転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1581話

「……は?」

 

 デルマイユの屋敷を破壊し、MS輸送機へと戻ってきた俺達だったが……そんな俺達を迎えたのは、予想外のサリィの言葉だった。

 俺の視線に、サリィは改めて口を開く。

 

「間違いありません。連合軍からの連絡です」

「……いや、けどルクセンブルク基地ってのはかなり防御が厳しい基地の筈だろ?」

 

 そう、サリィから説明されたルクセンブルク基地の陥落。

 これは、完全に予想外と言っても過言ではなかった。

 原作ではオペレーション・デイブレイクが開始されてからそれ程経たないうちにOZによって占拠され、以後はOZの本拠地として利用された場所だ。

 分かりやすく言えばトレーズがOZの代表を退いた時に幽閉されていた場所で、ガンダムエピオンが開発された場所でもある。

 当然そのような場所だけに連合軍にとっても重要な基地であり、OZを怪しんでいた連合軍はルクセンブルク基地にも相当数の防衛戦力を割いていた筈だった。

 増援の要請がシャドウミラーに来なかったのが、防衛戦が上手くいっていた証拠だろう。

 だというのに、この数時間でいきなり事情が変わったらしい。

 

「はい。ですが、ハードウェアは強固であっても、ソフトウェアはそうもいきません」

「……裏切りか」

「より正確には、OZの兵士が身分を隠していた、というのが正しいようです」

 

 なるほど。

 実際、OZはこの手の仕込みはかなり頻繁にしている。

 原作のオペレーション・デイブレイクでも、連合軍に潜んでいたOZの手の者が背後から攻撃してOZの部隊を引き入れたりしてたし。

 勿論OZを怪しんだ時点でその辺も調べたりはしていたのだろうが……結果として、完全に排除することは出来なかったと。

 特にルクセンブルク基地はOZが力を入れていた事もあり、当然のようにOZが前から潜り込ませていたのだろう。

 

「厄介だな」

 

 シャドウミラーとしてはそう厄介という訳でもないのだが、連合軍として考えれば驚く程に厄介極まりないだろう。

 何しろ、いつ仲間が敵になるのか全く分からないのだから。

 人数の多い連合軍にとって、致命傷となり得る危険すらある。

 

「ええ。ですが、それは連合軍の方で何とかするという話です。シャドウミラーには、ルクセンブルク基地の奪還作戦に加わって欲しいと」

「……だろうな」

 

 OZにとって重要という事は、当然連合軍にとっても重要な位置な訳だ。

 であれば、出来るだけ早く奪い返したいと連合軍が考えるのも当然だろう。

 

「いつ?」

「2日後との事です」

 

 綾子の言葉にサリィが返すが……

 

「遅い」

 

 五飛に駄目出しをされる。

 まぁ、ルクセンブルク基地を本拠地にしようと考えているOZ側にとって、2日というのは下手をすれば……いや、そこまでいかなくても陥落させるのは難しくはないだろう。

 特に原作のようにゼクスがいれば、その辺りは早くなる可能性が非常に高い。

 そう判断すると、五飛に同意するように頷きを返す。

 

「そうだな、それだと少し遅いかもしれないな。今日……とは言わないが、出来れば明日、それも朝が早い内に出発したい。向こうの迎撃準備が整うよりも前に攻撃するのが最善だ」

 

 そう言えば、ゼクスとは今回が初戦闘になるのかもしれないのか。

 トールギスを俺が奪った以上、どんな機体に乗っているのかが気になる。

 下手に他のOZの兵士と同じ機体に乗っていれば、間違って撃墜してしまう可能性も高い。

 あくまでも戦士として生きるゼクスは、シャドウミラーにとっては是非とも欲しい人材なのは間違いない。

 ゼクスを取れば、ノインもおまけでついてくるしな。

 ……能力を考えれば、サポート型とでも言うべきノインはシャドウミラーに足りない人材の1人だ。

 政治班として活動出来るゼクスも、稀少なのは間違いないが。

 本音を言えば、政治という意味ではトレーズが欲しいところなのだが……ゼクスにノインがくっついてくるように、トレーズにはレディ・アンがくっついてくるんだよな。

 まぁ、五飛のように今のシャドウミラーならともかく、本当の意味でのシャドウミラーに所属するかと言われれば……かなり厳しいところがあるが。

 このW世界にある無人機嫌いの風潮をどうにかするのは、簡単な事ではないのだから。

 

「明日……ですか? それは、かなり難しいと思いますが」

「別に本来出せるだけの戦力を明日までに用意しろとは言わない。集められる戦力だけでいい」

「……」

 

 俺の言葉に、サリィが難しそうな顔で黙り込む。

 恐らく、用意出来る戦力がどれくらいのものになるのかを頭の中で計算しているのだろう。

 そうして、やがて黙り込んでいたサリィが口を開く。

 

「どんなに頑張っても、予定の4割……といった程度になると思いますが、それでも大丈夫ですか?」

「4割か」

 

 まぁ、その辺は仕方がないのだろう。

 本来なら明日一杯……下手をしたら明後日の早い内に集まるだろう戦力を、明日の午前中に出発しようというのだから、そのくらいの数になるのはおかしな話ではない。

 

「どうだ?」

「そう言われてもね。あたしはルクセンブルク基地がどんな基地なのか分からないし」

 

 綾子がそう言葉を返し、話を聞いていた五飛が口を開く。

 

「連合軍の中ではかなり大きな基地だ」

 

 OZとの戦いの中で、ルクセンブルク基地についても前もって調べてあったのだろう。

 それに対し、綾子はシャドウミラーとして連合軍に関わってから、まだそれ程経っていない。

 ルクセンブルク基地の名前くらいは聞いた事があったかもしれないが、実際にどのような基地なのかは知らなかったといったところか。

 ……まぁ、それを言うなら俺だってルクセンブルク基地の名前を知ってるのは原作知識があるからこそなんだが。

 それでもこの世界の人間にとっては、ルクセンブルク基地というのは大きな基地として有名なのだろう。

 

「ふーん。……そんな大きな基地を、当初の4割の戦力で奪還、ね」

 

 五飛の言葉を聞き、綾子が少しだけ意味ありげに笑う。

 それは、戦力が揃わなくても自分達だけで奪還出来ると考えている笑み。

 いや、それは決して間違いという訳ではない。

 事実、今のシャドウミラーの戦力……MS3機ではあっても、その基地にいるMSの大半を破壊する事は可能だろう。

 そして当初の予定の4割であっても、連合軍が戦力を用意出来るのであれば基地を奪還するのは不可能ではない。

 正直なところ、基地のMSを破壊するのは俺達に出来ても、完全な奪還というのは無理だしな。

 奪還する際に必要なのは、質ではなく量だ。

 きちんとそこを連合軍の支配下におけるかどうかというのは、非常に大きい。

 また、他にもルクセンブルクのような広い基地なら隠れる場所は幾らでもある。

 人数が少なければ、どうしても基地の内部に隠れている……かもしれない、OZの兵士を見つける事は難しいだろう。

 俺がスライムを使えばその辺は問題ないんだが、今のところW世界の人間に魔法を見せるつもりはない。

 そうである以上、当然ながら人力でやる必要がある。

 ある程度は監視カメラの類でどうとでも出来るだろうが、やはり最後に頼りになるのは人力……人海戦術だろう。

 

「連合軍としては、出来ればこの前みたいにパイロットに経験を積ませたいというのもあるのかもしれないが……ルクセンブルクのような大きな基地となれば、それはちょっと難しいぞ?」

「ええ、アクセル代表の言いたい事は分かっています。ですが、こちらとしても色々とありますので……」

「だろうな。……分かった。ただ。それでも待つのは今日一杯だ。明日の早朝には出撃するから、それまでに可能な限り戦力を集めるといい」

 

 戦力と言っても、ニューエドワーズ基地に集まってすぐに出発する訳にはいかない。

 MS輸送機をそのまま使うのであれば、燃料の補給や整備も必要になるだろうし、別のMS輸送機にMSを移し替えて移動するのであれば、MSを移す手間も必要になる。

 しかもルクセンブルク基地のような大きな基地を攻撃する以上、相当な戦力が必要になるのは事実だ。

 そう考えれば、4割というのも結構大きく見積もった数字なのかもしれない。

 

「分かりました。すぐに準備させます」

 

 だが、サリィは反論もせずにあっさりとこちらの意見を採り入れ、MS輸送機のコックピットへと向かう。

 ニューエドワーズ基地に連絡を取って、明日の出撃の段取りをするつもりなのだろう。

 

「さて、じゃあ俺達は明日の朝まで暇だし……ゆっくりと休むとするか」

「ゆっくり休むと言っても、ニューエドワーズ基地に戻ってからだと、そんなに時間はないと思うけどね」

 

 現在の時刻は、昼を少し過ぎたところ。

 このままニューエドワーズ基地に帰還すれば、既に夜となっているのは確実だろう。

 そして明日には出撃となる訳だから、綾子の言葉も理解出来た。

 

「このMS輸送機、正式に俺達が貰う事が出来れば、もっと居住性を改造するんだけどな」

 

 現在のところは、MS輸送機を連合軍から借りている状況だ。

 である以上、当然ながら勝手に改造する事が出来る筈もない。

 その辺りを考えて……そうだな、ルクセンブルク基地奪還の報酬にMS輸送機を入れて貰えるように凛に頼んでおくか。

 

「凛か?」

 

 俺の考えている様子を見て、綾子は何を企んでいるのか理解したのだろう。少し呆れた表情を俺へと向けていた。

 以心伝心……いや、会話の流れから考えれば、それ程不思議でもないか。

 

「ああ。今回の報酬でMS輸送機を貰おうと思ってな。正式に俺達の物になれば、どんな風に改修しても構わないだろうし」

 

 もっとも、シャドウミラーの技術班がいる訳じゃないんだから、そこまで大きな改造……俗に言う魔改造といった類の改造は出来ない。

 もしホワイトスターと連絡がつくようなら、それこそASRSやミラージュコロイドを装備させて、動力炉もブラックホールエンジンに変えブレイズ・ルミナスを装備させ、襲撃された時の反撃用にビーム砲を装備させ……何だかそこまでやると、MS輸送機じゃなくて立派な戦艦だよな。

 でも、技術班ならそんな改造をするのは間違いないだろう。

 いや、それだけならまだいい方で、俺が全く思いも寄らない改修をする可能性も十分にある。

 その点、今の俺達の状況であれば、常識的な改修しか出来ないんだよな。

 この客室でもっと寛げるように高級なソファとかを使うとか。

 ……実は、高級なソファは空間倉庫の中にあったりする。

 何故かと言えば、当然のようにデルマイユの屋敷を荒らしている時に奪ってきたからだ。

 趣味はいいデルマイユらしく、かなりの高級品だと思われるそのソファは、座り心地という点では文句なく最高クラスだろう。

 他にも様々な応接セットやら家具やらは奪ってあるので、MS輸送機を貰ったら入手先を誤魔化して使わせて貰おう。

 他に改修する場所は……格納庫か。

 MSを運用する以上、もっと本格的に機体の整備とかが出来るようにしたい。

 それとMS輸送機その物のコックピットも少し弄りたいな。

 ただ、最大の問題は現在のシャドウミラーの人の少なさか。

 MS輸送機を運用するパイロットや整備員達は、連合軍から借りる必要がある。

 MS輸送機の操縦だけであれば、無理をすれば俺達でもどうにか出来る。

 俺と五飛は今の時点で操縦出来るし、綾子だってその気になれば操縦を覚えるのは難しい話ではないだろう。……凛はともかくとして。

 だが、整備員達だけはどうしようもない。

 ハワードとその仲間達を雇う事が出来れば最善なんだろうが……多分難しいだろうし。

 いや、今はガンダムが活動していない。

 正確には表だって活動しているガンダムは、五飛のシェンロンガンダムのみだ。

 他のガンダムは、ニューエドワーズ基地でノベンタが通信で言った、コロニーへの宥和政策というのが本当に行われるのかどうか、様子を見ているのだろう。

 まぁ、その前にOZとの戦いが起きてしまったから、実際に宥和政策を行うのはいつになるのか分からないが。

 OZが宇宙に手を出すような真似をすれば、それこそ宥和政策の件はもっと遅くなるだろうし。

 ただ、その可能性は十分に高いんだよな。

 OZはバルジという宇宙要塞を手元に置いている。

 それだけに、向こう側にとって絶対の切り札という認識だろう。

 実際、原作でもコロニーを撃つと脅してヒイロを自爆に追い込んだし。

 そして質はともかく、数で連合軍に負けているOZは物量の差をどうにかするべくMDを開発し……それに必要な資源を宇宙に求める可能性が高い。

 そうなると、やっぱりバルジは早い内に何とかしておいた方がいいな。

 地上の騒動が一段落したら、宇宙に目を向けるようにノベンタに進言するか。

 そんな風に考えながら、MS輸送機が発進するのを待つのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:950
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1292

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