転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1360話

 木連の居住艦と思われる大型艦から発進してきたのは、当然のように無人機の群れ。

 というか、明確なまでにバッタだけだった。

 全てのバッタが出撃してこっちに向かってくる様子は……うん?

 こちらに向かってくるバッタを見て、ふと疑問に思う。

 あの大型艦から出撃してきた割りには、数が少ない。

 群れと言えるだけの数ではあるが、それでもバッタの数は火星のユートピアコロニーやネルガル研究所で闘った時の数には遠く及ばず、それどころか地球で連合軍と共に戦った時と同程度……いや、1割か2割くらいは少ないか?

 そんな数の少なさに疑問を抱いていると、隣ではナタルが素早くイザークとオウカに指示を下している声が聞こえてくる。

 

「イザーク、オウカ。木連からバッタが多数出撃してきた。迎撃を」

『了解した。あの程度の数でこちらをどうにかしようなど……甘く見られたものだ』

『分かりました。すぐに出撃します』

 

 メギロートとシャドウを従えて出撃する2人を見送ると、ナタルの方へと視線を向ける。

 

「俺も出撃した方がいいか?」

「私の立場としては無理は言えないが……出来ればここに残っていて欲しい。向こうが何を思ってこんな真似をしてきたのかは分からないが、何が起きてもすぐに対応出来るように」

 

 ナタルがそう告げると同時に、円が口を開く。

 

「木連の大型艦から通信!」

「映せ!」

 

 ナタルの声が響くと同時に、映像モニタに先程と同じく白鳥が映し出される。

 だが、そこに浮かんでいる表情は先程と比べると全く違っていた。

 見るからに焦っているだろうその様子に、エザリアは口を開く。

 

「白鳥少佐。木連は私達シャドウミラーと敵対する選択をした……という事でいいのかしら?」

『違います!』

 

 エザリアの言葉に、白鳥は即座に否定の声を上げる。

 違う? だが、現にあの艦から出撃しているバッタは、間違いなくこちらに向かっている。

 案内として出撃したのだと考えても、あまりにも数は多かった。

 この状況で害意はありませんと言われても、それを信じる事が出来るのは余程の楽天家だけだろう。

 少なくても、シャドウミラーでそれを信じるような奴は……あー、近衛を始めとして信じそうな奴は何人かいるな。

 それでも、この場にはそんな者は存在しない。

 俺の視線の先では、ナタルが合図をして円がイザーク達に一旦出撃するのを止めていた。

 

「そうかしら。じゃあ、今起こっている事態は何なのか教えて貰える?」

『その、実は貴方達の国……シャドウミラーと言いましたか。地球の手先で、こちらを騙し討ちしにきたと言っている者がいまして。その者達が半ば暴走の形で攻撃を……』

「つまり、こちらへの攻撃は一部の者が勝手にやっている事であり、木連の意思ではない、と?」

『そうです! こちらは貴方達に対して敵意は一切ない……とは言えませんが、それでも交渉をするつもりはあります。草壁閣下もそう言っておられました』

 

 草壁閣下、ね。

 どうやらその人物が木連の中心人物……かどうかは分からないが、それでもある程度の地位にいるのは間違いないらしい。閣下呼ばわりだし。

 

「それで、こちらに向かってくるバッタはどうすればいいの? まさか、このまま大人しく沈められろ……なんて言わないわよね?」

 

 実際には何重ものバリアがあるシロガネは、バッタの攻撃ではどうやっても沈められはしない。そもそもバリアがなくてもPS装甲を使ってるんだから、物理攻撃は殆ど意味がないし。

 

『バッタ? ああ、虫型戦闘機の事ですか。勿論すぐにこちらから戦力を出して止めさせて……』

「待った」

 

 白鳥の言葉を遮ったのは、当然俺だ。

 映像モニタに映し出されている白鳥は、俺の方を見て訝しげに口を開く。

 

『どうしました? 今はとにかく、そちらに攻撃をしている虫型戦闘機を……』

「その件だが、こっちで対応出来るのなら対応しても構わないか? 無人機だし、木連の人命には関わらないと思うが?」

『それは……』

 

 俺の言葉に、少し考える白鳥。

 木連の中には、俺達の強さを知らない者もいるらしい。

 この白鳥がそうだったんだから、恐らく情報操作の類がされている可能性も高い。

 いやまぁ、その割りには俺達に向かってバッタで攻撃をしてきたような奴もいるんだから、ある程度上層部ならシャドウミラーの存在を知ってはいるんだろうけど。

 なら、ここで俺達シャドウミラーがどれだけの力を持っているのかをきちんと示しておいた方がいい。

 そうすれば、これから迂闊に俺達を攻撃しようなんて考えなくなるだろうし。

 ……強い相手に逆らうのを優先するという、馬鹿な行為をする可能性もあるが、その場合は全面戦争になるだけだろう。

 そうなったらそうなったで、こっちとしても決して最悪の選択肢という訳ではない。

 そう言えば、こうして見る限りだとヤンマやカトンボ、チューリップのプラントはどこにもないな。

 さすがに木連の中でも最大限の戦力だという事もあって、どこかに隠していると考えるべきか。

 それを入手するとなると、まずはそのプラントがある場所を見つけるのが最優先だな。

 あれだけの大きさの戦艦を建造するプラントなんだから、そう簡単に隠したりってのは出来ない筈だ。

 まぁ、実際には白鳥が言う通りこちらに対して友好的な勢力があるみたいだから、そこまで勝手には出来ないだろうけど。

 とにかく、木連の本拠地のすぐ側で戦いが起これば、当然のように木連もそれを目にする。

 であれば、俺達シャドウミラーの力というのを木連にしっかりと見せつける方がいいだろう。

 火星や地球での戦いは情報統制されていたらしいしな。

 そうすれば、次からはこんな迂闊な真似をする奴もいなくなる。

 

『……分かりました。では、今回の件はそちらにお任せします』

 

 少しの沈黙の後、どこかに連絡を取ったらしい白鳥はそう言って頷く。

 草壁閣下とやらが許可を出したのか?

 向こうもこっちの戦力をきちんと確認しておきたいという思いがあったのは間違いないのだろうが。

 

「ナタル」

「分かった。……円、イザークとオウカに改めて出撃を」

「ええ」

 

 先程止められたのが、すぐにこうして出撃許可が下りるとなると……イザーク辺りは不満を口にしてそうだな。

 

「では、白鳥少佐。シャドウミラーの力がどのようなものか……是非ご覧になって下さい。幸い、私達シャドウミラーと木連は無人機を主力とするという意味では同じような構成です」

『無人機、ですか?』

 

 どうやら俺達に関しては完全に情報を漏らされていなかったのか、メギロートについても知らないらしい。

 いやまぁ、それはそれで度肝を抜くという意味だと、こっちとしても楽でいいけどな。

 映像モニタには、シロガネから出撃していく2機のヒュッケバイン。そしてシャドウとメギロートが映し出されている。

 もっとも、ニヴルヘイムと違ってシロガネの格納庫はそこまで広くはない。……いや、同サイズの戦艦に比べれば明らかに広いんだけどな。

 そこに搭載出来る戦力は有限だ。

 メギロートは俺の空間倉庫に入ってるから幾らでも補充出来るが。

 ともあれ、そんな戦力が出撃していき……やがて、バッタの群れと衝突する。

 だが、イザークとオウカの操るヒュッケバイン2機にバッタ程度がどうこう出来る筈もなく、シャドウとの攻撃もあって次々に撃破されていく。

 今までの戦いでは数の差で撃破される事が多かったメギロートだったが、今回のバッタの数はそれ程多くはない為にミサイルを雨霰と食らって撃破するというのは避けられているらしい。

 サークル・レーザーを使ってミサイルを一斉に迎撃し、そのままバッタも撃破していく。

 バッタとメギロートには純然たる性能差があり、それを覆す為には純粋にバッタの数を多くするしかない。

 だが、先程白鳥が言っていたように、今回の件でバッタを出撃させたのはあくまでも少数の人物だけであり、当然のように出撃してきたバッタの数も少ない。

 そうなれば、向こうにとってもメギロートを倒すのは難しくなり、そうして苦戦している間にもシロガネから出撃する戦力は次第に増えていく。

 ……まぁ、シロガネに搭載されているメギロートの数と、木連の本拠地であるここでの消耗戦となれば……さて、どっちが勝つだろうな。

 普通であれば向こうが量で押してきそうだが、木連の一部の暴走だと考えるとこちらが有利な筈だ。

 そもそも、メギロートだけで言えば俺の空間倉庫に予備は入っているし、何より……

 

「うわぁ、これってもう苛め以外のなにものでもないわね」

 

 美砂の呟く声が聞こえてくる。

 その視線の先では、2機のヒュッケバインがバッタを相手に無双している。

 そう、シャドウミラーの実働班に所属しているイザークとオウカだ。バッタ程度の相手に苦戦するような情けない技量の持ち主ではない。

 その上シャドウだってバッタ程度の能力でどうにか出来る筈もない。

 まだヤンマ辺りが出てきていれば、グラビティブラストでバリアを持っていないメギロート辺りなら撃破出来たかもしれないが。

 それだってシャドウやヒュッケバインがいる時点でどうしようもない、か。

 木連に俺達の力を知らしめるという意味では、これ以上ない程に適した展開になっているな。

 その辺に関しては、映像モニタに映し出されている白鳥の顔を見れば明らかだった。

 シャドウミラーの事を知らなかった白鳥だけに、当然俺達の戦いを見るのも初めてなのだろう。

 唖然、呆然と表現すべき表情をしている。

 口を大きく開けているのが、何ともユーモラスな感じだ。

 いやまぁ、シャドウミラーの戦いを初めて見たんなら当然だろうけど。

 ……これで、ニーズヘッグとかニヴルヘイムとかが戦場に参加していればどう思っていたんだろうな。

 あるいは特機とか。

 ヤマダと同じメンタリティの持ち主なら、木連にとって特機は大好物だろう。

 戦いそのものは、20分程も経たないうちにこちら側の勝利で終了する。

 出撃してきたバッタは全てが撃破され、周辺宙域に漂っていた。

 

「……さて、これで今回の騒動は終わったようだけど、これからどうするの?」

 

 エザリアの言葉に、白鳥はシャドウミラーの戦力に唖然としていた状況からようやく我に返る。

 

『はっ、今回の件は非常に申し訳なく思っています。すぐにこちらから連絡をしますので、申し訳ありませんが一度通信を切ってもよろしいでしょうか?』

「ええ、構わないわ。そちらも色々と大変でしょうし。ただ、出来れば早めに連絡をしてくれると嬉しいわね」

『出来るだけ急がせます。……では』

 

 その言葉と共に通信が切れ、ブリッジの中では少し大人しい雰囲気が漂う。

 時間は短かったけど、色々と濃い時間だったしな。

 

「木連も一枚岩じゃないのね。その辺はシャドウミラーと随分と違うけど……」

 

 円の言葉に、ブリッジの中で皆それぞれが頷く。

 シャドウミラーの代表である俺が言うのもなんだけど、シャドウミラーってのは色々な意味で個性の強い人材が揃っている。

 その割りには一枚岩というか、派閥とかは殆ど存在しない。

 シャドウミラーと同じような組織ではあっても、木連は色々と違うところも多いらしい。

 

「木連との交渉は今回の件が大きな切っ掛けになりそうですわね」

 

 あやかの言葉にエザリアが頷く。

 その気持ちは俺も理解出来る。

 というか、普通であれば誰でも理解出来るだろう。

 交渉を求めてやって来た未知の勢力に対し、強硬派が暴走して攻撃を仕掛けたのだから、向こうにとってこの失点は大きい。いや、大き過ぎる。

 ただ、疑問もある。それは……

 

「今回の襲撃、本当に一部強硬派の暴走だったのか?」

 

 という事だ。

 幾ら何でも、未知の勢力が現れたら即攻撃を仕掛けるというのは少し疑問に思わないでもない。

 タイミングが良すぎないか?

 

「どうかしらね。その辺についてはこれから木連との交渉で明らかになって行くと思うわ。それで向こうの対応を見極める事になるでしょう。……それより、ヨシサダ少将はどう?」

 

 エザリアの言葉に、円がシロガネのコンソールを操作する。

 すると映像モニタの1つに、ヨシサダと量産型Wが映し出された。

 特に何か焦っているようには見えないし、量産型Wもいつも通りだ。

 今の戦闘に関しては、当然向こうも部屋の中で見たのだろうが。

 いや、シャドウミラーとの戦いで木連のバッタが蹂躙されるという光景はよくあったので、もう見慣れたとか?

 地球に存在しているチューリップを撃破する為に何度も襲撃しているのだから、慣れてもおかしくはないか。

 

『これは、皆さん。いきなりの戦闘でしたが、どうやら無事終了したようですね』

 

 ヨシサダが映像モニタの向こう側でそう言って穏やかな笑みを浮かべる。

 ……何だかんだで、結構肝が据わってるよな。

 普通、異世界の勢力の旗艦に乗っていきなり戦闘に巻き込まれたのにこうまで平然とはしていられないと思うし。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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