転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1429話

 北辰を含む侵入者6人を炎獣で捕縛した後、俺は炎獣にこの場を維持するように告げると、そのまま影のゲートを使って再び司令室へと転移する。

 

「うわぁっ! ……アクセル代表? 一体どうしたんです?」

 

 地面から生えてきたような俺の姿に、高杉が驚きの声を上げる。

 その驚きの声に司令室にいた者達がこちらへと視線を向ける。

 中には咄嗟に銃を取り出した者もいたが、咄嗟の判断としては妥当だろう。

 白鳥が映像モニタを見ながら指示をしている中、月臣と秋山もこちらの方へと近づいてくる。

 そんな3人に対し、俺は単刀直入に事情を説明する。

 

「さっきこの基地に侵入してきた者がいたから、そいつらを捕らえたんだが……どうする? ちなみに狙いは、恐らくだがお前達の暗殺だ」

 

 その言葉に月臣が一瞬驚いた表情を浮かべるが、すぐに忌々しそうに鼻を鳴らす。

 何だかんだと、基本的には真っ直ぐ……猪突猛進気味な月臣だ。暗殺とかそういうのは性に合わないんだろう。

 原作の知識は殆どないが、恐らく原作でも月臣は暗殺とかを嫌っていたんだろうな。

 それに比べると、秋山は侵入者があったと言ってもそこまで驚いた様子はない。

 ……この辺が月臣と秋山の器の違いといったところか。

 

「で、どうする? 捕らえているから、いつでもそっちに引き渡せるが」

「……いいのか?」

 

 月臣の疑問を抱いた言葉。

 俺が捕らえた相手をあっさりと引き渡すというのを疑問に思ったのだろう。

 それは無理もない。だが、正直なところを言わせて貰えば、北辰達を捕らえたからって俺に何か利益がある訳でもない。

 北辰の左目は多少気になるが、それだって何となく見ていて気になるといった程度でしかないし。

 その辺を考えると、北辰達を一番有効に使うのは、やはり白鳥達だろう。

 

「ああ、こっちとしては何も問題ない。それより今捕らえているのを引き渡すから、6人……いや、向こうの能力を考えれば倍は必要か。12人くらい集めてくれ」

「分かった」

 

 月臣がすぐに頷き、すぐに人を集め始める。

 へぇ。てっきり倍もいらないとか、そんな風に言われるかと思ったんだが……これは予想外だったな。

 何だかんだと、草壁に軟禁されて暗殺されそうになったのは堪えているのだろう。

 慕っていた上官に裏切られたというのは、こう言っては何だが月臣に対していい影響を与えているらしい。

 

「けど、アクセル代表。どうやって侵入してきた人達を捕らえたんですか? その、もしかして神楽坂さんも……」

 

 フラれはしても、やはりまだすぐに忘れるといった事は出来ないのだろう。高杉がそう尋ねてくるが、俺はその問いに対して首を横に振って否定する。

 

「神楽坂は近衛と一緒に治療に専念している。侵入してきた奴等は……まぁ、直接見ればはっきりするが」

 

 そこまで呟き、ふとここが司令室なのだという事を思い出す。

 

「ああ、もしかしたら映像とかで確認出来るんじゃないか?」

 

 俺の口から出た言葉に、高杉が白鳥へと視線を向ける。

 その視線を受けた白鳥は、すぐに頷いて部下へと指示を出す。

 司令室にある映像モニタの1つが次々と映している映像を変えていき……やがて、その光景が映し出される。

 純白の炎、白炎によって生み出された獅子や虎といった炎獣により身体を押さえつけられている北辰達。

 見るからにファンタジーな光景ではあり、事実その映像を見た木連の兵士達はそれぞれ驚愕の声を上げる。

 同時にそれは他の者達に興味を抱かせ、映像モニタにより多くの視線を集める事になる。

 

「ほら、お前達! まだ戦いは続いているんだぞ! 今も戦場で戦っている者達の事を考えろ!」

 

 白鳥の口から出た言葉に、慌てて兵士達は自分の仕事へと戻っていく。

 いやまぁ、分かっていたけど効果絶大だな。

 

「ま、こんな感じで捕らえた訳だ」

「は、はぁ……いや、その、何て言えばいいのか……そもそもあの獣は何なんですか?」

 

 高杉が我に返って尋ねてくるが、小さく肩を竦めてから口を開く。

 

「炎獣……そうだな、お前達にも分かりやすく言えば簡易的な使い魔のようなものだ」

 

 ゲキガンガーしかなかった木連だけに、ファンタジー系の単語が通じるかどうか迷ったが、どうやら普通に通じたらしい。

 高杉と……それと仕事をしながらも俺の方へと意識を向けていた木連の兵士達がそれぞれ納得したように頷いていた。

 

「その、白い炎で出来てるように見えるんですが、火事とかは……」

 

 惑星上であればまだしも、ここは都市艦。あくまでも宇宙空間にある場所だ。

 都市艦の中で火事になるような事になれば、致命的なまでに被害は大きくなるだろう。

 

「安心しろ。あれば魔法的な炎だ。映像をアップにしてみれば分かると思うが、あの刺客達……北辰とかいう名前だったと思うが、炎獣に触れているのに火傷はしてないだろ?」

 

 戦いの時であれば、炎獣も自分の炎を使って攻撃したかもしれないが、今はもう生け捕りにしたのだ。なのに、わざわざここで虐待するような真似をする筈もなく、ただ動けないように上から足で押さえつけ、もしくは大蛇のように身体に巻き付いて締め上げ、といった風に動きを封じていた。

 見た目は色々と衝撃的で刺激的で恐怖的ですらあるが、やってる事は普通に取り押さえているに過ぎない。

 

「は、はぁ。……そんなものなんですか」

 

 高杉も神楽坂が今回の件に参加していなかった事に安堵したのか、そんな言葉を告げてくる。

 早く新しい恋を探せばいいのにな。……いや、そう簡単に忘れられるものじゃないか。

 視線を秋山へと向けると、何故か秋山は笑みを浮かべて小さく頷く。

 これも青春! とか言いたそうな様子だ。 

 いやまぁ、それ程間違ってはいないんだが。

 そんな風に考えていると、やがて月臣が部下を連れてやって来る。

 その数は……15人。

 こちらが最初に言った数よりも多いのは、それだけ今回の件を重要視しているからか。

 そんな月臣も、今映像モニタに映し出されている光景を目にすると驚きの表情を浮かべる。

 

「なっ!? こ、これは一体……」

「見れば分かるだろ? 侵入者を捕らえている映像だよ。それより人数を集めてこうしてやってきたんだから、そろそろ行くぞ。俺の近くに集まれ」

「……あの影のゲートとかいうのを使う、のか?」

「当然だろ。お前達を連れてわざわざ移動するのに比べれば、影のゲートを使うと一瞬で移動可能だからな」

「……分かった。皆、アクセルの側に集まれ」

 

 月臣の言葉に、木連の兵士達が気が進まない様子ではあるが、俺の方へと集まってくる。

 影のゲートを体験した事があるのならともかく、これが初めてなだけに、どうしても恐る恐るといった形になるのだろう。

 それでも月臣の事は信頼しているのか、不安そうな様子は見せても不満を口にしたりはしていない。

 そうして集まってきた全員の足下に影を広げ……やがて捕縛隊全員が影のゲートへとその身を沈める。

 

「うわぁっ!」

「な、何だこれは!?」

「キョアック星人の罠か!」

 

 いや、お前達何かあればキョアック星人とかいうののせいにするのを止めろよ。

 キョアック星人……ゲキガンガーの敵だが、そのキョアック星人にしても、まさか自分達とは全く関係のない場所でこんな風に言われているとは思わないだろうな。

 正確にはゲキガンガーを作った制作者達が草葉の陰でって事になるんだろうが。

 ともあれ、影のゲートに沈み混む際に以前影のゲートを体験した月臣以外の全員が悲鳴を上げたが、次の瞬間には俺達全員の姿は通路に……北辰達を炎獣が取り押さえている場所へと姿を現していた。

 

「ア、アクセル・アルマーッ!」

 

 北辰にしては珍しいくらいに怒声を上げる。

 いやまぁ、俺もそこまで詳しく北辰の事を知ってる訳じゃないけど。

 それでも少なからず言葉を交わし、その性格は多少ではあるが理解している。

 向こうにとって、現状は思い切り屈辱なんだろう。

 その気持ちは分からないでもない。

 恐らく北辰は木連の……いや、正確には草壁の切り札とも呼べる存在だ。

 だからこそ、俺の暗殺に使おうとしたり、暗殺に失敗しても有耶無耶にして存在を庇ったりといった真似をした。

 それだけの価値があると草壁に思われており、北辰達も当然それに自負を抱いていたのだろう。

 だが……今日、こうしてやってきた北辰達は、あっさりと俺の手で捕らえられた。

 それも、俺の手で直接ではなく、北辰達にとっては全く理解出来ないような炎獣という手段でだ。

 まさに屈辱以外のなにものでもないのだろう。

 それも、現状では向こうにとって致命的なまでに分が悪い。

 俺自身は暗殺とか、そういうのも戦いで使うのは当然だと思っているし、そもそも俺達の母体となったヴィンデルのシャドウミラーがそういう裏仕事というか、色々後ろ暗い仕事をこなす特殊部隊だったしな。

 その辺を考えると、俺達にとっては北辰達のような働きは否定するものではない。

 だが……最大の問題は、ここが木連だという事だ。

 木連の人間はヤマダモドキのような性格の持ち主が殆どであり、ゲキガン魂を胸に抱いてる者が多い。

 つまり、暗殺とかの手段は卑劣だという認識の者が殆どな訳だ。

 それを草壁が使った……となると、こいつらを捕獲したというのは非常に大きい。

 

「月臣、ボケッとしてるな。そいつらを捕らえるんだろ?」

「え? あ、ああ。そうだったな」

 

 直接その目で炎獣を見た月臣が、俺の言葉で我に返って部下へと指示をする。

 だが、その部下達も炎獣を相手にどうすればいいのかといった具合に近寄りにくいらしい。

 

「炎獣については心配するな。俺の方で完全にコントロール出来ている。取りあえず……そうだな、そっちの男からどうにかするか」

 

 俺の視線の先にいるのは、大蛇の炎獣に身体を締め上げられて身動き出来なくなっている笠の男。……そして、以前俺を暗殺しようとして襲ってきた男だ。

 

「久しぶりだな」

 

 そう告げるが、笠の男は悔しげに表情を歪めるものの、何も口には出さない。

 少しでも情報をこちらに渡さないようにしている……といったところか。

 まぁ、その考えは分かるが、俺達が欲しているのは情報ではなく、こいつらの身柄だ。

 炎獣の大蛇が離れると、一気に兵士が笠の男を取り押さえる。

 それを見ながら俺は月臣の方へと近づいていく。

 

「こいつらの存在、草壁が認めると思うか?」

「……分からん。俺の知ってる草壁閣下であれば、そもそもこのような者達を使うような真似はしない。それを考えると……」

「白を切るのが一番有り得る選択肢、ってところか」

「……うむ」

 

 少し悔しそうにしながら呟くのは、まだ月臣の中に草壁を信じたいという思いがあるからか。

 まぁ、普通に考えればずっと信頼してきた上司がこうもあっさりと裏切るというのは予想外だったんだろうし、月臣の中にまだはっきりとした思いがなくてもしょうがない。

 そんな風に考えている間に、どんどん兵士達が北辰の仲間を捕らえていき……そして最後に北辰が残る。

 獅子の炎獣により身体を押さえつけられた北辰は、とてもではないが現状から脱出する事は出来ない。つまり、大人しく捕らえられるしかないんだが……問題は、炎獣が足を離した時か。

 木連の兵士達は、まだ完全に炎獣に慣れている訳ではない。

 それどころか、白炎で出来た獣という事で、恐怖や畏怖すら抱いている。

 そうなると、当然炎獣が北辰の身体から足を離した時には隙が出来る筈であり……この世界の住人としては腕の立つ北辰だけに、俺も少し手を貸した方がいいか。

 

「ちょっと手伝うか。少し退いてくれ」

 

 俺の言葉に、木連の兵士達が月臣へと視線を向ける。

 月臣がそれに頷くと、北辰を囲んでいた兵士達が距離を取って俺が入る場所を空けた。

 

「……」

 

 そんな俺の様子を、無表情で見る北辰。

 俺がここに戻ってきた時には叫んでいたが、あの時に比べると大分落ち着いたのか?

 まぁ、こっちとしてはどのみちやるべきことは変わらないんだが。

 

「俺が近づく……そう思っているのか?」

 

 そう尋ねるも、北辰の表情は一切動かない。

 この辺の自制はそれなりに評価してもいいよな。

 だが……この場合、何を狙っているにしても、あまり意味はない。何故なら……

 パチンッと指を鳴らすと、俺の影から影槍が一本生み出される。

 魔法というものを殆ど知らない木連の兵士達は、驚愕の視線を向けてくるが……俺はそれに構わず影槍を操る。

 影精を練り込み、細いロープ状にすると北辰の腕と足をそれぞれ縛り付ける。

 幾ら北辰が現状を何とかしようとしても、魔法や気が使えないのであれば現状ではどうにもならない。

 そのまましっかりと影槍によって縛り上げられた北辰は、眦を鋭くして俺へと視線を向けてくる。

 やはり今の状況で何かしようとしていたのだろうが……残念だったな。

 こうして木連の暗部とも言えるだろう北辰達を完全に捕らえた俺達は、意気揚々と司令室へと戻るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1208

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