転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1480話

 朝食が終わり、俺はスレイと共にステラやVGと一緒に行動していた。

 ……ただし、当然のように2人は戦術機用のパイロットスーツを身につけており、VGはともかくステラはその魅力的なボディラインを露わにしている。

 まぁ、戦術機のパイロットとして長年過ごしてきただけに、羞恥心とかはないんだろうが。

 以前夕呼から聞いた話だと、訓練生時代に強制的に男女を同じ場所で過ごさせ、しかも着ているパイロットスーツはシースルーの特別製だ。

 そんな経験から、ボディラインが露わになる程度では羞恥心を感じないのだろう。

 

「あーっ! いた! おい、ステラ、VGも! どこに行ってたんだよ!」

 

 不意に聞こえてきた声に振り向くと、そこにいたのは背の小さな女パイロット。

 タリサとかいう名前だった筈だ。

 そう言えば朝食の時に、ブリッジスもこいつもいなかったな。

 

「あら、タリサ。どうしたの?」

「どうしたもこうしたもねーだろ……って、え? あれ? ちょっ、何で!?」

 

 不満を口にしようとしたタリサだったが、そこで俺とスレイの姿に気が付いたのだろう。目を大きく見開いて驚愕を露わにしている。

 感情が思い切り表情に出てるよな。

 どことなく、犬を連想させる。……見ていて面白い。

 

「アクセル代表もスレイも、XFJ計画に協力してるんだから一緒にいてもおかしくないでしょ?」

「スレイって……プレスティ大佐の事か? 何だよ、随分仲良くなったんだな」

 

 そう告げるタリサの様子は、見て分かる程に不機嫌だ。

 こうして見た感じだと、自分の居場所に俺とスレイが入って来たのが面白くないといったところか。

 縄張り意識……いや、違うな。自分の親しい友人が他の人と仲良くしてるのが気に入らない、のか?

 昨日はそれなりに友好的だったと思うんだが。

 

「あら、タリサったら。もしかして、嫉妬?」

「ばぁっ! ん、んな訳ねえだろ! それよりほら、早く行くぞ! もう向こうでは準備をしてるって話だしな」

「準備? あら、タリサは今日の訓練で何をやるのか知ってるの?」

「ああ。何だ、ステラは知らねえのか?」

 

 ふふん、と少しだけ得意気に呟く様子は、その見た目同様に子供っぽいものがある。

 いや、元々外見が子供っぽいから、全てが子供っぽく見えてしまうのか?

 ともあれ、こうして見る限りではミナト辺りが見たら保護欲全開で構ったりしそうだ。

 そう言えば学校の件はどうなったんだったか……

 タリサの姿を見て、ラピスの小学校の問題を思い出した辺り……いや、うん。これ以上は考えない方がいいだろうな。

 会話を交わしながらも、俺達は道を進む。

 VGがタリサをからかい、ステラがそれを窘める……といった、ある種調和が取れている光景。

 そんな光景を、俺とスレイは少し離れた位置で見ながら通路を進んでいく。

 

「このアルゴス小隊、随分と仲はいいようだな」

「ああ。まぁ、仲がいいって意味だと、俺達シャドウミラーも負けてないけどな」

「シャドウミラーは組織的に見ると小さいからな」

 

 呟くように言うスレイだったが、それは間違いのない事実だ。

 人間が3人いれば派閥が出来るというのは、よく言われている。

 そこまで極端な例ではないが、人数が多くなればそれ程人間関係が複雑になるのは当然だろう。

 だが……シャドウミラーの場合、組織の核となる部分は人間だが、実際に手足となって動いているのは量産型Wやメギロート……それと最近はバッタだ。

 一番人数が多い場所で動いているのがそういう面子だけに、結果として組織の人数で見れば決して人間の数は多い訳じゃない。

 それでもある程度の人数はいるが……そこで大部分を占めているのが、俺の恋人達だというのも大きい。

 まぁ、普通であれば恋人が大勢いて、それが全て同じ組織にいるというのは、それこそ人間関係が複雑になってもおかしくないのだが……幸い、俺の恋人達の場合は皆出来る女ばかりであり、毎晩のように文字通りの意味で裸の付き合いをしているので、自然と皆が仲良くなっている。

 俺の恋人達じゃない方でも、何だかんだと仲がいい……俺と相性のいい面子が揃っている。

 だからと言って、喧嘩の類が一切ないのかと言えば、そんな事はないのだが。

 イザークやアウル辺りは結構喧嘩っ早いし。

 また、軍事独裁国家という形の国なのも大きいだろう。

 民主国家であれば、一々行動をするのに話し合いをしてお互いの意見を述べ……それはいいんだが、対案もない癖に批判の為の批判をする者が出てくる。

 そうなれば当然人間関係もスムーズには行かず……衆愚政治というのは度し難いと素直に思う。

 勿論民主国家を否定している訳ではないが、それを適用する為には民衆全てが高い民度を必要とする。

 ともあれ、シャドウミラーという組織の核を構成している部分が人間なので、基本的にはシャドウミラーのメンバーの関係は悪くない。いや、寧ろ良好だと表現してもいいだろう。

 それと最近は精霊の卵を含めてエルフ族もいるが、そっちは基本的に俺を崇め……いや、慕っているので、シャドウミラーで問題を起こすような者達はいない。

 また、シャドウミラーのトップに立つ俺が、実際に国の意志決定をしてはいるが、それ以外は全力で下に投げているというのも、意外と大きいのか?

 ともあれ、シャドウミラーは俺の目から見ても、そして客観的に見ても、恐ろしい程スムーズに、問題なく運営されているのは間違いのない事実だった。

 色々な幸運……特に自分が上に立ちたいという者や、自分の意見を絶対に通そうとするような奴がいないというのが影響しているのだが。

 

「うわっ、ちょっ、おいあの機体って何だ!?」

 

 VGの口から出た驚愕の声で、我に返る。

 声のした方へと視線を向けると、そこではVGが指さしながら叫んでいた。

 何を見て驚いているのかといえば、その指の先にあるのは……武御雷だった。

 装甲が黄色の武御雷。

 武御雷は装甲の色で使用出来る者が違っており、紫が征夷大将軍……実はいつの間にか崇継がなっていたその地位にある者の専用機。

 そして青が五摂家の者達のみが乗る事が出来、赤は五摂家に近い者……月詠のような者達が乗る機体。黄色は譜代武家の家の者が、白は一般の武家の者が、黒は武家の出身ではない者が乗る機体。

 ……武御雷だけで、よくここまでバリエーションを作った物だ。

 しかも武御雷はMSをこの世界で一番早く与えられ、それをじっくりと研究して得た技術をふんだんに盛り込まれた機体だ。

 その辺の戦術機とは一線を画す能力を持っている。

 アメリカではラプターとかいう最新鋭の戦術機が実用化されたらしいが、それに対しても戦力比としては1:5は保証する……らしい。

 ただ、ラプターの方は正直そこまで能力が高くないというのもある。

 元々俺達が来る前に開発されていた機体で、ステルス機能を重視した……それこそBETAではなく人間を相手にするような設計となっていた。

 だが、シャドウミラーがこの世界に介入した事により、技術は格段に進歩し……ぶっちゃけ、ラプターのステルス機能は張り子の虎と言うか、あってもなくても大して変わらない程度の物にまで落ちぶれてしまった。

 ステルスと言えば、ASRSやミラージュコロイドといったような強力なステルス性能のあるシャドウミラーからしてみれば、それこそ子供騙しにもならない程度の代物だ。

 まぁ、それでも戦術機のノウハウは圧倒的なアメリカだ。

 武御雷以外の戦術機……いや、EUのタイフーンもMSの技術をある程度採り入れている分、ラプターとやり合えるだけの力はあるか?

 ともあれ、極少数以外の機体を除けば、戦術機としては最高峰の位置にあるラプター。……そして今俺達の前にあるのは、そんなラプターをも楽に下せるだけの実力を持つ戦術機、武御雷だった

 MSの技術を流用しただけあって、これは最早純粋な戦術機とは呼べない。

 どちらかと言えば、戦術機とMSのハイブリッド的な存在と言ってもいいだろう。

 間違っても武御雷の隣にある吹雪でどうにか出来るような機体ではない。

 ……吹雪も拡張性はあるし、能力としては決して悪いものじゃないんだけどな。

 

「あれ、武御雷!? 確か日本の斯衛だけしか使えない機体よね? だとすれば、あの機体に乗ってるのは、篁中尉?」

 

 冷静なステラが、珍しい程に驚きも露わに告げる。

 

「そうだ」

 

 そしてステラの言葉に応えるように、篁が姿を現す。

 ……パイロットスーツにその身を包みながら。

 例によって例の如く、そのパイロットスーツは篁の豊満な身体のラインをくっきりと表している。

 

「今日の訓練は、ブリッジス少尉に日本の戦術機の戦い方……いや、扱い方をしっかりと体験してもらう事にある。……いいな?」

 

 篁の視線が向けられた先にいたのは、こちらもパイロットスーツに身を包んだブリッジスの姿。

 表情に不満が表れているのは、日本嫌いだというのに日本の戦術機に乗って、更には日本人である篁に操縦を教えて貰う必要があるという事か。

 ……こうして見ると、ブリッジスにとっては色々な意味で今の状況は面白くないんだろうな。

 それでいながら不満を直接口に出さないのは、自分が吹雪を扱い切れてないというのを理解しているからか。

 自分に不満があっても、戦術機に関しては我慢する……というのは、少し見直した。

 いや、本当にそうなのかどうかは分からないけどな。

 実は何か別の理由があっての行為かもしれないし。

 

「本来であれば、この訓練は不知火弐型のテストパイロットであるブリッジス少尉だけが体験するべきものだ。だが、お前達もXFJ計画に参加して貰っている以上、いずれ日本の戦術機に乗る機会があるかもしれない。また、それ以外であっても、これから軍人として過ごす以上、自分の機体にトラブルがあって乗れず、日本の戦術機に乗らなければならないかもしれないという事もあるかもしれない筈だ。その時に、少しでも為になればと思い、私とブリッジス少尉の模擬戦を見て貰う事にした。……ブリッジス少尉」

「了解。せいぜい勉強させて貰いますよ」

 

 うん、何だかんだと憎まれ口は叩くんだな。

 そこまで日本を嫌っていては、今のマブラヴ世界では生きにくいと思うんだがな。

 ただでさえ、アメリカはこの数年で多くの失策をしている。

 そのおかげで国力が落ち、今や落ちぶれてきているのだから。

 

「VG、何だってブリッジスはあんなに篁に対して敵対的なんだ? 名前がユウヤ・ブリッジスって言うんだから、日系のアメリカ人だろ?」

「あー……えっと、取りあえずその辺は個人情報ですので」

 

 VGが言葉を濁した理由は、すぐに分かった。

 ブリッジスが俺の方を思い切り睨み付けていた為だ。

 どうやらユウヤという名前を口にしたのがいけなかったらしい。

 それでも結局は何も言わずに吹雪の方へと向かって歩き出したのは、俺の立場というのを理解しているからこそだろう。

 ……まぁ、生身での戦いの実力差を感じ取ったのかもしれないが。

 正直なところ、俺と生身で戦うのであれば生身でBETAの100匹や200匹――それも要撃級、突撃級、重光線級、要塞級を含む――と戦える程度の実力は最低限必須だろう。

 ぶっちゃけ、シャドウミラーの実働班にいる者であれば、このくらいの事は殆どの者が出来るだろうし。

 そんな風に考えている間にも、お互いが戦術機に乗って戦闘準備が完了する。

 そしてカリンダ基地の方からも合図が出て……戦闘が開始された。

 お互いに銃は持っておらず、長刀を使っての戦いだ。

 この辺は射撃をメインとしてるアメリカ軍出身のブリッジスに結構不利だが……それでも吹雪を操縦しているブリッジスにとってはそうも言っていられないだろう。

 長刀を振るっているという行為は両方とも同じなのだが、それでもたらされる結果は大きく違う。

 吹雪の振るった長刀は、あっさりと武御雷の振るった長刀に弾かれた。

 それでも長刀を放すことがなかったのは、ブリッジスの技量によるものか……それとも、篁が手加減をしたのか。

 こうして見る限りでは、多分後者だな。

 篁は斯衛の人間として戦術機を扱う技量というのはかなり高い。

 実戦経験は……どうなんだろうな。

 日本は何だかんだとBETAに攻められた事はない。

 だが、ユーラシア大陸にあるハイヴを基地として使用し、BETAとの戦いは決してない訳ではない。

 ……問題は、篁がその戦いに参加した事があるのかどうかだが、こうして見る限りではそれなりに実戦を知っている動きのようにも思える。

 機体の特性を理解し、それを充分に活かして動かしている篁。

 機体を強引に自分の思うように動かし、そのせいで機体制御に問題が出てくるブリッジス。

 ……その後も、何度となく長刀を振るい合い、その度にブリッジスが操る吹雪は一歩、二歩と出遅れていく。

 そうして最後には武御雷の動きについていけなくなり、吹雪の首へと長刀が突き付けられるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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