転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1461話

 討伐軍の内乱終了の宣言は、ナデシコ世界の多くの者達に喜びと共に迎えられた。

 それも当然だろう。賊軍が起こした戦いは、ナデシコ世界のあらゆる場所で騒動を引き起こしていたのだから。

 賊軍と討伐軍、または精霊の卵や実働班といった者達の戦いは、何だかんだとこのナデシコ世界の住人にとっては迷惑以外の何ものでもなかった。

 まぁ、実際賊軍がその名前の通り盗賊や何かのように犯罪行為を犯しまくっていたというのもあるのだろうが。

 そういう意味では、討伐軍の勝利に民衆が沸き立つのも当然と言える。

 ちなみに賊軍で降伏してきた者達は、当然のようにこれまで犯してきた罪を裁かれる事になった。

 白を切って自分は何も罪を犯していないと言い張る者もいたのだが、このナデシコ世界でそんな事を言ってもコンピュータに必ず記録の類は残っている。

 それこそ、ミスマルが隠れていた遺跡のような場所とかならまだしも。

 実際にはそんな場所で何らかの犯罪を犯した奴もいるのかもしれないが、そちらについてはさすがに情報を引き出す事は出来ずにいた。

 ただ、街中での犯罪とかであればルリとオモイカネ……更に長谷川やラピスといった者達の力があれば情報を隠し通すのは不可能だった。

 強盗、殺人、強姦、その他諸々……次から次に露わになってくる犯罪の証拠に、自分達は全く犯罪を犯していなかったと言いたげな態度だった元賊軍のメンバーは顔を真っ青にする事になったとか。

 他にも、犯罪の被害に遭った被害者達が訴え出て犯罪が明らかになったというのもある。

 ……正直、色々な意味で酷い集団だったよな。

 まぁ、実際問題討伐軍が結成された時に先見の明があって賊軍の犯罪行為にうんざりとしていた奴は賊軍から抜けたらしいし。

 ただ、中には賊軍にも関わらず何も罪を犯していなかった奴もいて……その辺が少し驚いた。

 何故賊軍に所属したままだったのか聞かれると、義理だったり、何となくだったり、友人を見捨てられなかったからと答えたり……色々と理由は出て来たが、とにかくそういう奴も多少ではあるがいたというのは驚いた。

 また、それ以外にも大きな発表があった。

 木連と正式に和平についての話し合いを行う事になったという発表だ。

 賊軍の全面攻勢の際に木連からの戦力が援軍に来たという事もあって、恐らくそういう話になるんだろうとは思っていたんだが……発表されるのが予想外に早い。

 もう少し時間を置いてから公表されるんだとばかり思っていたんだが。

 鉄は熱いうちに打て、という感じなんだろう。

 ちなみに木連との和平について予想外だったのは、その発表だけではない。

 第三者というか、仲介というか、証人というか、見届け人というか……まぁ、そんな感じの役割をシャドウミラーがやる事になってしまった為だ。

 いやまぁ、エザリアやレオン、あやか、千鶴といった政治班がシャドウミラーにとって有益だと判断したからこそなんだろうが……それでも、少し意外と思ってしまうのは当然だろう。

 しかも、その見届け人には俺が出ないといけないらしいし。

 シャドウミラーの代表である以上、きっちりと仕事をしろと言われればやるしかないんだが……面倒だという思いも強い。

 ともあれ、近いうちに和平についての話し合いがされるらしいから、それについてはレオンが参加するとかなんとか。

 不幸中の幸いなのは、俺が出るのが和平交渉終結の発表の時だけって事か。

 ともあれ、そんな風に話が決まった今、俺が何をやってるのかと言えば……

 

「残り5つです」

「分かった、次を持ってこい」

「了解」

 

 目の前に広がるコンテナへと手を触れ、次々に空間倉庫の中へと収納していく。

 このコンテナは、マブラヴ世界でもお馴染みのBETAの死骸を入れるのに使っている物だ。

 勿論BETAの死骸からは物凄い悪臭がするので、その対策に完全密封されている代物であり、中に何が入っているのかは分からないようになっている。

 今このコンテナの中に入っているのは、当然のようにこれまでの戦闘で破壊された分の瓦礫とかだ。

 中にはまぁ、瓦礫以外にも色々と入っているとは思うが、それは気にしない。

 レオンが交渉により持ってきた契約によると、その辺は気にしないという事になっているのだから。

 実際問題毒物だったり腐っているゴミだったり、果ては放射性物質だったりするのが入っていてもおかしくはないが、このコンテナが技術班謹製の代物だというのを思えば、その手の悪影響はほぼ完全にシャットオフ出来るだろうというのも事実だ。

 だからこそ、この機会に産業廃棄物とかも処理しようとしているのだろうが……まぁ、その辺は俺には関係ない。

 コンテナに入っていれば周囲に悪影響はないし、その上、更に空間倉庫に入れてしまえば余計に周囲に影響はない。

 後はこのコンテナをそのままキブツの中に放り込めばいいだけなのだから。

 レオンによると、討伐軍……より正確には近い将来出来る筈の新政府から相応の代価は支払って貰っているので、何も心配せず次々にコンテナを引き取ってきて下さいとの事だったが……正直、レオンがどれだけの報酬を引き出したのか、聞くのが怖いと思う俺は決して間違ってはいない筈だ。

 

「次、来ました」

 

 俺の側でコンテナを運んでくる者達との連絡役を務めている量産型Wの言葉に視線を上げると、メギロートがコンテナを抱えて飛んできているのが見えた。

 ……コンテナが意外とピッタリだよな。

 コンテナを抱えているメギロートの数は、10や20ではない。それこそ100機近いんじゃないだろうか。

 それを運んでは、少し離れた場所に置き、そのまま去って行く。

 そうして気が付けば、そこには100を超えるだけのコンテナが積み上がっていた。

 

「よろしくお願いします」

「……少し俺の使い方が荒くないか?」

 

 そう思ってしまう俺は決して間違ってはいない筈だ。

 そもそもよく考えるまでもなく明らかなのだが、今回の賊軍の行動はナデシコ世界の地球全土……どころか、月やサツキミドリ2号といったコロニーですらも起きている。

 つまり、それだけ瓦礫の量は多い訳だ。

 まぁ、さすがに月やサツキミドリ2号で出た瓦礫を地球に持ってきたりはしないが、それだってコストの問題からだろう。

 ああ、でもファブニールのシステムXNを使えば可能か?

 ただ、賊軍が活動していた主な地域は結局地球上な訳で……そこまでして処理する必要はないといったところか。

 月に関しては月ドックに攻めて来た賊軍の数が多かったので、結構処理が大変かもしれないが……結局あの一戦以外は殆ど大きな戦闘はなかったらしい。

 勿論全く戦闘がなかったという訳ではないのだが。

 

「アクセル代表が決めた事ですので」

 

 そう告げてくる量産型Wに俺が返す事が出来るのは、小さな溜息だけだった。

 実際、この件をやると決めたのが俺自身なのは間違いない。

 だがそれでも、少しくらい休ませてくれてもいいと思うんだけどな。……まぁ、休んでいる間にどんどんとコンテナが運び込まれてくるのだから、休んでいる暇もないというのが正しいのだが。

 

『アクセル、今、暇……じゃないみたいね』

 

 突然映像スクリーンが起動し、そこにエリナの顔が映し出される。

 俺を見た瞬間にそう告げたのは、目の前にあるコンテナを次から次に収納している光景を見たからだろう。

 

「残念ながらな。それで、どうした? デートのお誘いなら大歓迎なんだが?」

『ばっ! い、いきなり何を言ってるのよ!』

 

 俺の言葉に顔を真っ赤にしながら否定してくるエリナ。

 相変わらずお堅いと言うか、この手の事に耐性がないな。

 アカツキから今回の件が終わったらエリナもホワイトスターに来るという話を聞いてるけど、こんな状況で俺と一緒に暮らせるのかどうか。

 というか、シェリルや美砂辺りが思い切りからかいそうだよな。

 ああ、それとミナトも俺の恋人になる道を選ぶという話をしてたし、その辺をしっかり話しておく必要があるか。

 まぁ、それもこれもナデシコ世界での後始末を終えてからって事になるだろうが。

 シャドウミラーにとっても、この世界は何気に結構大事な世界になりそうだし。

 新たな物質を作り出す触媒として非常に有用なチューリップクリスタルは、この世界でしか生み出す事が出来ない。

 

「それで、デートのお誘いじゃないなら何なんだ? こっちは見ての通り結構忙しいんだけど」

 

 コンテナを次々に空間倉庫に収納している俺の様子を見て、エリナは少しだけ感心したように頷き、口を開く。

 

『凄いわね。何回かアクセルが空間倉庫を使ってるのは見たことがあるけど、こうしてコンテナが次々に消えているのを見れば、それしか言葉が出ないわ』

「まぁ、便利は便利だよな」

 

 特にエリナみたいに企業を経営……いや、エリナは会長秘書だから、経営しているのはアカツキか。

 ともあれ、企業のトップに近い位置にいる者にとって、空間倉庫というのは非常に有用なものに思えるのだろう。

 

『そんな言葉ですませていいものじゃないと思うんだけど。……まぁ、いいわ。それよりアクセルに連絡した件だけど、実は世界の何ヶ所かで賊軍の生き残りが暴れているのよ。それでメギロートを派遣して貰えないかと思って』

「……賊軍の生き残りが?」

 

 この生き残りというのは前回の戦いで生き残った者……というだけではない。

 それ以外にも、まだ討伐軍に降伏をしていない者達という意味も含まれている。

 つまり、討伐軍に降伏をすれば以後の自由がなくなる……確実に罪を償う事になっている者達。

 そんな奴等は当然大人しく討伐軍に降伏する筈もなく、少なくない数の人数が前回の戦いから逃げ出してナデシコ世界に紛れている。

 勿論量産型Wやメギロートには出来るだけ逃がさないように言っておいたんだが、賊軍の大反攻作戦に対処したのはシャドウミラー以外にも討伐軍、そして木連がある。

 特に木連は地球の地理に決して詳しい訳じゃない。

 草壁辺りならクリムゾングループから話があって上手い具合に地理を知っていたりもしたかもしれないが。

 ともあれ、そんな理由で逃げ出した賊軍の生き残りが暴れているのだろう。

 自分達は捕まればもう終わりだと知っている生き残りは、基本的に人に見つからないように隠れているのだが……根は犯罪者である以上、見つからないようにコソコソと逃げる逃亡生活を我慢出来る奴だけな訳じゃない。

 で、そういう奴が何かの理由でプッツンし……その結果が暴れるという事なのだろう。

 自分達が逃げているというのは理解しているのだろうが、それでも構わずに暴れてしまう辺り、忍耐力が足りない。

 

「分かった、ならメギロートを出撃させるように命令しておく」

『ええ、お願い。暴れている座標の方は……』

 

 賊軍から逃げ出した者達は、当然のように何らかの武器を持って逃げ出している事が多い。

 逃亡資金や、武器を持っていないと心細いといった風な理由から。

 それを持って暴れているというのが非常に厄介なんだよな。

 ともあれ、エリナから座標を聞くと俺の側にいる量産型Wへと視線を向けて口を開く。

 

「何機かのメギロートをエリナの言っていた座標に送れ。理由は分かるな?」

「はい。暴れている賊軍の生き残りを捕らえる為ですね」

「そうなる。どうしようもない場合は撃破しても構わないが、出来れば生かして捕らえろ」

 

 別にこれは俺が人道的なものに目覚めたとか、そういう訳じゃない。

 この手の犯罪者は、出来れば生かして捕らえた方が使い道は多い。

 特にスケープゴート的な意味では、これ以上ない程の存在だ。

 ……草壁を含めて賊軍の上層部が生きていれば、また話は違ったんだろうけど。

 そんな訳で、その類の奴は捕らえればそれだけ有益な存在となる。

 今の状況ではこういう逃亡兵は現状では害にしかならないんだから、そういう意味では捕まってこそ役に立つと言ってもいい。

 

『じゃあ、そっちの方はお願いしてもいいのね?』

「ああ。エリナも元々そのつもりで俺に連絡してきたんだろ?」

『……ちょっとアクセルの顔を見たかっただけよ』

 

 そう告げると、通信が切れる。

 普段強気なエリナが、頬を赤く染めて視線を逸らしながら告げるその様子は、まさにデレと言ってもいいだろう。

 ツンデレのエリナの本領発揮といったところか。……破壊力は大きかったな。

 今見た光景を思い出していると、すぐ側にいた量産型Wが口を開く。

 

「アクセル代表、メギロートの出撃準備を進めても構わないでしょうか?」

「……もう少しこの気持ちに浸らせてくれてもいいと思うんだが」

「申し訳ありません」

 

 そう言って謝る量産型Wだったが、何が悪かったのかというのは分かっていないだろう。

 戦術的な判断とかならともかく、愛情に関して理解しろというのが難しい事は十分に理解している。

 これが量産型WじゃなくてWナンバーズのエキドナやラミアといった面子であれば、話は違ったのだろうが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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