転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1494話

 レオンとシャロンが俺に挨拶に来てから、数日。

 その間にも、色々と大きな動きはあった。

 まず最も大きな出来事としては、インフィニティーズがその実力を見せつけたことか。

 アフリカから出向してきているドゥーマ小隊を相手に模擬戦を行い、完全試合を見せつけたのだ。

 ドゥーマ小隊の機体、ミラージュ2000も決して悪いものではない。

 プロミネンス計画に参加しているだけあって、通常の物よりも数段性能は強化されている。

 その中には当然BETAとの戦いが終わった戦後を見据えての改修もあり、レーダーの類は当然のように強化されていた。

 事実、ラプターの使うステルスという意味では、ドゥーマ小隊との模擬戦では殆ど役に立っていなかった。

 にも関わらずインフィニティーズが完全勝利を得たのは、純粋にパイロットの操縦技術がアフリカの部隊よりも数段上だったからこそだろう。

 また、ラプターも対BETAよりも対人間を重視して作られただけあり、MSの技術を殆ど使っていなくても、決して性能が悪い訳ではない。

 その結果が、完全勝利だった。

 インフィニティーズの話題がカリンダ基地の中を走る中、アルゴス小隊は何をやっていたかと言えば、ようやくロールアウトした不知火弐型の習熟訓練をブリッジスが行っていた。

 その相手をするのは、当然ながら武御雷に乗る篁。

 振るわれる武御雷の長刀を、不知火弐型は受け止める。

 この辺りの動作は既に慣れたものがあり、吹雪の時と比べても非常にスムーズになっていた。

 まぁ、吹雪は不知火の練習機という扱いらしいから、ある意味当然かもしれないか。

 ともあれ、日本製戦術機の2機はそんな具合に戦っており、それ以外のアルゴス小隊のメンバー……VG、ステラ、タリサの3人は別に何かをやっているらしい。

 

「順調だな」

 

 呟く俺の言葉に、隣で模擬戦を見ていたイブラヒムが頷きを返す。

 

「はい。機体が出来るまではかなりの苦戦がありましたが……出来上がってしまった今では、驚く程スムーズに進んでいます」

「日本の技術とアメリカの技術の融合……と言うだけなら、ここまで時間は掛からなかったんだろうが、そこにMSの技術も入って来たからな。寧ろ、よくこの短時間で仕上げたと褒めてやりたいくらいだ」

 

 実際、不知火弐型が完成したと伝えた時、技術班のメンバーも少しだけだが驚きの表情を露わにしていた。

 つまり、それだけの偉業……と言ってもいいのだろう。

 

「他の国もプロミネンス計画は上手い具合に進んでいるんだろう?」

「はい。詳細な情報は入ってきていませんが、それでも噂で話を聞く限り、どこの国も順調らしいです。……インフィニティーズも含めて」

 

 アメリカとしては、ラプターを改修するというのは絶対にやっておくべき事だろう。

 だが、それでもこうして数日である程度の成果を出しているというのは、素直に凄いと思う。

さすがこの時代で戦術機を作った国の技術者だけの事はある。

 アメリカとしても、G弾はもう使えなくなったのだから純粋に戦術機重視になってきているという事か。

 色々と不祥事が連続した結果、アメリカの国力はEU、日本、オーストラリアに抜かれてしまった。

 それは仕方ないにしても、このままアメリカが大人しく他国の下に甘んじている筈もない。

 不祥事は起こしてしまったが、その結果として国の膿とも呼べる者達の排除には成功した。

 そうなれば元々大国なだけに、他の国よりも下にいるというのは我慢出来ず、国を挙げて何とか巻き返しを図ろうとしているのだろう。

 

「アメリカの底力を考えると、そのくらいは当然かもな」

「そうですね。何だかんだと、アメリカの存在感は強いですから」

「……強敵もいる事だし、な」

 

 イブラヒムと会話をしながら、視線を不知火弐型と武御雷の模擬戦から別の場所へ……基地の外へと向ける。

 そこでは、現在最もこのカリンダ基地の中で注目されている小隊が模擬戦を行っている筈だった。

 そう、アメリカのインフィニティーズと、ミネルバ隊との模擬戦が。

 現状インフィニティーズは、カリンダ基地にやって来ているこの世界の小隊の中では最強と言ってもいい。

 本当にそう言ってしまえば、負けず嫌いな者達が自分達こそ最強だと主張するだろうから口にはしないが。

 それでも実際にインフィニティーズが最強に近い存在なのは確かだ。

 そして、これまで幾つもの小隊を相手に完勝してきたミネルバ隊が、そのインフィニティーズと戦ってどうなるのか。

 正直なところ、俺もその辺には興味がある。

 いや、正確にはインフィニティーズがどこまで持ち堪えられるかという方に興味があるといった方が正確か。

 このカリンダ基地で最強クラスのインフィニティーズであっても、ミネルバ隊に勝てるかと言われれば……俺は難しいと思う。

 カリンダ基地の中にはインフィニティーズが勝てると言ってる者もいるが、恐らくそれは無理だろうというのが俺の予想だ。

 それ程までに、MSと戦術機というのは性能が違う。

 

「そう言えば、アクセル代表。聞きましたか?」

「うん? 何がだ?」

 

 基地の外に視線を向けていた俺に、イブラヒムがそう話し掛けてくる。

 

「上の方で、ブルーフラッグという模擬戦を行う為に色々と動いているらしいですが」

「ブルーフラッグ? へぇ、それは少し面白そうだな」

 

 国同士の模擬戦というのは、どうしても色々な準備が必要となる。

 その手続きを簡略化し、大規模に模擬戦をやる……というのは、中々に面白そうな試みだ。

 それに、全ての国が参加して行われる模擬戦となれば、明確なまでに順位が付く。

 そうなれば、自分達の国の技術力が劣っていると見られるのは耐えられないだろうから、どの国も本気で模擬戦に参加するだろう。

 ……そうだな、中には秘密主義を通そうとする国もあるだろうから、そうなれば出来るだけ本気を出すようにした方がいい。

 何をすれば本気になる? それは当然利益だろう。

 シャドウミラーにとって負担にならない利益……となれば、真っ先に頭に浮かぶのはMSを始めとした機体の技術……いや、BETAの件が殆ど解決してきたんだから、出来れば他の物がいい。だとすれば……ああ、資源をある程度渡すというのならいいか?

 特にBETAの死骸により、ホワイトスターに資源は大量に存在する。

 地球から得られるBETAの死骸は少なくなっているが、火星からは大量に運び込まれているしな。

 この辺、ハイヴを潰している地球と、ハイヴを残してG元素を奪っているシャドウミラーの違いが大きく出ていると言ってもいい。

 資源に困ってる訳じゃない俺達に、地球ではどの国も資源はあればあっただけいい。

 それこそ、アメリカやオーストラリアといった直接BETAの勢力圏と接していない国も資源は欲しいだろう。

 で、その資源がどのような種類になるのかというのは、ブルーフラッグで優勝したチームが所属する国にすればいい。

 ただそうなると、問題も出てくる。

 特に大きいのは、XFJ計画のように2国間で協力している計画。

 基本的には日本が主導しているXFJ計画だが、アメリカの技術あってこその話だというのも間違いはない。

 そんな場合、優勝賞品の資源をどちらにやるのかというのは……下手をすれば、これが原因で国同士の争いになる可能性もある。

 少し前までならBETAの脅威があって……いや、この世界の人間は人類の危機でも協力する事が出来ないような精神構造の持ち主が多いんだったな。

 一連の事態でそんな奴等の多くは消えていったが、それでもまだ生き残っている奴は多い。

 まぁ、それでもそんな奴等は数が減ったのは事実だし、上に立つ者も有能な者が多くなっているのも事実。

 結果として、馬鹿が馬鹿な真似をすれば以前より隠しきるのは難しくなった。

 なら、2国間の間で話し合いをさせてその辺を決めても、多分問題はない筈。

 

「よし、決めた」

「はい? 何をですか?」

 

 俺が考えている間、黙っていたイブラヒムがそう尋ねてくる。

 イブラヒムも、これを聞けばアルゴス小隊と共にやる気になってくれるだろう。……多分。

 

「ブルーフラッグとかいう模擬戦の大会で、優勝者……いや、模擬戦なんだしトーナメント形式じゃなくて総当たり戦なのか? とにかく、もっとも勝率の高いチームの国には賞品を出す事にしよう。それも、各国とも本気になりたくなるような、そんな賞品を」

「……具体的には、どのような賞品ですか?」

「シャドウミラーから希望の資源を与える。それこそ石油でも鉄でも、レアアースでも、レアメタルでも……ああ、ただ市場を混乱させないように、金やプラチナといった物に関しては、ある程度制限しないといけないか」

「……ほう」

 

 イブラヒムの口から、興味深そうな声が出る。

 それだけ、俺の言葉に魅力を感じているのだろう。

 どこの国も、資源不足に泣かされているからな。

 一応中東はそれなりに無事だし、アフリカは無傷で残っている。

 だから完全に資源不足という訳ではないが……地球でも最大の大陸であるユーラシア大陸を荒らされているというのは、非常に痛い。

 BETAはもう殆ど残っていないが、BETAがいなくても、BETAが残した負債はそのままとなっている。

 勿論地下に埋まっている資源も多いのだから、まだBETAに掘り返されていない資源というのもあるんだろう。

 だが、それを掘り出すのにも当然資金が必要になる。

 普通であれば問題はないのかもしれないが、今のマブラヴ世界の状況でそれを行うのは色々と負担が多い。

 だとすれば、BETAの死骸をシャドウミラーに輸出して……という風に考えるのはおかしくない。

 実際、マブラヴ世界の国々からはBETAの死骸以外の物でも取引出来ないかという打診は来ている。

 ……ハイヴが少なくなり、そうなれば当然BETAの数も少なくなる。

 今のマブラヴ世界の住人にとって、BETAというのは憎むべき敵であるのと同時に、資源を得る為の原材料に過ぎないのだから。

 

「どうだ? やる気が起きてきたか?」

「そうですね、やる気という意味では問題はないかと。ただ……」

「ただ?」

 

 ブルーフラッグに対する各国の本気度を上げる為に提案したのだが、イブラヒムの顔にはあまり賛成するという意志は見えない。

 勿論反対をしている訳ではないだろうが、全面的な賛成という訳でもない。

 

「色々と問題が起きそうな気がします」

「……例えば?」

「資源が欲しいのは、どこの国でも同じ。そうである以上、ブルーフラッグの優勝で資源を得られるのであれば、それを逃すような真似はしないでしょう。ただでさえ、このプロミネンス計画に参加している各国の威信が掛かっているのを考えれば……純粋な戦術機としての戦いだけではなく、場外での行為に発展する恐れもあるかと」

 

 ……なるほど。そんな問題もあるか。

 イブラヒムの言葉を聞き、最初に俺の脳裏を過ぎったのはソ連。

 イーニァとクリスカの2人は、スカーレットツインとかいう異名を持っているらしい。

 実際タリサが以前喧嘩を売って、思い切り負けたとか何とか。

 そう考えると、あの2人は意外に強いんだな。

 それでも資源を得る為であれば、サンダーク辺りなら平然と妨害工作とかしてきそうだ。

 それと……今までは関わる事がなかったが、大東亜連合か。

 いや、大東亜連合そのものはそうでもないんだが、そこに所属している某国が何かを企むということは平気で有り得る。

 八百長はやらない方が馬鹿だという認識を持つ国だからな。

 でもって、何かあれば自国以外には全く意味不明な自分達独自の理論で謝罪と賠償を要求してくる。

 ……なるほど。そう考えると、純粋に戦術機の性能を試す事は出来なくなるか。

 ああ、バッタ辺りを使って周辺を警戒させるというのはいいかもしれないな。

 既にホワイトスターでは徐々にバッタの数が増えてきているが、そういう意味ではそれなりに使い勝手のいい機体ではある。

 一応、ある程度の戦闘力もあるしな。

 

「分かった、その辺はこっちで何とかしよう。当てがある」

「本当ですか? それではその、よろしくお願いします」

 

 イブラヒムが頭を下げるのを見て、俺も頷きを返す。

 さて、そうなるとやるべき事はそれなりに多い。

 資源に関しては最初から用意するのではなく、優勝した小隊が所属している国が欲している物を与えればいいだろう。

 ブルーフラッグに関して俺達シャドウミラーが関わるという話もしておいた方がいいだろうし……その辺は政治班に任せるか。

 エリナも所属する事になって、ある程度余裕が出来た筈だしな。

 そんな風に思いながら、ブルーフラッグをどう盛り上げようか、頭の中で色々と考える。

 シャドウミラーの機体を参加させるのはさすがに無理だろうな。

 いっそ、俺が生身で出るとか?

 ……いや、俺の安全は問題ないが、他の者達が賛成しないか。

 そんな風に考え、小さく笑みを浮かべるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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