転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1622話

 は? 何を言っている?

 それが通信を聞いた時の、俺の正直な気持ちだった。

 そして同時に加速の効果が切れ、アレックスが乗っているかもしれないキャンサーがこっちとの距離を縮めようとし……

 

「取りあえず、お前はここで落ちろ!」

 

 両肩のマシンキャノンをキャンサーへと撃つ。

 だが、キャンサーはそれを察していたかのように岩陰へと隠れ、同時にパイシーズや他のキャンサーが纏めてこっちに向かってくる。

 ちっ、愛でも使うべきだったな。

 ともあれ、向こうから集まってきてくれたのならこっちとしても助かる。

 距離が縮まった事でこっちに撃たれる魚雷の数は増えたが、狙いそのものは今逃がしたキャンサーよりは甘い。

 更にキャンサーとの戦いで海底付近まで下がっていた為、向こうだけではなくこっちも岩を盾として使う事が出来る。

 爆発により次々と海底の岩が破壊されていくのを眺めつつ、一気に間合いを詰める。

 こっちに集まってきたキャンサーに近付くと、シールドの裏からビームサーベルを抜き、キャンサーの装甲付近で起動させ……次の瞬間にはキャンサーはコックピットを貫かれて海底へと落下していく。

 以前までのトールギスであれば、水中でビーム兵器を使うという真似は出来なかっただろう。

 だが、関節部分に使ったガンダニュウム合金のお陰で、短時間……それこそ、ほんの数秒……どんなに頑張っても10秒程度ではあるが、トールギスも水中でビーム兵器の使用が可能になった。

 ああ、ガンダニュウム合金のシールド云々って考えたけど、もしシールドをガンダニュウム合金にすれば、そっちでもビームの威力は多少なりとも上がるのか。

 もっとも、フルガンダニュウム合金製MSのデスサイズみたいに、制限が全くなく水中でビーム兵器を使う事は出来ないだろうが。

 そんな風に考えながら、キャンサーとパイシーズを1機、2機、3機と次々に落としていく。

 まだ敵MSは残っていたが、勝ち目はないと判断したのだろう。四散するように残りのMSがここから離れていく。

 それを追撃してもいいのだが、今はそれよりも前にやるべき事がある。

 

「それで、サリィ。基地が所属不明勢力に襲われてるって話だったが?」

『はい。……その、急に入って来た連絡だったのでそちらにお知らせしましたが、もしかして不味かったですか?』

 

 不味かったと言えば不味かったのだろう。

 もしサリィからの通信が入っていなければ、あの時キャンサーを仕留められた筈なのだから。

 だがそれでも、向こうでこっちの様子を逐一承知している訳ではない以上、仕方がない。

 

「いや、気にするな。敵を1機逃がしただけだ」

 

 正確には今倒しきれなかった敵も逃がしたのだが、それはいいだろう。

 

『そうですか。……申し訳ありません』

「だから気にするなって言ってるだろ。それでだ。向こうの基地が襲われているってのは本当か?」

『はい、間違いのない事実です。それもOZの基地を襲った所属不明勢力だと思われます』

「何でそれが分かる? 別にOZではないと宣言した訳でもないだろ?」

 

 リーオーや、ましてやトラゴスを使う事は少ないOZだが、皆無という訳ではない。

 事実、原作でもOZはマグアナック隊が拠点としている砂漠の街を攻撃する時にトラゴスを使っていたし。

 勿論主力が空戦MSのエアリーズだというのは、間違いのない事実なのだが。

 

『こちらにも色々と情報網はあるという事です。特に現在のOZが押されている状況下では』

「……なるほど」

 

 その言葉で理解出来た。

 恐らくOZが連合軍にスパイを潜入させてるように、連合軍もOZにスパイを潜入させているのだろう。

 勿論それは以前から行われていたが、宇宙ではバルジが……地球上でも物量でOZの思い通りに戦いを進められないのであれば、OZを見限る者も出てくる。

 プライドの高いOZの兵士だが、全員がOZに……トレーズに忠誠を誓っている訳ではない。

 将来的にOZが負けると考えれば、連合軍に内通する事を考える奴が出て来てもおかしな話ではなかった。

 

「情報源は聞かないが、それは確実だと思っていいんだな?」

『はい。OZでないのは確定です。そうなると、連合軍の部隊が裏切ったのか、それともOZの基地を攻略した所属不明勢力……いえ、第3勢力か』

 

 ……さて、問題はこれからどうするかだ。

 取りあえず俺と戦ったMS部隊はかなり撃墜されて戦力が大幅に減った。

 五飛とデュオの方はどうなったのか分からないが、この程度の戦力を相手にガンダムとそのパイロットの心配するのは馬鹿らしい。

 だとすれば……

 

「サリィ、基地の方の攻撃はどうなっている? こっちにかなりの戦力が来たが……」

『問題ありません。綾子が空中から攻撃して何機か撃破して、残った敵は追い払う事に成功しました』

「……そうか。なら、もうこの基地は安全だと考えてもいいんだな?」

 

 その言葉で俺が何を考えているのかを理解したのだろう。

 サリィは真面目な表情のまま頷きを返す。

 

『はい。ですが、この基地としては……』

「分かってる。襲われたばかりだから、俺達を帰したくはないんだろ?」

 

 この基地の司令官……いや、基地の軍人の大多数に言える事だろうが、OZの水中MS部隊に攻撃を受けたのだ。

 いや、これが普通のMS部隊であれば、そこまで恐れるような事はなかっただろう。

 だが、この部隊は降伏をしても受け入れず殲滅するような者達である以上、そんな相手に襲われた直後にその部隊に対して大ダメージを与えた俺達を放り出す訳にもいかない。

 

『……申し訳ありません。上からの指示を貰って、対処する予定です。アクセル代表達は、MS輸送機の方に戻って下さい』

「分かった、頼む」

 

 そう告げ、通信を切り……一応、といった風に五飛とデュオに通信を送る。

 

「そっちは無事……だというのは分かりきってるから聞かないが、敵部隊はどうした?」

『殆ど倒したが、幾らか逃げられたな』

『あー、悪い。こっちも同じくだ。陸上ならともかく、海中でOZの新型を相手にするってのはちょっとな。せめてこっちに攻撃してくるんならともかく、全員がバラバラに逃げるしよ』

 

 五飛とデュオも、どうやら俺と同じような目に遭ったらしい。

 ……水中用MS部隊、ここで捕り逃がしたのが後で大きな傷にならないといいんだけどな。

 

「分かった、MS輸送機に戻れ。俺達は至急基地に戻るぞ」

『はぁ!? 何でそんなに急いでるんだよ』

 

 その言葉に、そう言えばサリィの通信を聞いたのは俺だけだったと思い出す。

 

「俺達が拠点にしている基地が、例の所属不明勢力に襲われているらしい」

『何だと?』

 

 こちらはデュオではなく、五飛の鋭い声。

 

「まるでタイミングを計ったかのように襲ってきた事を考えると、もしかしたらOZはその所属不明の勢力……第3勢力と手を組んだのかもしれないな」

『おい、ちょっと待てよ。その第3勢力ってのは最初にOZの基地を攻撃したんだろ? なのに、何でOZと手を組んでるんだよ?』

「さあな、これは状況証拠から考えた、俺の予想でしかない。もしかしたら、実は単なる偶然の可能性もある。ただ……第3勢力としては、結構上手い選択だと思うけどな」

『そうだな。最初に自分達がOZの基地を陥落させることが出来るだけの力があると見せつけ、その後に交渉。……現状で連合軍に対して形勢不利なOZとしては、基地を陥落させられたという事で思うところがあっても、その交渉を引き受けざるを得ない』

「そうなるな」

 

 五飛の言葉に頷きを返す。

 ただ、OZの場合は自分達がエリートだと高いプライドを持っている者が多い。

 そのプライドを叩き潰した連中と手を組んだ事に暴発する可能性というのは、十分あるだろうが。

 寧ろ連合軍としては、OZと第3勢力の間で戦いが起きるというのは大歓迎だろう。

 どちらも敵である以上、寧ろ好きなだけ争って欲しいと思うのは当然だった。

 まぁ、OZの方でも末端の兵士はともかく、上の方は情勢を読んでそんな真似はしないだろうが。

 

『何だか、色々と目茶苦茶になってきたな。まぁ、話は分かった。ならさっさと帰ろうぜ。アクセルも凛が心配だろうし?』

 

 最後はどこかからかうような視線を俺に向けてくるデュオ。

 だが、それに対して俺は軽く肩を竦める。

 

「凛がMSに襲われた程度でどうにかなると思うか?」

『う゛っ! ……そ、そう言われれば……あいつが死ぬようなところが想像出来ねえ』

「だろ? ただ、自分が襲われているのに俺達が助けに来なかったと知ったら、かなり怒るのは間違いない。だからさっさと戻るぞ」

 

 そう言いはするものの、実際に凛の事を心配していないかと言えば、否だ。

 凛の力……魔術を考えれば、恐らくどうとでもなるのは間違いない。

 だからと言って全く心配していないかと言えば、答えは否なのだ。

 

「とにかく、OZの水中用MS部隊には壊滅……とまではいかないが、それでも大きなダメージを与える事が出来た。出来れば壊滅させたかったが、今は仕方がないだろう」

 

 アレックスが乗っているだろうキャンサーを逃したのは痛かったな。

 出来ればあそこで仕留めておきたかったんだが……まぁ、その代わりに水中用MS部隊は大きな被害を受けたのだ。

 あれを立て直すには相応の時間が必要になるだろう。

 完全に安心するのはまだ早いが、それでも数時間、数日、もしく数週間は安心だと思う。

 いや、数週間は安心出来ないか?

 OZは元々精鋭揃いだ。ある程度の技量の持ち主を集めようと思えば、そう難しい話ではないだろう。

 MSの方も、ロームフェラ財団の財力を考えれば、調達するのは難しい話ではない。

 となると……最短ではやっぱり数日程度で安心出来る時間は終わるか?

 連合軍みたいに、色々といらない手続きを必要としているとかになってくれればいいんだが。

 ロームフェラ財団なのだから、その手の手続きにも伝統的に……無理か?

 

『そうだな。ま、ここで大人しくしてて凛にネチネチ言われるのは嫌だし、さっさと行こうぜ』

『異論はない』

 

 デュオの言葉に、五飛までもが即座に頷く。

 まぁ、デュオが来る前は五飛も結構凛にからかわれてたからな。

 そういう意味では、寧ろシャドウミラーに所属したばかりのデュオより、五飛の方が凛を……あかいあくまと呼ばれた女の本性を知っていてもおかしくはない。

 恋人の俺もまた、早く戻るという言葉には当然異論はない。

 凛は一旦拗ねると機嫌を直すのが大変なんだよな。

 前にもちょっとしたプレイを……凛が恥ずかしがってしなかったような行為をした時には拗ねて、ガンドが大量に飛んでくる羽目になったし。

 ともあれ、凛はあまり怒らせない方がいいというのは、ここにいる全員の一致した意見だった。

 そうして意見が一致した後、俺達はすぐに水中から上がってMS輸送機へと向かう。

 出来れば海水を洗い流してからMS輸送機に乗りたかったんだが、今はそんな時間はない。

 MS輸送機の格納庫は、整備員に……そして向こうの基地から人員を借りて頑張って貰う事にしよう。

 機体の洗浄は、向こうに戻ってからだな。

 そうして海中を出てMS輸送機に向かっていると、やがて数機のMSが姿を現す。

 一瞬敵か? と思ったが、そのMSがリーオーで、更に敬礼をしているとなれば、こっちの邪魔をするつもりはないのだろうと理解出来た。

 ……へぇ。サリィの言葉から、てっきりこの基地の司令官は俺達を逃がすような真似はしないと思っていたのだが。

 それとも、司令官はそう思っていても兵士達は感謝しているのか?

 それが正しいのかどうかは分からないが、それでも大人しく俺達を見送ってくれるというのなら、こちらとしても助かる。

 MS輸送機に向かって進んでいくと、やがてシェンロンガンダムとデスサイズもこちらに合流してくる。

 さすがガンダムと言うべきか、2機とも損傷の類はない。

 まぁ、元々ガンダムはOZのMSとは一線を画した性能だし、分からないでもないが。

 ましてや攻撃が命中しても、ガンダニュウム合金製のガンダムに被害を与えるのは難しいだろう。

 

『アクセル』

 

 映像モニタに映し出されたのは、綾子。

 トーラスでMS輸送機の護衛をして、海中のパイシーズやキャンサーに攻撃を仕掛けていたんだったな。

 

「綾子、話は聞いてるな?」

『ああ。MS輸送機の方は既に補給も済ませていつでも出撃出来るようになっている』

 

 そう俺に告げてくる綾子だったが、その表情に焦りの色はない。

 まぁ、凛と一番長い付き合いなのは綾子だしな。

 聖杯戦争が始まる前から凛とは付き合いがあり、聖杯戦争では半サーヴァントとなって巻き込まれ、その後はイギリスに一緒に留学し……と、過ごしてきたのだ。

 それだけに、凛の能力については十分に理解しているのだろう。

 

『早く帰ろう。遅くなれば、凛から嫌味を言われるぞ』

 

 ……うん、死ぬとかは心配してなかったけど、そっちの心配はあったな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1065
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1315

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