転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1349話

 ニヴルヘイムにある第6格納庫へと到着し、周囲を見回す。

 一応この格納庫にも出撃する機体は待機しているのだが、それでもマリューが余裕があると言っていただけあって数はそれ程多くない。

 シャドウが10機、メギロートが50機程度と、普通に考えればとてもではないが空いていると言えない規模なのだが……そこはそれ、ニヴルヘイムの大きさを考えれば、別におかしな話じゃない。

 

「アクセル代表」

「マリューから話は聞いてるな?」

「はい、駆逐艦を出す場所へとご案内します」

 

 近寄ってきた量産型Wがそう告げ、駆逐艦を出す場所へと俺を案内していく。

 この辺、量産型Wは無駄な話をしなくてもいいので手っ取り早いんだよな。

 そうして案内された場所は、この格納庫にシロガネのような戦艦が入った時に停泊する為の場所だ。

 なるほど、確かにここなら十分か。

 

「じゃあ、早速出すから離れてろ」

「了解しました」

 

 離れて行く量産型Wを見送り、脳裏のリストから駆逐艦を選択。

 すると次の瞬間には艦体のあらゆる場所から氷柱がぶら下がった駆逐艦が姿を現した。

 火星にあったそのままの姿だが、この格納庫は人間が過ごしやすい温度……具体的に言えば20℃くらいに設定されている。

 幾ら火星の極寒地帯にあった駆逐艦であっても、すぐに氷柱や付着している雪は解けるだろう。

 こうして姿を現した駆逐艦を眺めていると、50人近い量産型Wを引き連れたマリューが姿を現す。

 

「随分と多いな」

「そう? 駆逐艦を調べるんだから、まだ人数は足りないくらいよ。現に後からまだ応援が来るしね」

「……持ってきた俺が言うのもなんだけど、そこまでする必要があるのか? ナデシコやヤンマならともかく、この艦は連合軍の駆逐艦だろ? 技術的に何か得るものがあるとは思えないんだが」

「そうね、普通ならそう思うでしょうし、実際その可能性が高いわ。けど、それはあくまでも『かもしれない』でしょう? もしかしたら何か私達の知らない技術が使われている可能性もあるし、何らかの情報があるかもしれないのよ? ……まぁ、これを見る限り、かなりほったらかしにされてた艦のようだし、中にある情報がどの程度使いものになるのかは分からないけどね。それにしても……」

 

 一旦言葉を止めたマリューは、しみじみと駆逐艦を眺めて不思議そうな表情を浮かべる。

 

「どうしたんだ?」

「いえ、この艦は火星で行われた木星蜥蜴との戦いで地上に落下した……のよね?」

「状況から考えて、恐らくはそうだろうと思ってるけどな」

「……妙ね」

 

 その言葉で、マリューが駆逐艦の何を不思議に思っているのかを理解する。

 それは、俺も感じていた疑問だったからだ。

 

「損傷が見当たらない……だろ?」

「ええ。見たところ、目立った傷は存在しないわ。火星に落下したのであれば、その落下する原因になった損傷がある筈よ。もしくは損傷じゃなくて何らかのトラブルで火星に落下したとしても、全く無傷なのはおかしい。……どうやら、何かありそうね」

 

 話している内に、好奇心が刺激されたのだろう。マリューは口元に笑みを浮かべつつ、駆逐艦の方へと向かっていく。

 

「見たところ武装に関しては特に気になる所はないわね。いたって普通の……この時代の軍艦らしい軍艦よ。じゃあ、私達は中を調べるけど、アクセルはどうする?」

「どうするって言われてもな。俺がここにいても意味はないだろ?」

「ええ。いたければいてもいいけど、多分アクセルにとっては暇なだけよ?」

「だろうな」

 

 俺にも士官学校で習う程度の技術的な知識はある。

 だが、マリューのように技術班にいる者にとっては、その程度の知識など0か0.1かの違いでしかない。

 それこそホワイトスターでレモンが言っていたように、殆どそっち方面の知識がないと言われていたエルフと、同程度という認識だろう。

 曲がりなりにも、そんなマリューの足手纏いにならないというのは疑似経験や疑似記憶といったシステムのある量産型Wの本領発揮といったところか。

 結局ここにいてもマリューの言う通り暇なだけだと判断し、格納庫を出て行く事にする。

 まぁ、何か緊急の連絡がある場合とかは通信機を使えば普通に連絡が出来るしな。

 

「じゃあ、後は任せた。何か面白い発見がある事を期待してるよ」

「ふふっ、だといいわね。……行くわよ」

 

 そう告げ、駆逐艦の方へと近づいていくマリューを見送り、俺は自室へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「ふーん、やっぱりクリムゾンから接触してきたのか」

『ええ。この辺はアクセル君の予想通りですわね』

 

 ニヴルヘイムに用意された俺の部屋にあるソファへと座りながら、映像モニタに映し出されたあやかの言葉に頷く。

 地球で政治活動をしているエザリア、あやか、千鶴、それとイザークを含めた護衛達が何をしているのかと思って連絡したところ、今のあやかの報告を聞かされた訳だ。

 クリムゾングループというのは、ネルガルを別とすればナデシコ世界でも屈指の巨大企業……いや、この場合は財閥って言った方がいいのか?

 ともかく、地球を覆っているビックバリアを始めとしたバリアに関しては高い技術を持っている企業だ。

 その企業から政治班に接触があったのは……寧ろシャドウミラーの話がナデシコ世界に広まっている現状を考えると、少し遅いような気もする。

 

「もっと早く接触してくると思ってたんだけどな」

『恐らく、こちらの情報を精査していたのだと思いますわ。もしくは、私達に対して迂闊に接触出来ない理由があったのかもしれませんし』

「……接触出来ない理由? 何だそれは?」

 

 別にクリムゾングループは、連合軍みたいに俺達と敵対した訳じゃない。

 いや、そもそも連合軍が敵対したのは、あくまでもネルガル……もしくはナデシコであって、そちらとの関係もアカツキによって関係は修復されている。

 そんな連合軍ですら俺達と接触しているのだから、クリムゾングループならもっと早く接触してきてもいいと思うんだが。

 もしかして、ビックバリアにハッキングを仕掛けた件が尾を引いているとか?

 ……まぁ、クリムゾングループにとってはビックバリアというのは地球そのものを覆うという事でかなり大きな仕事だったのは事実だ。

 その大きな仕事の結果をハッキングされてしまったというのは、企業イメージ的に色々と被害を被ったのは事実だろう。

 けど、それだけでクリムゾングループのような巨大企業が俺達に接触するのを控える理由になるか?

 寧ろネルガルに負けてはいられないと、先を争うようにして接触してきてもおかしくないんだが。

 

「どうにもクリムゾングループの動きは分からないな。そっちで探りを入れてみてくれないか?」

『ええ、エザリアさんもそう言ってましたから、その辺の心配はいりませんわ』

 

 さすがエザリアと言うべきだろうな。

 それにしても、普通こういう時はくれぐれも危険な真似はするなよと忠告するのが一般的なんだろうけど、あやか達の場合はその辺の心配がまずいらないというのもあって、気楽でいいのは助かる。

 あやかや千鶴は、純粋に生身での戦闘に関してはシャドウミラーでも上位に位置する。そんな2人に、魔力や気も存在せず、生身での戦いで使える武器と言えば銃程度のこのナデシコ世界がどうにかされる筈もない。

 エザリアも、あやかや千鶴程ではないが十分強いしな。

 魔法球での訓練はシャドウミラーの全員が行っている以上、生身の人間にどうこう出来る存在ではないのだ。

 綺麗な薔薇には棘があるというのを、地でいっている存在と言ってもいいだろう。

 

「連合軍と連合政府の方はどうなっている?」

『良くも悪くも今まで通りといったところでしょうか。何とかシャドウミラーの情報を得ようとしているようですが、その辺は上手くいっていないようです』

 

 上手くいっていないというか、具体的には上手くいかせていないというのが正しいだろう。

 

「取りあえずその辺はそっちに任せる。政治班の実力を思う存分見せつけてやれ」

『ええ、そうですわね。思う存分見せつけてやりますわ』

 

 ……うん? 珍しくあやかが不機嫌そうだな。

 いや、珍しいって程じゃないか。何だかんだとあやかは感情の起伏が激しい。

 特に神楽坂と話している時は、その辺の傾向が顕著だ。

 それでも、こうしてあからさまに不機嫌そうな様子を見せるというのは……

 

「どうした? 何かあったのか?」

 

 そう問い掛けると、すぐに我に返ったあやかは、口元を手で隠す。

 

『すいません、アクセル君。ちょっと気が昂ぶってしまいましたわ』

「いや、それはいいんだけどな。何だってそんな風になったんだ?」

 

 そう問い掛けても、中々言葉を発しようとしないあやかだったが、数分程粘ると、やがて観念したように口を開く。

 

『その、私を含めてこちらに来ているシャドウミラーの政治班は皆若い女性じゃないですか』

「そうだな。唯一の男手のレオンはホワイトスターに残っているし」

 

 正確にはレオンの部下として働いている男達もいるんだが、そいつらは政治班の所属という事になってはいるが、実質的にはレオン直属の部下だ。

 マクロス世界で最後までレオンに付き従った、忠誠心溢れる部下……なのか?

 正直なところ、マクロス世界でのレオンはとてもではないが忠誠を尽くすべき相手には思えない。

 フロンティア船団でクーデターを起こそうとしたり、ギャラクシー船団と手を組んでバジュラを支配しようとしたり。

 だが、そんな状況であっても、レオンの部下達はレオンに最後まで付き従ったのだ。

 ……本当に疑問だよな。

 ともあれ、そんな風に自分に忠誠を誓ってくれる相手にはレオンも思うところがあるようで、かなり手厚く扱っている。

 

『それで当然なのですが、連合軍や連合政府から派遣されてくる人物は皆が私達よりも年上の男性なので、どうしても甘く見られているところがあるんです。勿論、向こうも意図してそれを表に出しているのではなく、何となく言葉の端々に臭わせてしまうというのが正しいのでしょうが』

「あー……なるほど」

 

 基本的に交渉というのは経験がものを言う世界だ。

 そうである以上、当然ながら向こうから派遣されてくるのはベテランと呼ばれるだろう人物な訳で……

 それでも年寄りという訳ではなく、ある程度体力のある人材を送ってきているのは、これが体力勝負というか、タフな交渉になると向こうでも理解しているからだろう。

 

『それに何を勘違いしているのか、自分達の方が優位にあると思って高圧的に接してくる人もいて……そういう方達は、決まって金銭やその……夜の接待を要求してくるのですわ』

「ほう」

 

 自分の口から出たとは思えない程の、低い声。

 それを聞いたあやかは、慌てて手を振る。

 

『安心して下さい、勿論そのような要求をしてきた方には丁重に……それはもう丁重にお引き取り頂きましたから』

「だろうな」

 

 何で向こうがそんな馬鹿な人物を送ってきたのかは分からないが、あやか達の身体を要求したような人物は、まさかあやか達がナデシコ世界では勝てる相手がいないだろう程の生身での戦闘力を持っているとは思わなかったのだろう。

 

『当然そのような方は、すぐにでも他の方に連れて行かれて、交渉の場からはいなくなっていますわね』

「……何だってそんなのが現れたんだ? シャドウミラーとの実力差というのは、連合軍にしろ連合政府にしろ、十分に承知している筈だろ?」

『恐らくは連合軍側の方でも断る事が出来ない人なのだと思いますわ』

「あー、そっちのタイプか」

 

 シャドウミラーとの交渉……異世界との交渉となると、それには大きな利益が存在する。

 そして利益があれば、そこに群がってくる奴がいるのも当然だろう。

 得てしてそういう場合、そうやって利益に群がってくる奴は強いコネがあったりする訳で、上にいる人物に言われれば現場としてはそれを断る事が出来ない訳だ。

 

「けど、連合軍も連合政府も上の方で俺達との関係性は理解している筈だろ? それでも駄目なのか?」

『ええ、特にネルガルが既に私達と親しい関係にあるというのが大きいらしいですわ。ネルガルだけに独走させたくない、という方が多いのでしょうね』

「ネルガルか。……アカツキだな」

 

 ネルガルが原因でそうなっているのだというのであれば、そうなった原因を作った本人に頑張って貰う方がいいだろう。

 

『エザリアさんも同じ考えのようですわ。ネルガルの方に連絡を取っていましたから』

「相変わらず行動が早いな」

 

 俺が何かを言うよりも前に、既に行動を開始していた訳か。

 政治班を率いているという立場の割りには……いや、だからこそか、フットワークが軽い。

 

「とにかく、ネルガルに頑張って貰うとして……そっちの方はそっちの方で頑張ってくれ」

『ええ、アクセル君の為にも頑張らせて貰いますわ』

 

 笑みを浮かべてそう告げるあやかに俺も笑みを返し、それから暫く世間話を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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