転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1705話

 HLVの分類的には、あくまでも降下ポッドだ。

 形も、俺が知っているずんぐり、むっくりとしたような形な訳で……そこにブースターがあっても、それはあくまでも大気圏を脱出する時に使うブースターである。

 つまり、簡単に言えばある程度の動きは出来るが、あくまでも降下ポッドである以上大気圏内で飛行船のように自由に動けるような形ではない訳だ。

 ……もっとも、このHLVを開発したのがガンダムの開発者達である以上、多少の無理はどうとでもなるのだが。

 

『これは……随分と厳しいですね』

 

 ウイングゼロの映像モニタに映し出されたカトルが、苦笑を浮かべながらそう告げる。

 当然だろう。現在HLVの中にいるMSは、それぞれ格納庫でメンテナンスベッドに固定された状態になっているのだから。

 いや、俺達はまだいい。

 だが、HLVを無理に横にしている関係上、整備員達はかなり厳しい状況になっているのは間違いない。

 それでも一応ハワード達は地上でHLVを運用する事も考えていたらしく、これは一応想定内ではある筈だった。

 ……色々と無理をしているのは事実だが。

 それでも大気圏を脱出可能なブースターを使った加速力というのは凄まじく、俺達がいた街から襲撃を受けている港まではそう時間が掛からない筈だった。

その分、乗り心地は決していい訳ではないが、それでもカトルにとって……そしてトロワにとっては、得がたい速度と言えるだろう。

 もっとも、トロワの方は元傭兵だけあってこの程度の逆境でも特にどうとも思わないだろうが。

 この点は、やっぱりカトルの育ちが良いことの証……とも言えるか?

 

「安心しろ。この乗り心地の悪さはHLVの速度が出ている証だ。そう思えば、この程度の速度も問題はないだろう?」

 

 カトルに言葉を返しながら、他の面々に視線を向ける。

 綾子は元より文字通りの意味で人間離れした身体能力を持っており、三半規管もそれに準ずる。

 この程度の速度など、それこそ全く苦にしていないだろう。

 デュオの方も、ジャンク屋として育ってきた一面もある事もあり、この程度の揺れは特に気にしている様子はない。

 五飛も、厳しく身体を鍛えてきたという意味では変わらず、その辺りは全く問題がなかった。

 ラシード辺りが乗ってれば、もしかしたらカトルに同意したかもしれないが。

 ああ、でもシャドウミラーの他の面子はカトルに同意したくなるかも?

 整備員とかはろくに身体を鍛えてないんだし。

 そんな乗り心地の悪いHLVであっても、ある程度は話をする事は出来る。

 

『それでは、エンデュミオンの鷹が財団連合とトレーズ派の戦いの中で大きな役割を果たしたというのは、本当なんですね?』

『そうらしい。まぁ、エンデュミオンの鷹が俺達と接触した事はないから、全てを知ってる訳じゃねえけど、財団連合に……いや、地上での件も考えるとOZの財団派に対して色々と思うところがあるんだろうな』

『ふん、奴の強さは本物だ。……それに奴の操るMSもな』

 

 カトルとデュオの会話に、五飛は不機嫌そうに呟く。

 まぁ、自分よりも強い相手がいるというのは、五飛にとって気にくわない事なのだろう。

 正義の味方も大変だな。

 

『だが、奴の実力は本物だ。それにヒイロのガンダムに似ているものを感じる』

 

 トロワの言葉に、少しだけ驚く。

 ミロンガ改とウイングガンダムは、外見だけを見ていれば似ているところは殆どない。

 だが、空を飛ぶ、リーオー等に比べて超高性能機といった要素だけを考えれば、似ているのは間違いない。

 ……バスターライフル級の強力な攻撃力という意味でも、S-11ミサイルがあるし。

 まぁ、その辺はまだ使ってないから、知られる可能性は皆無だが。

 ともあれ、元傭兵だからこそと言うべきか、トロワの勘は鋭い。

 

『アクセル代表、そろそろ目的の港街に到着します』

 

 不意にサリィからの通信が入る。

 丁度いいタイミングで入って来てくれたな。

 まさかタイミングを計っていた訳じゃないんだろうけど。

 タイミングを計っていたんであっても、何であっても、この話を打ち切るには丁度いいのは確かだ。

 

「聞いていたな。そろそろ戦場だ。財団派がまだ暴れているのかどうかは分からないが、とにかく速やかに敵を撃破する必要がある」

 

 その言葉に、全員が頷く。

 ……普通の敵であれば、ここまで心配するような事はない。

 だが、相手がアレックスとなれば、それこそ面白半分で民間人であっても皆殺しにしかねないんだよな。

 特に今回の場合、昼に財団派が中東連合に――正確には俺達シャドウミラーも含めてだが――負けたという事実があり、それに対する報復の色合いが強いと思われる。

 そうである以上、その報復は残酷であればある程、効果的になる。

 ……そんな真似をした場合、世間から財団派やロームフェラ財団に対する恨みは強くなるのだが、デルマイユのように特権意識だけを肥大化させたような男にとって世間の目というのは気にするものではないのだろう。

 今はまだ何とかなっているが、そのうち破滅するような未来しか見えないのは俺の気のせいではないはずだ。

 

「特に敵は以前俺達が一度仕留め損なった水中用MS部隊の可能性が高い。シャドウミラーのメンバーは絶対に敵を逃がさないように」

 

 まぁ、アレックスを逃したのは俺だから、こうやって偉そうな事を言えはしないんだが……その辺りは勢いって奴だろう。

 ただ、こっちも前回とは色々と違うというのも、間違いのない事実だ。

 特に戦力という一面では全員の乗機がパワーアップしてるし、ヘビーアームズとサンドロックも味方にいる。

 そうである以上、ここでアレックス達を逃がすような真似は絶対にしない。

 

『アクセル代表、到着します。港から少し離れた位置に着地しますので、それが終了したら順次出撃して下さい』

 

 サリィからの通信に、頷きを返す。

 戦場のど真ん中ではなくても、すぐ近くに着陸出来るのはやっぱりプロフェッサーGのステルスがあるからこそだろう。

 ……まぁ、それでも港街に直接HLVを着陸させないのは、何気にHLVが結構大きく、街中にそんなスペースのある場所が少ないからか。

 無理をすればそれも可能かもしれないが、建物を壊しながらの着陸ともなれば街の被害は大きく、シャドウミラーに対して悪感情を抱くような者も出てくるだろう。

 いや、それだけではない。建物を壊した衝撃でその破片がブースターとかに混入してしまう可能性も考えられる。

 ガンダニュウム合金製のHLVだから、その程度で壊れるといったことはないだろうが、瓦礫の破片で何らかの不具合が起こるという可能性は十分に考えられた。

 また、一応宇宙で色々とテストはしているが、今回の件がHLVの初陣であるというのは間違いない。

 そうである以上、出来るだけ無茶な使い方はしたくなかった。

 ……まぁ、降下ポッドと大気圏離脱用のブースターを使って宇宙に向かうのではなく、地球の中で移動するといった無茶をした俺が言えた義理ではないのだが。

 そんなことを考えている間にも、水平状態だったHLVが垂直状態に姿勢制御を行う。

 また色々なところから悲鳴が聞こえてきたような気がするが、それは俺の気のせいという事にしておこう。

 そうして地上に着陸すると、MSを固定していた装置が外れる。

 機体が自由に動くことを確認してから、俺は全機に通信を送る。

 

「よし、出撃だ。カトルとトロワは中東連合に被害を与えている敵を……そしてシャドウミラーは、以前逃した敵を倒す為に……出撃する」

 

 その言葉と共に、まずウイングゼロが最初にHLVを出る。

 普通隊長機というのは一番最後に出るのが普通なんだが……まぁ、その辺りはシャドウミラーの流儀だからって事で。

 そして映像モニタに映し出されたのは、当然と言うべきか……あまり好ましくない光景だった。

 基地がある訳でもない、本当に普通の港が今は炎に包まれていた。

 報復という名目があるにしても、これは少々酷い有様だ。

 

『くっ!』

 

 悔しそうな様子を見せるのは、当然のようにシャドウミラーのメンバー……ではなく、中東連合に所属しているカトルだ。

 まぁ、カトルにしてみれば中東連合というのは自分の本拠地という認識が強い。

 その中でも港が……しかも軍事基地でも何でもない場所を攻撃されるというのは、とてもではないが許容出来るものではないだろう。

 

『行きます!』

 

 そう言ってサンドロックが向かったのは、上空を飛んでいるトーラス。

 当然のように、このトーラスは無人機なのだろう。

 一糸乱れぬ動きをしているのを見れば、容易に想像出来る。

 そしてスラスターを全開にして、跳躍する。

 空を飛ぶ事は出来ないサンドロックだが、それでも今の様に擬似的に空を飛ぶのは難しい話ではない。

 そうしてトーラスに近付くと、ヒートショーテルを一閃。

 次の瞬間には地上に落下していき……地面につくかどうかという場所で爆発する。

 街中で堂々と機体を爆発させてもいいのかどうかと、普通ならそう思うだろう。

 だが、港は既に全面的に破壊されており、街のいたる場所で炎が燃え広がっている。

 この戦いを終えても、この港がまた使えるようになるかと言われれば……正直なところ、微妙だろう。

 寧ろこの地を放棄して新しく港を作った方が結果的に安く済むんじゃないだろうか、

 もっとも、この地に思い出がある者にとっては酷な話だろうが。

 ともあれ、真っ先に敵に突っ込んでいったサンドロックを援護するようにヘビーアームズはビームガトリング砲を空中のトーラスに向けて撃っている。

 それを受けて爆発するトーラス。

 だが、MDがそれで怯む筈もなく、自分達に攻撃を仕掛けてきたサンドロックとヘビーアームズに向かいトーラスカノンを撃つ。

 幸いと言うか、トロワも分かっているのかHLVから離れながらトーラスに向けて攻撃をしているので、HLVが被害を受けるようなことはないだろう。

 まぁ、港から多少距離のある場所に着陸してるので、余程の事がなければ安全だろうが。

 

「トーラスはカトルとトロワに任せて、俺達は海中の敵を仕留めるぞ」

 

 トーラスカノンによる爆撃……爆撃? ともあれ、結果としては似たようなものだが、その攻撃によって港は壊滅的な被害を受けている。

 だが、同時にそれ以外にも海中から襲ってくる魚雷による被害もかなり大きい。

 寧ろ市街地はともかく、港に大きな被害を与えているのはこちらの攻撃だろう。

 そして水中用MSというのは、俺達にとっても大きな目標でもあった。

 

『外道め、今度は逃がさん!』

 

 最初に怒声を発して突出したのは、五飛。

 正義を求めているだけあって、こうして民間人を一方的に攻撃する財団派は許す事が出来ないのだろう。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 正義? 何それ美味しいの? といった俺でさえ、無関係の一般市民を犠牲にしているこの攻撃を見ていれば、苛立つものがあるのだが。

 

『へっ、外道には死神が断罪してやるよ』

『面白くない真似をして!』

 

 デュオ、綾子もそれぞれ飛び出していく。

 そうして俺もまた、そんな3人……いや、3機を追うようにウイングゼロで先に進む。

 バードモードに変形するかどうか迷ったが、ここから海までの距離はすぐ側だ。

 そうである以上、わざわざ無駄に変形する必要もないと判断し、そのまま真っ直ぐに海へと向かう。

 そんな俺達の存在に気が付いたのか、海中から次々に魚雷が放たれた。

 そして海面を飛び出し、そのままこちらに向かって飛んでくる。

 その魚雷を回避しながら。シャドウミラーはそのまま海中に突っ込んでいく。

 だが、海中の中に入った瞬間、俺は驚く。

 何故なら、海中には50機以上の水中用MSの姿があったからだ。

 キャンサーとパイシーズ、双方合わせて50機以上。

 財団派の戦力も決して多い訳ではない。

 だというのに、何故これだけの戦力を?

 そう思うが……すぐ答えに行き着く。

 

「ちっ、財団派の奴等、水中用MSもMD化したのか!」

 

 それは、考えてみれば不思議な話ではない。

 元々地球の7割は海と言われているのだ。

 そうである以上、水中用MSを重視するのは当然だろう。

 また、キャンサーとパイシーズはOZの中でも新型MSだ。

 具体的に言えば、原作が始まった時点で既に量産されていたトーラスと違い、また量産はされていない……そんな感じの新型機。

 そうである以上、キャンサーをMD化するのはハードウェア的には難しい話ではない。

 だが、ソフトウェア的にという意味ではどうなのか。

 トーラスは宇宙、地上とどちらでも使い方はそう大差ないのでそこまでプログラムを弄る必要はない。

 だが、水中用MSのMD化となれば、1からプログラムを組み上げる必要がある筈だった。

 

「……ま、その辺りがしっかり出来てるかどうか……それを確かめさせて貰おうか!」

 

 海中であるにも関わらず、ウイングゼロは真っ直ぐにキャンサーに向かって突き進むのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1155
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1333

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