転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1676話

 凛の中華料理というのは、予想外にその匂いをピースミリオンの中に広めていたらしい。

 あの後、食堂には何人もが顔を出すといったことをしていたのだが、当然全員に料理を分けられるような余裕もなく……結果として、殆どの者は料理を諦める事になった。

 だが、寧ろそれがいい刺激になったのだろう。その後、何人もがピースミリオンの調理場を利用するようになる。

 ……何だかんだと、皆がハンバーガーを始めとしたファーストフードについては、飽き飽きしてたんだろうな。

 栄養的な調整はしているので、健康的には問題ないらしいが……それでもやっぱり食事というのは楽しみな訳で。

 やっぱり料理人を雇った方が良さそうな感じだな。

 それとも、連合軍から料理人を借りるか?

 それもそれで、向こうに対する借りが大きくなってしまうしな。

 まぁ、そんな事もあっても、ピースミリオンは順調に航海を続けている。

 当然それには、格納庫で行われているデスサイズヘルとアルトロンガンダムへの改修、ウイングゼロの建造といった行動についてもだ。

 そちらは何だかんだと、俺の予想以上に進んでいた。

 技術情報の件は、俺が提案した内容である程度進んでいるらしい。

 そんな訳で……現在のピースミリオンは特に何も問題がないまま、パトロールという名の慣熟航行が行われていた。

 ガンダム2機の改修作業に入ったという事で、最初は防衛戦力の心配をした者も多かったのだが……幸いにもと言うべきか、今のところは特に襲撃の類はされていない。

 

「馬鹿、そっちじゃない! そのまま接続すれば、フレームに余計な負荷が掛かる! だから、外側じゃなくて内側から固めていけ!」

「こっちの配線、チェックお願いしまーす!」

「おい、このガンダニュウム合金をここに置いておくと邪魔になる! もっと端に寄せろ!」

「この馬鹿が、設計図通りにしろって言ってんだろ! こんなところで無駄にお前のオリジナリティ何か発揮させるな!」

 

 ピースミリオンの格納庫では、そんな怒声がいたる場所で飛び交っている。

 メンテナンスベッドの上には、装甲とかを外されてメインフレーム……人間で言えば骨になっている、デスサイズとシェンロンガンダムの姿。

 こうして見ると、やっぱり同じガンダムでもフレームそのものは結構違いがある。

 ……まぁ、それも当然か。デスサイズとシェンロンガンダムは同じガンダムでウイングゼロから発展した機体であっても、10年……いや、20年か? ともあれ、そのくらいの間、5人の博士達がそれぞれに改良を重ねてきた機体だ。

 そうなれば、当然フレームにも手を入れられているだろう。

 勿論全くの別物って訳じゃなく、ある程度の共通点はあるんだろうが。

 そんな風に考えながら、次にそんな2機から少し離れた場所に視線を向ける。

 そこでは、丁度新しいフレームが組み上げられようとしているところだった。

 考えるまでもなく、そこにあるのはウイングゼロだ。

 まだフレームも途中の段階だったが、このW世界で恐らく最強クラスの機体になるのは間違いない。

 ……まぁ、性能が高いだけあって、色々と厄介な面もあるんだが。

 ゼロシステムとか。

 その辺りは、一度乗ってみないとどうにもならないな。

 正直なところ、俺がゼロシステムで暴走すれば、致命的な被害を周囲に与えると思う。

 だがそれでも……何故か、俺はその心配をしていなかった。

 単純に俺が楽観的なだけか?

 そうも思ったが、すぐにそれは違うと分かる。

 俺の中には、ゼロシステムは俺に危害を加える事が出来ないという確信があるのだ。

 そう、俺の中にある念動力……その力が、安心、安全とそう告げていた。

 その事に安堵しながらも、次に視線を3機から別の方に向ける。

 少し離れた場所にある、トールギス。

 ちなみにトーラスは現在ヒルデと綾子が訓練の為にピースミリオンの外に出ているので、格納庫の中にはない。

 そしてトールギスの方は、整備とかの類も既に終わっており、ただ黙ってその場に立っていた。

 何だかトールギスが寂しそうに見えるのは、きっと俺の気のせいってだけじゃないだろう。

 

「アクセル代表? どうしたんですか、こんな場所で」

 

 格納庫の中でトールギスを見ていると、背後からそんな声が掛けられる。

 聞き覚えのある声に振り向くと、そこには予想通りサリィの姿があった。

 そんなサリィの横にはシルビア……がいるのはともかく、何故か五飛の姿もある。

 五飛はアルトロンガンダムの件で忙しいんだと思ってたけど、どうやらそういう訳でもないらしい。

 

「ちょっとウイングゼロの様子を見にな」

「ああ。……何でもかなり高性能な機体らしいですね」

「そうだな。OZの方でもトールギスを持ち出してきた以上、性能的に高い機体はあった方がいいしな」

 

 OZが……より正確にはゼクスがトールギスⅡに乗って俺の前に姿を現したというのは、連合軍にとってかなり大きな衝撃だったらしい。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 元々トールギスは俺が乗り、ガンダム3機を相手にしても互角以上の戦いを繰り広げてきた機体だ。

 その強さは、それこそシャドウミラーと行動を共にした連合軍であれば、嫌でも目にしている。

 それだけに、OZの……しかもライトニング・カウントの異名を持つゼクスが俺と同じトールギスに乗っているというのを知れば、当然それは連合軍に大きな衝撃を与える。

 OZが精鋭部隊だというのは、元々連合軍では知られていた話だし、OZの反乱後に戦って骨身に染みている。

 そしてゼクスは、そんなOZの中でも最高峰の技量を持つパイロットなのだ。

 そう考えれば、連合軍が恐怖に怯えるのも無理はない。

 もっとも、ゼクスの能力はガンダムのパイロットとほぼ同クラス。

 そう考えれば、シャドウミラーにはゼクスが3人と、ガンダム3機を同時に相手取る事が出来る俺がいる訳で……結局問題はない筈なんだが。

 だが、この歴史でゼクスがガンダムのパイロットと戦った回数はそう多くない。

 だからこそ、ゼクスとガンダムのパイロットが同じくらいの能力だと、分からない者も多いのだろう。

 

「ふんっ、ゼクス・マーキスか。次に出て来たら、俺がこの手で相手をしてやる。だが……その前に、だ。アクセル。こうして見ると、どうやら今のお前は暇なようだな。ちょっと相手をして貰おうか」

「ほう? 俺はお前の言う通り暇だからいいんだが、そっちはいいのか? アルトロンガンダムの方に立ち会わなくて」

「構わん。今日の俺がやるべき事はやり終わった。それでも尚、何かやる必要があるのであれば、すぐに呼びにくるだろう」

 

 そう告げる五飛だったが、サリィは微笑ましそうに笑い、シルビアは少し不満そうに溜息を吐く。

 そんな姿を見れば、五飛がかなり無理をして時間を作ったのは確実だった。

 いやまぁ、俺も今日は特にやるべき事がなかったし、それはいいんだけどな。

 

「相手と言ってもな。道場のような場所は……」

「あるぞ」

「あるのかよ」

 

 即座に答えた五飛に、思わず突っ込む。

 ここが連合軍の基地であればまだしも、あくまでも軍艦の中だ。

 そこに道場の類があるのは……ああ、いや。考えてみればそう不自然な話でもないのか?

 元々このピースミリオンはリーブラやバルジと同程度の大きさを持つ。

 どちらかと言えば、移動する前線基地……シャドウミラーのニヴルヘイムに近い存在だ。

 つまり長期間この艦内で暮らす事を前提としている以上、ある程度普通の基地と同じように暮らせる設備があってもおかしくはないだろう。

 そして軍人である以上、当然毎日の訓練が必要な訳だ。

 トレーニング機器が充実したトレーニングルームはあるが、軍人として身体を鍛えるだけではなく、戦闘訓練も当然必要だ。

 だとすれば、道場のような場所があっても不思議ではないのだろう。

 

「ああ、ある。じゃあ、早速行くぞ。今日こそ俺はお前に勝って、正義というものを手に入れてみせる」

 

 そう呟く五飛に引っ張られるように、俺は格納庫を後にするのだった。

 

 

 

 

 

「で? 俺と五飛はともかく、何でサリィとシルビアまでここにいるんだ? しかもご丁寧に着替えて」

 

 道場の中には、俺と五飛以外にもサリィとシルビアの姿があった。

 こうしてここにいる以上、当然自分達も訓練をするつもりでこうしてきたんだろうが。

 

「あら、見て分かりませんか? 私も軍人ですし、シルビアも軍人です。であれば、こうして身体を鍛える必要があるのは当然かと」

「……まぁ、そう言うなら別にいいけど」

 

 俺が許容した事で、安心したのだろう。サリィは笑みを浮かべてシルビアと共に、少し離れた場所に向かう。

 今でこそ連合軍の軍人として俺達と一緒に行動しているシルビアだが、本人は元々軍人という訳ではない。

 それこそ、身体を鍛えた事も……健康の為という意味での運動ならともかく、本格的に身体を鍛えた事はなかった筈だ。

 そう考えれば、俺達と一緒に行動をする上で身体を鍛えるというのは決して意味がない訳でもない。

 サリィを教官役として考えれば、そこまでおかしな事ではないか。

 

「アクセル! こっちも始めるぞ!」

「あいよ。けど、今日は青龍刀を持ってこなくてもいいのか?」

 

 いつもは得意の青龍刀を使って俺と模擬戦をしている五飛だけだったが、今日はその手に青龍刀が握られていない。

 素手で、俺の前にいるのだ。

 

「ふんっ、俺がいつも武器に頼っていると思われるのも癪だからな。それに、たまにはこうして素手で戦えるようにしておくのも必要な事だ。……行くぞ!」

 

 その言葉と共に、五飛は素早く俺との距離を詰めてくる。

 これまでの経験から、俺に戦いの主導権を渡すのは不味いと、そう判断したのだろう。

 それは決して間違っていない。いや、寧ろ正しいと言えるだろう。

 だが……そんな五飛にとって最大の過ちは、純粋な俺との技量差だろう。

 距離を詰め、掌底を放つ五飛。

 それを首を傾げるだけで回避し、伸びた五飛の手首を握る。

 そこにある力の流れを俺の思い通りにコントロールし……次の瞬間、五飛は空を飛ぶ。

 

「ちぃっ!」

 

 投げ飛ばされたのが、五飛も理解したのだろう。すぐに空中で身体を捻って床に着地し、態勢を整える。

 それを追撃しても良かったのだが、今は大人しく待つ。

 

「まだだぁっ!」

 

 そんな俺の態度が五飛にとっては許せなかったのか、それとも単純にまだ戦えると判断しただけなのか。

 ともあれ、五飛は先程よりも更に速度を増してこちらとの間合いを詰めてくる。

 身体を左右に動かし、視線も動かして自分がどう動くかを悟らせないようにフェイントを織り交ぜてくる。

 その様子は、それなりに巧みであると言ってもいい。

 ただ、フェイントというのはあくまでも実力が下の相手か……それとも自分と近い技量の相手にこそ有効なものでしかない。

 ぶっちゃけ、俺の場合……いや、ホワイトスターの方にいるシャドウミラーのメンバーであれば、フェイントであると確認してから対処しても、十分に間に合ったりする。

 綾子も半サーヴァントである以上、同じような真似が出来るだろう。

 凛は……魔力で身体強化の類をしていれば、可能か?

 ともあれ、元からこのW世界の人間と俺とでは身体能力という意味で大きく違う。

 そういう意味では、それこそ綾子を相手にした方が、まだ五飛にとっても訓練になると思うんだがな。

 振るわれる拳の動きを次々に読み、その場から動かずに回避していく。

 

「くっ、このぉっ!」

 

 その事に苛立ったのだろう。五飛がそう叫ぶと、攻撃の速度が上がる。上がるんだが……

 

「一撃の威力や速度が上がっても、雑になっては意味がないぞ」

 

 そう言いながら、拳の一撃を受け流し、五飛の身体を吹き飛ばす。

 

「ぐぅっ!」

 

 それでも先程と同様空中で身体を捻りながら足から床に着地する辺りはさすがと言ってもいいだろう。

 そのまま再びこちらに向かってくるのを見て、今度は俺もその場で留まるのではなく、1歩を踏み出す。

 俺の動きに一瞬驚いたような様子を見せた五飛だったが、次の瞬間には口元に笑みを浮かべて前に出て……こちらに一撃を放つ。

 

「甘い」

 

 その一撃を回避しながら、こちらもまた拳を前に突き出す。

 顔の横を通りすぎる五飛の拳と、その五飛の胴体に突き刺さる俺の拳。

 ……勿論本当の意味で身体を貫いたりはせず、十分に手加減しての一撃だが。

 その一撃により、五飛は吹き飛ぶ……のではなく、その場で意識を失い床に崩れ落ちる。

 うん、手加減は成功したな。

 五飛も以前よりは間違いなく強くなっている。

 素手の戦いという意味では、完全にデュオよりも上だろう。

 MS戦も、現在のシャドウミラーの中では俺に次いで2番手だし。

 だが……当然のようにそれだと満足しないんだろうな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1130
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1328

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