転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1316話

 目の前に広がるのは、大きな屋敷。

 まぁ、大きなとは言っても城だとかそんな風に大きい訳ではないが、それでも普通の家に比べると大分大きい。

 そう、例えるなら……大企業の社長が住む程度の家か?

 会長だったりCEOだったりしないところがポイントだな。

 ともあれ、その屋敷……つまり俺の家の前で、ハルカとエリナは驚きの表情を浮かべていた。

 ただ、2人が浮かべているのは驚きという感情ではあるが、その驚きの原因は違う。

 

「凄いお家ね。敷地も広いし、建物のセンスもいいし」

 

 ハルカは純粋に屋敷の大きさに驚きを見せ……

 

「大きいけど、シャドウミラーというのは軍事国家なのよね? その代表がアクセルなのに、地位や実力に比べると屋敷が小さいんじゃない?」

 

 エリナの方は、屋敷が小さいという意味での驚き。

 

「ま、屋敷……いや、家が大き過ぎても、使うのに苦労するだけだしな。それに俺にはこのくらいが丁度いい」

 

 小さい頃から城で暮らしてきたような貴族はともかく、俺の場合は多少裕福ではあってもあくまでも一般家庭で育っている。……まぁ、あの家が一般的かと言われれば首を捻らざるを得ないが、それも家の規模としては裕福ではあったが大金持ちって程ではない。

 それこそ、俺の生まれた家くらいの金持ちは世界中に幾らでも存在するだろう程度の裕福さだ。

 そんな俺にとって、このくらいの大きさならまだしも、門世界にあった帝都の城のように大きな建物に住めと言われても……ちょっとな。

 絶対使わない部屋とか出てくるぞ。

 というか、今のこの屋敷でも使われていない部屋とかそれなりにあるし。

 これ以上広い屋敷を与えられても、正直困る。

 

「とにかく、時間的にそろそろ殆ど帰ってきてる筈だし……いいか?」

 

 その問い掛けに、ハルカとエリナの2人は頷く。

 どうやら覚悟が決まったらしいと判断し、扉を開けて中へと入っていく。

 最初はチャイムでも鳴らした方がいいのかとも思ったが、そもそもここが俺の家である以上、チャイムを鳴らすのもおかしいだろう。

 そうして家の中に入り、いつものリビングへと向かうと……

 

「あら、おかえりアクセル。久しぶりに見て回ったホワイトスターはどうだった?」

 

 紅茶を飲みながら何らかのレポートを読んでいたレモンが真っ先に俺に気が付き、そう声を掛けてくる。

 勿論俺に気が付いたのはレモンだけではない。

 リビングにいたコーネリア、シェリル、スレイ、あやか、美砂の5人も俺がリビングに入ってきたのにはすぐに気が付いたし、台所の方で料理をしていると思われるマリュー、千鶴、円の3人も同様だろう。

 

「ああ、今帰った。さっきも映像で顔を合わせたけど、こうして直接ってのは久しぶりだな」

「ええ、ある程度時差はあったけど、何回かあったみたいに極端じゃなかったみたいね。……それで、そっちの2人は今回アクセルの毒牙に掛かった哀れな子羊かしら?」

「いや、その言い方はちょっとどうかと思うんだが」

 

 チラリ、とどこか気の毒そうな、呆れたような、それでいて歓迎するような、幾つもの感情が複雑に絡み合った視線でハルカとエリナの方を見やるレモンにそう告げる。

 そうして見られている方の2人はといえば、ハルカの方は小さく笑みを浮かべてレモンを見返し、エリナの方はどこか気圧されたかのような表情を浮かべている。

 

「ふーん。けど、そっちのロングヘアーの方はともかく、ショートカットの方はここに来るには今一つ度胸が据わってないように見えるけど?」

 

 シェリルに視線を向けられたエリナは、自分でもそれを理解しているのだろう。そっと視線を逸らす。

 

「悪いが、エリナをそう責めないでくれ。この2人はお前達と違って、殆ど成り行きでそういう関係になったんだしな」

「……アクセルが、成り行きで? それってもしかして……」

 

 思い当たる事があったのだろう。いや、自分でもそれを経験しているからこそ、思い当たるのが早かったと言うべきか。

 ともあれ、スレイは理解しつつも同情するような視線を2人へと向ける。

 

「よく身体が保ったな。それもたった2人で。普段は9人で相手をしているのに」

「それは……」

「いいから、いいから。ほら、アクセル君に抱かれたんなら、私達の仲間でしょ。いつまでも立ってないで座ったら? 今日はアクセル君が戻ってきたパーティをするんだから。……ま、戻ってくるのが急だったし、そんなに凝った料理は作ってないみたいだけど」

「ちょっと、美砂! 文句を言うんなら、あんたも手伝いなさいよね! 全く、自分ではやらないのに文句ばっかり言うんだから。……あ、お帰りなさいアクセル君。そっちの2人も初めまして。パーティって言うくらいに大袈裟じゃないけど、それでもご飯の用意はもう少しで出来るから、ちょっと待っててね」

 

 台所の方から顔を出した円が、美砂を軽く睨んでからそう告げ、次にハルカとエリナの方へと告げる。

 睨んではいるが、そこにあるのは憎しみとかの重い感情ではない。どちらかと言えば、仕方がないなといったものが一番近いか。

 まぁ、この2人はもう10年近く一緒にいるんだから、それこそお互いが知った者同士って事なんだろう。

 ……そう言えば、円と美砂のもう1人の親友、桜子ってどうしたんだろうな?

 麻帆良のラッキー仮面とか言われているように、幸運……いや、豪運の持ち主として有名だったけど。

 運とか、そういうのは俺達に取っても非常に大事だ。

 戦闘になれば命懸けで戦うのだから、どうしても運とかそういうのは非常に気になる。

 そういう意味では、桜子もシャドウミラーに欲しい人材なんだよな。

 円や美砂が俺の恋人としてシャドウミラーに来はしたが、それでも桜子との付き合いがなくなった訳じゃない。

 事実、俺が知ってる限りでも頻度はそんなに多くないが、結構会って遊んだりしているらしいし。

 そんな風に考えていると、台所の方から鍋を持ったマリューが姿を現す。

 

「さて、食事の用意も出来たしそろそろ食べるとしましょうか。今日はアクセルが好きなカレーよ。勿論トッピングは沢山用意したから、好きなだけ食べてね」

 

 先程から香っていた特徴的な、それでいて食欲をそそるこの匂いはやっぱりカレーか。

 マリュー特製のカレーを楽しみに、椅子に座らされたハルカやエリナ、そして俺達の前にはカレーの入った大きな――パスタを茹でるような大きさ――鍋が置かれ、より食欲を増進させる。

 同時にトッピングとして大量の一品料理がテーブルに並べられていく。

 トンカツ、チキンカツ、ビーフカツ、メンチカツ、コロッケ、エビカツ、イカカツ、アジフライ、サンマフライ、牡蠣フライ、唐揚げ、春巻きといった揚げ物から、ゆで卵、コーン、ツナ、ボイルされたイカやエビを始めとした各種シーフード、アスパラやタケノコを始めとした各種野菜、福神漬け、ラッキョウ等々。他にも多数。

 正にカレーパーティと呼ぶに相応しいだけの料理の数々。

 他にもサラダとして、野菜サラダ、ポテトサラダ、海草サラダ、ゴボウサラダ、シーフードサラダ等々。

 テーブルの上には、隙間が殆どなくなるくらいに無数の料理。

 どこぞの国では食べきれない料理が出て、それを残すのが美徳となっているらしいが、俺の家では似ているようで違う。

 ここにあるのは全て食い尽くすのが普通なのだから。

 勿論食うのは殆ど俺になるだろうけど。

 あまりの料理の数々に唖然、呆然としているハルカとエリナに対し、レモンが口を開く。

 

「さ、食べましょうか。詳しい話に関しては食べながらでもいいでしょう?」

 

 その言葉に皆が頷き、カレーパーティとでも呼ぶべき食事が始まる。……いや、この家だとこれが普通の食事風景であって、特別にパーティとかそんなんじゃないんだけどな。

 ちなみに、エリナもハルカも日系企業のネルガルで働いてるだけあって、カレーライスは普通に食べる。

 実は米を主食にしている国ってのは、世界的に見てそんなに多くないんだよな。

 ヨーロッパとかだと、米は野菜の一種って認識だし。

 だから、実はカレーライスを出されても俺達の認識だと総菜だけ出ていて主食が何も出てないと感じる者も多い。

 ……まぁ、レモンやコーネリア、マリュー、スレイ、シェリルといった面々は今では普通に米を食ってるけど。

 あやか達従者組は出身が日本なので全く問題なしだし。

 そんな風に食事をしながら、最初は簡単にお互いの自己紹介をしていく。

 

「へぇ、2人共秘書なんだ。確かに2人共秘書ってイメージに合ってるけどね。片方は色気たっぷりの秘書で、もう片方は生真面目な出来る感じの秘書って具合に」

 

 美砂の言葉に、本人達もそう思っていたのだろう。ハルカが笑みを浮かべる。

 

「そうね。ま、でも私の場合は元秘書であって、今はナデシコの操舵士なのよ」

「操舵士? ナデシコって戦艦なのよね? 戦艦の操舵士が女の人だなんて、ちょっと珍しいと思うんだけど」

「資格があったからね。ちなみにエリナも副操舵士よ」

 

 興味深げに呟くマリューの言葉に、ハルカがそう答える声が聞こえてくる。

 マリューの脳裏を過ぎっているのは、シロガネやニヴルヘイムを操舵している量産型Wか、それともアークエンジェルを操舵していたノイマンか。

 あぁ、でもニヴルヘイムの場合は操舵って言わないのか? 機動要塞って扱いだし……けど、機動要塞を動かすのは何て言うんだろうな?

 そんな風に疑問を感じていると、いつの間にか話はナデシコ世界についてのものへと変わっていた。

 

「木星蜥蜴ね。無人機となると……ちょっと興味深いわ。アクセル、その辺は?」

 

 レモンの視線は、当然確保してるんでしょうねといった意思の光が見て取れる。

 

「ああ、俺が撃破した中でも比較的程度のいい物を確保している。それと、ナデシコ世界に転移する前に無人機の戦艦の件を相談したと思うけど、それにも丁度いいのが見つかってるぞ。劣化版ナデシコとも言える戦艦がな」

 

 ディストーションフィールドを装備し、グラビティブラストを含む数々の武装を使用可能な大型戦艦。

 それでいながら、大型戦艦というだけあって内部にかなりの余裕があり、そこにメギロートやイルメヤを搭載するのも難しくはないだろう。

 純粋に武装という意味では、ナデシコを上回っているしな。

 唯一の欠点としては、相転移エンジンを動力炉としている事による地上での稼働率の低さか。

 

「興味深いわね。けど、無傷のはないの?」

「ある訳ないだろ。そもそも無人機なんだから、降伏を勧めようとしても意味はないしな。である以上、撃破して損傷の少ない物を手に入れるしかない」

「……エリナって言ったわよね?」

「え、ええ」

 

 レモンの言葉に、エリナは慌てて頷きを返す。

 

「ナデシコ世界の火星は木星蜥蜴に占領されているって話だったけど、その占領している中には大型戦艦もいると見ていいの?」

「そう、ね。多分……いえ、きっと間違いなく大型戦艦もいる筈よ。もし現状ではいなくても、チューリップがあればそこから出てくるでしょうし」

「チューリップ? 妙に可愛らしい名前ね」

 

 エリナの言葉に首を傾げるレモンだったが、そう言えば何だってチューリップなんて名前なんだろうな?

 どちらかと言えばウツボカズラの方が合ってるような気がするけど。特に連合軍の戦艦をパックリといったのを見る限り。

 

「さて、それは名前を付けた人に聞いてみないと。とにかく、チューリップがあれば転移してくるんだから、戦いになれば大型戦艦も出てくるでしょうね」

「転移?」

 

 レモンの言葉に、そう言えばその辺をまだ説明していなかったか?

 

「木星蜥蜴の戦艦……というのはちょっと正しくないかもしれないけど、そういうのがあるんだよ。それがどうやら転移装置の出口らしくてな。そこからどこからか送られてくる無人機が延々と出撃してくる」

「……へぇ。転移装置、ね。それは興味深いわ」

「具体的にはどんな転移装置なの?」

 

 レモンに引き続きマリューも転移装置という事で興味を引かれたのだろう。口の中にあったカレーを飲み込むとそう尋ねてくる。

 

「俺達が使っているシステムXNやフォールドとはかなり違うな。傍から見た感じだと、転移先に直接転移する為の通路を繋いで、そこから通ってくるって感じに見えた。まぁ、傍から見ただけで、実際に体験した訳でもないから正確には分からないけど」

「チューリップ、ね。出来れば転移技術についての情報は知っておきたいわ。こっちも大型戦艦と同様に要確保ってところかしら」

 

 チューリップなら火星には幾らでもあるだろうから、大型戦艦と違って確保するのは難しくないかもしれない。

 シャドウミラーとして動く以上、メギロートとかも十分に使えるし。

 それに、大型戦艦はいざとなればチューリップを使って逃げ出す事も出来るかもしれないが、チューリップそのものは……最悪、チューリップ同士で転移する可能性はあるかもしれないが、それでも最悪1隻は残る筈だ。

 そんな風に食事を終え、その片付けが済んだところでマリューが人数分の紅茶を用意する。

 

「さて、それじゃあ……そろそろ今日の本題、アクセルとの関係について話しましょうか」

 

 レモンのその言葉がリビングに響き渡る。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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