転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1299話

 影のゲートから出た俺は、地上近くにあるナデシコのすぐ隣へと姿を現す。

 視界に入ってくるのは、上方向のみならず左右や後ろにも回り込み、完全にナデシコを包囲しようとしている木星蜥蜴の無人機。

 しかも、バッタとかジョロではなく、カトンボや大型艦といった感じの戦艦だけだ。

 まさに木星蜥蜴の大盤振る舞いと言ってもいいだろう。

 ナデシコをここで必ず仕留める。そんな執念すら感じさせる包囲網。

 いや、無人機である木星蜥蜴に執念とかそういうのがあるとは思えないが。

 それでもここでナデシコを破壊し、俺達を全滅させようという意思だけは感じ取れる。

 

「けど……お前達の最大の不運は、俺がこの艦に乗ってた事だな」

 

 呟き、脳裏に空間倉庫のリストを展開。そこに表示された、俺の相棒にして半身と言ってもいい機体を選択する。

 次の瞬間、俺の隣にはその姿が現れていた。

 肩に装着されている片方3基ずつの6枚のバインダーが特徴的な機体。

 純粋な大きさで言えば、ミロンガ改よりも6m以上小さく、15mしかない小型機だ。

 ……もっとも、それでもエステバリスに比べれば圧倒的な大きさだが。

 Fate世界で宝具になった影響か、機体そのものに魔力が宿っており、こうして見ているだけで圧倒的な迫力を感じさせる。

 

「行こうか、相棒」

 

 そう告げ、混沌精霊としての能力で空を飛び、ニーズヘッグのコックピットへと乗り込む。

 俺がコックピットの中に入ると、即座にT-LINKシステムにより俺の確認をする。

 宝具化したんだし、こっちも魔力とかで感知してくれてもいいと思うんだけどな。

 ともあれ、機体が俺を認識するとすぐさま機体の状態チェックが始まり……やがてニーズヘッグの背中に装備されているエナジーウィングが展開し、そのまま空中へと浮き上がる。

 丁度タイミング良く……あるいはタイミングが悪く、カトンボや大型戦艦はナデシコの半包囲状況が完了しそうになっている。

 さて、どうするか。……いや、考えるまでもないな。

 これが人間のように意識のある人物が木星蜥蜴の機体を操作しているのであれば、いっそ包囲網が完成するまで待って、そこから一気にそれを破ってしまうというのは、向こうの戦意を挫くという意味ではありな戦法だ。

 だが、今回の場合は違う。今ナデシコを攻撃しようとしているのは全てが無人機であり、そうである以上当然戦意がどうとかいう感情はない。

 あ、俺の正体を露わにしたんだから、そうなった以上はチューリップとかカトンボとか大型戦艦とかゲットしておきたいところだな。

 でも、チューリップが転移装置の出口だとはっきりしてしまったからな。

 出来ればチューリップには輸送艦であって欲しかったんだけど。

 そんな風に考えながら、ナデシコに通信を入れる。

 

「ナデシコ、聞こえているな?」

『アクセル!? ちょっと、あんた今どこに……』

『無事なのね、アクセル?』

 

 俺が映像モニタに映し出された瞬間、即座に反応したのはエリナとハルカの2人だった。

 これは喜ぶべきか? ……喜ぶべきなんだろうな。

 

「心配掛けて悪いな。ただ、今は知っての通り時間がない。詳しい話はここを乗り切ってからだ。現状のままでは地下の件でディストーションフィールドを張れないのは分かったが、移動するのにどれくらい掛かる?」

『10……いえ、5分ってところね』

 

 ハルカの言葉に、相転移エンジンの予想以上の使いにくさに思わず眉を顰める。

 

「しょうがないな。分かった。その間は俺が責任を持ってナデシコを守るから、ディストーションフィールドを張る必要はない」

『そう言われましても……こちらとしては、アクセルさんを完全に信用出来るのかどうかと言うのもありますし』

 

 プロスペクターの言う事ももっともだ。それは理解出来る。

 元々俺という存在は、このナデシコ世界のDNA検査でも調べる事が出来ず、身元不明という扱いになっており、ネルガルの力で戸籍を用意して貰った形だ。

 いや、その時点ではそれ程悪くはなかったのだろう。

 ミロンガ改という未知の機体のパイロットという事だけを考えれば、多少不審人物であっても黙認する程度の余裕はあった筈だ。

 だが、今は違う。ブリッジにいたのに、影のゲートを……この世界の住人にとっては全く理解出来ない影によってその場から消え去り、そして今乗っているのは俺の本来の機体であるミロンガ改ではなく、全く見知らぬ機体。

 それであっさりと俺を信じるとはさすがに言えないだろう。

 

『分かりました、信じます』

 

 ……言えない筈、だったんだけどな。

 まさか、艦長がこうも簡単に断言するとは思わなかった。

 

『ちょっ、艦長!? そんなあっさりと決められては困ります!』

『大丈夫です! だって、アクセルさんは今まで何度も私達を守ってきてくれたじゃないですか! なら、今度も信じてみましょう! ……アクセルさん、お願い出来ますか?』

「……ああ。任せろ。ナデシコはきっちりと守ってやるよ。それにしてもこの状況であっさりと俺を信じるなんて言葉が出るとはな。テンカワには勿体ないくらいのいい女だよ」

『え? あの、その、でもぉ……すいませんけど、私はアキトという恋人がいるので、口説かれても困ります。それにハルカさんやエリナさんに悪いじゃないですか』

『艦長! 貴方、こんな時に何を言ってるの!』

 

 エリナの言葉が聞こえてくる。

 全く、色々と個性的なメンバーが揃っている艦だ。

 だがこうして信じられた以上、こっちもそれに答えてみせようという気になってしまうのも当然だろう。

 

「なら、そこにいる全員に告げる。今からお前達が見るのは、こことは違う世界で大魔王と呼ばれた男の戦い。幾多もの世界と関係を持つシャドウミラーの戦力の象徴、嘲笑する虐殺者の名を持つ俺の相棒、ニーズヘッグの力だ。滅多に見る事が出来る光景じゃないから……見逃すなよ?」

 

 そう告げると同時に、ナデシコの丁度真上に到着したニーズヘッグは、全てのヒュドラを同時に動かし、狙いを付ける。

 

「直撃、愛」

 

 カトンボと大型戦艦にディストーションフィールドが展開されているのは知っている。

 恐らく威力の高いビーム……ランツェ・カノーネクラスのビームであれば貫通出来るだろうが、ナデシコのブリッジに見栄を張った現状でそれを試すつもりはない。

 それ故の、精神コマンドの直撃。そして愛。

 あれだけの見栄を張っておきながら、実は放ったビームが全部ディストーションフィールドに防がれました、とかだと格好が付かないし。

 そっちに関しては、この窮地を切り抜けてから試してみてもいい。

 倒すべき敵は無人機ではあるが、大量にいるのだから。

 

「食らえ、フルバーストだ!」

 

 その言葉と共にニーズヘッグからは幾つもの攻撃が放たれる。

 本来であればナデシコを半包囲している木星蜥蜴を相手にして、一気に攻撃を命中させるというのは無理だろう。それこそミロンガ改でも、武器が足りないというのもあるが、機体の方で処理が追いつかない。

 だが……俺の半身であるニーズヘッグであれば話は違う。

 俺という規格外のパイロットの能力を最大限活かすべく生み出されたこの機体は、スパロボOGs世界で恐らく最強の念動力を持っている俺の能力を発揮させる為にT-LINKシステムが搭載されている。

 それもただのT-LINKシステムではない。技術特化型集団でもあるシャドウミラー最高の頭脳でもあるレモンが俺に合わせて改良に改良を重ねた代物だ。

 そのT-LINKシステムにより、敵の位置を目ではなく感覚的に理解し、そこへと向かって攻撃を放つ。

 その上で精神コマンドを使用して攻撃力や命中力、更にはバリアを貫通する能力まで備えているのだから、その威力は抜群だった。

 ランツェ・カノーネから放たれたビームが大型戦艦数隻を纏めて貫き、爆散させる。

 T.T.キャノンはT-LINKシステムにより俺の思い通りの軌跡を描き、カトンボを貫き、爆散させる。

 メガ・バスターキャノンから放たれた巨大なビーム砲は、チューリップへと真っ直ぐに突き刺さり、爆散させる。

 ブラックホール・ランチャーから放たれた重力波砲は、チューリップ、カトンボ、大型艦の区別なく爆散させていく。

 ヒュドラの先端から放たれたビーム砲も、愛と直撃の効果により威力を増してカトンボ程度であれば容易に貫き、撃破出来るだけの威力を有していた。

 ヒュドラから放たれたファントムに至っては、それこそこの戦域を縦横無尽に跳び回り、チューリップ、カトンボ、大型戦艦の区別なく攻撃していく。

 勿論ファントムは1基ずつだとそう大した威力はない。

 だが、ファントムは数が揃っており、愛と直撃により威力を増した48基が俺の意志に従って獲物に食らいつく狼の如き動きで次々に敵の装甲を貫き、内部でビームやレーザーを発射しては、再びビームソードを展開して装甲を突き破りながら外へと姿を現す。

 ここまで暴虐を振るうヒュドラだったが、勿論ニーズヘッグに装備されている武器はヒュドラ以外にも存在している。

 エナジーウィングから放たれた刃状のエネルギー、腹部拡散ビーム砲、頭部ビームバルカンといった射程の短い武器は、チューリップから姿を現してナデシコに……そしてニーズヘッグへと近づいてくるバッタを次々に撃破していく。

 戦闘時間は30秒にも満たない、短い時間。

 だが、その短い時間でナデシコを半包囲しつつあった木星蜥蜴の戦力はその殆どが消滅してしまっていた。

 そして、俺の攻撃はまだ終わらない。

 

「後顧の憂いは絶たせて貰うぞ。ここでお前達の戦力をこれ以上ない程に消耗して貰う」

 

 確かに木星蜥蜴は無人機なのかもしれないが、それでも無限に戦力を出してくるという訳にはいかない筈だ。

 バッタやジョロといった無人機だって、製造するのに相応の資源やエネルギーの類が必要となる。

 ましてや、カトンボ、大型艦、チューリップといった代物に関しては1隻作るのにどれだけ資源やエネルギーが必要かは考えるまでもない。

 そうである以上、折角のニーズヘッグのお披露目だ。ここで木星蜥蜴の戦力を大量に消耗して貰うのは、次に俺達がどんな行動を取るのかはまだ不明だが決して悪い事ではなかった。

 

「ナデシコ、聞こえるな? イネス、向こうのチューリップの集団がいる位置の地下は安全か?」

『え? え、ええ。あの辺は地下空間とは反対方向だから問題ないけど……』

「そうか。愛、直撃」

 

 通信を切ってから、再び精神コマンドを使用。

 そしてランツェ・カノーネの砲口をチューリップやカトンボ、大型戦艦がまだ残っている場所へと向ける。

 最初にナデシコの方へと向かってきた方向だけに、そこにはまだそれなりに戦力が存在していた。

 精神コマンドを使ったランツェ・カノーネでも撃破は出来るだろうが、ある程度の数がいるだけに出来れば一網打尽にしたい。

 そんな風に考えた俺が攻撃の手段として選んだのは……

 

「フレイヤだ、食らえ」

 

 その言葉と共に、ランツェ・カノーネの砲口の下、グレネードのようになっている場所からフレイヤ弾頭が発射される。

 一見するとミサイルのようにしか見えないその兵器は、真っ直ぐに目標の中心点へと向かって飛んでいく。

 当然向こうも無人機であるとはいえ……いや、無人機だからこそと言うべきか、自分達へと向かってくるそのフレイヤ弾頭を排除するべく、小回りの利くバッタが繰り出される。

 だが、俺がわざわざフレイヤ弾頭をバッタに攻撃させるような真似をさせる筈もない。

 ヒュドラから放たれる18条のビームやT.T.キャノンのように、フレイヤ弾頭を誘爆させる危険の少ない、威力の小さい――ニーズヘッグを基準にしてだが――攻撃により、フレイヤ弾頭へと攻撃しようとしていたバッタは次々に撃破されていく。

 また、グレネードのように発射されたとしても、フレイヤ弾頭の飛ぶ速度はそんなに遅い訳ではない。

 シャドウミラーが誇る技術班によって作られたフレイヤ弾頭だ。その速度は並のミサイルとは比べものにならない程度の速さは持っている。

 真っ直ぐに飛んでいくフレイヤ弾頭は、木星蜥蜴が何とか撃破しようとするも既に間に合わず……やがて、敵がまだ残っていた場所へと着弾し、桃色の半球状のドームを作り上げた。

 全てを飲み込む絶対の領域。

 そこに存在していた木星蜥蜴の無人機は、その全てが桃色のドームの中に飲み込まれる。

 

「ナデシコ、対ショック体勢を取れ」

 

 ナデシコへと短く通信を入れ……次の瞬間には桃色のドームは消え去り、そこにはまるでスプーンでくりぬいたような光景だけが存在していた。

 そして次の瞬間にはフレイヤによって消え去った空間に流入する空気により周囲は大きく荒れる。

 周囲にあったユートピアコロニーの建物の残骸が吸い込まれるようにフレイヤによって抉られた空間へと飛んでいき……1分程に及ぶ空気の流入が終わった後、そこに残っているのはユートピアコロニーの建物の残骸だけで木星蜥蜴の姿はどこにも存在しなかった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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