転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1291話

「……暇だな」

 

 部屋の中で、ベッドに寝転がってTVを見ながら呟く。

 するとその言葉を聞き咎めたのだろう。自分の部屋から持ってきたクッションに座りながら本を読んでいたハルカが、俺の方へとジト目を向けてくる。

 

「ちょっと、自分の部屋にこんないい女がいるのに、その台詞はどうなのよ。女としてのプライドが傷つくんだけど」

「そう言われてもな。サツキミドリ2号を出発してからもう1週間経つのに、全く何のイベントもないままここまで来ただろ?」

 

 たまに木星蜥蜴の攻撃が来るが、それにしたって単発でナデシコのディストーションフィールドを破れる程の代物ではない。

 衝撃で艦が軽く揺れるが、あくまでもそれだけだ。

 こっちに対しては特に何の被害もない。

 連続で攻撃してくれば話は別なんだろうが、あくまでも散発的な攻撃のみ。

 ルリが言うには、恐らくこの攻撃でこっちのデータを集めてて、本格的な攻撃は制宙権を得ている火星付近に行ってから行われるんじゃないかって話だし。

 敵もこっちに攻撃を仕掛けるとすぐに離脱するから、迎撃に出ても無駄らしい。

 そんな訳で、俺達は火星に向けて出発してから1週間。既に道程の半分を過ぎようとしているのに、平穏無事な日々を過ごしていた。

 ……火星まで2週間ってのも、結構凄いよな。ナデシコの底力ここに見たりって感じだ。

 

「あのねぇ。私が言ってるのはそういう事じゃないってくらい分かってるでしょ? ……ねぇ、アクセル。一応聞いておくけど、もしかして貴方って女に興味がないとか言わないわよね?」

「当然言わない」

 

 ハルカの言葉に対し、即座に返す。

 俺が女に興味がなければ、それこそ恋人が9人も11人もいるなんて事にはならないだろう。

 

「そうよね? 実際クリスマスパーティの夜にはあんなに私やエリナの身体を貪ったんだし。……でも、その割りにあの日以来私に手を出してこないけど、何で? 私はいつでも受け入れる覚悟はあるんだけど? まぁ、あの日みたいに体力が消耗し過ぎて立てなくなったりしたら困るけど」

 

 艶然と、誘うような瞳をこちらに向けてくるハルカから、そっと視線を逸らす。

 勿論ハルカに魅力がないとは言わない。いや、寧ろ魅力というだけならすぐにでも手を出したくなる程のものがある。

 だが、幾ら何でも別の世界へと行く度に新しい恋人を作るってのは正直どうかと思う訳で。

 その割りにはこうしてハルカが俺の部屋に遊びに来るのを止めたりはしていないんだから、表向きと本心では大きく意見が違うんだろうが。

 

「……はぁ、まぁ、いいわよ。そのうち私の魅力でアクセルの方から私を好きだって言わせてみせるんだから」

「取りあえず俺からは何も言えないし、言わないでおくよ」

「ふふんっ、まぁ、見てなさい。私はこう見えて恋愛には貪欲なんだから」

 

 そう告げてくるハルカの視線は、どちらかと言えば俺に対する好意よりも好奇心や興味の方が先に立っているように見える。

 いや、勿論好意がないとは言わないし、実際好かれているという実感はあるんだが。

 そうでなければ、俺だって酔っていても肉体関係を持ったりはしなかっただろうし。

 部屋の中に広がる、若干妙な空気を払拭するようにハルカが話題を変える。

 

「そう言えば聞いた? 最近艦長がアキト君に猛アピールしているらしいわよ?」

「……まぁ、艦長の場合はテンカワに一途だからな。今、この暇な時間に何とかして関係を進めたいと思ってるんだろ」

 

 艦長がブリッジにいなくてもいいのかという疑問もあるのだが、高度に自動化されたナデシコの場合、ルリとメグミの2人がブリッジにいればそれだけで大抵は間に合ってしまうらしい。

 ここにルリがいないのは、そういう理由だったりする。

 艦長すらもブリッジにいなくてもいいというのは自動化され過ぎだろうとも思うが、一般的な戦艦……特に連合軍にある戦艦ではそこまで自動化されている訳じゃない。

 オモイカネという高性能AIが存在しているナデシコだからこそ、ここまで自動化さてるんだよな。

 戦艦を運用する上でこれだけの自動化が出来るという技術は凄く羨ましい。

 シャドウミラーとして欲しい技術ではあるんだが……ただ、問題なのはオモイカネのようなAIはルリのように遺伝子調整されて特殊なIFSで強化された存在でなければ使いこなせないという事か。

 どうしてもナノマシン関係の技術については忌避感があるんだよな。

 別にIFSを使ってる相手を忌避するような気持ちはないが。

 純粋に、俺自身がナノマシン関係の技術を好んでいないというだけだ。

 ……そういう意味では、連合軍と似ているのかもしれない。

 

「暇な時間だからこそ、恋愛関係が発展してるんでしょうね。メグちゃんもかなり頑張ってるみたいだし」

「ああ、ヤマダか」

 

 何だかんだで仲良くなっていたメグミとヤマダ。

 だが、恋愛的な意味では殆ど進展していないらしい。

 メグミがグイグイと迫っても、ヤマダがヘタレて手を出さないんだとか何とか。

 ……ちなみにハルカ情報だ。

 何だかそれだけを聞いていればメグミが獲物を狙う肉食獣のように聞こえるのが不思議だ。

 いや、実際それは間違ってないんだろうけど。

 

「他にも整備班の人達がパイロットの娘達をナンパしようとしては返り討ちにされてるらしいわよ? その辺を考えると、アクセルは手を出そうと思えばすぐに出せる場所に私がいるんだし、幸運じゃない?」

「……そう持っていくのか」

「当然でしょ。アクセルを虜にするまで私の攻撃は終わらないんだから」

「そうか。まぁ、頑張ってくれ」

 

 ベッドへと横になり、近くに置いてあった漫画を手に取る。

 サツキミドリ2号で買い漁った代物だったが、既に殆ど読み切ってしまっていて、まだ読んでいない本はそんなに多くない。

 積ん読とか言うんだったか? それがあれば俺にもまだ読む本が増えるんだろうけど。

 マクロス世界みたいに電子書籍が一般化していればいいんだが、この世界って何故か電子書籍系等の技術が全く発展してないんだよな。

 オモイカネとかあるんだし、そっち関係の技術が発展してもおかしくないと思うんだが。

 もし電子書籍が多ければ、部屋の中がこんなに本で一杯になったりはしなかった筈なんだけど。

 ま、今はそんな事を考えていてもしょうがないか。

 

「んー……ねえ、アクセル。ちょっとVRルームに行かない? 最近、あそこを利用してる人が結構多いらしいわよ?」

「VRルーム? ああ、以前ハルカと一緒に使ったな」

 

 あの時は高校生になりきってデートっぽい感じで過ごしたけど……正直、ハルカに高校の制服はとてもじゃないけど似合わなかったという思いがある。

 身体つきが成熟している上に、上下共にかなり短い制服だった為にどうしても女子高生というより、言っちゃ悪いがコスプレにしか見えなかったんだよな。

 高校を舞台にするのなら、ハルカのイメージだと……英語教師や数学教師といったところか?

 少し捻って、教頭とか。保健の先生ってのもありだな。

 そんな風に考えていると、ハルカは脈ありとみたのか誘う視線を俺の方へと向けてくる。

 

「ね? アクセルもその気になってるみたいだし。こうして部屋にいるだけってのもつまらないでしょ? 折角だから今のうちに遊んでおきましょうよ。火星に到着すれば、絶対に忙しくなるんだから」

「あー……そうだな。ま、たまにはVRを使うのもいいか」

 

 ハルカのゴリ押しに負け、読む本も少なくなってきたという事もあって俺はハルカと共にVRルームへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「お?」

 

 VRルームへと向かっていると、不意に前の方から……つまり、VRルームの方から来る二人が見えた。

 しかも、つい先程俺の部屋で噂になっていた二人、メグミとヤマダの2人組だ。

 ヤマダが顔を真っ赤にしながら、メグミと手を繋いでこっちに向かってきている。

 メグミの方は嬉しそうに笑みを浮かべており、非常に初々しい。

 ……けど、普通こういう場合って、顔を真っ赤にするのは女の方なんじゃないのか?

 ヤマダの場合、ゲキガンガーの女キャラは平気でも、実在する女に対しての免疫が弱いって事か。

 いや、おかしな話じゃないけどな。今までヤマダが女と触れ合う機会とかはなかったんだろうし。

 俺が言うのもなんだけど、アニメを……しかも一昔も二昔も前のアニメを見る趣味を持っている男が好かれるってのは、余程の何かがなければ難しい。

 あ、でもメグミは元声優だって話だし、そういう意味でもこの2人って相性が良かったのか。

 

「あ、ミナトさん。……もしかして、ミナトさんもこれからVRルームを使うんですか?」

「そ。メグちゃんはすっかり楽しんできたようね」

「はい。ガイったらあんなに格好いい台詞を叫ぶなんて……いやん」

「はいはい。幸せで良かったわね。羨ましいわ」

「あら、でもミナトさんだってこれからアクセルさんとVRルームに行くんでしょ? なら……」

「うーん……この人も、私が好意を抱いているってのは分かってるのに、中々それを受け入れてくれないのよね」

 

 女同士で話しているのを横目に、俺達の前でまで手を繋いでいるのは恥ずかしかったのか、ヤマダはメグミと手を離して俺の方へとやって来る……と、強引に肩を掴んでハルカとメグミから距離を取る。

 何だ? また対抗心から俺に何か言ってくるのか? そうも思ったんだが、ヤマダの浮かべている表情を見る限り、そういう訳ではないらしい。

 

「おい、アクセル。お前ミナトさんの何が不満なんだよ。メグミが言ってたけど、ミナトさんって派手に見えるけど家庭的な面もあるって話だろ? それでいてあんなに可愛いんだから……」

「そう言われてもな。こっちにはこっちで色々と事情があるんだよ」

「何だ? 女関係で何か困った事があったら、俺に相談しろよ。操縦技術じゃお前に敵わねえかもしれないが、女関係では俺の方が上のようだからな」

「あー……うん、そうだな。相談したくなる事があったら相談させて貰うよ」

 

 ヤマダに本当の事は言えないよな。

 実は恋人が9人、まだ合流していない凛達を含めると11人もいて、更にこのナデシコ世界ではハルカとエリナと一夜を共にしてしまった。

 ……そんな事を真面目に相談したら、即座にブチ切れで拳を振るってきそうな気がする。

 いや、確かに普通に考えればヤマダの判断が正しいんだろうけど。

 でも、ホワイトスターだと一夫多妻制だしな。

 恋愛については、人によって色々と感性とか違うからヤマダの経験も色々と為になるのは事実だろう。……俺個人としては、ヤマダとの相性が必ずしもいいって訳じゃないのであまり関わり合いになりたくないんだが。

 

「ふふん、任せろ。こう見えて、俺はテンカワの恋愛相談にも乗ってるんだからな。立派な恋人持ちの俺に掛かれば、恋愛の問題なんかはチョチョイのチョイとくらぁ」

 

 メグミという恋人との相性が余程良かったんだろう。一時期模擬戦であそこまで沈んでいたのが、ここまで復活……どころか、有頂天に近くなっているのを見ると、素直に驚く。

 

「恋愛はいいぞ? 今までと同じような毎日が、これまで以上に楽しくなる。恋愛マスターの俺が保証する。だから、お前もミナトさんとさっさと付きあっちまえよ。それとも、あのエリナとかいうキツイ女の方が好みなのか?」

「そう言われてもな。さっきも言ったけど、一応こっちにも色々と事情があるんだ。お前に言われたからって簡単にハルカやエリナと付き合うって訳にもいかないんだよ」

「かーっ! 勿体ねえなぁっ! ヒロインと結ばれて恋人になるってのは、王道だろ!? ナナコさんに、アクア。そんなヒロイン達と結ばれるってのは、男の夢だろ!」

「いや、誰だよそれ」

 

 ヤマダに言葉を返しつつ、ふと思い出す。

 そう言えば以前テンカワとゲキガンガーの話をしていた時に、そんな名前が出て来たような……と。

 つまり、ナナコやアクアというのはゲキガンガーに出てくるヒロインなのだろう。

 アニメに出てくるヒロインを恋人にしたいとか……と、そこまで考え、ふとそのまま俺の境遇だということに気が付く。

 スパロボOGs、コードギアス、ガンダムSEED、マクロス。その全てで俺は原作キャラを恋人にしているのだから。

 いや、マクロス世界に関しては世界観は理解しているけど俺の知らない話だったし、ネギま世界、マブラヴ世界も原作は全く分からないが、恐らくアニメや漫画、ゲーム、小説の世界だと考えられる。

 そうなると、実は俺ってヤマダにとって理想の存在なんじゃないだろうか。

 ヤマダが好きそうな、無双をしていたりするし。

 ……その代わり、根性が重要なイベントとかは殆ど体験してないけど。

 あ、でも俺の機体は基本的にリアル系だから、スーパーロボットを好むヤマダの趣味には合わないか。

 そんな風に思いながらハルカとメグミの話が終わるのを待ち、VRルームへと向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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