転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1376話

 地球と木連の会談が終わってから数時間。現在、火星にあるシャドウミラーの基地、その中心部分にあるゲートの前に俺の姿はあった。

 俺以外にも、地球側からはグリューノ、ミスマル、ヨシサダ、それと政府の人間。

 木連側からは、草壁、白鳥、月臣、秋山、高杉。

 本来であればみなづきで待機している筈だった秋山と高杉だが、シャドウミラーがみなづきを守るという事を明言し、何より連合軍がやってきたのがニヴルヘイムであり、連合軍独自の戦力を持っていないというのが大きかった。

 現状ではみなづきをどうにか出来るのはシャドウミラーだけであり、今のところその心配はないと草壁が判断したのだろう。

 ……それなら最初から会議に参加させてもよかったような気がするんだが、まぁ、向こうにも色々と思うところはあるのだろう。

 シャドウミラーがこの世界にとって異質な存在だというのは、それこそ身を以て知ってる筈だし。

 

「さて、準備はいいな? ……まぁ、特に準備が必要な訳でもないけど」

 

 そう告げて見回すと、地球組、木連組の両方がそれぞれ頷く。

 それでいながら両方共に会話がないのだから……お互いの溝はまだまだ深いって事だろう。

 分からないでもない。会談の件を考えても、そう簡単にお互いを受け入れるといった真似は出来ないのだろうから。

 それでも、シャドウミラー経由ではあるがパイプが出来たというのは一応の進歩と考えてもいいのだろう。

 ともあれそんな地球と木連の連中を一瞥すると、それぞれ頷きが返ってくる。

 どうやら準備が出来たのだろうと判断し、量産型Wへと視線を向け、口を開く。

 

「やれ」

「分かりました」

 

 その言葉と共に量産型WがシステムXNを起動して光の繭が周辺を包み込んでいく。

 何人かが一瞬焦った様子を見せたが、それはニヴルヘイムやシロガネといった風に、何かに乗った上での転移ではなく、生身での転移だった為だろう。

 そして転移フィールドが消えると……俺達の姿はホワイトスターの転移区画にあった。

 

「これは……ここが、ホワイトスター?」

 

 誰かが呟く声が聞こえてくるが、その呟きには戸惑いのようなものが混ざっている。

 まぁ、それは理解出来る。転移区画だけを見てしまえば、そう思ってしまうのは仕方がないのだから。

 

「ここは転移区画。システムXNを使って転移すると、必ずここに転移するようになっている。まぁ、言ってみれば俺達シャドウミラーの本拠地でもあるホワイトスターの玄関のようなものだな」

「玄関、ですか?」

 

 ヨシサダが呟きながら周囲を見回す。

 まぁ、シロガネとかでも余裕で入るだけの広さを持っている玄関とか、とてもではないが玄関と認めたくはないだろう。

 

「取りあえず移動するぞ」

 

 量産型Wの乗っているエアカー3台がこちらに向かってきているのを眺め、そう告げる。

 ちなみに3台なのは、俺、地球組、木連組で分乗する為だ。

 バスタイプのエアカーであれば1台で全員が乗れるんだが、地球と木連の関係を思えばいらない諍いは出来るだけ少なくした方がいい。

 そしてどちらかに俺が乗れば、俺がどちらかをより重視しているという事になってしまう。

 その辺を考えると、俺はどちらとも別のエアカーに乗って移動するのがベストだった。

 ……いやまぁ、影のゲートを使って全員で一気に転移するのが一番手っ取り早いとは思うんだけどな。

 けど初めて来たホワイトスターだけに、地球側も木連側もしっかりと中を見てみたいとは思うだろうし。

 いや、地球側であればネルガル経由でエリナやミナト辺りからホワイトスターについての情報を聞いているのかもしれないが。

 それでもこうして見る限りでは、グリューノ達も全員が驚いているように見えるから、実は情報が通ってないのか?

 あー……でも、それは有り得るか。

 ネルガルにとって、グリューノ達に先んじてエリナやミナトがホワイトスターに転移したのは出来れば秘密にしておきたいだろうし。

 

「これは、空中に浮いている?」

 

 月臣の驚愕の声が聞こえてくる。

 その気持ちは分からないでもない。

 ナデシコ世界の車というのは、普通にタイヤで走るタイプなのだから。

 それでもバッタとかを始めとして空を飛ぶ兵器があるから、そこまで驚く必要はないと思うんだが……いや、寧ろ中途半端に存在しているだけに、こうして民間にエアカーが存在するというのは月臣にとっても驚きなのかもしれないな。

 驚きの表情を浮かべている月臣だったが、それでもエアカーに全員が乗ると移動を始める。

 まず真っ先に移動するのは、当然のように交流区画。

 ただ、当然この集団は色々と訳ありなので、交流区画で自由に動き回らせる訳ではない。

 バスツアー的な感じで案内する事になっている訳だが、俺がツアーコンダクターのような真似をする訳にもいかないので、当然専門の人材を用意してある。それは……

 

「アクセル、その、本当に私がやるの? こういうのって、もっと立場がある人がやった方がいいんじゃない?」

 

 そう言ってきたのは、シャドウミラーの中でも色々な部署を経験している……雑務担当とも呼べる神楽坂だった。

 

「そう言ってもな。多分シャドウミラーの中でもお前が一番交流区画に詳しいだろ?」

 

 それが理由だった。

 超包子でバイトしていた事もあって、神楽坂は交流区画で数年間の間働いている。

 当然交流区画についてはシャドウミラーの中でもトップクラスに詳しい。

 裏道や隠れた名店といった場所についても知っている筈であり、そう考えると神楽坂はツアーガイドとして相応しいと言えるだろう。

 

「……それはそうだけど……」

 

 少し恥ずかしそうにしているのは、やはり着ているのがチャイナドレスなのが影響しているのか?

 どんな服装にするのかというのはちょっと迷ったんだが、超包子での制服って事でこのチャイナドレスを希望したんだが……

 神楽坂は喋らなければ間違いなく美人であり、体型も男好きをすると言ってもいい。

 その威力がどれ程のものなのかというのは……俺の後ろに停まったエアカーから降りてきた木連の面々が固まっているのが示している。

 グリューノの方も目を奪われているので、地球側も同じような感じなのだろう。

 

「さて、じゃあ早速だが案内して貰おうか。そっちもいいか?」

 

 木連の連中へと視線を向けると、全員が一瞬の沈黙の後で大きく頷く。

 いや、全員じゃないな。高杉が顔を赤く染めたまま、ボーッとした視線を神楽坂へと向けていたのだから。

 そんな俺の視線に気が付いたのだろう。秋山が高杉を軽く揺すり、その耳元で何かを囁く。

 瞬間的に我に返った高杉は、今までよりも更に顔を赤くしていた。

 いやまぁ、何がどうなったのかというのは考えるまでもないけどな。

 実際超包子には看板娘の神楽坂を目当てにした客が大勢いたのだから、そんな連中に告白された事だって何回もあるだろう。

 ……黙っていれば、間違いなく美人なのだから。

 いや、でも超包子でバイトをしていた時は当然他の客達とも喋っていた筈で、黙っていなくてもいいのか?

 ともあれ、神楽坂は俺達を引き連れて交流区画の中を進んでいく。

 

「ぬおっ!? あ、あれは!?」

 

 交流区画を歩いていると、いきなりそんな声が上がる。

 何事かと視線を向けると、そこではミスマルが驚愕の表情を浮かべたまま固まっていた。

 それどころか、グリューノやヨシサダ、他の随行員達もまた同様に固まっている。

 何が起きたのかと視線を向ければ、その視線の先ではエルフの女がオープンテラスの喫茶店でケーキを食べているところだった。

 

「ア、ア、ア、アクセル代表。あの者は……その、もしかして、いわゆるエルフ、という存在なのでは?」

 

 言葉につかえながら尋ねてくるミスマルに、頷きを返す。

 そう言えば色々とシャドウミラーの説明はしたが、エルフの存在は言ってなかったか?

 

「ちょっと、アクセル。あんたシャドウミラーの事をしっかりと説明したの? エルフで驚いてるようじゃ、この先ホワイトスターを見て回ったら驚きで心臓が止まるわよ!?」

「いや、そこまではいかないだろ。……ただまぁ、その辺に関しては説明してなかったのはしくじったな」

 

 溜息を吐き、木連の方でもエルフの女を見て動きを止めているのを眺め、口を開く。

 

「今はもう向こうの世界に行けなくなったが、以前ファンタジーな世界と繋がった事があってな。エルフ達はその時にこっちに移住してきた」

 

 そう話す俺の言葉は、苦々しいものがあった。

 当然だろう。門世界との接触は、どうしようもない程に最悪と表現すべきものだったのだから。

 ……うん? エルフに関してはエリナやミナトに話したと思うんだけどな。

 こっちも情報が止まっていたのか?

 どのみちこうしてエルフを見て驚いて……おい、まさかアカツキの奴、エルフを見て驚かせたかったから黙ってたとかないよな?

 普通ならまず有り得ないんだが、アカツキだとやっても不思議じゃないという雰囲気が……いやいや、会社の事に関してはかなり真剣だったのを考えると、有り得ない、か?

 

「では、アクセル代表が使っている魔法というのは、その世界から?」

「いや、待てミスマル提督。魔法使いを派遣すると言っていたのを考えると、また別の世界と考えるべきだ」

 

 ミスマルの言葉にグリューノが告げる。

 その二人の言葉には、草壁達も興味深くこちらに視線を向けていた。

 魔法というのはナデシコ世界に存在しないだけに、どうしてもその辺は気になるのだろう。

 

「そうだな。エルフ達がいた世界にも魔法はあったが、俺達シャドウミラーで使われている魔法はネギま世界と呼ばれている世界の魔法だ」

「……ネギま世界? その、もしかして焼き鳥が重要視されてる世界だとか、そのような世界で?」

 

 ヨシサダの恐る恐るといった疑問に、当然俺は首を横に振る。

 

「違う。その世界の重要人物であるネギという名前の男が魔法使いだからネギまだ」

 

 正確には、恐らくだがネギま世界の原作となっている世界において、ネギが主人公だろうというのが予想出来るからというのも大きいのだが。

 けど、まさかそれを口にする訳にもいかないだろう。

 そうなれば、自分達の世界もまた物語の世界だという事に気が付くかもしれないし。

 ……いや、気が付かれてもいいのか? ぶっちゃけ、ナデシコ世界の原作知識は聖杯の影響で失われている。

 だとすれば、ここでここがアニメや漫画、ゲームの世界だと言っても……まぁ、わざわざ俺から言う必要はないか。

 

「ネギ、ですか。また随分と凄い名前で……」

 

 そんなヨシサダの言葉に、神楽坂は同意するように何度も頷いていた。

 麻帆良時代はネギの保護者役だった神楽坂なのだから、色々とネギに対して思うところはあるのだろう。

 何だかんだで、中学を卒業した後も色々と親しかったらしいが。

 

「そうだな。ま、とにかくそんな訳で、異世界間貿易の条約が締結されれば魔法使いは問題なく雇えるようになるだろ。……戦争をしている以上、条約を結ぶのは難しいかもしれないけど」

 

 そう告げると、話を聞いていた連中が地球、木連の関係なく眉を顰める。

 意外と戦争を止めないと条約を結ばないってのは大きいのかもしれないな。

 どうしても戦争が続くようなら、その辺から攻めてみるのもいいかもしれない。

 まぁ、そこまで行く前に停戦して和平をしてくれるのが、俺達にとっても一番都合がいいんだが。

 

「そうですか」

 

 それぞれが頷くのを見て、神楽坂の案内は再開される。

 再開というか、案内を始めてすぐにエルフの件で騒いだのを考えれば、これから案内が開始されるというのが正しいんだが。

 

「まず案内するのは……」

 

 神楽坂がそう言い、これからどこに向かうのかを口にしかけた時、周囲にグーっという腹の音が響き渡る。

 いきなりのその音に、当然その場にいた者達……地球、木連の関係なく音を鳴らした人物へと視線が向けられた。

 その人物は、木連の高杉。

 高杉もそんなつもりはなかったのか、顔を真っ赤に染めて下を向いていた。

 

「はっはっは。いやまぁ、こういい匂いがするのであれば、腹の虫も騒ぐってもんですな」

 

 秋山の声に、皆が確かにと頷く。

 近くにはたこ焼きの屋台があったり、カレーショップがあったりといった風に食欲をそそる匂いが漂っている。

 特に木連の人間にとっては、場所の問題もあって決して食料が豊かという訳ではない。

 そう考えれば、漂ってくる匂いにやられても仕方がない。

 そんな秋山の言葉に、神楽坂は口を開く。

 

「どうですか、皆さん。お腹が減ってる人もいる事ですし、軽く食事をしてから改めてホワイトスターの中を見て回りませんか?」

 

 結局神楽坂のその言葉により、軽く食事をする事になるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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