転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0129話

「おーめーでーとー!」

 

 ……突然目の前に現れて素っ頓狂な喜びの声を上げている人物がいる。

 昨日ダールトンに言われた通りAM9:00にランドリオンを置いてある格納庫へと行ってみたら、突然この男が目の前に現れてこの状況だ。

 いや、誰かというのは分かる。白衣と眼鏡、水色の髪に、そして何よりあの台詞。第7世代KMFのランスロットを開発したロイド・アスプルンドで間違いない。

 そのロイドが歓喜――いや、この場合は狂喜か――しているのは、やはりランドリオンの存在だろう。何せ、自分が見た事のない第3世代KMFのガニメデを手に入れる為だけにミレイ・アッシュフォードとのお見合い結婚を決めたような男だ。

 そんな男の前に、KMFとは全く違う設計思想のランドリオンを出したらどうなるのか……それが今のこの目の前の現状だ。

 

「す、すいません! ほら、ロイドさん失礼ですよ! この方はコーネリア殿下直属の方なんですから!」

 

 浮かれきっているロイドの頭を強引に下げているのは、濃い青の髪をした生真面目そうな女だ。ロイドの外付け良心として名高いセシル・クルーミーだろう。

 そんな2人へと声を掛ける。

 

「俺はコーネリアからここに来るように言われたんだが……俺の機体を調査するというのはお前達か?」

「あ、はい。そうです。特別派遣嚮導技術班のセシル・クルーミーと言います。あちらは同じく主任のロイド・アスプルンド。今回アクセルさんの機体を調査させて貰う事になりました。よろしくお願いします」

 

 こちらへと頭を下げているセシルだが、既にその隣にロイドの姿は無い。

 

「セシル君、セシル君。これは興味深い機体だよ。ランドスピナーとは似てるけど決定的に違うスティック・ムーバーとかいうのに、まるで飛行機を無理矢理地上用兵器に仕立て上げたようなこのフォルム! そしてKMFで使われているコイルガンと似て非なる物、レールガン!」

 

 その言葉にピクリとする。さすがランスロットを開発した技術者だけあり、的確にランドリオンの特徴を捉えている。だが、そんな俺の様子を不機嫌になっていると勘違いしたのか、セシルが素早くロイドへと近寄りその鉄拳で沈黙させた。

 

「す、すいません。基本的に子供なもので」

「いや、気にするな」

 

 そんなやり取りをしていると、格納庫の中がざわめく。どうやらコーネリアが来たらしい。

 

「もう来ていたか。ロイドとか言ったな。まずはお前の話を聞かせて貰おう。アクセル、お前も来い」

「俺も?」

「ああ。お前は私の直属なのだから、多少の事は知っていても構わん」

 

 コーネリアの後に続き、俺とロイドが共に格納庫のキャットウォークを進んでいく。

 

「さて、特派の話を聞かせて貰おうか」

「はい。特派の仕事はランスロットと呼ばれる第7世代のKMFを開発する事になります。その能力は通常の……」

 

 嬉々として説明を続けるロイドだったが、コーネリアはそれを気にする事なく口を開く。

 

「そのランスロット、パイロットはイレブンだと聞いたが本当か?」

「はい。名誉ブリタニア人です。しかし……」

「一等兵から准尉に特進させた。それで満足せよ。ナンバーズ等に頼らずとも、私は勝ってみせる」

 

 それだけを言うと、ロイドを置いてその場を去っていく。その後ろ姿を見送り、溜息をついてランドリオンの調査へと向かうロイドとセシル。どちらに付いていくべきか迷ったが、直属という事もありコーネリアの後を追う。

 

「コーネリア」

「アクセルか。後少ししたらサイタマゲットーに潜伏しているテロリスト共へ攻撃を仕掛ける。貴公も共に来い」

「サイタマゲットーに?」

「ああ。ゼロを誘き出す為にメディアに情報も流している。奴の性格が私の予想通り劇場型ならば、その姿を現すだろう」

「その為に、一般人まで巻き添えにするのか?」

「……必要な犠牲だ」

「コーネリア。俺は確かに金次第で何でもやる傭兵だ。だが、それでも最低限の仁義というものがある」

「……」

「最後にもう1度聞く。一般人を巻き込むのか?」

「……いや。貴公の言う事も分かる。なるべく一般人は巻き込まないように通達を出そう。だが、最優先の目的はあくまでもゼロの捕獲、あるいは殺害だ。その為にはどうしても巻き添えになる一般人が出るぞ?」

「そのくらいは分かっている。何も一般人に少しの被害も出すなと言ってる訳じゃない。だが、前提が違えば結果も変わるだろう?」

「貴公は甘いな。だが、その甘さは嫌いじゃない」

 

 生真面目なコーネリアにしては珍しい笑顔を浮かべて俺の方を見る。

 

「何だ、綺麗な笑顔じゃないか」

「な、何を……」

「いや、普段からそんな笑顔を見せていれば妹のように人気が出るだろうと思っただけだ」

「ユフィの事か?」

「ああ。直接会った事はないが、ここに一晩でもいればその人気の高さは自然と分かる」

「そうか。……いずれ貴公にもユフィを紹介しよう。ただし! 変なちょっかいを出して貰っては困るぞ」

「変なちょっかい?」

 

 コーネリアの言っている変なちょっかいというのがどういうものかは分からないが、別に危害を加えようとは思っていないのだから問題無いだろう。

 

「……いや、いい。それよりもサイタマゲットーに向かうぞ」

「ランスロットとかいうのは使わないのか?」

「ああ。今回はトウキョウ租界の部隊と私の親衛隊だけで作戦を進める。貴公の機体も今日一杯は特派に返して貰えないだろう。私の近くで護衛をしてもらう」

「ナンバーズの力を借りなくてもどうにかすると言っていたが、俺は構わないのか?」

 

 ふと先程ロイドに言っていた言葉が気になり、尋ねてみる。

 

「何をおかしな事を。貴公はナンバーズではないだろう。そもそもどこの国にも属していない傭兵だ。それもとびきり腕の立つ。ならその力を上手く使うのは指揮官として当然であろう?」

 

 正直、俺にしてみればナンバーズと傭兵がどう違うのかは分からない。だが、恐らくコーネリアにとってはナンバーズとは守るべき対象なのだろう。『命を懸けて戦うからこそ統治する資格がある』という信念を忠実に守っているだけで、その苛烈さに誤解を受ける事も多いのかもしれない。

 

「理由はどうあれ、俺としてはコーネリアの直属という事だしきちんとその分の仕事はしてみせるさ」

「ふっ、楽しみにしている。では、行くとしよう。ゼロが上手く釣られてくれると良いのだがな」

 

 

 

 

 

 G-1ベースのブリッジ。そこは現在静寂と緊張に満ちていた。

 静かに佇み、作戦開始の合図を待ちわびているのがコーネリアの部下。何度となく周囲を見回している落ち着きのないのがクロヴィスの部下だ。その2つのグループの様子は傍目から見ても面白い程に判るものだった。

 

「サイタマゲットーの包囲、完了しました。大和同盟のアジトは包囲網の内側にあります。近隣住民の半数以上は彼等の協力者。これでしたら……」

 

 ダールトンの説明をG-1ベースの玉座とも言える椅子に座りながら聞くコーネリア。その左にはギルフォード、そして右には俺が待機している。

 コーネリアはG-1ベースのブリッジに表示されたモニタへと視線を向けながら口を開く。

 

「この作戦を実行した場合の総生産への影響は?」

「0.2のマイナスになります」

「予想範囲内か」

 

 ダールトンの返答に頷いたコーネリアが、ブリッジの隅の方でまるで身を寄せ合って不安に耐えているかのように見える軍人へと声を掛ける。

 

「貴兄等はあのシンジュク事変に参加していたのだったな?」

「は。コーネリア殿下の慈悲を賜りた」

「そんな話ではない」

 

 クロヴィス旗下の軍人が殊更に恭しく返答を返そうとしたのを最後まで言わせずにばっさりと切り捨てる。

 部下は上司に似ると言うが、そんな所までクロヴィスに似なくてもいいだろうに。そもそもコーネリアはその気性からいって仰々しい物言いよりも率直に意見を言われる方を好む。そういう意味では、クロヴィスの部下とコーネリアの相性は悪いのだろう。

 

「似ているとは思わないか?」

「は?」

 

 コーネリアの言葉に、何を言われているのか分からずに首を傾げる男。

 

「シンジュクの状況に、だよ」

 

 口元に笑みを浮かべながら、コーネリアは言葉を続ける。

 

「ゼロは劇場型の犯罪者だ。誘き出す為に、私は敢えてシンジュクと同じ状況を作り出した。奴が己を過信するタイプなら、私を殺しに来る筈だ」

「総督! それでは総督の身が危険すぎます!」

 

 クロヴィスの部下が思わずといった様子で口を挟む。だが、それもしょうがないだろう。何せ彼等は同じような状況で自分の主君であるクロヴィスをゼロに殺されているのだから。

 現在のコーネリアの位置にいるのがクロヴィスであったら。あるいは、コーネリア以外の皇族であったのならその言葉も効果があったかもしれない。だが、今ここにいるのはコーネリア・リ・ブリタニアなのだ。そんな言葉は一顧だにせずに言葉を紡ぐ。

 

「戦とは、誇りと命の奪い合いだ。……作戦を開始せよ! ただし、一般市民の犠牲はなるべく出さないようにしろ。ここでブリタニアの評判を落としては、ユフィがいずれエリア11を任された時にやりにくくなるかもしれんからな」

「イエス・ユア・ハイネス! 作戦を開始せよ!」

 

 コーネリアの言葉を聞き、ダールトンが作戦開始の合図を全軍へと送る。

 その様子を見ていた俺に対して、コーネリアは視線を向けて挑戦的な笑みを浮かべている。まるで『これでいいんだろう?』とでも言うかのように。

 

「ダールトン将軍、サイタマゲットーで一般人と思われる者達が降伏してきましたがどう処理しますか?」

 

 ブリッジメンバーの1人がダールトンへと尋ねる。ダールトンはコーネリアの方へと視線を向けるが、コーネリアが頷くのを見て口を開く。

 

「どこか一ヶ所へと集めておけ。作戦終了後に取り調べを行い、本当に無実ならそのまま解放する」

「イエス・マイ・ロード!」

「姫様、そろそろ本格的に作戦を開始してもよろしいかと」

「そうか。そろそろ予定時間でもある。始めるか」

 

 コーネリアの言葉を聞いたダールトンが全機へと命令を発する。

 

「全軍に告げる。これより大和同盟壊滅作戦を開始する。全軍、第一戦闘態勢に移行せよ」

 

 ダールトンの言葉を聞いたブリタニア軍が行動を開始する。主力KMFであるサザーランドがG-1ベースから出撃し、戦車や歩兵も作戦地域へと進む。空からは偵察ヘリが地上の様子を監視し、まさに蟻の子一匹逃がさない態勢だ。




名前:アクセル・アルマー
LV:34
PP:155
格闘:242
射撃:260
技量:252
防御:249
回避:277
命中:299
SP:414
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:190

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