転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1546話

 OZの基地に到着してから数時間、昼食を終えてから早速俺達はサリィと共に基地の中を見回っていた。

 査察という名前の通り、色々とデータ的な件も重要なんだろうが、今回に限っては査察というのはあくまでも名目でしかない。

 連合からOZに対しての牽制や示威行為というのが正しいのだから。

 勿論、だからと言って査察は査察できちんとやるんだろうが、そっちはサリィの専門であって俺には関係がない。

 手伝って欲しいと言われれば多少は手伝うだろうが……恐らく凛の方がそういう行為は上手いだろう。

 ただし、あくまでも書類があるものに限ってだが。

 コンピュータとかになってしまうと、下手をすればデータそのものが破棄されてしまう可能性もある。

 

「どうですか、OZの基地は」

 

 不意に俺達を案内しているOZの兵士の1人がそう話し掛けてくる。

 ドロシーの方はサリィと笑みを浮かべて話しながら歩いているので、暇だったのだろう。

 ……まぁ、笑みを浮かべてはいるが、お互いに目は笑っていないような、そんな笑みだが。

 

「そうだな、活気があると言ってもいいと思う」

 

 事実、OZの基地は若い兵士が多く活気に満ちていた。

 この活気があるからこそ、OZらしいとも言える。

 若いという事で、下手をすれば暴走になりかねない活気だが。

 そして暴走したのが、原作のアレックスやミュラーな訳だ。

 

「随分と若い兵士が多いんですね」

 

 猫を被った凛が俺と話していた兵士にそう尋ねる。

 すると兵士は薄らと頬を赤くして口を開く。

 

「はい。その、勿論ベテランと呼ぶべき人もいますが、あまり多くありません」

「それだと、万が一何かあった時に混乱する人も出てくるのでは?」

「そうかもしれませんね。ですが、OZの兵士は優秀です。何かあってもすぐに対処出来るようにきちんと訓練をしているので、その辺は問題ないかと」

「まぁ、素晴らしい。精鋭揃いなんですね」

 

 相変わらず猫被りが上手いな。全く、何匹の猫を被っているのやら。

 そんな風に思うと、何かを感じ取ったのか凛がジトリとした視線をこちらに向けてくる。

 そして凛の隣では綾子が苦笑を浮かべていた。

 この辺、勘の鋭さは魔術師と半サーヴァントならではか。

 そんな俺達3人のやり取りに、先程まで凛と話していた兵士は不思議そうな表情を浮かべて視線を向けている。

 言葉もなしに視線だけでやり取りをしてるんだから、色々と不思議に思っても当然か。

 

「そうだ!」

 

 不意に前の方からそんな声が聞こえてくる。

 サリィと話している時と比べても尚大きいその声に、俺達全員の視線が向けられる。

 視線の先では、サリィも突然大声を上げたドロシーの様子に驚いている様子が見えた。

 

「連合軍の秘密兵器、単機でガンダムと渡り合えるというトールギス。出来れば、そのトールギスの力を見てみたいのですけど、どうでしょう?」

「え? はぁ、その……残念ながらアクセル代表はここに護衛として来ているので」

 

 断ります。

 言外にそう告げるサリィだったが、ドロシーはそんなサリィの言葉を気にせず、俺の方へと視線を向けてくる。

 

「どうです? その力、是非この基地にいる皆にも見せて欲しいのですが。特にこれからガンダムと戦う事になるかもしれないので、今のうちに単機で強力な相手と戦うという事に慣れて欲しいんです」

 

 ……さて、どうするか。

 ドロシーからの要望には、特に応える義務はない。

 ここで断ったとしても、誰も俺を責めるようなことはしないだろう。

 そもそも、俺達が今回こうしてサリィに同行しているのは、あくまでもサリィの護衛という面が大きいのだから。

 そうである以上、護衛対象のサリィを放って模擬戦をするような真似をすれば、この査察が終わった後でノベンタやセプテム辺りから何か言われる可能性もある。

 だが……ここでOZの兵士を相手にしてトールギスの、そして俺の力を見せるという事は、決して損ばかりという訳ではない。

 五飛と戦う時もそうだったが、OZの……トレーズやレディ・アンといった者達の、そしてロームフェラ財団の視線を俺の方へと向けるという事を考えれば、決して悪い話ではないんだよな。

 視線をサリィの方へと向けると、そこでは護衛の俺にドロシーを絡ませるような真似をしたことを申し訳なく思っているのか、小さく頭を下げている。

 さて、どうしたものか……そう考えるも、答えは既に決まっている。

 オペレーション・デイブレイク。これを阻止する為には、やり過ぎるという事は決してないのだから。

 

「分かった、引き受けよう」

「まあ! まさか本当に引き受けて下さるなんて……ありがとうございます」

「俺もこの基地の兵士の実力は気になっていたからな。構わない」

 

 最後の構わないという言葉は、ドロシーだけではなくサリィにも向けた言葉だ。

 ドロシーを抑えきれなかったと考えて申し訳なさそうな表情を浮かべているが、別に気にする必要はないと。

 だが、元々今回の査察はOZに対する示威行為という側面もある。

 そういう意味で考えれば、ここはやはり引き受けるべきだろう。

 俺の口から出た言葉に、サリィは少しだけ安堵した様子を見せていた。

 

「では、早速準備しましょう。……いいですわよね?」

 

 ドロシーの視線が向けられたのは、俺達と話していたOZの兵士。

 ドロシーの言葉に若干躊躇った様子を見せた兵士だったが……やがて、その言葉に頷きを返すのだった。

 

 

 

 

 

 基地の演習場に、俺の操縦するトールギスが姿を現す。

 向かい側には、エアリーズが6機。

 正直、トールギスの性能を考えればこの程度の数の差は全く意味がないのだが、それでもOZとしてのプライドの高さ故か、この数で向こうは俺の相手をする事に拘った。

 ……もしかして、俺に自分達の実力をはっきりと見せたくないからか?

 ふとそんな風にも思ったが、それでもこうして真っ正面から戦おうとしている以上、実力を隠すという風には考えていないと思う。

 一応念の為という事で、ペイント弾を持ってきたのは幸いだったな。

 機体の状態をチェックしながら考える。

 ドーバーガンのビームの威力も最低になっているし、向こうを不慮の事故で殺すような事はないだろう。

 そうして時間が過ぎていき……やがて、ドロシーの声がオープンチャンネルで響き渡った。

 

『模擬戦、開始!』

 

 その言葉に、まず最初に動き出したのはエアリーズ。

 一斉に飛び立ち、自分の得意な空中へと浮かび上がろうとするが……

 

「装備が重いんだよ!」

 

 どこぞの自爆大好きパイロットの台詞を真似ながら、スーパーバーニアを使って一気に間合いを詰める。

 トールギスもエアリーズと同じく空中を主戦場とする機体だが、エアリーズのスラスターとトールギスのスーパーバーニアでは性能が違い過ぎた。

 こっちが近づく速度と、向こうが上昇しようとする速度。

 その性能の違いは、振るわれたビームサーベルが2機のエアリーズを撃墜扱いにした事で、これ以上ない程に証明された。

 だが、向こうもさすがにOZのパイロットと言うべきか、仲間が撃墜扱いになったのを見て、すぐにこっちと距離を取る。

 接近戦では勝ち目がないというのを理解しているのだろう。……というか、エアリーズの場合は近接戦闘用の武装を持っておらず、全てが射撃武器なんだよな。

 それは接近されるのを嫌うのも当然か。

 ともあれ、近づかれるのを嫌がってトールギスとの距離を開けながら、チェーンライフルを使って牽制してくる。

 普通であれば、その弾丸に当たるのを嫌って距離を開けるのを許すだろう。

 だが……トールギスの性能を甘く見て貰っては、困る。

 スーパーバーニアを使い、チェーンライフルの弾丸を回避しながらエアリーズとの距離を詰めていく。

 普通の人間であれば、間違いなく身体に重大な怪我を負うだろう動き。

 ただ、だからこそ向こうの攻撃は全てがあらぬ方へと飛んでいくに留まっているのだが。

 そうして距離を詰められたエアリーズが何とかこちらと距離を取ろうとするが……甘い。

 スーパーバーニアで距離を詰めながら、再びビームサーベルを振るって2機のエアリーズが撃墜扱いとなる。

 その間にも残り2機のエアリーズは何とかこちらと距離を取ろうとし……それならこっちも遠距離戦に付き合おうと、ドーバーガンの砲口をエアリーズへと向ける。

 それを見た瞬間、エアリーズ2機は左右に分かれた。

 へぇ、中々素早い判断だ。……けど……

 

 ドーバーガンの砲口右のエアリーズに、左腕に設置されているライフルの銃口を左のエアリーズに向け……両方のトリガーを引く。

 同時に放たれたビームと弾丸は、次の瞬間には2機のエアリーズへと命中していた。

 

『それまで、勝負ありです!』

 

 ドロシーの言葉がオープンチャンネルで流れる。

 その口調に嬉しさのようなものを感じたのは、きっと俺の気のせいではないだろう。

 勿論OZのMSがやられた事を面白く思っていないのは間違いないんだろうが……それでもドロシーにとって、トールギスの性能は十分に満足出来るものだったらしい。

 実際、今回はエアリーズに良いところは1つもなかったしな。

 そう考えれば、ドロシーが喜ぶ……というのは、OZとしてどうなんだろうか。

 ……まぁ、それでもドロシーにとっては収穫だったんだろうし。

 機体を元の場所に戻しながら、改めて演習が行われた場所へと目を向ける。

 ペイント弾を使った演習だったので、周囲が赤や青、黄色といった風に幾つもの色によって飾り付けられていた。

 これ、もしかして俺達に掃除しろとか言われないよな?

 トールギスが敵の攻撃を回避したからこそ、こうして色彩豊かな光景になっているんだが。

 まぁ、だからと言ってこっちも当たろうとは思わないけど。

 演習……と呼ぶには少し一方的な戦いが終わり、機体を元の場所に戻す。

 そうして乗降ワイヤーで地面に降りると、まるで俺を待ち受けていたかのようにOZの兵士達が近づいてくる。

 もしかして自分達が負けた事に対する仕返しか?

 そんな風に思ったのだが、兵士達がこっちに向ける視線の中にマイナスの感情はない。

 それどころか、尊敬の眼差しすら俺に向けている。

 OZの兵士、しかも現場の兵士となると、連想するのはアレックスやミュラーだったんだが……ここにいる面子は、随分と違うな。

 正直なところ、オペレーション・デイブレイクが実行されれば敵として向かい合う事になるんだろうから、あまり仲良くなったりはしたくないんだが。

 

「アクセル代表、トールギスって凄いですね」

「あっという間にこっちとの間合いを詰められた時は、どうしようかと思いました」

「チェーンライフルが1発も当たっていなかったってのは、どうやって回避したんですか?」

 

 そんな風に、次々に質問が飛んでくる。

 中には模擬戦に参加していたパイロットの姿もあり、貪欲に自分の腕を磨こうとして俺に質問をしてくる。

 こうしていると、向上心に満ちたパイロット以外のなにものでもないんだよな。

 

「エアリーズと戦った上で、具体的にどういう事をすればより強くなれるでしょうか?」

 

 そんな質問をしてきたパイロットに、少し考える。

 正直なところ、敵対する相手を強くするというのは気が進まないんだが……それでも多少エアリーズが強くなったところで、こっちとして容易に対処が可能だ。

 ただ、連合軍の兵士や綾子といった面子には……まぁ、この状況で何も言わないのも正直どうかと思うし、それに地上戦がメインのリーオーが主力である連合軍にとっても利益になる事ならいいか。

 

「そうだな、まず真っ先に言いたいのは、エアリーズの持っている武器が射撃武器しかないという事だ。だからこそ、トールギスに接近されればどうしようもないままに蹂躙されてしまった」

「それは……しかし、それはトールギスだからでは?」

「そうか? ガンダムの中には空を飛ぶ機体もいるぞ?」

 

 空を飛ぶという意味ではウイングガンダムだけだが、他の機体だってガンダムだけあって跳躍は可能だ。

 そしてエアリーズは機動力は高いものの、細かな動き……運動性に関してや加速性は決して高いとは言えない。

 それどころか、空中での急な方向転換は苦手だと言ってもいいだろう。

 

「それは……」

 

 ガンダムの一言に、兵士達も黙り込む。

 分かっているのだろう。自分達がガンダムと遭遇すればどうなるのかというのを。

 

「ビームサーベル辺りなら、そんなに場所も取らないし装備してみてもいいかもしれないな」

「ビームサーベル……ですか」

「実体剣の類でもいいんだが、どうしても邪魔になるだろ?」

「はい。それはそうです」

「だから、場所を取らないビームサーベルはお勧めだ。どうしてもビームサーベルが嫌なら、ヒートナイフとかそういうのでもいいかもしれないな」

 

 そんな風に会話を交わしながら、俺とOZの兵士達との時間は過ぎていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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