転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1339話

 連合軍と連合政府の……いや、正確にはそれを半ば牛耳っている連合軍総司令のグリューノとの会談を終えた翌日。

 結局昨日の件は交渉ではなく会談という事もあり、正式な条約についての件は殆ど話し合われなかった。

 まぁ、向こうにとっては火星をシャドウミラーに譲渡するなんて真似はそう簡単に納得出来る話じゃないんだろうから、仕方がないけど。

 それでもこっちの希望は向こうに伝える事が出来たし、何よりこうして交渉が始まっていない状態であっても、既にシャドウミラーは火星にいる木星蜥蜴に対して攻撃を仕掛けているというのをきっちりと示す事が出来たのは大きいと思う。

 向こうにとってもカトンボの相転移エンジンとかを入手出来ればナデシコ級を増産する事が出来るというのが判明したのは大きかった筈だ。

 そして相転移エンジンを欲するのであれば、当然俺達と取引をするのが手っ取り早い。

 まぁ、ナデシコを使ってカトンボを撃破するという手段もない訳ではないが……ナデシコであっても、ディストーションフィールドを装備するようになったカトンボやヤンマを相手にするのは厳しいだろう。

 倒せない事はないだろうが、どうしても手数が足りなくなる。

 グラビティブラストを連射して撃破しても、本体諸共に相転移エンジンを破壊してしまっては意味がないし。

 この世界にとって最悪の選択肢としては、ナデシコやミロンガ改を強引に奪おうとした時のように、連合軍が攻めてくる事だが……グリューノがそんな最悪の手段を選ぶとは思えない。

 そもそも、もし何らかの奇跡が起きて連合軍が俺達に勝ったとしても、カトンボやヤンマといった鹵獲したり、回収したりした艦はその殆どがホワイトスターにある。

 つまり、こっちはゲートを何とかして撤退さえしてしまえば、もうそれで終わりな訳で。

 まぁ、シャドウミラーが連合軍に負ける未来なんて、どうあっても想像出来ないが。

 そんな未来はともあれ、現在俺達がやるべきことは……

 

「連合軍との共同作業、か」

 

 俺の呟きに、エザリアが頷く。

 

「そうよ。もし向こうがこっちの要望を呑んだ場合、当然こちらとしても事前に言っておいたように地球にいる木星蜥蜴の殲滅に協力する必要がある」

「けど母上。木星蜥蜴を倒すにも、シャドウミラーの戦力だけで十分なのでは?」

 

 イザークの言葉に最初に否と告げたのは、あの会談が終わってから何度か連合軍や連合政府と交渉を重ねているあやかと千鶴だった。

 

「どうやら、連合軍の方達は私達だけに任せてはおけないと思っているようですの」

「あやかの言う通りよ。戦力的な問題じゃなくて、面子の問題ね」

「はー……なるほどな。まぁ、確かに自分達の世界の地球が木星蜥蜴に攻められているのをどうにか出来なかったのに、そこに俺達シャドウミラーが手を貸した瞬間に戦況が逆転したら、この世界で最大の勢力を持っている者として面子が潰されると考えた訳か。嫌だねぇ、自分達の能力以上の見栄を張る奴ってのは」

「ですが、ムウ。連合軍にしろ連合政府にしろ、この世界を治めていく必要がある組織です。向こうにとっては、私達だけに頼り切るという真似をしたくはないというのは仕方がないのでは?」

 

 ムウの言葉にナタルが突っ込み、その言葉に皆が納得する。

 確かに俺達自身がこれから先このナデシコ世界を治めていくのならともかく、その予定がない以上はこの世界の組織にきちんと治めて貰う必要がある。

 そう考えると、今回の件は当然なのかもしれないな。

 それに……

 

「連合軍と行動を共にするのなら、シャドウミラーの力を見せつける事も出来る、か」

 

 俺と同じ事を考えたのか、スレイが呟く声が部屋の中に広がる。

 

「エザリア、貴方も案外と人が悪いわね」

 

 スレイの言葉に笑みを浮かべたエザリアに、マリューが悪戯っぽく笑って告げる。

 

「連合軍には当然ネルガルからシャドウミラーが火星で木星蜥蜴と戦った映像は渡されている筈だけど、中には頭が固い人もいるらしいわ。どうやら、戦闘の映像は作られたものではないかと考えている人もいるのよ」

「……マブラヴ世界にもいたけど、強硬派って人達ね」

 

 円の言葉に、エザリアが頷く。

 まぁ、そう思いたくなる気持ちも分からないではない。

 今までこのナデシコ世界においては、連合軍というのが最大の戦力を誇ってきたのだ。

 連合軍以外の国で軍隊を持っている国もあるのだが、連合軍には到底及ばない程度の規模でしかない。

 だとすれば、今まで自分達が受けてきた市民からの尊敬の念といったものを、俺達シャドウミラーに持っていかれると考える者が出てもおかしくはないだろう。

 まぁ、俺がナデシコ世界に来た時の市民の反応から考えると、既に連合軍=弱小という認識を持っている者も多いようだが。

 それでもナデシコ世界の全ての人達がそう思っている訳ではない以上、連合軍に対して敬意を払うような奴も一定の数はいるんだろう。

 

「それに、両軍が協力するのに賛成しているのは、こっちの戦力を虚構のものだと考えている人だけじゃないわ。シャドウミラーの戦力を直接間近で見て、解析したいと考えている人達もいるでしょうね。いえ、寧ろ強硬派とでも呼ぶべき人達よりは、こっちの方が主流よ」

「なるほど、やはり私達の力を実際にその目で見たいと思っている人も多いという事ですね。現実的にこの状況を見ている、という事でしょうか」

 

 オウカの言葉は事実だろう。

 勿論俺達の実力を見たいと言っている奴の中にも、色々な種類の奴がいると思う。

 半ば強硬派だったり、穏健派だったり。中には当然ナデシコ世界に見切りを付けてシャドウミラーに亡命してきたいと言う者もいるだろう。

 そう考えれば、全て同じと考えるのは不味いかもしれないが……

 

「ふんっ、向こうが何を考えていても、俺達がその力を発揮すれば全く問題はない筈だ」

 

 オウカの不安を拭おうというのか、イザークが自信満々に言い切る。

 実際、その言葉は間違っていない。間違ってはいないんだが……

 

「ひゅーひゅー、恋人の不安を取り除くってか、イザークは格好いいねぇ」

「ムウ、貴様ぁっ!」

「あー、ほらほら。いい加減にしなさいよ2人とも。それより、今話し合っているのは、連合軍と協力して地球にいる木星蜥蜴を倒す事でしょ」

 

 照れ隠しか、それとも純粋な怒りかは分からないが、ムウに向かって叫ぶイザークを円が止める。

 これが美砂辺りなら、イザークも怒りの矛を収めるような真似はしなかっただろう。

 ……オウカとのデートの映像を撮影した主犯の1人だって話もあるらしいし。

 ただ、円は美砂とは違って基本的に真面目な性格をしている。

 そう考えれば、イザークも怒りの矛を収めざるを得ないらしい。

 

「それで話を戻すけど、今度行われる連合軍との共同作戦だが、どのくらいの戦力を出す? 俺もニーズヘッグを出した方がいいのか?」

「どうでしょうね。出来ればそれは止めた方がいいと思うけど」

 

 マリューの言葉に首を傾げる。

 

「何でだ? こっちの戦力を見せつける必要があるんだろ? なら、当然ニーズヘッグは見せておいた方がいいだろ」

 

 ニーズヘッグという存在は、抑止力としてこれ以上のものはない。

 その姿を見ただけで、敵は恐れを抱いて萎縮し、味方の士気は天井知らずなまでに上がる。

 シャドウミラーの象徴というだけあって、ニーズヘッグは色々な意味で特別な機体だ。

 である以上、その力をはっきりとナデシコ世界の者達に見せつける必要はあると思うんだが。

 そんな俺の考えとは裏腹に、マリューは再度首を横に振る。

 

「今回見せるのは、ニーズヘッグ単体ではなくシャドウミラー全体の力の方がいいわ。ニーズヘッグだけが強い国だと思われれば、それこそ多数同時に攻めればどうにかなるって思われるかもしれないでしょう?」

「俺達も普通よりは強いつもりだけど、それでもアクセルと比べられると……なぁ?」

「ふんっ、そんな風に気弱だからお前はいつまで経ってもアクセルに勝てないんだ」

 

 マリュー、ムウ、イザークのやり取りには考えさせられる。

 確かに俺だけが強いと思われるのは色々と問題がありそうだが……けど、それこそナデシコからもたらされた映像を見れば、そんな馬鹿な事を考える奴がいるとは思えない。

 それにムウが自分達の腕を卑下しているように言ってるが、それはとんでもない出来事だったりする。

 そもそも、シャドウミラーの主戦力の1つである量産型W。

 この量産型Wは、レモンの技術の進歩とこれまで蓄えられてきた膨大なデータにより、その辺の人間のパイロットとは比べものにならない程の力量を備えたものになっている。

 一流のパイロットすら通り越し、一流と超一流の間にある壁すら乗り越え掛けている、それだけの技量を持つパイロットだ。

 生身での戦闘に関しても非常に技量が高く、それこそどの世界でも自分の軍に加えたいという要望がひっきりなしに上がっている。

 事実、量産型Wをシャドウミラーからの輸出品にしないかという注文をされる事も多いらしいし。

 だが、量産型Wはシャドウミラーの基礎とも言える。

 まず確実に無理だろうが、量産型Wの技術やら何やらが他の世界に知れ渡るという事だけは絶対に避けたい。

 ……まぁ、それだけの能力を持つ量産型Wが、ホワイトスターだと農業をやっていたり、畜産をやっていたり、ワイバーンの世話をやっていたり、はたまた博物館の職員として働いていたりもするんだが。

 うん、確かに量産型Wの性能を知っていて、それでいてホワイトスターの現状を見れば輸出して欲しいと言って来てもおかしくはないか。

 

「ま、とにかく話は分かった。なら取りあえず俺も一応行くけど、出撃はしないでシロガネのブリッジで観戦する事にしよう」

「そうね、そうした方がいいと思うわ。私はニヴルヘイムの件があるから行けないけど、他に誰を出すの?」

 

 マリューの言葉に、視線を巡らせる。

 とは言っても、現在地球に来ているメンバーで戦闘が可能なのは、スレイ、ムウ、イザーク、オウカの4人だけだ。

 生身での戦闘となれば、ここにマリューやエザリア、あやか、千鶴、円、美砂、それとナタルといった面々を入れる事も出来るんだが、今回はあくまでも機体に乗っての戦闘だからな。

 

「まずないと思うが、戦力を全部出してしまえば連合軍がニヴルヘイムを奪いに来るという可能性も捨てきれないしな」

「……さすがにそんな真似はしないのではないですか? 向こうもこちらがどれだけの戦力を持っているのかは分かっているのですし」

「オウカの言いたい事も分かるけど、実際ナデシコに乗ってる時に同じような事をやられている以上は完全に信じる訳にもいかないんだよ」

 

 そう答えながら、どう戦力を振り分けるかを考える。

 オウカとイザークは分けない方が連携的にいいだろう。搭乗機に関しても、ヒュッケバインMk-ⅡとヒュッケバインMk-Ⅲという同型機だし。

 そうなるとスレイとムウを組ませる事になる訳だが……

 

「そうだな、ならスレイとムウがシロガネで俺と一緒に連合軍と協力して木星蜥蜴の討伐を、イザークとオウカはニヴルヘイムの護衛を頼む」

「……分かった」

 

 意外な事に、文句を言うかとばかり思っていたイザークはあっさりと頷きを返す。

 少し考え、すぐに納得する。

 確かにイザークは戦いたかったのかもしれないが、俺達がシロガネで出撃する以上、ニヴルヘイムにはエザリアが残る事になる。

 マザコン気味のイザークとしては、自分でエザリアを守ることが出来るのは大歓迎だった……といったところか。

 

「よし、なら戦力の配分は決まったな。ナタル、メギロートとシャドウはどうする? 今シロガネにある分だけでいいか? 補充が必要なら、俺が空間倉庫に入れて持っていくけど」

 

 その言葉にナタルは少し考え……やがて頷きを返す。

 

「一応こちらにある分だけで木星蜥蜴への対処は出来ると思うが、いざという時の事を考えて、多少の余裕を持っておきたい。頼めるか?」

「分かった」

 

 この辺の用心深さが軍人家系の出だけあるよな。

 旗艦のシロガネを任せてある以上、ナタルのこういう性格には助かる。

 ちなみにニヴルヘイムは機動要塞という扱いである以上、旗艦はあくまでもシロガネだ。

 

「じゃあ、それぞれ準備を頼む。連合軍にシャドウミラーの実力をこれ以上ない程に見せつけて、俺達に対して妙な考えを抱かせないようにしっかりと教え込む事にするぞ」

「へいへい、相変わらずアクセルは厳しいねぇ。ナデシコ世界の人達に同情するよ」

「ムウ!」

 

 俺の言葉にムウがそう告げるも、次の瞬間にはナタルに足を踏みつけられて、悲鳴を上げる。

 そんな様子に見ながら笑い声を上げ、何だかんだといつものようなシャドウミラーの面子だとつくづく思うのだった。

 ……緊張とか、そういうのはどこにいったのやら。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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