。

 綾子を始め他の2人も、俺の言葉に対しては納得するしかないのだろう。

 渋々とではあるが、黙り込む。

 こういう時は宇宙で連合軍以外の勢力がないというのは、非常に助かる。

 いや、別に本当に勢力が皆無という訳じゃないが。

 実際には幾つかの小さな勢力はあるが、それは連合軍と敵対をしていなかったり、連合軍を嫌っていても何らかの行動に出ていないというのが大きい。

 財団連合……OZの財団派とバートン財団とかは、特にそうだろう。

 OZの方は宇宙にそこまでの権益を持っていなかったが、バートン財団は元々宇宙での活動を主としている財団だ。

 それだけに、デキムが逮捕されて旗頭のマリーメイアがトレーズ派に確保されたとしても、組織としてのバートン財団はまだ残っている。

 何だかんだと、バートン財団が有している会社の数とかは多い。

 それを一気に潰してしまえば、多くの労働者が働く場所をなくしてしまう。

 コロニーに対する宥和政策を旨としている今の連合軍では、到底それを容認出来ない。

 結果として、現在バートン財団の管理は連合軍がやっているらしい。

 セプテムとの世間話の時に聞いた限りだと、将来的にはそれぞれ独立させる事を考えているとか何とか。

 こうしてバートン財団の影響は徐々に少なくなっていき……今の宇宙には、連合軍やシャドウミラーに対して積極的に攻撃を仕掛ける勢力というのは存在していないのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1225
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1347

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