転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1550話

「ふざけるな! 俺達はOZの精鋭だぞ! こんな……こんな事があってたまるか!」

 

 模擬戦が終わり、綾子と……何よりも俺以外と戦って、初めて自分達の実力がどれ程のものなのかを実感しただろう連合軍のエアリーズ部隊の様子を見に来たんだが、そんな俺の耳に入ってきたのが、その怒声だった。

 怒声が聞こえてくるのは、OZのエアリーズが集まっている場所だ。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 この模擬戦に参加している以上、当然精鋭揃いのOZの中でも腕の立つ者達の集まりなのだろう。

 だからこそ、自分達がこんなに呆気なく負けるという真似が許せなかったのだ。

 

「落ち着け、ミュラー! 今回は俺達の技量が向こうに及ばなかった。それだけだ。それに、お前は連合軍のエアリーズを1機撃墜しただろう? 完全な負けって訳じゃない!」

 

 ……ミュラー?

 その名前が気になり、改めて声の聞こえてきている方へと視線を向ける。

 するとそこで怒り狂っていたのは、眼鏡というかゴーグルを付けている、まだ若い兵士。

 それが誰なのかを、俺は知っている。

 原作で連合軍とOZとの戦いの際に向こうが降伏しても攻撃を仕掛け、最終的にはゼクスに殺されたエアリーズのパイロットだ。

 まぁ、相棒のアレックスの姿はないが。

 いや、キャンサーのパイロットだったし、エアリーズだけが揃えられたこの模擬戦に参加していないのは当然か。

 そんな風にじっと眺めていると、ミュラーの方も俺に気が付いたのだろう。

 目を吊り上げてこちらへと近寄ってくる。

 

「おい、お前! 何で関係ない奴がこんな場所にいるんだ! さっさと出て行け!」

「一応、関係者なんだがな」

 

 一応というか、思い切り関係者と言うべきか。

 そもそも、今回の模擬戦は俺が提案したものだし。……まぁ、ここまで大袈裟にしたのはノベンタ達だが。

 いや、多分ノベンタじゃなくてセプテムか?

 色々とOZに苛立たしいものを感じてみたみたいだし。

 

「あ? 関係者? どう見てもOZの人間にも、ましてや連合軍の人間にも見えないな」

「まぁ、傭兵だから正確には軍人じゃないし」

「は!? 軍人じゃないだって? なら、何でそんな奴が関係者なんて顔してここにいるんだよ」

「おい、ミュラー! その人はアクセル代表だ!」

「あ? アクセルだぁ?」

 

 仲間のパイロットの言葉に、ミュラーは俺の顔を確認するようにして眺めながら、不意に何かを思いだしたかのように口を開く。

 

「ああ、あの骨董品を使っているとかいう男か! ははっ、あんな20年も前のMSで何か出来ると思ってるのか?」

「思ってるさ。実際実績も上げている」

 

 原作だと、ここでトールギスのテストパイロットが死んだ件をあげつらうところだが、この歴史ではそんな事実は起きていない。そして何より……

 

「OZが手こずって、どうしようもなく後手に回り続けているガンダムを撃退した。それだけだと、性能の証明には足りないか?」

「な!?」

 

 そんな驚きの声を上げたミュラーだったが、それは周囲にいた他のOZのパイロット達も同様だ。

 ただ、唖然とした表情を俺へと向けている。

 寧ろ、驚きの声を出せたミュラーが凄い……のか?

 

「馬鹿な……」

「残念ながら真実だ。トールギスというのは、それ程の性能を持っている機体なんだよ。言っては悪いが、エアリーズなんてのはトールギスをデチューンしたリーオーのバリエーション機でしかない」

 

 その一言がミュラーのプライドを傷つけたのだろう。ゴーグルの下から鋭い視線で俺を睨み付けてくる。

 こいつは原作でも腕利きのパイロットだったが、精神年齢というか行動がそれに見合ってないんだよな。

 だからこそ、ゼクスもミュラーとアレックスについての報告書をノインに届けて反省を促したという一場面があった。

 まぁ、この様子だとミュラーの憎悪はゼクスじゃなくて俺に向かってきそうだが。

 ……トールギスのパイロットに憎悪が向けられるという意味では、原作と変わらないな。

 

「ま、こっちはいつでも模擬戦を受ける用意はある。もう少し腕を磨いてから、模擬戦を挑むんだな。今回はこっちが挑戦者だったが、次からはそっちが挑戦者だ」

 

 その言葉に、ミュラーの顔が今までよりも更に歪められる。

 それでも原作でゼクスのトールギスへと向かって攻撃を仕掛けたような無謀さをここで発揮しないのは、連合軍やOZの上層部が集まっているここでそんな真似をする訳にもいかないという自制心がかろうじて働いているのか。

 他にも俺がノインと関係のない事や、ミュラーの仲間が死んでいないというのも影響しているのだろうが。

 無言で俺を睨み付けるミュラー。

 他のOZの兵士達も、今の俺の言葉は決して面白くはなかったのだろう。不機嫌そうにこっちを見ている。

 これでOZの兵士の敵意は俺に向けられる事になる。

 まぁ、正直ちょっとやり過ぎって気がしないでもないんだが……それでも、今後の状況を思えば、これくらいはまだ許容範囲内の筈だ。

 

「アクセル、こっちにいたのか」

 

 そんなOZの兵士達の視線を受けていると、不意にそんな声が掛けられる。

 聞き覚えのある声にそちらへと振り向くと、そこにいたのは綾子。

 トレードマークの物干し竿は、当然のように持っていない。

 いや、コックピットの中に入るには明らかに邪魔だしな。

 それに連合軍にはOZのお偉いさんが来ている中で物干し竿を持っているのを見つかれば、何を言われるか分かったものじゃないし。

 だが、物干し竿を持っていなくても綾子は色々な意味で目立つ。

 そんな人物がいきなり目の前に現れたのだから、ミュラーを始めとするOZの兵士達の注目を集めるのは当然だった。

 

「ああ? 何だよお前は」

 

 そして当然真っ先にそんな綾子に対して突っかかるのは、俺とのやり取りで非常に腹立たしい思いを抱いていたミュラー。

 俺は元帥直轄の傭兵部隊の隊長……それも、OZがいいようにしてやられているガンダムを撃退したという事もあって、ミュラーにとっても敵に回す事は出来ない。

 だが、綾子であれば……少なくてもトールギスのパイロットが俺である以上、ミュラーが何を言っても問題にはならない……という事はないが、それでも俺に喧嘩を売るよりは大分マシな筈だった。

 もっとも、それはあくまでもミュラーの判断であって、実際には違うんだが。

 

「うん? 何か問題事でも?」

「そうじゃねえ。お前は誰かって聞いてるんだよ?」

「あたしか? あたしは今回の模擬戦に参加したパイロットだけど?」

「……何? 本当か?」

「ああ。トーラスに乗ってた」

「っ!? じゃあ、俺を落としたパイロットか!」

「……ああ、お前が最後のエアリーズに乗っていたパイロットか。それなりにいい腕をしていたな」

 

 綾子としては、ミュラーの腕を褒めたつもりでそう言ったのだろう。

 だが、自分を撃墜した相手を前にして、見るからに短気な性格のミュラーが我慢出来る筈もなかった。

 

「お前、お前が俺を撃墜しただって! ふざけんな、この!」

「おい、ミュラー! 止めとけって!」

 

 周囲のパイロットが、いきりたつミュラーを抑える。

 だが、頭に血が上っている状態のミュラーがそんな周囲の制止で自分を抑えられる筈がない。

 味方を吹き飛ばし、一気に綾子との距離を詰める。

 綾子を殴るつもりだったのか、それともそこまでいかなくても胸ぐらでも掴むつもりだったのか……それは分からなかったが、俺はそれを見ても特に動く様子は見せず、ただじっと綾子の動きを見守っていた。

 自分の胸ぐら目掛けて伸ばされたミュラーの手を、綾子は後ろに1歩退いて回避する。

 力が入っていたミュラーは、そんな綾子の様子に思わずつんのめる。

 本来ならそこで綾子の胸ぐらを掴む筈だったのだが、その目算が狂ったのだ。

 そのおかげで身体が流れて、地面へと転ぶ。

 

「何だ、OZの兵士というのはいきなり女の胸を揉むのか? 今回の戦いはOZの精鋭との戦いと聞いていたが、その精鋭というのは操縦技術ではなく性欲過多の変態という意味での精鋭か? けど、悪いな。あたしはアクセル以外の男に興味はないんだ」

 

 面白そうに笑みを浮かべている綾子。

 そんな綾子の言葉に、ミュラー以外のパイロットは顔を真っ青にする。

 当然だろう。こうして今日の模擬戦に出て来たという事は、綾子の言葉にもあった通り、OZの中でも精鋭……変態ではなく操縦技術での精鋭だった筈だ。

 だというのに模擬戦はほぼ完敗という結果に終わり、それどころか勝った相手へと襲い掛かったのだ。

 ……それも暴力という意味ではなく、綾子の言葉を借りれば性的な意味で。

 OZというのは、騎士道とでも呼ぶべきものを重んじるトレーズがトップに立っており、更に今日ここにそのトレーズが来ている。

 そんなトレーズに、負けた腹いせに性的な意味で綾子に襲い掛かった……そう言われれば、どうなるか。

 どう考えても最悪の未来しか考えつかないだろう。

 そこまでを考えたOZのパイロット達が次にとった行動は、全員で地面に倒れているミュラーの下へと向かい、拘束する事だった。

 

「すいません! まさか私達の仲間が暴走してこのような真似をするとは、思いませんでした」

 

 ミュラーを抑え込んでいるOZの兵士達だったが、当然全員でその身体を押さえつけるような真似が出来る筈もない。

 何人かの手の空いている兵士達は、綾子に深々と頭を下げる。

 

「あー……うん。あたしは別に気にしてないから」

「では、その……今回の件はこちらで処理してもよろしいのでしょうか?」

 

 恐る恐るといった風に問い掛けてくるOZの兵士に、綾子は俺の方へと助けを求めるような視線を向けてくる。

 当然OZの兵士達の視線も綾子の視線を追って、俺へと向けられた。

 

「そうだな。きちんとこっちが納得出来るような処分をするのであれば、トレーズにはこの件を話さないでおいてもいい。さっきの模擬戦を見ている時に話して、それなりに仲良くなれたからな」

 

 ギクリ。そんな擬音が聞こえてきそうになる程に、OZの兵士達は動きを止める。

 正確には色々と暗にやり合ったというのが正しいのだろうが。

 ただ、トレーズの場合はそういう相手を自分の良き理解者と認識したりするのを考えれば、仲良くなったというのはあながち間違いではない……のかもしれない。

 正直な所、トレーズはMSの操縦をやっても良し、政治的な手腕も高いという色々な意味で欲しい人材ではあるんだが。

 そもそもトレーズの性格からして、このW世界を出てシャドウミラーに来ないだろうというのがある。

 地球を愛しているのだから、別の世界の地球にも愛を抱くかどうか……

 また、何よりも厄介なのは、騎士道に近い信念を持っている事か。

 MDのような無人機を嫌うのであれば、その時点でシャドウミラーに所属するのは難しいだろう。

 そんな風に考えている間にも、OZの兵士達の話し合いは終わったのだろう。

 やがて代表するようにして、兵士の1人が口を開く。

 

「この男については、こちらでしっかりと処分します。なので、どうか……」

「どんな処分によるかだな」

「はい。まず上官にこの件を説明し、MSのパイロットから下ろして歩兵か整備兵、もしくは事務員に回すようにします」

「……へぇ」

 

 これはまた、俺が予想していた以上に厳しい罰だな。

 ただまぁ、ミュラーは性格に問題があっても腕の立つパイロットだというのは間違いない。

 それは、今回の模擬戦で唯一連合軍側に一矢を報いたというのが示しているだろう。

 であれば、オペレーション・デイブレイクの際にミュラーがOZの戦力にいないというのは、こちらとしても利益になる。

 ……まぁ、MSを下ろされたからといってオペレーション・デイブレイクの本番でもMSに乗っていないとも限らない。

 実際にはMSパイロットに復帰するという可能性もあるが、そうなったとしても原作よりは確実に技量は落ちているだろう。

 

「まぁ、それならいい。なら、俺達はこの辺で失礼させて貰うよ」

「はい。その……私達の同僚が申し訳ありませんでした」

 

 深々と頭を下げるOZの兵士に軽く手を振り、綾子と共に連合軍の兵士達の方へと向かう。

 するとこっちの様子を見ていた兵士達は、当然今のやり取りについても見ていたのか、心配そうにこっちへと近づいてくる。

 連携を取る為の時間は殆どなかったにも関わらず、随分と連合軍の兵士達と綾子の間に信頼関係があるな。

 まぁ、綾子の外見を考えれば不思議でも何でもないが。

 それに性格もさっぱりとしているので、その辺りを考えれば好意を抱かれるのは当然か。

 

「アクセル代表……自分達を鍛えて下さり、ありがとうございます!」

 

 連合軍の兵士が深々と一礼し、すると他の兵士達も俺に向かって頭を下げてきた。

 こうして、模擬戦は色々と問題を生みながらも終了する事になる。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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