転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1505話

「じゃあ、アクセル。あたし達はそろそろ日本に戻るわね。霞がアクセルに会いたいって言うからオーストラリアまで来たんだけど、正直なところ、ここまで大きな収穫があるとは思わなかったわ」

 

 笑みを浮かべながら、見送りに来た俺とスレイにそう告げる夕呼。

 その近くには霞がイーニァと手を繋いで立っており、クリスカはそんな2人を守るように……まるで保護者だと言いたげに立っている。

 そう、結局夕呼とサンダークの間で行われた話し合いは、クリスカとイーニァ……それに、同じようなESP能力者がいた場合、夕呼が引き取るという事で話が付いたらしい。

 正直なところ、夕呼であればもっとサンダークを攻めて、他にも色々と毟り取るかと思ったのだが、実際にはそれ程多くはなかった。

 ……いや、ソ連軍にとってみればとてつもなく大きなダメージなんだろうけど。

 ちなみに、クリスカやイーニァは特定の薬を定期的に摂取しなければならないとかで、夕呼がその辺をどうにか調整するらしい。

 それで無理なようならレモンに頼むと言っていた。

 レモンは様々な場所で高い知識と技能を持ってるからな。

 SEED世界から助け出したアウル達も、治療して薬の必要性とかブロックワードとかそういうのをなくしたのはレモンだし。

 そんなレモンにとって、このマブラヴ世界の技術程度であれば容易に対処可能なのだろう。

 それでもレモンに頼り切りにならないのは、そんな事をしていれば自分達の技術が進歩しないと理解している為か。

 はたまた、純粋にレモンの友人としての意地なのか、もしくはレモンへの対抗心なのか。

 その理由は俺には分からないが、それでも現状では夕呼がクリスカとイーニァの治療をする事になったのは間違いがなかった。

 霞が夕呼の下にいるという事は、当然ながら霞のデータは夕呼にもある訳で……そう考えれば、何とか出来そうな気はするが。

 何だかんだと、夕呼はこのマブラヴ世界の中では他に類を見ない程の科学者であるのは間違いないのだから。

 

「アクセル代表、ありがとうございます。私は貴方のおかげで、イーニァ以外にも守るべき者を見つける事が出来ました」

 

 珍しくクリスカが笑みを浮かべながら、そう告げてくる。

 最初の出会いは色々と悪かったのを考えると、よくもまぁ、ここまで関係が改善したものだ。

 もっとも、クリスカが俺に気を許したという訳ではないのは、知っているのだが。

 それでもきちんと感謝の言葉を口に出来るのは、それだけ俺に感謝をしているという事か。

 こちらに向けて話し掛けてくる口調も丁寧なものだし、そう考えれば俺に対する好意が以前よりも上がったのは間違いない。

 ……まぁ、それでも普通よりはちょっと上くらいだが。

 ちなみにクリスカからブリッジスへの好感度という意味では、明らかに俺よりも上だ。

 この2人と篁。……妙な三角関係が出来上がるかと思っていたんだが、クリスカとイーニァが日本行きになったという事は、どうなるんだろうな。

 別に距離が離れたからってお互いに連絡を取れなくなる訳じゃないから、必ずしもこれで終わりという事にはならないだろうが。

 

「気にするな。霞の友達が出来るのは、俺としても嬉しい。……イーニァ、また今度ラピスと遊んでやってくれ」

「うん、任せて」

「ラピス?」

 

 コテン、と。ラピスの名前を初めて聞いた霞が、小首を傾げる。

 ウサギの耳が揺れているその様子は、見る者が見れば鼻血を噴き出しかねない光景だった。

 

「ああ、そう言えばラピスの事を霞には紹介してなかったか。……夕呼はどうだ?」

「レモンから話だけは聞いてるわ。随分と興味深い子供みたいね」

「興味深いからって、解剖とかは許可出来ないからな」

「……アクセル、あんたあたしを何だと思ってるのかしら? 幾ら何でも、子供を解剖とかなんかしないわよ」

 

 そう言いつつ、夕呼の様子が少しだけ残念そうに見えるのは何でだろうな。

 ただ、夕呼自身が口にしているように、そのつもりがなければそんな真似はしないだろう。

 これが、もっとBETAによって人類が追い詰められていれば、意外とあっさり解剖しようとしたりするかもしれないが。

 その辺の思い切りの良さは、人間としてはどうかと思うが、科学者としては納得出来る。

 元々科学者というのは、多かれ少なかれ自分の知的好奇心によって動かされているところがあるし、夕呼の場合は理性のタガとも呼ぶべき部分が人よりも小さい……もしくは外れやすい。

 それでも普段は理性的な行動をしているから、ただの突拍子もない人間に見える事が多いのだが。

 

「そう信じてるよ。まぁ、本当に知りたくなったら、レモン辺りからデータは貰えるかもな。ただ……いや、何でもない」

「ちょっと、何よ。そこで言葉を止められれば、余計に気になるじゃない。きちんと話しなさいよ」

 

 そう告げる夕呼に、少し迷いながらも口を開く。

 この件は別にどうしても隠しておかなければならないって程のものではない。

 

「いや、単純に俺がナノマシンの類をあまり好きじゃないってだけだ」

「ナノマシン、ねぇ。この世界にとっては、夢物語に近いわよ」

「そうか? まぁ、そうだろうな。ただ、この世界にはナノマシンはあまり広まって欲しくないというのが正直なところだ」

「……それが難しいってのは分かってるんでしょ?」

 

 そう告げる夕呼の言葉に、俺は頷きを返す。

 そう、この世界のユーラシア大陸はBETAによって大きく荒らされている。

 それこそ、普通にテラフォーミングをするにはどれくらいの費用が掛かるか分からない程に。

 一応今も占領して基地化されたハイヴの近くでは、地道に植樹とかが行われている。

 だが……それでどれくらい緑化運動が進んだのかと言えば、遅々とした歩みと呼ぶのが相応しい。

 中には緑化だとか言いながら、緑のペンキを塗ったような奴もいたらしいが……

 ともあれ、そんな状況なだけに、手っ取り早く……そして安価にテラフォーミングを行う方法というのは、ナデシコ火星のナノマシンなんだよな。

 勿論他にもテラフォーミングの方法はある。

 マクロス世界にもその手の技術はあるし、ネギま世界……というか、シャドウミラーにもネギま世界の火星で培ってきた技術がある。

 だが、それらの中で最も手っ取り早く安価なのは、やはりナノマシンなんだよな。

 ……ナノマシンの暴走とか、そんな風にならないといいんだが。

 どうしても俺の中にはナノマシンに対する忌避感ある。

 それも、相当に強い。

 

「まぁ、ナノマシンも万能じゃないけどな。事実、ナデシコ世界では火星をナノマシンでテラフォーミングしたけど、その結果として作物はかなり不味かったらしいし」

「……あのね。1つ聞きたいんだけど、そのナデシコ世界で作られた作物って、この世界の合成食糧よりも不味いの?」

「それはない」

 

 即座に断言する。

 ナデシコ世界でそれなりに長い時間暮らしたが、火星で採れた作物の類は食べた事がない。

 それでも、テンカワに話を聞く限りでは料理人の腕次第では美味い料理になってたって話だから、合成食に比べれば断然マシだろう。

 少なくても、普通に食べる事は可能なのだから。

 ……考えてみれば、火星をナデシコ世界での本拠地にしているのに、そこで採れた野菜を食べた事がないってのは、正直色々と駄目なような気がするな。

 まぁ、今の火星に住んでいるナデシコ世界の住民は、労働の対価として金を支払い、その金を使ってシャドウミラーから食べ物や日用品といった物を購入してるんだが。 そう考えれば、火星でしっかりとした経済圏が出来ていることになる。……人口は少ないけど。

 正直なところ、火星の生き残りがやるような仕事はメギロートや量産型Wを使えばどうとでもなるようなものが多いんだけどな。

 それと、火星の生き残りがいる場所では使えないが、労働力としては最近急激に数を増したバッタもある。

 ……というか、バッタはラピスのように乗り物として使ってる奴も多かったりする。

 メギロートを乗り物として使っている奴は結構いたけど、何だかんだでメギロートは巨大だったんだよな。

 感覚的には軽自動車のバッタに対して、戦車のメギロート……といった感じか?

 それだけに、メギロートに乗る連中はいるにはいるが、決して多くはなかった。

 ちなみにそんな中でもっともメギロートに乗っていたのは、技術班の技術者達。

 それぞれが自分用にカスタマイズしたメギロートを足代わりにしていた。

 そんな研究者達は、今の状況になってもバッタを殆ど使っていない。

 これはメギロートに対する愛着があるというのもあるが、それ以上に軽自動車的な扱いであるバッタでは研究者達の要望を満たす事が出来ないというのもあった。

 何しろ研究者は研究資料を含む荷物を持ち歩く事も多い。

 あくまでも個人が乗るくらいにしか使えないバッタでは、そのような荷物を運ぶのは不可能となる。

 荷物の量にもよるが、最悪バッタを複数連れ歩く必要がある。

 それを考えれば、メギロート1機で済むのであればそちらの方がいいだろう。

 

「じゃあ、そろそろ行くわね」

「何だ、随分とあっさりしてるんだな」

「そりゃそうでしょ」

 

 俺の言葉に、夕呼が呆れたように呟く。

 その表情に浮かんでいるのは苦笑。

 

「そもそも、連絡しようと思えばすぐにでも連絡が出来るんだし、わざわざしんみりする必要がある?」

「……なるほど」

 

 まぁ、それは否定の出来ない事実だ。

 実際、夕呼はホワイトスターへと通信出来る通信装置を渡してある。

 それを使ってレモンや俺達の家に連絡を入れてくるのは珍しいことではなかった。

 

「それでも、いつもは通信画面だろう? こうして直接会うというのとは、少し違うと思うが」

 

 スレイの言葉に、夕呼はそう? と首を傾げていた。

 そんな俺達のすぐ側では、霞とイーニァ、クリスカの3人が仲良く話している。

 

「上手い具合にやれそうでよかったな」

「そうね。あの2人が霞をあっさりと受け入れるとは思っていなかったわ。もう少し時間が掛かると思っていただけに、嬉しい誤算と言ってもいいのかしら」

 

 イーニァ達を引き取った夕呼にしてみても、実際にはあの三人……というか、霞がイーニァとクリスカに馴染むのにはもっと時間が掛かると思っていた、という事か。

 

「けど、正直なところあの2人を引き取ってどうするんだ? オルタネイティヴ4は実質的にもう何もしてないんだろ?」

「そうね。あんた達のせいで……いえ、おかげでと言うべきかしら。ともあれ、そんな感じよ。けど、あれだけの技量の持ち主なら、A-01部隊でも十分にやっていけるでしょ。……ああ、そう言えばA-01部隊のメンバー補充の為の訓練部隊に面白い奴が入ったわよ?」

「……面白い奴?」

「ええ。何て言えばいいのかしら……第2のアクセルになりそうな奴」

「へぇ。それはまた……戦術機に乗っている程度でそこまで言われる奴か。少し興味あるな」

「うん? ああ、いや。違う違う。あたしが言ってるのはそういう事じゃないわ。常に周囲に女を侍らせて、しかもその女は大体がその男に好意的なのよ。……アクセル以外にも恋愛原子核を持っている人がいたというのは驚きだったわ」

「何だよ、その恋愛原子核って」

「言ったそのままよ。周囲に女を侍らせており、その女達は大抵がその男に好意的であるという現象。アクセルみたいにハーレムを築いている人にはピッタリの表現でしょう?」

 

 ……否定は出来ない事実、か?

 だが、素直に頷くのもあまり納得出来ないような気がするんだが。

 

「とにかく、アクセルには劣るけど恋愛原子核を持っている訓練生がいるのよ。これが、中々に優秀でね。恐らく近いうちにA-01部隊に所属することになると思うわ」

「へぇ。A-01部隊にね。けど、そうなるとクリスカやイーニァ達もその恋愛原子核とやらに引っ掛かるんじゃないか?」

 

 イーニァはともかく、クリスカはブリッジスといい雰囲気だった筈だ。

 そう考えれば、恋愛原子核とやらに引っ掛からない方がいいと思うんだが。

 

「さっきも言ったけど、アクセル程に強力な恋愛原子核じゃないわ。だから、クリスカが本当にそのブリッジスとかいう男を好きなら、多分大丈夫でしょ」

 

 適当に告げる夕呼。

 まぁ、実際問題恋愛原子核とかなんとか、そういうのは夕呼のお遊び的なもので付けられた名前なんだろうし、そこまで気にする必要はないだろう。

 

「それに、もし白銀が無節操に他の女を口説くようなら、ドリルミルキィパンチとやらが放たれるでしょうし」

 

 クツクツと笑みを堪えて告げる夕呼に、俺はドリルミルキィパンチ? と首を傾げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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