転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1674話

 ピースミリオンでパトロールを行いながらシャドウミラーはそれぞれ訓練を重ねていた。

 その中でも、やはり一番大きく変わったのはヒルデだろう。

 綾子のトーラスを借りて、本格的にMSの操縦訓練を始めたのだから。

 その訓練は、当然というかシャドウミラーのMS部隊に比べるとかなり落ちる。

 それでも、俺達が宇宙に来る前の連合宇宙軍のパイロットに比べれば、筋がいいと言ってもよかった。

 

「ふーん……折角の事務処理要員を引っ張って行ったのはちょっと面白くなかったけど、それでもこうして見る限りだと、結構腕はいいのね」

 

 映像モニタに映し出されているトーラスの姿を見ながら、凛が呟く。

 そこでは、等間隔に置かれたスペースデブリの間を、MA形態のトーラスが縫うように飛んでいた。

 もっとも、まだ訓練を始めたばかりとあって、スペースデブリの間隔はかなり広くとってあるが。

 それでも綾子のトーラスは普通のトーラスに比べると色々と改修されている。

 一番大きいのは、やはりビームサーベルを2本装備しているところだろう。

 だが、それ以外にもスラスターの出力とか燃費とか、運動性能とか、加速度とか……その辺りは、全体的に性能アップしている。

 もっとも、それはあくまでもノーマルのトーラスに比べればの話であり、トールギスのようにスーパーバーニアを改修したとか、関節部分にガンダニュウム合金を使ったとか、そんな風な大規模な改修ではないが。

 それだけに性能アップそのものも、そこまで極端な代物ではない。

 

「まあな。ただ……ピースミリオンの防衛を任せるんだから、もう少し腕は上がって欲しいところだ」

 

 ヒルデをMSパイロットに誘う時、防衛用だからそこまで技量は必要ないといった。

 言ったんだが……それでも防衛を任せる以上、出来るだけ腕がいいに越した事はない。

 ヒルデもそれを知ってるから、こうして暇を見ては訓練を重ねているんだろうが。

 

「ああ、ちょっと。アクセル。その書類のサインはこっち。それとこっちの文章もよく見てちょうだい」

 

 凛の言葉に、映像モニタから書類に視線を戻して指示された場所にサインを書いていく。

 

「で、凛の方はどうなんだ?」

 

 サインした書類を凛に渡しながら尋ねると、凛は何の事、と首を傾げる。

 

「ピースミリオンの指揮についてだよ。サリィから実地訓練をして貰ってるんだろ?」

「ああ、そっち。それなら問題はないわ。順調よ」

 

 こうしてピースミリオンが移動しているのだから、その艦長として指揮をするには絶好の訓練と言ってもいい。

 そして事実、凛はサリィに指揮について色々と教わっているのだから。

 今は、書類を俺に持ってきているが。

 

「そうか。さすが優等生だな」

「……それ、褒めてるのよね?」

「ああ、勿論だ」

「ふーん……なら、まぁ、いいけど。ただ、サリィにとっても、ピースミリオンは色々と特殊な艦らしくて、ある程度は調整する必要があるみたいね」

「だろうな」

 

 ピースミリオンは、ピースミリオン級という形式になってはいるが……他にピースミリオン級がある訳でもなし、結局のところオンリーワンの艦だ。

 そしてサリィから指揮の方法を習うとしても、ピースミリオンを指揮したりとかは出来ない。

 つまり、凛はピースミリオンを指揮する方法を完全にゼロから……って訳じゃないが、かなりのところを独学で慣れていく必要がある。

 

「それも結構面白いから、いいんだけどね」

「喜んでくれて何よりだよ」

 

 何気にやる気を見せている凛に、安堵の息を吐き……次の瞬間、部屋の通信機が着信を知らせる。

 何だ? 特に何か連絡があるとは聞いてない。だとすれば、何か起きたのは間違いないだろうが……

 そんな風に思いながら、通信機のスイッチを入れる。

 

『出来たぞ!』

 

 瞬間、映像モニタに映し出されたのは、喜色満面といった様子のハワードの姿だった。

 興奮のあまりか、いつもつけているサングラスが外れかけているのも気にした様子がない。

 

「……出来た? もしかして……」

『うむ。シェンロンガンダムの改修型と、デスサイズの改修型じゃ』

「へぇ。……随分と一気に進んだな」

 

 少し前までは何だかんだと苦戦していた。

 いや、苦戦と言うよりは単純に人手不足だったという方が正しい。

 であれば、やっぱりドクトルSやハワードといった面子の追加はかなり戦力になったのだろう。

 ドクトルSがこっちに合流するのは予想外だったが、いい意味で予想外だったな。

 

「分かった。なら、早速そっちの部屋に行くから、そこで話を聞かせてくれ。五飛とデュオは?」

『これから連絡をする。……ふむ、そうじゃな。なら1人ずつに話をするのも面倒じゃし、纏めてこの部屋で説明をしよう。それで構わんか?』

「ああ。俺はこれからそっちに向かうから、五飛とデュオにはそっちで連絡を頼む」

『うむ、任せろ』

 

 その一言と共に通信が切れる。

 

「って訳で、俺はちょっと開発室の方に行くけど……凛はどうする?」

「私はいいわ。MSとかを見ても、何も分からないし。それに、興奮に水を差すの悪いでしょ?」

 

 綾子なら元々ゲームが好きだったという事もあって、新型MS――正確には改修型だが――ともなれば、喜ぶんだろう。

 だが、凛の場合はゲームとかをやったりはしていなかった。

 元々そういうのに殆ど興味がないというのもあるんだろうが。

 なら、ここで無理に連れて行っても、それこそ凛が言う通り水を差すだけだろう。

 艦長として、ある程度機体の性能は理解して貰う必要があるが……その辺りは、別に今ではなくてもいいだろう。

 

「分かった。じゃあ、そういう事で」

 

 俺は凛と別れ、開発室……本当は特に何も名前のない広めの部屋だったのだが、ハワード達が集まって、いつの間にか開発室と呼ばれるようになった部屋に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「お、来たか。もうデュオと五飛は来ておるぞ。アクセルが一番最後じゃ」

 

 開発室の扉を開けると、ハワードの気分の良さそうな声が聞こえてくる。

 ……まぁ、こうして改修型が出来たんだし、それは当然か。

 

「ふむ、では全員集まったようだし……そろそろ始めるか」

 

 俺が席に座ったのを見て、ハワードが映像モニタに2機の機体の設計図を表示する。

 それは……まさに、デスサイズヘルとアルトロンガンダム。

 俺が知っている機体、その物だった。

 原作で協力したドクターJとH教授がいないこともあり、もしかしたら俺が知ってる機体とは違う機体になる可能性もあったのだが……まぁ、実際には細かいところは原作と違う可能性はあるが。

 ともあれ、少なくても見た目に関して言えば俺の知ってる機体なのは間違いなかった。

 その事に驚く俺とは裏腹に、デュオと五飛の2人は正真正銘驚いている。

 デスサイズヘルは肩の部分にクロークが追加され、そしてシェンロンガンダムは元々の機体から大きく様変わりしていた。

 

「これが……」

「新しい、機体」

 

 デュオと五飛の声に、科学者連中は満足そうな顔を浮かべる。

 この辺、サプライズプレゼントが成功したみたいな感じなのか?

 いや、元々機体の改修作業が行われていたのは知ってたんだし、サプライズというのとはちょっと違うか。

 ともあれ、驚いたのは事実だ。

 

「これがデュオ、お主の新しい機体ガンダムデスサイズヘル。そして五飛のアルトロンガンダムじゃ」

 

 ハワードが、驚いたデュオと五飛を満足そうに見ながら告げる。

 だが……次の俺の方を見ると、少しだけ不満そうな表情になる。

 

「何じゃ、アクセルは思ったよりも驚いておらんの」

「そうか? 普通に驚いてるんだけどな。改修前の機体とはかなり違ってるし」

 

 原作知識についてどうこう言う訳にもいかず、取りあえずそう誤魔化す。

 

「ふむ……まぁ、いい。それで機体の説明じゃが……」

 

 取りあえず俺に対する疑惑は一旦棚上げしたのか、ハワードは映像モニタに映し出された機体の説明をしていく。

 もっとも、それはやはり俺が原作で知っているものと代わりはない。

 デスサイズヘルはよりステルス性を高め、ビームサイズをツインビームサイズに、他のも全体的に性能が上がっている。

 そしてアルトロンガンダムは、右腕だけだったドラゴンファングが両腕に装備され、ビームグレイブがツインビームグレイブに、そして背後にビームで攻撃出来るようになり……こちらも全体的に性能が上がっていた。

 うん、やっぱり俺の知ってる原作とそう違いはないらしい。

 その事に安堵すればいいのか、それともハワードが加わったのに何も変化がなかったと嘆けばいいのかを迷っていたが……次の瞬間、映像モニタに映し出されたその映像に大きく目を見開く事になる。

 

「これは……」

「ふふん。こちらはどうやらアクセルにとっても十分驚かせることが出来たようじゃな」

 

 自慢気なハワードの言葉。

 当然だろう。……何故なら、映像モニタに映し出されていたのは、ウイングゼロの設計データだったのだから。

 それも、TV版と劇場版の両方を組み合わせた……俺が頼んでいた代物。

 本物の鳥の翼のように見えるのが特徴の、劇場版ウイングゼロがシールドを持っている。

 勿論見た目で分かる大きな変化はそのくらいだが、実際には他にも色々と手が加わっているのだろう事は容易に想像出来た。

 

「お主の要望通り、2つの仕様を組み合わせた設計となっておる。正直なところ、最初はこちらの仕様にシールドを持たせればいいだけかとも思ったんじゃが……」

 

 ああ、やっぱりそういう考えはあったのか。

 けどこう言うって事は、結局そうならなかったのだろう。

 もしシールドを持たせるだけであれば、ここまで時間が掛かる筈がなかったのだから。

 

「やっぱり大きかったのは、バード形態への変形機構か?」

「うむ。正直なところ、ここまで手こずるとは思わなんだ。なぁ?」

 

 そう告げるハワードの言葉に、他の3人の科学者達はそれぞれの態度で応える。

 特にプロフェッサーGは面白くなさそうな顔をしていたのを思えば、言葉通り相当苦戦したのだろう。

 まぁ、変形機構を持っているMSというのは、それ程多いわけじゃない。

 トラゴスやエアリーズ、パイシーズはそれぞれ変形が可能だが、それでも足を折りたたんだりといった風な簡易的な変形でしかない。

 それに比べると、ウイングゼロの変形はかなり機体を動かす事になる。

 その辺りに時間が掛かったのは……まぁ、仕方のない事なんだろう。

 それでも短時間で出来たのは、それこそウイングゼロの設計に関わっていたからその辺りのシステムにも詳しかったからか。

 ドクターJがいれば、ウイングガンダムの設計の経験からもう少しは時間が掛からなかったと思うんだが。

 ともあれ、デスサイズヘル、アルトロンガンダムに続いてウイングゼロの説明を聞き終わる。

 ……何だかデュオと五飛がどこか呆れたような視線を俺に向けているようにも見えたが、それはきっと気のせいだろう。

 

「そんな訳で、現在この3機を設計している訳じゃ。……正確にはデュオと五飛の機体は新規設計という訳ではなく、今ある機体の改修となる。これは、1から作るのに比べると、改修の方が時間が掛からん為じゃ」

「まぁ、元々その2機種は改修型として設計してたんだから、当然だろうな。……となると、ウイングゼロの方はやっぱり1からの設計か」

「そうじゃな。こちらは改修ではない。そもそも、改修のベースとなる機体が存在せんしの」

 

 だとすると、やっぱり完成するまでは少し時間が掛かる、か。

 もう何度か、バルジを見せる必要があるか?

 事態を……もしくは時代を動かすには、出来ればウイングゼロが完成してからにしたいところだし。

 

「2機の改修とウイングゼロの完成を急いでくれ。必要な人員は出来るだけ回す。……連合軍からも人を借りた方がいいか?」

「ふむ、そうじゃの。この場合、人手は多ければ多い方がいいのは間違いないんじゃが……連合軍にこちらの技術を奪われるのは、あまり気が進まんの」

 

 俺とハワードの会話に、プロフェッサーGがそう入ってくる。

 そしてプロフェッサーGの言葉に、老師OとドクトルSもそれぞれ頷く。

 コロニーで生活していた者達にとって、OZもそうだが連合軍も歓迎出来る存在ではないといったところか。

 元々OZよりも前にコロニーに圧政を敷いたのは、連合軍だ。

 それを考えれば、その気持ちは分からないでもないんだが……

 

「技術情報の流出と、時間……これは、今どちらかを選ぶとしたら、どうしても後者を選ばないとならない。ただ、勿論無条件で技術情報を流そうなんてつもりはないから、その辺りがあまり関係ない場所で連合軍の連中を使うといった感じでどうだ?」

 

 その提案に、プロフェッサーG達は不承不承ではあるが、頷くのだった。

 ……ま、どのみち連合軍の人員を本格的に借りるのはD-120コロニーに戻ってからだが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1130
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1328

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