転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1578話

 OZではなく、ロームフェラ財団に対する攻撃をするように依頼されたその日の午後……俺の姿は、何故かニューエドワーズ基地にある道場の中にあった。

 そして、俺の前には模擬刀ではあるが青龍刀を手にした五飛の姿。

 まぁ、依頼を受けたからといって、すぐに攻撃を行わなければならないという訳じゃない。

 ロームフェラ財団のどこに最初に攻撃を行うかというのを決める必要もあり、取りあえず今日1日は休日という事になっていた。

 もっとも、休日ではあっても1日だけだし、何よりも現在の状況を考えれば基地の外に遊びに行く訳にもいかない。

 そんな訳で、基地の中で大人しく身体を休ませようと考えていたんだが。

 何しろ、昨日は色々な意味で忙しかったからな。

 このニューエドワーズ基地でガンダムと戦い、基地の援軍に向かい、別の基地を取り戻し……正直なところ、昨日は働き過ぎだと言ってもいい。

 そんな訳で、今日は綾子とゆっくりしようと――凛は交渉の件を含めて今が一番忙しい――していたところ、五飛がやってきて半ば無理矢理俺をここに引っ張ってきた訳だ。

 何故基地に道場があるのかという疑問はあったが、軍人ともなれば格闘技の練習をする場所も必要なのだろう。

 そんな訳で、こうして五飛と向かい合っているのだが……

 

「なぁ、何でわざわざこんな真似をするんだ?」

「知れた事。俺はお前にMS戦で負けた。美綴と遠坂にも生身で負けた。だが……アクセルに生身では負けていない」

 

 五飛が綾子達の事を呼ぶ時は、名字で呼ぶんだな。

 まぁ、それが自然ではあるんだろうが。

 もしくは、生身の戦いで負けたからこそ遠慮して名字で呼んでいるという可能性もある。

 ……その割りには、俺はアルマーじゃなくてアクセル呼びだが?

 まぁ、男と女の違いといったものもあるんだろうし、そこまで気にする事じゃないのか。

 だが、1つだけ聞き逃せない事があった。

 

「生身で俺には負けていないって、お前が捕らえられて目が覚めた時にお前に勝ったと思うが?」

 

 そういう意味では、最初に生身の五飛に勝ったのは俺って事になるんだよな。

 

「そうだな。だが、あの時は事情もよく分かっていない状況だ。自分で言うのもみっともないとも思うが、俺は正面からお前に勝ってみたい」

「……なるほど」

 

 寝起きだから負けたというのは、自分でもみっともないと分かっている。

 その上で、正面から俺と戦って勝ちたいと。

 どうしようか迷ったが、そもそも五飛は既に青龍刀を準備している。

 ……どう考えても一般的な武器ではない青龍刀の、それも模擬刀なんかどこから持ってきたのやら。

 もしかしてシェンロンガンダムのコックピットには、真剣の青龍刀以外に模擬刀も入っていたとか?

 五飛の性格を考えると、そうであってもおかしくない。

 

「どうするんだ?」

 

 少し離れた場所で様子を見ていた綾子が尋ねてくる。

 その言葉には、言外に五飛の要望を受け入れてもいいんじゃないか? といった雰囲気が滲み出ていた。

 元々五飛は凛よりも綾子の方と気が合いそうだってのは、分かっていたしな。

 体育会系に馴染みのある性格をしており、MSを使って実戦に出ているし、何より綾子は五飛に生身で勝っている。

 いや、最後の生身の戦いというのであれば凛もまた勝ってるんだが。

 

「……ま、仕方がない。それで五飛が納得出来るのなら、構わんよ」

 

 小さく溜息を吐き、青龍刀を構えている五飛へと向き直る。

 実際、今の五飛を相手にして特に俺が苦戦するといった事はない。

 そもそもの話、五飛はこのW世界の中でもかなり強い方ではあるが、決して最強という訳ではないのだ。

 このMSの戦闘が重視されるW世界ですら最強という訳ではないのを考えれば、五飛の腕がどの程度なのかが分かるだろう。

 正直なところ、シャドウミラーの実働班であれば全員が問題なく勝てるだろうし、量産型Wであっても五飛に勝てるだろう。精霊の卵は……魔法を使ってもいいのならまだしも、生身だとどうだろうな。

 ともあれ、五飛と戦う気分になるとそのままお互いに向かい合う。

 俺は特に何もせず、自然体で五飛を見ているのだが、それが余計に五飛にとってはプレッシャーになっているらしい。

 見るからに緊張した様子で青龍刀を構えながら口を開く。

 

「感謝する」

 

 短い一言。

 その言葉を言い終えた瞬間、五飛は床を蹴り一気にこっちとの間合いを詰める。

 振るわれる青龍刀を身体を少しだけ動かしただけで回避し、そのまま五飛の手首を握り、力の方向性を変えてやる。

 それだけで、五飛は自分から飛ぶように空中で身体を回転させ、床へと叩きつけられた。

 へぇ……エヴァから習った合気道だけど、結構使えるな。

 ちなみにこの合気道……あやかもエヴァからしっかりと習っており、かなりの実力になっているらしい。

 そもそもの話、あやかは元からある程度合気道を使いこなしていた。

 勿論それは、あくまでも一般人での範囲内という事だが……それが、今では実働班にも通じるだけの立派な攻撃手段となっている。

 元々あやかを始めとした従者組は生身の戦闘の専門家である以上、そのくらいは当然かもしれないが。

 

「くっ!」

 

 床に転ばされても、青龍刀を放さなかったのは五飛の根性か。

 ともあれ、転ばされた状況でもすぐに起き上がった五飛は、そのまま俺へと向かって再び距離を詰めてくる。

 

「はあああぁぁっ!」

 

 気合いに満ちたその声と共に、青龍刀が俺の頭部へと向かって振り下ろされる。

 ……模擬刀でも、青龍刀だけにその重量はかなりのものだ。それを躊躇なく頭部に振り下ろしてくるとは、思い切り殺しにきてないか?

 俺なら回避出来ると信じているのか、それとも単純に俺を痛めつける事が出来たら、それはそれでいいと判断してるのか。

 その理由の有無はともかく、こちらに向かって振り下ろされる青龍刀に大人しく当たってやるつもりは当然ない。

 足を一歩下げ、身体を半身にする事によって、振り下ろされた青龍刀はあっさりと回避される。

 だが、当然五飛もそんな俺の動きを……自分の一撃が回避されるというのは、予想していたのだろう。青龍刀の一撃が回避されても、特に驚きの類はないままに、再び青龍刀を下から掬い上げるように放つ。

 その動きも身体を最小限だけ動かす事により回避し、すぐ目の前を青龍刀の刀身が通り過ぎていく。

 中々に鋭い一撃と言えるだろう。

 だが、生憎とその程度の攻撃は今までにも、何度となく……それこそ飽きる程に見ている。

 

「っと」

 

 目の前を通り過ぎていく青龍刀の刀身に右手を伸ばし、そっと掴む。

 決して刀身を折ったり、曲げたりしないように注意しながら。

 突然空中で自分の振るっていた青龍刀の動きが止まったことに、五飛は驚きの表情を浮かべるが、それでも次の行動に出るのは早かった。

 動かせない青龍刀から手を離し、そのまま俺の胴体目掛けて蹴りを放つ。

 しなやかな身体の動きを利用して放たれた蹴りは、鞭の如き威力を持つ……のだろうが、左手でその蹴りを受け止める。

 五飛の足を握ると、そのまま勢いを付けてやり、空中で一回転させる。

 そのまま足を掴んで床に叩きつけてもよかったのだが、そんな真似をすれば間違いなく五飛は怪我をするだろう。

 こちらの戦力として働いて貰う以上、五飛へ無駄に怪我をさせるつもりはなかった。

 

「ぬぅっ!」

 

 空中で身体を捻り、そのまま何とか着地した五飛が見たのは……自分の眼前に突き付けられた青龍刀の切っ先だった筈だ。

 五飛の身体を空中で回転させるように浮かせた後で、そのまま俺の武器として使用される青龍刀。

 自分の武器を奪われ、突き付けられるという行為に五飛は悔しげな表情を浮かべる。

 

「はい、そこまで」

 

 道場に響く綾子の声。

 今のやり取りで完全に勝負はついたと、そう判断しての言葉だろう。

 実際問題、この状況から五飛が俺を相手に反撃に出るというのは難しい。

 それこそ、原作でトレーズに負けた時の如く完全なチェックメイト状態だ。

 負けを認めるように身体の力を抜いた五飛を見て、俺もまた突き付けていた青龍刀を床へと置く。

 元々この青龍刀は五飛のものなのだから、あまり他人には使わせたくないだろうし。

 

「俺の……負けだ」

 

 小さいが、確実に自分の負けを認める声が道場の中に響く。

 

「俺は……弱いのか?」

「どうだろうな。俺が言うのもなんだが、俺達は色々な意味で規格外の存在だ。お前は普通の奴を相手にするのなら、間違いなく優勢だと思うぞ」

「……だが、俺はお前に負けた。美綴や遠坂の2人にもだ。弱い相手に勝つのは出来ても、強い相手に勝つ事は出来ない。そんな俺が、ナタクに乗る資格は……」

 

 ああ、ここで出たか。

 原作でも五飛はナタクに……シェンロンガンダムに自分が乗っていいのかどうかを迷っていた。

 それを立ち直らせたのが、サリィだ。

 ……うん? もしかして、そういう意味だと俺がサリィの代わりに五飛を立ち直らせる必要があるのか?

 うわ、面倒な。

 けど、折角の戦力……それも、この世界ではかなり大きな戦力をこのまま使えなくするという訳にはいかない。

 

「お前が弱いのは事実だ。だが、だからこそ戦いの中に身を置いて、強くなればいいんじゃないか? 実際、俺に勝とうとして自分を鍛えている者というのはいるしな」

 

 ムラタにイザーク。

 この2人は、何だかんだと俺に勝つ事を目的にしている。

 まぁ、イザークはオウカとくっついて、それなりに幸せな日々を過ごしているようだが。

 そういう意味では、俺に対して純粋に勝つ事だけを考えているのはムラタだけって事になるのか。

 

「アクセルにか? ……それは、誰だ?」

「残念ながら、今は会わせる事が出来ないな」

 

 というより、ホワイトスターとの行き来が出来るようにならなければ、どうしようもない。

 だが、俺の……シャドウミラーという存在の本当の意味を知らない五飛にとって、それを察しろという方が無理なのだろう。

 不満そうな視線が俺へと向けられる。

 

「何故だ。お前に勝つ為には、その人物に話を聞くのが手っ取り早いだろう。であれば、その人物と会わせて欲しい」

「色々と訳ありでな。残念ながら、現在は連絡が取れない」

 

 少なくても、これは嘘ではない。

 現在ホワイトスターと連絡が取れないのは事実なのだから。

 実際、連絡が取れるのであれば、俺も是非連絡を取りたいというのが正直なところだ。

 

「……そうか」

 

 小さく溜息を吐く五飛。

 どうやら俺の様子から、連絡が取れないという言葉を信じたのだろう。

 

「とにかく、今のお前が自分が弱くてガンダムに乗る資格がないと思っているのなら、戦いの中で強い敵に負けないだけの強さを身につけていけばいい。そうすれば、いずれお前のガンダムに相応しい乗り手になるだろうな」

 

 うん、確か原作でも最終的にはそんな感じで自分がガンダムに乗る理由としていた筈だ。

 今の自分は弱いけど、力を貸してくれ的な感じで。

 ……結果としては、俺の行動は原作のように五飛を立ち直らせる事が出来る……といいなぁ、と思う。

 

「俺が、強くなればいい……」

 

 小さく呟くと、やがてそのまま立ち上がり、青龍刀を拾い上げると道場から去っていく。

 それに対して声を掛けようかとも思ったが、今の五飛は誰にも声を掛けられたくないだろう。

 

「よかったのか? あそこまで徹底的に勝って」

 

 こっちに近づいてきた綾子が、少しだけ心配そうに去っていく五飛の後ろ姿を見送る。

 体育会系の綾子としては、それなりに五飛を気に入っているのだろう。

 

「それを向こうが望んでいたからな。実際、今回の件は五飛にとって避けて通れない試練だったんだろ」

「……試練でアクセルと戦うのか? それは幾ら何でも……ちょっと……」

「別に本気を出してる訳じゃないだろ?」

「それでもヘラクレスやギルガメッシュを相手に一方的に勝つようなアクセルに、普通の人間が立ち向かうというのは……どう考えても無謀以外のなにものでもないと思うけどね」

 

 そう言えばそんな事もあったな。

 特に金ぴか……ギルガメッシュは色々な意味で美味い相手だった。

 幾つもの宝具を入手出来たし、金ぴかの腕は量産型Wを強化するという意味では非常に助かった。

 ……まぁ、量産型Wの強化はともかく、金ぴかの細胞を培養して使っている以上、何か悪影響が出てこないかどうかを長い目で見る必要がある。

 何だかんだと、量産型Wの能力は非常に高い。……量産型という言葉がついているが、その能力はとてもではないが量産型と言える代物ではない。

 パイロットとしては一流と超一流の壁を越えつつある……いや、既に半ば以上超えているし、生身での身体能力もネギま世界の住人とやり合えるだけの力を持ち、魔法すらも使える。

 それこそ、シャドウミラーの量産機のシャドウが、普通であればカスタム機といえるだけの性能を持つのと似たような形だ。

 まぁ、それでもいざとなれば鎮圧されるんだろうが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:935
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1289

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