転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1308話

 オリンポス山の麓にあるネルガルの研究所。

 ピラミッドのような建物が幾つも存在するその場所の一画……周囲がかなり開けた場所になっているそこに、俺の姿はあった。

 いや、俺だけではない。先程までブリッジにいた面々や、シャドウミラーという国と繋がるゲートを設置するというのを知ったナデシコのクルーや避難民の面々の多くが集まってきている。

 その数はざっと200人を越えているだろう。

 ナデシコのクルーが200人程で、そこに避難民もいると考えれば、必要最低限の者達以外は全員が来ているという事になる。

 ナデシコのクルーは能力は一流でも性格には問題のある者が殆どで、それが好奇心に引っ張られてきている者が大半だ。

 そして避難民に関しては自分達がこれから火星で生きていけるかどうかが懸かっているのだから、興味を引かれるのは当然だろう。

 そんな連中を引き連れて移動してきたのだが……

 

「プロスペクター、頼む」

「はいはい、お任せ下さい。皆さん、これからアクセルさんがシャドウミラーの本拠地と行き来するゲートという装置を設置するそうですので、場所を空けて下さいね。他の人の事も考えて見学して下さい。いいですね? 他の人を押し退けたりするのは駄目ですよ!」

 

 プロスペクターが集まってきている人達に対して大きく叫ぶ。

 ……ぶっちゃけ、現在ナデシコに残っているのは最低限な人数な以上、もしここに木星蜥蜴が突っ込んできたりしたら、それだけでナデシコは壊滅するんじゃないだろうか。

 いや、俺は物理攻撃で死なないので取りあえず壊滅はないか?

 それに空間倉庫の中にはニーズヘッグが存在している。もしカトンボやチューリップ、大型戦艦が襲ってきてもすぐに対処は出来るだろう。

 バッタやジョロ辺りならナデシコの監視網を抜けてくる可能性は十分にあるが、それこそバッタやジョロ程度なら素手でどうにでも出来るし。

 一応念の為に周囲を見回す。

 無人機でパイロットが乗ってないので気配を感じ取れないってのは面倒だよな。

 ニーズヘッグに乗っていれば、T-LINKシステムによる探査方法で無人機だろうとなんだろうと探索出来るんだが。

 そんな風に考えながら、プロスペクターやゴート、その部下の警備員達がスペースを空けていくのを眺める。

 そして十分にスペースが出来たところで、空間倉庫のリストを脳裏に展開する。

 当然そこで選ぶのは、今回必要なゲート。

 すると次の瞬間には俺の隣にコンテナのような形をした何か……ゲートが現れる。

 初めて空間倉庫を見た者達は驚愕の声を上げる。

 一応そういう能力があるというのはニーズヘッグやミロンガ改の件もあって情報はあった筈だが、やはり自分の目で直接見るというのは色々と違うのだろう。

 百聞は一見にしかずって奴か?

 周囲から向けられる好奇心の込められた視線を気にせず、ゲートの外側にあるスイッチを押す。

 それによりコンテナのようになっていたゲートが開き、そのままサイコロが分解されるかのように展開されていく。

 ……いや、このくらいならナデシコ世界でも普通に出来るんだから、そこまで驚く必要はないだろうに。 

 特にウリバタケが興奮しすぎて奇声を発しているんだが、下手をすれば血圧が上がりすぎて倒れるんじゃないか?

 ともあれ、周囲の皆の視線を集めつつゲートは展開を完了する。

 そして次の瞬間、ゲートが眩く光り始めた。

 その明るさを直視した連中が悲鳴を上げてるが……ああ、そう言えばホワイトスターとの時間を調整する為に光るって言うのを忘れてたな。

 眩い光は10秒もしないうちに消える。

 何人かが俺に対して文句を言ってるようだったが、ゲートシステムから空間に映像スクリーンが浮かび上がるのを見ると、そちらに意識が集中して黙り込む。

 

『リュケイオスの通信装置が起動してる? 誰? えっと、あれ? アクセル?』

 

 そこに出て来たのは、俺も知っている顔だった。

 それは理解していたし、ホワイトスターでも良く顔を見るのは理解していた。

 だが、何故ここで……リュケイオスの通信に姿を見せるのかが全く理解出来ない。

 だからこそ一瞬唖然とするが、やがて自分の前にいるのが間違いなく記憶通りの人物だと理解して、口を開く。

 

「何だってお前がこの通信に出るんだ、神楽坂? 超包子の方でバイトしてるんじゃなかったのか?」

 

 その言葉を聞いた神楽坂は、何を言ってるんだと言いたげな表情を浮かべるが、すぐに何かを思い出したのだろう。納得したように頷く。

 

『そう言えばいいんちょが時差が出るとか何とか言ってたわね。それでかしら』

 

 あー、なるほど。神楽坂という完全に予想外な人物が顔を出したからすっかり忘れてたけど、そう言えばリュケイオスで転移した先とホワイトスターでは時間の流れが違ったりするんだよな。

 ったく、俺ともあろうものがこんな簡単な事を忘れてたとは迂闊だった。

 

「で、そっちは今何月だ?」

『5月よ』

「……なるほど。今回はあまり時差が広がらずに済んだって事か」

 

 今まで、酷いのだと1年くらいの時差があった時もある。

 その辺を考えれば……いや、そうでもないか?

 俺がナデシコ世界にやって来たのは10月。それで今は1月。つまり俺がナデシコ世界にいたのは3ヶ月。

 で、ホワイトスターから俺がナデシコ世界に転移したのが1月で、今は5月という事は、経過したのは4ヶ月。

 3ヶ月と4ヶ月だから、時の流れは殆ど差はない……いや、待て。

 

「一応聞いておくけど、俺が転移した年だよな?」

『当然でしょ』

 

 どうやら1年以上の時差って事は避けられたらしい。

 

「……で、話は戻るが、何だってお前がリュケイオスのオペレーターをやってるんだ? その役職は一応結構重要な役割だった筈なんだが」

『あー……本当は技術班の人達がやる筈だったんだけど、何だか今技術班は色々と忙しいみたいで、代わったのよ』

 

 技術班が忙しい? 何か発見でもあったのか? 神楽坂の様子を見る限りではトラブルの類って訳ではないようだが……

 じゃなくて。

 

「代わったって、お前……そう簡単に代われる筈がないだろ? シャドウミラーのメンバーでもないってのに」

 

 そんな俺の当然の質問に対し、神楽坂はしてやったりといった笑みを浮かべて口を開く。

 

『今のあたしは、女子大生でも、超包子のバイトでもなくて、シャドウミラーの神楽坂明日菜なのよ』

「……は?」

 

 一瞬神楽坂が言っている意味が分からなかったが、すぐに納得する。

 そう言えば以前あやかが神楽坂をシャドウミラーに誘ってみたいと言っていた事を。

 もっとも、その時は『どうせあのお猿さんは就職先がないのですから、シャドウミラーで拾ってあげようと思っているのですが』とか何とか、相変わらず素直になれない様子だったが。

 もう20代になったというのに、子供の頃の関係を変えるというのはそう簡単には出来ないらしい。

 で、結局そのあやかの言葉通りにシャドウミラーにスカウトをして、大学を卒業した神楽坂は正式にシャドウミラーに所属することになったのだろう。

 もう5月って事は、近衛と桜咲もシャドウミラーで活動を開始しているのは間違いない。

 他にも何人かスカウト予定の奴がいたと思うけど、そっちはどうなったんだろうな。

 その辺を聞きたいけど、後ろの方でこっちの様子を見ている他の連中の事を思えば無駄に時間を掛ける訳にもいかないか。

 特に何人か……ナデシコがここに向かって移動している時にシャドウミラーに亡命出来ないかと言ってきた奴が不機嫌そうな顔になっているし。

 まぁ、自分達が亡命を希望したのが断られたのに、映像に映し出されている女がシャドウミラーの人員として存在しているのだから無理もない。

 その気持ちは分からないではないが、神楽坂という人物はシャドウミラーに取って有益な人物でもある。

 魔法無効化能力という非常にレアな能力を持っているし、咸卦法を使う事も出来る。それがなくても素で身体能力は非常に高い。……それこそオリンピックでメダルを狙えるくらいには。

 後、これはついでだが人目を引く美人だ。

 いや、俺の感想がどうこうって訳じゃなく、超包子でウェイトレスをやっている時のように、シャドウミラーに利益を与えてくれる的な意味で。

 実際、亡命の件云々の話を聞いたことのなかっただろう男の何割かが、映像スクリーンに映し出されている神楽坂に見惚れているし。

 ……だから、ハルカとエリナ。俺の方にジト目を向けるのは止めてくれ。

 それとこれが最大の理由だが、数年間超包子でバイトをやっていたという実績がある。

 つまり、シャドウミラーの人員が神楽坂の性格をよく知っているという事だ。

 俺の場合は純粋に神楽坂の性格を知っているから問題はないし、それはあやかを始めとした従者組も同様だろう。

 だが、他のシャドウミラーの人員は神楽坂の人柄についてはよく知らない。

 思い込みで突っ走りがちなところもあるが、何だかんだと面倒見がいいってところとかな。

 その辺をホワイトスターでバイトをしていた4年間で他のメンバーにしっかりと周知させたのが神楽坂をシャドウミラーに引き入れた最大の理由になるだろう。

 それに比べると、亡命希望者の方は残念ながら全くその性格や人柄を知る事が出来ていないしな。

 けど神楽坂がシャドウミラーに入った件に関しては不安要素がない訳でもない。

 基本的にシャドウミラーは国という存在であり、そうなれば当然理不尽な行為を行うのも珍しくない為だ。

 例えば今回の場合は避難民を受け入れない、とか。

 人道的に見れば責められても仕方ないが、国という観点からみればそれ程おかしな話ではない。

 それは今回だけの話ではく、今まではなかったが、下手をすれば接触した世界に対する殲滅戦のような行為をしかねないという事でもある。

 勿論俺だって好んでそんな真似はしたくないが、それでもやらなければならないとなったら、手を抜くような真似はしない。

 そんな事になった時、神楽坂の場合は色々と騒ぎ出しそうでちょっと不安があるんだよな。

 元々一般人として暮らしてきた神楽坂だけに、人を殺すという行為に対して強い拒否感があるし。

 俺がネギま世界に紛れ込んだ時には、それが理由で幾度となく対立もしているのだから。

 いざって時の覚悟はしておいた方がいいだろう。

 

『アクセル? どうしたの?』

「……ああ、いや。何でもない。それで、悪いがこの通信をレモン、コーネリア、エザリアに繋いで貰えないか? 至急相談したい事がある」

『え? ちょっと、急にそんな事を言われても……えっと、ちょっと待ってね』

 

 そのまま少し戸惑いながらも、間違う事もなく新たな映像スクリーンが3つ、空中に浮かび上がる。

 

『ちょっと、誰よ。今は忙しいって……あら、アクセル? 今回は随分と早かったのね。まぁ、ある意味丁度いいかもしれないけど』

 

 レモンが一瞬こっちを睨み付けるようにしながらも、すぐに嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

『うん? アクセル、久しぶりだな。元気そうで何よりだ。……随分と後ろが賑やかなようだが、今回はどんな世界に行ったのだ?』

 

 コーネリアは口元に微かな弧を描くような笑みを浮かべ、俺の背後にいるナデシコのクルーや避難民を見て尋ねてくる。

 

『……さて、こんな風に私達3人に同時に通信を送ってくるという事は、どんな厄介事に巻き込まれたの? それとも厄介事を巻き起こした、と言った方が正しいのかしら?』

 

 エザリアは苦笑を浮かべつつも、特に慌てた様子もない。

 

「3人共、忙しいところを悪いな。ちょっとこの世界……取りあえずナデシコ世界と名付けたが、そのナデシコ世界で色々と問題が起きた。その解決にシャドウミラーとして力を振るいたいと思ってこうやって神楽坂に通信を繋いで貰ったんだが……いや、それ以前に何だって神楽坂がリュケイオスのオペレーターをやってるんだ?」

 

 そんな俺の疑問に答えたのはレモンだった。

 

『ああ、明日菜ね。彼女はシャドウミラーに入ったのはいいけど、これといった適性がないから現在は色々な部署を経験して貰っているのよ』

「あー……なるほど。実働班なら向いているかとも思ったが……」

『能力はともかく、ね』

「だろうな」

 

 その短いやり取りで納得してしまう。

 敵を殺すという行為に関して忌避感がある神楽坂だ。そんな人物がPTとかを使っても危険なだけだろう。

 

「なら、生活班とかはどうなんだ? 元々超包子で働いてたんだし」

『他に適性がなければ、結局はそうなるでしょうね。……それで、まさか明日菜の件で連絡してきた訳じゃないでしょう?』

 

 レモンの言葉にエザリアとコーネリアも頷く。

 特にエザリアは話を早くしろと促すような視線を俺の方に向けている。

 

「そうだったな。実は、このナデシコ世界の火星を俺達シャドウミラーで占拠したい」

 

 そう告げ、俺の考えを3人へと説明する。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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