転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1487話

 視線の先を飛んでいる戦艦を見て、カリンダ基地にいる者達がそれぞれ感嘆の声を上げる。

 SEED世界にある、コーディネイターの国プラント。

 そのプラントの軍隊であるザフトの、最新鋭戦艦だ。

 空中を飛ぶ戦艦というのは、マブラヴ世界では非常に珍しい。

 勿論シャドウミラーのシロガネを含めて、大きな戦場では何度も姿を現しているので、全く見覚えがないという訳ではない。

 だが、それでもやはり驚きは大きいのだろう。

 カリンダ基地にいる者達が見ている中、ミネルバは基地から少し離れた場所へと着地する。

 そうしてデモンストレーションなのだろう。ミネルバからザクウォーリア、ザクファントム、グフイグナイテッド……最後にインパルスが姿を現す。

 へぇ……ザクはともかく、グフイグナイテッドも配備されているのか。

 いや、そんなに驚くべき事じゃないか。

 そもそも、俺が以前プラントでシミュレータを使った時に、そのデータが入っていたのだから。

 つまり、あの時点でもうグフイグナイテッドは運用される準備が整っていたのだろう。

 火星の戦いで出撃していなかったのは、タイミング的にギリギリだった……と考えるべきか。

 そんな風に考えている俺の視線の先で、ミネルバの周囲に着地したMSが、カリンダ基地に向けて敬礼の動作をする。

 へぇ、全機のタイミングも合っているし、こうして見る限りだとミネルバのMS隊の練度は高いよな。

 火星での戦いで一皮剥けたか?

 実際にあの戦いが本格的な戦いの初めての経験だったらしいし。

 一応宇宙海賊とかもいるらしいけど、その戦力はそんなに大きくない。

 いや、以前は多くのMSを持っていた宇宙海賊もいたらしいが、メギロートの集団に襲われてしまっては、普通のパイロットにどうにか出来る筈もない。

 MSが最初に現れた時に比べると、SEED世界のMSパイロットの技量も上がっているし、OSもより洗練されたものになっている。

 けど、メギロートで何よりも恐ろしいのは、その数だ。

 1機のメギロートは、ウィンダムやザクなら倒せるだろう。

 技量に自信があるのなら、俺達がSEED世界で参加した戦争当時に使っていたMSでも何とかなる筈だ。

 だが、そのメギロートが10機や20機、50機、100機と集まってくれば……宇宙海賊如きではどうしようもない。

 しかもメギロートは壊れても、ホワイトスターですぐにでも量産出来る。

 そんなメギロートの群れに襲われ、更にはオーブのMSの実弾訓練の相手としても扱われたりし、結果として宇宙海賊の大きなところはその殆どが消滅した。

 まぁ、本来ならオーブが宇宙に手を出すといった事はあまりないのだが、今のオーブにはヘリオポリスがある。

 ……俺がSEED世界に行った時のゴタゴタで破壊されてしまったヘリオポリスだったが、今のオーブの国力でそれを放っておく筈もない。

 今ではきちんとヘリオポリスは再建され、オーブの宇宙における拠点の1つとなっている。

 そんなヘリオポリスにとって、大規模な戦力を持つ宇宙海賊というのは邪魔者でしかない。

 その結果が、大規模な海賊狩りであり……現在生き残っている海賊は、小規模なものになってしまっている。

 もっとも、小規模な海賊というのはフットワークが軽い事も多く、自分達のアジトが怪しまれたと思えばすぐにその場から逃げ出すようになっており、それだけに見つけるのが大変になっているらしいが。

 ともあれ、大西洋連邦を含めた地球の戦力との戦いがオーブによって禁止されているザフトにとって、戦闘経験を積むというのは宇宙海賊を相手にするのが一般的だった。

 だが、その宇宙海賊もオーブやメギロートによって大規模な者達は壊滅させられてしまっている以上、小さな奴を相手にするしかなく、そうなればどうしても本格的な戦闘経験を積むのは難しくなる、と。

 

「ふんっ、あんな行動で腕が分かるもんか。あのくらいなら、ある程度の腕があれば誰にでも出来るからな」

 

 少し離れた場所でミネルバとMS隊の動きを見ていたタリサが、不機嫌そうに呟く。

 ……思い切り対抗意識が剥き出しになってるな。

 いや、それが決して悪い事だとは言わない。

 それどころか、MSを相手にしてこれだけ言えるのだから大したものだと言ってもいいだろう。

 そんなタリサの横では、ブリッジスもまた同様に対抗心剥き出しの目をしていた。

 最近は日本製戦術機の操縦にも慣れてきており、吹雪に振り回されるような事もなくなっている。

 篁との連日の訓練がその自信を付けさせているのだろう。

 同時に、篁との関係も改善しているとか。

 ……まぁ、これは篁がブリッジスに歩み寄っているというのが大きい。

 俺とブリッジスが話していたのを聞いて、日本人のブリッジスの父親に対して色々と思うところがあったのは、間違いない。

 実際、ブリッジスの話を盗み聞きしていた後で俺と話した時も、ブリッジスの父親の不誠実さにはかなり憤っていたからな。

 もしかしたら、その内ブリッジスの父親を見つけ出して説教をしかねない。

 篁家というのは武家の一門であり、日本における権威は高い。

 その影響力を使えば、ブリッジスの父親を見つけるのはそう難しい話ではないだろう。

 まぁ、相手もブリッジスの母親を弄んで捨てたんだ。

 その先に破滅が待っていても、おかしくはない。

 そんな風に考えている間に、ミネルバから1台の車が姿を現す。

 その車がこっちに……カリンダ基地の方へと向かってくるのを見ていると、その車に乗っているのがミネルバ艦長のタリアである事に気が付く。

 

「へぇ、艦長自らのお出でか。……まぁ、今回の話を考えれば当然かもしれないけど」

 

 それでも、少しだけ驚きの表情を浮かべている俺の横で、VGと……いつの間に来てたのか、ヴィンセントが揃って口笛を吹く。

 

「凄いな、あんな美人が艦長なのか?」

「全く羨ましいねぇ」

 

 言葉通り、心の底から羨ましそうに呟くヴィンセント。

 まぁ、分からないでもない。戦術機のパイロットに関しては、BETAとの戦いで人材が次々に減っていき、若い女も増えてきた。

 だが、戦艦というのは戦術機程に数が多い訳ではない。

 勿論これまでのBETAの戦闘で多くの戦艦が沈んでいるのは知っているが、それでもまだ人材は豊富だ。

 その結果……と勿体ぶる程のものでもないかもしれないが、戦艦の艦長にタリアのように若い女の姿はない。

 俺が知ってる限りだと、この世界の艦長の殆どは中年から老年と呼ばれるくらいの年齢の男だけしかない。

 もっとも、それはあくまでも俺の知ってる限りだ。

 実際にはマブラヴ世界にも若い女の艦長というのはいる可能性もあるだろう。

 そして車の上を護衛するように、ルナマリアの操縦するインパルスが飛んでいる。

 正直なところ、この世界ではバリアの類もないままで空を飛ぶのは止めておいた方がいいんだが……いや、BETAについての研究はSEED世界でもそれなりに行われている。

 この前行われた、火星での戦いでも何匹か生きたBETAを引き渡したしな。

 当然火星にはおらず、地球にのみ存在するBETA……光線級、重光線級、兵士級といったBETAについても、シャドウミラーから情報を引き出して調べているだろう。

 実際あの程度の高度であれば、光線級の心配はしなくてもいいんだし。

 インパルスに守られたタリアの車が、カリンダ基地の入り口で停止する。

 そして車から降りてきたタリアを出迎えたのは、厳つい顔の中年の男。

 俺が今回この基地に来た時に軽く挨拶はしたので、その人物のことは覚えている。

 クラウス・ハルトウィック。

 西ドイツ軍の大佐で、この基地の最高責任者だ。

 その人物を見て俺が感じたのは、外見通りの頑固そうな男。

 もしプロミネンス計画について邪魔になりそうな相手がいれば、問答無用で排除してもおかしくないような、そんな性格。

 いやまぁ、実際にはどんな性格なのかというのは分からないのだが。

 あくまでも俺の第一印象だし。

 その2人が会話を交わしている様子を眺める。

 ちなみにミネルバ側がMSを用意して周囲を警戒しているように、カリンダ基地の方でも戦術機を何機か出してい周囲を警戒していた。

 この辺は外交という面もあるのだろう。

 ……ただ、それでも戦術機の方が少ないのは、やはりMSを相手にしても勝ち目がないというのを理解しているから、か?

 実際戦術機とMSが戦えば、余程の戦力差でもない限りMSが勝つ。

 BETAのように無数の数で攻めてくるのなら、話は別だろうが。

 ともあれ、こうして見る限りではお互いに威嚇しあってはいるが、それなりに関係は友好的らしい。

 無理もないか。

 クラウス側としては、マブラヴ世界がBETAに対してここまで優勢になった理由の1つである、リニアガン・タンクの輸入先を怒らせたくはない。

 まぁ、正確にはリニアガン・タンクを輸出しているのはオーブで、ザフトや連合といった国々からの中間という扱いになっているのだから、ザフトを怒らせても問題はないが……それでも、怒らせる必要がなければ怒らせたくないというのが本音だろう。

 タリアにしても、こうしてマブラヴ世界に来ているのはシャドウミラーの紹介があってこその事だ。

 ホワイトスターで誰かが問題を起こせば、その勢力に責任を取って貰うというのを適用すると、ここでミネルバが問題を起こせばザフトどころかSEED世界全体に迷惑を掛けてしまう。

 そんな事になれば、当然オーブや連合から責められることになり、ザフトは……いや、プラントそのものの立場が悪くなる。

 つまり、お互いに何か明確な理由……例えば自分達が攻撃されるとかされない限り、暴れる心配はない。

 その辺はクラウス、タリアの2人共がお互いに理解しているのだろう。

 こうしてマブラヴ世界にやって来るのだから、当然のようにタリアとクラウスは通信で話しているだろうし。

 

「さて、向こうは友好的な態度だけど……これがどう進むのかは、少しだけ楽しみだな」

「楽しみ? ……私も楽しみだよ。アクセルも楽しみなの?」

「ああ。これから起きるのは、恐らくこの世界の……うん?」

 

 不意に会話に割り込んできた人物の声に我に返る。

 そうして声の聞こえてきた方へと視線を向けると、そこにはイーニァの姿があった。

 それはいい。いや、良くはないかもしれないが、この基地にいるソ連軍の軍人であるイーニァがいるのは当然だし、イーニァの保護者であるクリスカの姿がないのは疑問だが、ともあれ問題はない。

 それよりも問題なのは……

 

「アクセル、会いに来た」

 

 そう言いながら、無表情で俺の方に視線を向けているラピスがいる事だ。

 

「ラピス!?」

 

 俺が驚くよりも早く、驚きの声が響く。

 その声を発したのは、俺と一緒にこの世界に来ているスレイだ。

 スレイも俺と同棲している以上、当然ラピスとは家族同然に過ごしている。

 だからこそ、こうして驚きの言葉を上げているのだろう。

 また、ラピスの存在に驚いたのもそうだったが、同時に驚いたのはイーニァがラピスと手を結んでいた事だ。

 ラピスは基本的に他人に中々心を許す事はしない。

 だが、こうして見ると特にイーニァに手を繋がれているラピスは嫌がっている様子はない。……まぁ、喜んでいる様子も見えないか。

 相変わらずの無表情なので、その様子を見て取る事は出来ないが。

 

「何だってラピスがここに……というか、どうやって来たんだ?」

 

 スレイがラピスにそう尋ねるとラピスはそっとミネルバの方を指さした。

 ……だよな。このタイミングでここまでやって来たんだから、ミネルバが関係していない筈がない。

 これは、ミネルバを責めるべきか? けど、あれだけの大きさの艦なんだし、ラピス1人が紛れ込んでも気が付けという方が難しい。

 

「あー……うん。で、ちょっと聞きたいんだけど、ミネルバで来たにしても随分とここまで来るのが早くないか?」

 

 ふと気になり、そう尋ねる。

 タリアは車で移動してミネルバからこの基地までやってきた。

 それに比べると、ラピスはこう言っては何だが運動神経が非常に低い、もしくは悪い。

 まぁ、今まで育ってきた環境もあるのだから、その辺は仕方ないのかもしれないが。

 そのラピスがどうやって俺の下へとやって来たのか。

 そんな俺の疑問はスレイも同様だったのだろう。

 周囲のアルゴス小隊の面々からどこか生温かい視線を向けられているのを感じつつ、ラピスに尋ねる。

  ラピスはスレイの方を見て、次に俺の方へと視線を向けて一瞬躊躇った後でやがて口を開く。

 

「バッタ」




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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