転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1654話

 プロフェッサーGとハワードは、元々の知り合いだったらしい。

 いや、そういう意味では他のガンダムの開発者4人ともハワードはOZで一緒だったらしいが、プロフェッサーGとはOZに所属するよりも前から既に顔見知りだったとか。

 ……何気にピースミリオンを何故ハワードとプロフェッサーGで開発したのかという謎や、何故デュオだけが最初から地球でハワードと協力していたのかと、納得してしまった。

 ともあれ、そんな訳で……

 

「何? 地球から宇宙にシャトルを1隻用意しろと? ……何に使う?」

「俺達の協力者が宇宙に上がってこっちに合流する事になってな」

「……協力者? ああ、ハワードとかいう男か」

 

 セプテムが納得したように呟く。

 ハワードの名前をどこから知ったのか……地球で俺が連合軍にハワードを探すように頼んだ時に知ったのか、それとも昨日プロフェッサーGと老師Oがハワードと会話をする為に呼び出して貰った時に部下から報告が上がったのか。

 その理由は分からなかったが、こちらとしては特に問題はない。

 いや、連合軍がハワードと認識し……そしてシャドウミラーの協力者であるというのを知っていると向こうが明言したのだから、下手な手出しは出来なくなったと言ってもいい。

 連合軍にとっても、ハワードのように高い能力を持った技術者というのは非常に欲しい存在だろうし。

 

「そうだ。ちょっと戦力を増強しようと思ってな。ただ、今いる人手ではどうしても足りない。それで伝手のある技術者を引っ張ってこようと思う。構わないか?」

「……ふむ、そうだな。構わないが……シャドウミラーだけではなく、連合軍の方にもその技術者を貸してくれると助かるんだがな」

 

 そう来たか。

 いやまぁ、連合軍も技術者が欲しい。けどシャドウミラーとは敵対したくない。

 ならどうするか……となれば、俺達から借りるというのは現実的な選択肢だろう。

 

「それは構わないが……あくまでもこっちが優先だ。こっちの戦力増強が終わった後、という条件でよければ交渉してくれ」

 

 まぁ、向こうがその交渉に乗るのかどうかは分からないが。

 それでもプロフェッサーGや老師Oよりは、まだハワードの方が可能性はあるだろう。

 ガンダムの開発者達はコロニーで暮らしていた。

 それだけに、連合軍の圧政をその目で見てきている。

 それに比べると、ハワードは基本的には地球で暮らしていた。

 ……勿論、ピースミリオンを建造したのを思えば、何度か宇宙にも行ったりしてたんだろうが。

 ただ、当時は連合宇宙軍がコロニー同士の行き来とかを極端に制限してたんだよな。

 ドーリアン外務次官みたいに、宇宙に行ける奴はいたから、完全にという訳じゃないんだろうけど。

 ともあれ、それでも基本的には地球で動いていたのだから、連合軍に対する感情はコロニーの住民よりはマシな筈だった。

 

「橋渡しはしてくれないのか?」

「さすがにそこまではな。俺だってハワードに協力して貰ってるんだ。それなのに、ハワードに無理をさせる訳にもいかないだろ。それに……こっちの科学者達はMDを嫌っている。それを使おうとしている連合軍に対して、どうしても好感情を持つのは難しいだろ」

「だが……」

「分かってる」

 

 セプテムの言葉を途中で遮る。

 そう、分かっているのだ。連合軍にとって最大の利点、物量を活かす為にはMDを利用するのが最善だという事は。

 それに、シャドウミラーの……このW世界のシャドウミラーではなく、ホワイトスターの方のシャドウミラーを率いている身としては、無人機に対する拒否感の類はない。

 だが、それとこれとは別だ。

 このW世界で生まれ育ってきた影響か、5人の科学者やハワードにはMDに対する嫌悪感がある。

 だからこそ、俺も無理には言えないのだ。

 原作のようにMDを設計しろなんて事を言えば、間違いなく科学者達は……そしてデュオや五飛辺りもシャドウミラーから去っていくだろう。

 いや、意外と五飛は残るか?

 原作ではOZと戦っている時に、人形に頼るから弱くなるみたいな事を言っていたが、この歴史では俺達と行動を共にして、シャドウミラーの流儀にそれなりに長い間触れてるし。

 それでもシャドウミラーの戦力が一気に激減する可能性がある以上、こちらとしてはセプテムの要望を認める訳にはいかなかった。

 

「ふむ……分かった。では、その件はこちらで対応させて貰おう。それなら文句はないな?」

「ああ、好きにしてくれ……いや、勿論人道に背く行為のような真似をされたら困るけどな」

「そんな真似をするか。元々こちらにとってシャドウミラーというのはMDをものともしない、最強の戦力なのだ。そうである以上、無茶な真似をして連合軍から離れるような真似はせん」

 

 下手に色気を出した結果、シャドウミラーという最強の矛を失う。

 その可能性を考えれば、確かにそんな真似をしようとは思わないだろう。

 ……少なくてもセプテムはそう思わない。

 だが、この場合の問題はセプテムではなく、その下にいる者達だ。

 こっちに無茶な真似をしてくるような事がなければいいんだが。

 まぁ、実際にそんな真似をしてきた場合、こちらも相応の態度を取るだけだけどな。

 

「それで、結局シャトルの方はいいのか?」

「ああ。場所についてはどこがいい?」

「一番無難なのは、ニューエドワーズ基地らしい」

「ニューエドワーズか?」

 

 微妙に嫌そうな表情のセプテム。

 まぁ、今のニューエドワーズ基地は連合軍の本拠地となっている。

 それだけに人の出入りも大きいし、警戒も厳重だ。

 そんな場所にハワードを始めとして、大勢の部外者を入れるというのは気が進まないのだろう。

 他にも、連合軍の本拠地となっているからこそ多くのシャトルが打ち上げられており、そこにハワード達の分のシャトルを用意するというのは難しいという一面もある。

 

「ああ。そこが一番近い。どうにかならないか? 今は状況が半ば膠着状態になっているが、それは今だけだ。こういう時は、動き始めれば一気に事態は動くぞ」

 

 それは、様々な戦場を駆け抜けてきた俺の経験から言えるものだ。

 ましてや、膠着状態ではあってもその間に何も動いていないという訳ではない。

 中東連合なんて、全く俺の原作知識にない勢力が姿を現す可能性もあるのだから。

 そう考えれば、今のうちに打てる手は出来るだけ打っておいた方がいい。

 そんな俺の視線を感じたのか、やがてセプテムは頷く。

 

「分かった、そちらの要望通りにしよう。元々シャドウミラーに対しては全面的に協力するという約束だったしな」

 

 若干思うところはありそうだったが、それでもセプテムは納得するのだった。

 

 

 

 

 

「ほう、そうか。こちらの要望を受け入れたか。……連合軍も、随分と危機意識を持っているらしいな」

 

 セプテムがこちらの要望を聞いたという話をすると、プロフェッサーGがそう告げる。

 老師Oも頷いているのを見ると、やはり同意見なんだろう。

 

「連合軍がどう思っているのかってのはともかく、こっちとしてはありがたいのは事実だ。……それで、問題は?」

「ない。すぐにでもハワードに準備をさせよう。奴の事だ。こっちに要望を出してから、すぐに準備を進めているじゃろう」

 

 そう呟くプロフェッサーG。

 ハワードとの付き合いも長いだけに、その行動も想像出来るのだろう。

 それはともかく……

 

「それで、だ。ハワードが来れば、お前達に頼んでいる件も少しずつだが動き出す。そうなれば、当然改修したりMSを建造したりする場所が必要になる」

「連合軍の施設を使えばいいのではないか?」

「そう簡単にはいかないだろ。それに、これ以上要求すれば、セプテムの方でもこっちに色々と要求してくるのは間違いない。それは出来るだけ避けたいんだよ」

「……ふむ、アクセルの気持ちは分からんでもないが……それは少し難しいのではないか?」

「かもな。そんな訳でだ。どこか連合軍やOZ、バートン財団辺りに見つからないでMSを建造出来る施設に心当たりはないか?」

「無茶を言うな。この世界では、大抵どこかの勢力の勢力圏にある。なのに、誰にも見つからないようになどとは……」

「本当にないのか? それこそ、お前達は誰にも見つからずにガンダムを建造したんだろ? なら……」

 

 そう告げるも、戻ってくるのは首を横に振る2人だけ。

 

「以前であれば、ガンダムというMSは知られていなかった。だからこそ可能だった。だが、今は既にガンダムというMSの存在を知られている以上、アクセルが考えているような事は不可能だろう」

「……なら、他に何か手段はないか? それこそ、別にどこかの基地に拘る必要はない。いや、寧ろ何かあったらすぐに移動出来るような、そんな設備でもいい」

「移動? 馬鹿を言うな」

「……移動?」

 

 老師Oがあっさりと無茶を言うなと告げたのに対し、プロフェッサーGは何かを考えるように呟くと、じっと俺に視線を向けてくる。

 まぁ、何について考えているのかというのは、容易に想像出来る。

 移動出来るMS開発設備……そう、プロフェッサーGとハワードの2人が作ったピースミリオンの事だ。

 現在は月の裏側に存在するその存在……ピースミリオンについて。

 何故俺がその情報を知っているのかと、今のプロフェッサーGはそう思っているのだろう。

 いや、それともピースミリオンについては、知っていると臭わせているだけなのだが、実際にはまだ本当に俺がそれを知っているのかは分からない。そう思っている可能性もあるか?

 ともあれ、俺を怪しんでいるのは間違いない。

 だが、ピースミリオンを作ったのがプロフェッサーGとハワードの2人であっても、実際にそれを作る為にはある程度の人数が必要だった筈だ。

 ピースミリオンの正確な大きさは分からないが、原作でリーブラにぶつかった時の事を思い出せば、その大きさは決してリーブラに劣るものではないのだから。

 リーブラを建造する為に、宇宙の人間の多くがその作業を行った。

 なら、そのリーブラと大差ない大きさのピースミリオンの建造に掛かる労力も言うに及ばずだ。

 であれば、当然その全員から情報が漏れないなどという事は有り得ない訳で……

 勿論普段であれば口を噤んでいるのかもしれないが、酔っ払った時とかつい口を滑らせるというのは珍しい話ではない。

 

「それで、どうだ? 何かそんなのに心当たりはないか?」

 

 じっと、プロフェッサーGの顔を見ながら尋ねる。

 そのまま数秒……向こうはこっちの心の中を覗き込もうとでもするかのようにじっと視線を向けてくるが、俺はそれを正面から受け止める。

 生きてきた長さという意味では、今の俺でもプロフェッサーGには及ばないだろう。

 だが……それでも、人生の中で体験してきた数々の出来事の密度という一点においては、俺に敵う者はそういないと断言出来る。

 寧ろ、俺よりも濃い人生を送ってきた奴がいたら、是非見てみたい。

 ……勿論こうして色々な漫画やアニメといった世界が幾つもあるのだから、中にはそのような者がいてもおかしくはないけど。

 それでも大多数の者は俺より濃い人生を送ったりはしていない筈だ。

 

「……ふんっ、分かった。お主の事だ。儂が何も言わなくても、既に分かっているのだろう?」

「さて、何の話かは分からないな。けど、そう言うって事は心当たりがあるんだな?」

 

 確認の意味も込めてそう尋ねると、やがてプロフェッサーGは諦めたのか溜息を吐く。

 

「お主、本当にどこから情報を得ておるんじゃ?」

「さてな。シャドウミラーの情報網というのは、それなりに広い。だが、わざわざそれを口にすると思うか?」

 

 正確には情報網ではなくて俺の原作知識なのだが。

 だからこそ、原作になかった展開や組織が表に出てくると驚く事になる。

 現在結成されつつあるという中東連合とか。

 俺が全く知らないだけで、実は外伝の小説か漫画とかでそういう組織が出て来た可能性というのは十分にある。

 ともあれ、実際には情報網の類はない。

 いや、あるにはあるが、こうして他人に怪しまれるような程のものではないといった方が正しいか。

 情報屋とか、そっち関係程度なのだから。

 だが……向こうにとってみれば、俺が原作知識などというものを持っているとは思いもしないのだろう。

 だからこそ、こうしてプロフェッサーGは俺に対して鋭い視線を向けていた。

 そのままじっと睨み合う事、数分。やがてプロフェッサーGは鼻を鳴らして沈黙を破る。

 

「ふんっ、分かったわい。お主の思惑に乗ってやろう。ハワード達が来たら、ピースミリオンまで連れて行ってこっちに持ってくるように言う。それで良いな?」

 

 何故急に態度を変えたのかは分からないが、このままではピースミリオンの出番がなくなると思ったのか、それとも別の理由があるのか……プロフェッサーGはそう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1125
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1327

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