転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1602話

 唐突に鳴り響いた警報。

 もしかしてルクセンブルク基地にOZが攻撃を仕掛けてきたのか?

 そうも思ったが、現在のルクセンブルク基地にシャドウミラーがいるというのは、当然のようにOZも知っているだろう。

 その上、以前シャドウミラーによって多くの被害を出したのに加えて、今はデュオとデスサイズの姿もある。

 ……シャドウミラーにガンダムとそのパイロットが追加されたというのは、当然のように連合軍が格好の宣伝材料として使っていた。

 また、ルクセンブルク基地にもOZに繋がっている者は必ずいる筈であり、そちらから情報が流れているのも間違いはない。

 勿論OZは、コロニーのテロリストを戦力に加えている連合軍に、大義はないといった風に言ってるが。

 ともあれ、シャドウミラーに更に戦力が加わったというのを知っているOZが、今更ルクセンブルク基地に攻撃を仕掛けてくる……というのは、少し理解出来ない。

 向こうにとって、何か連合軍とシャドウミラーに必ず勝てると考えられる要素……MDか? それとも……トールギスの2号機?

 

「アクセル代表! ここにいましたか! 急いで司令室までおいで下さい!」

 

 切羽詰まった声の持ち主は、シャドウミラーと連合軍の連絡役をしているサリィ。

 その言葉通り、表情も厳しく引き締まっている。

 そんなサリィに頷き、司令室へと向かって駆け出す。

 サリィの速度に合わせているので、置いていく事はない。

 司令室へ向かって走りながら、隣のサリィへと尋ねる。

 

「それで、何があった?」

「……OZです」

「本気でこの基地に攻めてきたのか?」

 

 もしかしたらそうじゃないかと予想はしていても、まさか本当に攻めてくるとは思わなかった。

 

「はい。……ただし、攻めて来ているのはMSが20機程度の集団です」

「……何?」

 

 再び唖然とする。

 元々OZは少数精鋭だが、それでもこの程度の数でルクセンブルク基地を攻略出来るなどとは思ってもいないだろう。

 だが、それでもやってきたという事は……間違いなく、何かがあるのが決定した訳だ。

 

「それで、何があった?」

「今回のOZの部隊を率いているのは、レディ・アン二級特佐です」

「うわぁ……」

 

 その名前を聞いた瞬間、思わずそう口にしてしまった俺は決して悪くはないだろう。

 このW世界の中で、最も関わり合いになりたくない人物。

 以前は五飛も関わり合いになりたくなかったのだが、今はシャドウミラーに入ってそれなりに理解出来るようになってきている。

 だが……レディ・アンだけは別だ。

 生粋のトレーズ教の信者であり、トレーズの為なら何をやってもいいと思っている人物。

 少なくても進んで関わり合いになりたいとは思えない相手だ。

 そのレディ・アンがここに来たという事は、間違いなくこのルクセンブルク基地を攻める切り札があるのだろう。

 ……もしかして、本気でMDか?

 まぁ、エアリーズをMDにすれば、連合軍のパイロットでは勝ち目がないのは明らかだ。

 だが、それでもMSを20機程度で来るか?

 MDは確かに一定の技量以下の者達にとってはどうしようもない程の強敵だ。それは認める。

 しかし……MDであっても、結局はただのエアリーズでしかない。

 これがビルゴやビルゴⅡであれば強力なバリアがあるので絶望的だっただろうが、エアリーズにそんなバリアは存在しない。

 だとすれば、それこそ連合軍が得意な人海戦術……逃げ道がない程に密集して攻撃をするような真似をすれば、MDのエアリーズであっても回避は出来ないだろう。

 となると、一体何があった?

 そんな疑問を感じている間にも走り続け、俺達はやがて司令室へと到着する。

 警護の兵士が俺の顔を見るとすぐに通し、部屋の中へと入り……

 

「どうすればいいんだ! 宇宙にいる同胞を見捨てるつもりか!?」

「くそっ、だから地上よりも宇宙を重視しておけばよかったんだ! 何だってOZにあんな物を……」

「今更そんな事を言っても意味がないだろ! とにかく、どうにかしないと宇宙の被害は馬鹿にならない!」

「戦うだけならまだしも……」

 

 司令室にいる軍人達が、それぞれに騒ぎながら言い争いをしている。……一応会議か?

 

「アクセル代表を連れてきました!」

 

 サリィの叫び声が司令室の中に響く。

 すると、つい数秒前までは騒いでいた連中がすぐに黙り込み、俺へと期待の視線が向けられた。

 

「そんな視線を向けられてもな。そもそも、何がどうしてこうなったのか、事情を説明してくれないか?」

「あ、ああ。その……これを見てくれ。先程OZから送られてきた映像だ」

 

 軍人の1人が、俺の言葉に頷くとコンピュータを操作して映像モニタに何らかの映像を映し出す。

 この流れだと……

 そんな俺の予想通り、映像モニタに映し出されたのはレディ・アンだった。

 

『通告する。すぐに無条件降伏し、シャドウミラーの機体をこちらに引き渡せ。猶予は私達がその基地に到着してから5時間とする。もし降伏をしなかった場合、宇宙にある連合軍の基地、そしてコロニーはバルジによって滅ぼされるだろう。繰り返す、無条件降伏し、シャドウミラーの機体を我々に引き渡せ』

 

 そこまでを告げると、レディ・アンの表情には笑みが……嘲笑が浮かぶ。

 

『もっとも、貴様等連合軍が宇宙にいる同胞を見殺しにするというのであれば、精々抵抗するといい。また、ガンダムのパイロットとしてコロニーを見捨てるという選択肢を取るのもいいだろう。……それを選ぶのはそちらであり、選択肢はそちらにあるのだからな』

 

 その言葉と共に、映像が終わる。

 

「……なるほど。こう来たか」

 

 司令室にいる軍人達が、揃って騒いでいる理由が理解出来た。

 その軍人達の視線が向けられているのを理解しながら、考える。

 バルジでコロニー……もしくは連合軍の宇宙基地を脅す。

 原作だとトーラスを宇宙に送るという風に装い、ガンダムを誘き寄せていた。

 そしてコロニーを人質にしてガンダムを入手しようとしていたのだ。

 結局はヒイロの自爆とトレーズの『エレガントではない』という判断により、済し崩しになったが……この歴史ではガンダムではなく、俺達シャドウミラーを相手にしてこの作戦が行われた訳だ。

 ……さて、これからどうするかだが、これは決まっている。

 というか、寧ろある意味でこの展開を狙っていたと言ってもいい。

 バルジのビーム砲は程々の威力――あくまでジェネシスに比べてだが――であり、宇宙での戦闘で有効に使える兵器だ。

 もし入手出来れば、ニヴルヘイム以外にもう1つ、別の宇宙要塞を入手出来る事になる。

 あるいは、ニヴルヘイムの武器として使うのもありか?

 まぁ、どう使うのかは今考える事ではないが、バルジは俺がこのW世界で入手しようと思っていた物の1つだ。

 どこにあるのかはOZの方でもかなり厳重に秘密にしていたので、迂闊に手が出せなかった。

 だが……今なら、バルジがどこにあるのかがはっきりしている以上、こっちとしても手の出しようがある。

 勿論バルジを入手するには、色々と厳しいものがあるのは事実。

 そもそも、俺の空間倉庫に入れる事が出来るのはあくまでも生き物以外だ。

 つまりバルジの中に1人でも人間がいれば、その時点で空間倉庫に収納は不可能になる。

 それをどうクリアするのか……その辺が大きな問題になるだろう。

 バルジはOZの宇宙における本拠地だ。

 そのバルジには、当然大勢のOZがいる。

 それをどうにかバルジから追い出し……そうする事により、ようやく空間倉庫に入れる事が出来るのだ。

 だが、今回の件はそれだけの苦労をする旨味がある。

 バルジのビーム砲……面倒臭いな。バルジ砲でいいか。ガンダニュウム合金製のMSやプラネイトディフェンサーを装備しているビルゴⅡですら消滅させるだけの威力を持つバルジ砲は、OZの心の支えと言ってもいい。

 そのバルジがなくなってしまえば、取りあえず宇宙のOZについては心配する必要もなくなるだろう。

 ……勿論、バルジのような宇宙要塞がいきなり消え失せるのだから、大きな騒動になるのは間違いない。

 OZの人間の中でも鋭い者なら、これまで何度か行われてきたOZの基地のMS消失事件と関連づける者もいるだろう。

 そうなれば、自然と一番最初のMS消失事件……トールギスを保管していたコルシカ基地の件から、俺を怪しむ者が出てこないとも限らない。

 まぁ、バルジとMSという大きさの違いから、そう簡単に俺に向かって疑惑の視線を向けてくるかどうかは分からないし……何より、ここ最近OZの基地が襲われている時と同様に、俺にはアリバイがあるのだから。

 

「アクセル代表、何か意見の方は……」

 

 考え事に熱中してしまったせいか、軍人の1人が改めて俺へと意見を尋ねてくる。

 

「ああ、悪い。どうすればいいのか考えていたんでな。ただ、どう行動するにしろ、今の俺達はあくまでもノベンタに雇われている傭兵だ。だとすれば、俺達が何か行動を起こすにもノベンタ達の意見を聞く必要がある。そっちの方はどうなんだ? 当然もう連絡をしたんだろ?」

「はい。ですが、いきなりの事ですので、ニューエドワーズ基地でも色々と混乱しているようで」

 

 連合宇宙軍のトップのセプテムが地球にいるというのも大きいだろう。

 本来なら、それこそセプテムが宇宙で連合軍を指揮してOZに対処しなければならなかった筈なのだが。

 

「なら、そっちが決まってからどうするかを俺に知らせてくれ。勿論何か行動を起こす時は別途凛と交渉して貰う必要があるけどな。……出来るだけ早く行動方針を示してくれる事を祈る」

 

 それだけを告げると、司令室を出ていく。

 サリィが何か言おうとしていたが、今はそれどころではないので聞き流す。

 今回の件は猶予時間がまだ結構あるが……うん? 本当にあるのか?

 通路を歩きながら、先程のレディ・アンの通信を思い出す。

 基地に到着してから5時間……何でそんなに待つ必要がある?

 レディ・アンの性格を考えれば、それこそ基地に到着した時までに返答をするようにと言ってきてもおかしくはない。

 ……だとすれば、何かあるのか?

 なら、こっちも素早く行動に出る必要があるな。

 

「アクセル!」

 

 通路を歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 視線を向けると、そこにいたのは凛と綾子。

 どうやら2人揃って俺を探していたらしい。

 まぁ、非常警報が鳴ったんだし、シャドウミラーとしてはそれが正しい判断か。

 

「五飛とデュオはどうした?」

「一応格納庫に向かってる。……OZが攻めて来たんじゃないのか?」

「そうだな、それも間違ってはいない。とにかく、すぐにどうこうって訳じゃないから、一度俺の部屋に行くか。色々と相談したい事もあるしな」

 

 その言葉に2人揃って首を傾げ……だが、それでも今はルクセンブルク基地で急ぐべき事態ではないと判断したのだろう。黙って俺の後へとついてくるのだった。

 

 

 

 

 

「って、大変じゃない、それ!?」

 

 俺の部屋へと到着し、何故緊急警報が鳴ったのかの説明をすると、凛が驚きのあまり大声を上げる。

 綾子の方も大声を出してはいないが、驚いているのは間違いないのだろう。

 目を大きく見開き、驚愕の視線を向けてくる。

 

「そうだな。ただ、これは危機であると同時にチャンスでもある」

 

 誰だったか……ピンチはチャンスと紙一重とか、何かそんな事を言っていたように思うんだが。

 今回の件は、正にそれだと言っていいだろう。

 

「チャンス? 何が?」

「バルジを入手出来るチャンスだよ」

「……アクセル、一応聞くけど本気で言ってるよね?」

「ああ。以前に似たような経験が何度かあるしな」

 

 最初はホワイトスター、続いてジェネシス……普通ならまず有り得ない経験なのだが、幸か不幸か俺の場合はその経験に関してはこれ以上ない程にある。

 いや、何だかんだと2回なんだし、これ以上ない程って訳でもないか?

 それでも経験がある以上、何も知らずに初めてやるよりはいい。

 

「……アクセルだものね」

「アクセルだもんな」

 

 凛と綾子がそれぞれ呆れた様子で呟く。

 

「止めてって言っても止まらないんでしょ?」

「そうだな。これは絶好のチャンスだ。止めるという選択肢はない」

 

 というか、下手をすればゼクスの手で原作通りに真っ二つになる可能性もあるんだよな。

 既に原作とは全く違う歴史になってはいるが、それでも完全に安心出来る程ではない。

 何かちょっとした間違いがあれば、ゼクスがホワイトファングを率いる事になりかねない。

 その辺りを考えると、多少危険でも入手出来るうちに入手しておいた方がいい。

 

「残念なのは、この件で連合軍に請求出来ない事かしら」

 

 少し……それでいながら、本当に残念そうに凛が呟く。

 これから起こるバルジ消失は、俺が関わっているとは知られてはならないのだから当然だろう。

 

「……気をつけてね」

「アクセル、無事に戻ってきてくれ」

 

 凛と綾子の2人と唇を重ね、俺は影のゲートを使って早速行動に移るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1309

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