転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1648話

 プロフェッサーGがやってきて、数日。

 老師Oと共に、デスサイズヘルやアルトロンガンダムについての話を進めてはいるようだが、やはりそう簡単にはいかないらしい。

 そもそも、デスサイズヘルやアルトロンガンダムというのは、あくまでも原作知識を持っている俺だからこそその名称を口にしているだけであって、実際にはまだそんな名前は影も形も出て来ていない。

 

「OZとバートン財団が動きを見せないのは、何故だと思いますか?」

 

 そう俺に尋ねてきたのは、ギンター。

 セプテムの後継者という意識もあるのか、ギンターは結構シャドウミラーのたまり場となっている部屋に顔を出す。

 ……まぁ、その理由の大部分は、俺達が目当てじゃなくてシャドウミラーと……具体的には凛と行動を共にしているシルビアを目当てにしてのものだろうが。

 

「どう、と言われてもな。OZはバルジが消滅した事で戦力の立て直しが出来ていない。いや、不可能に近くなったんだろうし、バートン財団の方は元々X-18999コロニーから逃げ出した時に持ち出せた財産やら資源やら戦力やらが少ないの原因だろうな」

 

「それは分かっています。ですが、それでも戦力が少ないなりに、何らかの動きを見せてもいいと思うのですが。別に積極的にこちらに攻撃を行うといった動きではなくても」

「……まぁ、戦力を回復させようとしているのなら、表だった動きは見せなくても、資源や人の動きで分かるかもしれないわね」

 

 ギンターの言葉に、凛が呟く。

 ……猫被りはいいのか? と一瞬思ったが、まぁ、凛がいいと思ったら別にいいのだろう。

 シルビアとの関係から、弄りやすいと思ったのかもしれないが。

 デュオがどこか安堵したような表情を浮かべているのは、ギンターが自分の弾よけになってくれるかもしれないと、そう期待しているからか。

 

「当然その辺りは連合軍の方でも追わせています。ですが、残念ながらと言うべきか……未だにその辺りの情報は掴めていません」

「連合宇宙軍の諜報機関が弱いのか、それとも向こうが一枚も二枚も上手なのか」

「出来れば、後者だと思いたいですね」

 

 凛とギンターの会話を聞きながら、俺は紅茶に口を付ける。

 

「ただ、この膠着状態は連合軍にとっても決して悪いものじゃないだろ? 何しろ、今の連合軍のパイロットはまだまだ技量が低すぎる。それこそ、MDと正面から戦えば甚大……なんて言葉じゃ、言い表せないだけの被害を受けるだろうし」

 

 連合軍のパイロットも、MDの存在を知ってからは必死に操縦訓練に励んでいる。

 だが、操縦技能が一朝一夕で上がる訳ではない。

 ……まぁ、地球で俺達がエアリーズ部隊にやったように、毎日何度も模擬戦を行うような真似をすれば可能だが、あれは地上で……それもあの時期だったからこそ出来た事だ。

 このD-120コロニーでそのような真似が出来ない理由としては、環境の違いがある。

 生身で宇宙空間に出ても平気な俺と違い、普通の人間は生身で宇宙空間に出るような真似は出来ない。

 だからこそ、模擬戦を行う度に機体のチェックは厳重に行わなければならない。

 また、何よりも問題なのは、現在は膠着状態ではあるが、あくまでも内乱の最中だという事だ。

 つまり、体力ギリギリになるまで訓練を行った時にOZやバートン財団が攻めてくるような事になったらどうするか。

 正直なところ、攻めるという意味ではシャドウミラーがいれば安全だが、防衛戦という意味ではシャドウミラーは苦手だ。

 これは、ホワイトスターの方に残してきた方もそうだが、少数精鋭であるが故のジレンマと言ってもいい。

 あらゆる場所から同時に攻撃された場合、数が少ないが故に防御するのが難しくなってしまう。

 ……まぁ、ホワイトスターの方ではメギロートやイルメヤ、バッタのような無人兵器も多いんだが。

 ともあれ、今のこっちでは包囲するようにこのD-120コロニーに攻めてこられるような事があった場合、シャドウミラーだけで守り切るのは難しい。

 そんな訳で、連合軍の存在は必須になる訳だ。

 それが原因で十分な訓練が出来ないというのは、何だか間が抜けているような気がしないでもないが。

 

「そう言われると、こちらとしては何も言えないんですけどね。……それより、アクセル代表のトールギスというのは、全てのMSの雛形となった機体だという話を聞いたんですが、それは本当ですか?」

 

 唐突に話を逸らすな。

 本当にトールギスについて気になったのか、それともシルビアの前で連合宇宙軍の駄目なところを指摘されるのを避けたかったのか。

 理由は分からないが……ともあれ、ここはその話に乗ってやろう。

 

「ああ、そうだ。トールギスはプロトタイプ・リーオーとも呼ばれている。実際、トールギスの廉価版……いや、これだと少し言葉が悪いか。量産型がリーオーだしな」

 

 トールギスの頭部を覆っているヘルメットのようなパーツを外せば、そこにリーオーにそっくりな顔がある。

 それを見れば、間違いなくトールギスがリーオーとの間に開発上の系譜があると理解出来るだろう。

 リーオーは、連合宇宙軍の中でも主力MSだ。

 それだけにギンターもトールギスとの関係が気になったのかもな。

 そんな風に、何をするでもなく話をしながらゆっくりとした時間を過ごしていると……不意に、部屋の通信装置が音を鳴らし、着信を知らせる。

 何だ?

 

「あ、私が」

 

 誰かが立ち上がるよりも前に、真っ先にシルビアが立ち上がり、通信機に向かう。

 何だかんだと、こういうところでは気が利くんだよな。

 だからこそ、連合軍の軍人にも人気があるんだろうが。

 

『……シルビア?』

「セプテム将軍、こちらシャドウミラーの控え室です」

 

 まさか最初に通信に出るのがシルビアだとは思わなかったのか、映像モニタに映し出されたセプテムは一瞬だけ驚きの表情を浮かべる。

 だが、すぐに我に返ると、改めて口を開く。

 

『アクセルに代わってくれ』

「はい、分かりました。……アクセルさん」

「ああ」

 

 セプテムの声が聞こえていたのだから、俺はそのまま移動して通信装置の前に立つ。

 

「で、俺に用件だって?」

『ああ。シャドウミラーに出撃を要請したい』

「……俺達に出撃を要請するってことは、OZでも攻撃を仕掛けてきたか?」

『いや、バートン財団の方だ。こちらの情報員が、小惑星帯の1つにバートン財団の者達が潜んでいるのを見つけた。勿論そこにバートン財団の全員がいる訳ではないだろうが、それでも叩ける内に叩いておきたい』

「……それなら、別に俺達を出す必要はないと思うが?」

 

 連合宇宙軍のパイロットの練度は低いが、それでも壊滅的という訳ではない。

 あくまでも平均的なものか、あるいは多少上下するだけだ。

 そう考えれば、OZならともかく、ろくに戦力が残っていないだろうバートン財団を相手にするには連合宇宙軍のパイロットだけで十分だと思うが。

 念の為に俺達をという考えもあるのかもしれないが、それだと本当の意味で一流のパイロットが育つのは難しい。

 だが、そんな俺の予想とは裏腹に、セプテムは首を横に振る。

 

『違う。いや、アクセルが言ってる事は正しいし、その理由も分かる。だが……今回は兵士達のバックアップとして出撃して欲しいと言ってる訳じゃない。実は、バートン財団が隠れている小惑星だが、どうやら内部にトーラスの製造工場がある疑いがある』

「……なるほど。それが狙いか」

 

 宇宙におけるバートン財団の影響力の高さを考えれば、OZからトーラスの設計図を入手し、それの製造ラインを作るといった事はそう難しい話でもない。

 そして連合宇宙軍の主力は未だにリーオーだ。

 勿論リーオーでも数の差でトーラスに勝つのは可能だろう。

 だが、それでもトーラスを入手出来るのであれば、より高性能機が欲しいと思うのは当然だろう。

 特にトーラスの主武装であるトーラスカノンは、連合宇宙軍のパイロットのように突出した技量を持たない者達が集団で攻撃をするという点では非常に優秀だし。

 そんなトーラスの製造工場だが、技量が未熟であるが故に……下手をすれば、制圧するよりも前に破壊してしまう可能性があった。

 そう考えれば、セプテムが俺達シャドウミラーに今回の件を頼んでくるのも分からないではない。

 

「凛、どう思う?」

「幸い今は膠着状態で動きがないし……いいんじゃない? ただ、当然報酬次第だけど」

 

 凛の声が聞こえたのだろう。映像モニタの向こう側で、セプテムは微かに眉を顰める。

 その気持ちは分からないではない。

 俺達シャドウミラーは腕利きが揃っている。

 だが、腕利きが揃っているからこそ、その報酬も高額となるのは当然だった。

 これまでにもガンダニュウム合金を含めて色々とシャドウミラーに支払っているだけに、連合宇宙軍を指揮する立場としては色々と思うところがあるのだろう。

 その分の働きはしてきたという自負があるし、実際にそれだけの結果は残してきたのだから、向こうもシャドウミラーを動かすには色々と高くつくが、それだけの価値があると判断してるんだろうけど。

 

『勿論報酬は支払う。金額については、担当の者と交渉して欲しい。……ただ、出来ればお手柔らかに頼む』

 

 セプテムの視線が向けられてそう尋ねられた凛は、笑みを浮かべて口を開く。

 

「どうでしょうね。その辺りはそちらから提供される報酬に掛かっていると思います」

『……その旨、きちんと通達しておこう。それで、小惑星を攻略する際には、トーラスの生産ラインを抑えて調べる面子も戦艦で一緒に連れて行って欲しい』

「まさか、戦闘に参加させるなんて事は言わないよな?」

 

 普通の戦闘だったら、X-18999コロニーを攻略した時のように連れて行っても構わないんだが……今回の場合、相手がコロニーではなく小惑星。それもトーラスの製造工場だ。

 下手に連合宇宙軍のパイロットを連れて行った場合、そっちに被害が出る可能性は十分にある。

 セプテムもそれは理解しているのだろう。俺の質問に、頷きを返す。

 

『勿論だ、連れて行くのはあくまでも生産工場の状態を確認出来る者達だ。一応護衛として何人かMSパイロットを連れて行って貰う予定だが、そっちはあくまでも護衛だ。それに……小惑星ということは、移動出来るかもしれない。その生産工場をこのコロニーの近くまで持ってくる事も検討する必要があるから、そのメンバーも含まれる』

「まぁ、そのくらいならいいか。……それで出撃はいつになる?」

 

 生産工場の占拠で余計な手間が掛からないのなら、それこそ幾らでも人員が増えて構わない。

 それこそ、人数が多い方がその小惑星の接収も楽に進むだろうし。

 

『今すぐ……と言いたいところだが、そちらはともかくこちらの用意が調っていない。出撃するメンバーを選抜し、今回の件の説明をするとなると……明日の早朝で構わないか?』

「ああ、構わない」

 

 ここは宇宙で、昼夜関係ないと言えば関係ないんだが……一応コロニー内でも明かりの調整をして、朝昼夜という時間帯は作っている。

 全ての場所で行われてる訳ではないけどな。

 それこそMS格納庫とかでは、忙しい時になると2交代制、3交代制といた風に昼夜関係なかったりする。

 

『そうか、では、詳しい時間は今日の夜にでも連絡する。そちらも出撃するメンバーの準備を整えておいてくれ』

 

 そう告げ、セプテムからの通信が切れる。

 向こうも俺達に同行するメンバーの準備とかがあるんだろう。

 いや、寧ろ少人数な俺達シャドウミラーとは裏腹に、人数が多いだけに準備は余計に手間が掛かりそうだ。

 

「それで、シャドウミラーからは……まぁ、いつもの実働班だけでいいか」

 

 俺、綾子、五飛、デュオの四人。

 それと連合軍からの連絡役のサリィ。

 そのメンバーは当然といった風に頷きを返す。

 実際問題、凛やシルビアを連れて行っても、今回は役にたたないしな。

 ああ、でもシルビアに場数を踏ませるという意味ならいいのか?

 

「アクセル、老師O達はどうする?」

「……そう言えば、そっちもいたか」

 

 この基地にやって来てから、殆ど部屋に篭もりっぱなしの2人の事を思い出す。

 いや、部屋に篭もりっきりってのは、俺からの要求が高かったから仕方がないんだが。

 デスサイズヘルとアルトロンガンダム……そしてウイングゼロ。

 前2つは、本来なら5人の技術者が協力しての作業を2人でやって貰っているし、ウイングゼロに関しては2つの仕様を1つに纏めるという無茶をやって貰っている。

 その辺りの事情を考えれば、科学者2人が今のような状況になっているのは、そうおかしな話ではない。

 

「一応聞いてみてくれ。多分自分達の仕事に集中したいと言うと思うけど……もしかしたら、何かの理由で一緒に行くと言うかもしれないし」

 

 あの2人は、完全にシャドウミラーに所属しているというよりは、体験入社に近い。

 無理に言う事を聞かせるような真似は出来ない以上、しっかりと話を通しておく必要があるのだから。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1125
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1327

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