転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1288話

 サツキミドリ2号から……より正確には、そこに停まっていたナデシコから出撃したミロンガ改は、木星蜥蜴の本陣があると思われる方へと向かっていた。

 幾ら敵が無人機ではあっても、そんなミロンガ改を放っておける筈もない。

 ミロンガ改の姿を見ると、バッタは集団で襲ってくる。

 ミサイルを撃ち、あるいは近接戦闘を挑むかのように真っ直ぐ突っ込んできたりするのだが、当然そんな攻撃に当たるような真似はしない。

 エナジーウィングを使って機体を斜めにしながらミサイルを回避し、同時に真横を通り抜けざまにビームサーベルを振るってバッタを両断する。

 こっちに向かってきた大量のミサイルはビームマシンガンを使って全て撃破。

 ジャマーを使った方が手っ取り早いのだが、あれはあくまでも軌道を逸らすというだけだ。つまり、外れたミサイルがサツキミドリ2号に向かう可能性もあった。

 勿論ミサイルの撃ち落としは全て移動しながらの行動だ。

 それでも無人機であるバッタは懲りた様子もなく、ただひたすらにミロンガ改へと向かって攻撃を仕掛けてきていた。

 向こうにしてみれば、自分達の本陣に俺を近づけたくないのだろう。

 ……まぁ、本陣と言ってもチューリップとカトンボなのだろうが。

 相変わらずチューリップはバッタを大量に飲み込んでいる辺り、便利さが際立っている。

 カトンボの方もチューリップ程ではないにしろ、バッタを積み込んでるのだろうし。

 どうにかして欲しい。特に撃破された訳ではない、無傷のチューリップが。

 カトンボは普通の戦艦なので、取りあえずチューリップの方が重要度は上なのだが……それを邪魔するのが俺の腕に嵌まっているコミュニケ。

 ネルガルで作られた俺の左腕に嵌まっているコミュニケは、通信機やTV、電話、その他にも様々な機能がある装置だ。

 これだけの物を腕時計サイズにしたというのは素直に凄いが、そこまで小型化・高性能化されているという事は、何らかの仕掛けがしてあっても見つかりにくいという事になる。

 

「って、邪魔だよ!」

 

 こっちにミサイルを撃ち込んできたバッタに対し、ビームマシンガンでミサイル諸共数匹のバッタを撃破する。

 その場を後にし、チューリップとカトンボのいる方へと向かう。

 ともあれ、俺という存在がそもそも戸籍とかがないし、遺伝子調査でも誰なのかというのが判明しなかったのを考えると、あのプロスペクターやゴートがそのまま野放しにするとは思えない。

 ミロンガ改に何か手を出したらすぐに分かるようになるとは言ってあるし、機体にちょっかいを出す事も出来ない以上、調査対象が俺になるのは不思議でも何でもない。

 そうすると、このコミュニケに盗聴器とかがついていたとしても不思議じゃない。

 そんな状況でミロンガ改の外に出てチューリップに触れて空間倉庫に収納するなんて真似は……さすがに出来ないだろう。

 しょうがない、今回は諦めるか。

 火星は木星蜥蜴に占領されてるって話だし、ここでチューリップを捕獲出来なくても火星に到着してからなら何とかなるだろ。……なって欲しいな。

 カトンボの方も火星まで行けば入手出来る可能性はあるだろうし。……こっちはどちらかと言えばついでだが。

 ミサイルが既に残ってないのか、真っ直ぐにこっちに突っ込んで来るバッタを肩に内蔵されているミサイル……そう、ネルガルで開発されたミサイルを発射する。

 ただ、今回発射したのはウリバタケが考えたトンデモミサイルではなく、一般的なミサイルだ。

 真っ直ぐに飛んでいったそのミサイルは、バッタが回避しようとした瞬間にミロンガ改のビームマシンガンが命中して周囲を爆発に巻き込む。

 ま、こういう使い方もそんなに悪くない。

 

「それにしても……」

 

 呟き、周囲の様子をレーダーで探る。

 妙に敵の数が多いな。

 いや、勿論木星蜥蜴がBETAの如く数で攻めてくるというのは知っている。

 だが……それでも予想していたよりもかなりの戦力だ。

 これって、俺がいなければ……そしてサツキミドリ2号の護衛としてナデシコがいなければ、落ちたんじゃないのか?

 そう思えるだけの戦力を集中しているように思う。

 

「まぁ、どのみちこの程度の敵だと俺には無意味だけどな」

 

 ビームサーベルとビームマシンガンを使い、次々にバッタを倒して行く。

 纏まってくる敵に対しては、エナジーウィングから放つ刃状のエネルギー。

 ミサイルもたまにだが発射し、バッタを撃墜していく。

 まるで、マブラヴ世界でBETAと戦っていた時と同じような、一方的な蹂躙。

 まぁ、BETAに比べると純粋な強さでは上……か? あー、でもバリアの類がないから、光線級とか重光線級を相手にすると一方的にやられかねないかもしれないな。

 木星蜥蜴対BETA! ……何だか陳腐なB級映画っぽいタイトルだな。

 うん? でもマブラヴ世界と違ってこのナデシコ世界はようやくきちんと使える人型機動兵器を実用化したところなんだよな。……デルフィニウムはともかくとして。

 そう考えると、実はマブラヴ世界の方が技術的に進んでいるところもあるのか?

 勿論、全体的な技術で考えれば、圧倒的にナデシコだろうが。

 そもそも、火星に移住を完了していたって時点で何気にマクロス世界に次ぐ技術を持っている文明度……の筈なんだけど、どうにも文明的にはそんなに進んでいるようには思えないんだよな。

 寧ろ、一般的な文明という意味ではネギま世界と同程度……SEED世界やギアス世界よりも下のように思える。

 ところどころ上をいってる部分があるのは分かるんだが。

 そんな風に下らない事を考えながらバッタを倒して行くと、やがて……ようやく目当ての存在が見えてきた。

 黒く巨大なそれは、チューリップと呼ばれている木星蜥蜴の輸送艦だ。

 地球で戦った時にも思ったが、やっぱりこうして見るとバッタとかとは違って生物系に見えるんだよな。触手もあるし。

 チューリップに比べると、カトンボの方はきちんとメカメカしい形をしてるんだが。

 いや、今はそんな事をを考えていられる場合じゃないか。

 俺がやるべき事は、このチューリップとカトンボを……おい。

 早速チューリップとカトンボへと攻撃しようとしたのだが、ミロンガ改の映像モニタに映し出された光景を見て驚く。

 何故なら、そこにはカトンボ以外に2匹……いや、2隻のチューリップの姿。

 ……だよな。本格的にサツキミドリ2号を攻め滅ぼそうってんだから、まさかカトンボとチューリップ1隻ずつで攻めてくるなんて事は有り得ないか。

 寧ろ、チューリップが3隻も4隻もいなかったのを感謝するべきだろう。

 取りあえず、牽制としてビームマシンガンのトリガーを引く。

 放たれたビーム弾は、真っ直ぐにチューリップへと向かい……命中するも、見るからに損傷は少ない。

 当然か、チューリップやカトンボの装甲に対して、こっちの攻撃はビームマシンガン……つまり、小さなビーム弾だ。とてもではないが一発や二発命中したところでその装甲を抜ける筈もない。

 触手は装甲のように厚い訳ではないので、あっさりと撃ち抜けるのは、地球で戦った時に経験済みだから分かっている。

 だが、チューリップを撃破するには触手じゃなくて本体の方を破壊しなければならない。

 それに今回はチューリップ以外にもカトンボの姿もある。

 ……地球でナデシコにやったみたいに、食いついてくれれば内部からどうとでも出来るんだが、ナデシコ程の大きさもないミロンガ改を食ってくれるとは思えないしな。

 それにカトンボの方は相手を食うような行為がそもそも出来ないし。

 いや、手はある。それこそ幾つも。

 チューリップやカトンボの護衛なのか、近くに待機していたバッタが襲い掛かってくるのを迎撃しながら考える。

 一番手っ取り早いのは、やっぱり精神コマンドの愛だろう。

 愛の効果である熱血を使えば、恐らく装甲を抜くのはそう難しくはない筈だ。

 ……直撃を、と言いたいところなんだが、直撃が無効化するのはあくまでも向こうの特殊能力だ。何かバリアの類でもあれば話は別だが、純粋に装甲が厚いだけの敵を相手に使っても意味はない。

 そして、俺のSPはこれまでの経験から色々な意味で酷い事になっているので、何度でも愛を連続して使う事は可能だ。

 けど、それをやるにはやっぱりコミュニケが邪魔になる。

 データを保存するような機能があったりした場合、誤魔化しようがない。

 向こうだって盗聴してましたとかは言えないから、率直に聞いてくるような事はないだろうが、それでも周囲を嗅ぎ回られれば不愉快になるのは当然だろう。

 いや、ウリバタケを含めてミロンガ改の正式なデータは取らせていない。だとすれば、愛の効果を誤魔化せるか? ……駄目だな。確かにビームマシンガンのデータを取らせてはいないが、それでもサセボシティ、チューリップ戦、デルフィニウム戦といった風にビームマシンガンを使用しているところは何度も見られている。

 そうなれば、当然ビームマシンガンの威力がどの程度かというのは向こうもある程度把握している筈だ。

 そんな中で、チューリップやカトンボの装甲を容易く貫くようなビームマシンガンの威力を見せたりすれば、間違いなく疑問に思われる。

 俺の乗っている機体がミロンガ改じゃなく、サラマンダーだったらグラビトンガトリング砲……より正確には、バーストモード時のグラビトン砲があって、その威力があれば恐らくチューリップやカトンボの装甲も貫通出来たと思うんだが。

 それにサラマンダーなら、バトロイドにならないで戦闘機のファイターのままならミロンガ改程に周囲の注目を集めるような事も……いや、無理か。

 まず木星蜥蜴を単機で撃破出来るような戦闘機ともなれば、下手をするとミロンガ改以上に連合軍の注目を集めた可能性が高い。

 何しろ、今の連合軍の主力は戦闘機なのだから。

 同じ戦闘機という事で、まず間違いなくサラマンダーを欲するだろう。

 更に、サラマンダーの主武装はグラビトンガトリング砲。……基になった武器はヒュッケバインMk-Ⅲのグラビトンライフルで、つまり重力系の武器だ。

 ナデシコでようやくグラビティブラストという重力系の武器を採用したのに、俺が戦闘機に装備出来るような小型の重力系の武器を装備していれば……さて、どうなった事やら。

 ともあれ、サラマンダーの件についてはひとまず置いておくとして、チューリップとカトンボの件だ。

 こっちに向かって突っ込んで来るバッタをビームマシンガンで破壊しながら、S-11ミサイルに考えを向ける。

 あの威力であれば、多分破壊出来るとは思うが……使用する為には空間倉庫の中から取り出す必要がある。

 それはコミュニケ的にやばいので、こちらは論外。

 

「となると、これしかないか」

 

 周囲に集まっていたバッタが一斉に発射したミサイルをジャマーであらぬ方へと逸らし、決断する。

 さて、上手くいったらお慰み。……いや、上手くいかせるつもりしかないんだが。

 ビームマシンガンを連射して周囲のバッタを破壊した後、2隻いるチューリップのうち、近い方のチューリップへと向かって真っ直ぐに進んでいく。

 そのまま触手の攻撃を回避しながら十分近い場所、装甲のすぐ近くまで到着したミロンガ改がやったのは……エナジーウィングの刃状のエネルギーとビームマシンガンを至近距離で連射する事だった。

 幾ら装甲が厚くても、近距離からなら多少のダメージを与える事は難しくない。

 そこにビームマシンガンとエナジーウィングから放たれる刃状のエネルギーを寸分の狂いもなく一ヶ所に集中して命中させ続ければ攻撃を完全に防ぐ事は無理だったらしく、次第にチューリップの装甲に傷を付けていく。

 装甲? 見た感じだと、皮膚と表現した方がいいような気もするが、ともあれ放たれた刃状のエネルギーとビームマシンガンのビーム弾は延々と発射され続けていた。

 その様子は、まるで無数の蟻に群がられている象のようだ……というのは、ちょっと言い過ぎだろうか。

 少しずつ、だが確実に装甲がダメージを受けていくのは、チューリップを制御しているのだろうAIでも感じ取ったのだろう。触手を俺の方へと伸ばしてどうにか対処しようとしてくる。

 だが……

 

「邪魔だ」

 

 エナジーウィングとビームマシンガンを使っていても、当然ミロンガ改の攻撃手段は全てなくなった訳ではない。

 肩から発射されたミサイルが触手部分を次々に粉砕していく。

 また、現状でもエナジーウィングを使った移動をするという事は出来ないが、ミロンガ改はエナジーウィングの他にもテスラ・ドライブが備わっている。

 いや、どちらかと言えばテスラ・ドライブの方がメインの推進力であり、エナジーウィングは補助的な扱いだった。

 そうである以上、刃状のエネルギーを撃ち続けながらでもミロンガ改を移動させる事は出来る。

 勿論一ヶ所に集中攻撃をしている以上、移動出来る範囲は狭い。

 だが、1と0では大きな違いがあり……俺は狭い範囲の中で触手の攻撃を回避し続けながら、ひたすらチューリップへと攻撃を仕掛け続ける。

 勿論チューリップ側も黙ってやられてばかりいる訳じゃない。

 何とかこっちの攻撃を阻止しようと、触手以外にもバッタを使った攻撃を仕掛けてきたり、チューリップその物が移動して攻撃範囲から逃れようとしたりもした。

 だが、その全ては俺の前に無意味であり……やがて装甲を貫き、チューリップの重要部位へと刃状のエネルギーとビーム弾が到達したのだろう。その動きを止め、ピクリともしなくなる。

 ……ちっ、バッタのミサイルの予備弾倉とかに引火すれば、内部から爆発しただろうに。

 いや、考えようによってはチューリップに与えたダメージは少ないまま動きを止めたのだから、サツキミドリ2号か、ネルガルか、連合軍かは分からないが、それでも運が良かったんだろう。

 ともあれ、これでチューリップは1隻撃破。残りはチューリップとカトンボが1隻ずつ。

 取りあえず早めに潰した方がいいのはカトンボよりもチューリップだろうということで、続けて近くでこっちに触手を伸ばしている2隻目のチューリップへと視線を向け、ミロンガ改を向かわせる。

 エナジーウィングから放たれる刃状のエネルギーとビームマシンガンを一ヶ所に集中させれば、時間は掛かるがチューリップの装甲も貫く事が出来るか。

 今回の戦いで最大の収穫は、この事実だったかもしれないな。

 そんな風に考えながら2隻目のチューリップへと攻撃を仕掛け……その動きが止まるのは、三十分もしないうちの事。

 カトンボもまたチューリップ同様に沈むのはそれ程遠くはなかった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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