転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1279話

「俺の事を知っているのか?」

 

 突然格納庫に現れた三人の女のうち、緑のショートカットの女に名前を呼ばれて尋ねる。

 

「ったりめぇだろ。お前の戦闘シーンはこっちにもきちんと流れてきてたんだからよ」

「戦闘映像? ああ」

 

 サセボシティでは、何だかんだと被害は……人的被害は少なかった。チューリップとの戦いの時も連合軍の戦闘機は撃墜されまくったが、戦艦自体の被害はそれ程大きいって訳じゃない。

 だとすれば、ネルガルや連合軍に俺達の戦闘データが流れるというのはおかしな話じゃない。

 いや、元々ネルガルや連合軍はそれを見てミロンガ改に執着心を抱いたのか。

 

「それで? 俺がアクセルだったらどうするんだ? えっと……」

「リョーコ。スバル・リョーコだ。そっちはアマノ・ヒカルとマキ・イズミ。あたしらも全員ナデシコがサツキミドリ2号から出発する時にはあんたの同僚になると思うから、よろしくな」

 

 うん? 喧嘩腰って訳じゃないのか? てっきり俺が我慢出来ないとか、許せないとか、そんな風に言ってくるのかと思ったが……こうして見る限りだと、寧ろ友好的な存在にすら思う。

 

「ああ、よろしく頼む。……で、今日は何か用事があったのか?」

「お前に会いに来たんだよ」

 

 そう告げると、緑の髪の女……リョーコは俺の顔をじっと見つめてくる。

 より正確には、俺の目を覗き込む。

 まるで何かを確かめるように。

 

「……っ!?」

 

 俺の目を覗き込んでいたリョーコが、次の瞬間には殆ど反射的に数歩後ろへと下がりヒカルと呼ばれた女にぶつかる。

 

「ちょっ、ちょっとリョーコ。どうしたのよ?」

「あ、ああ。……いや、何でもねぇよ。……アクセルっつったな。お前みたいな男、初めて見た……本当に人間か?」

 

 ……へぇ。

 俺の目を覗き込んで何を見たのかは分からないが、それでも何か異様なものを見たのだろう。

 そう、恐らく俺の混沌精霊としての異形を。

 だが、それを言う訳にもいかず、肩を竦めて答える。

 

「いきなりなんだよ? 見ての通り、俺は歴とした人間だぞ」

 

 嘘だが。

 けど、リョーコにそんな事が分かる筈もない。

 今見たのは恐らく自分の気のせいだったと……そんな風に思うか?

 いや、俺へと向けている視線に宿っているのは恐怖……違うな、これは畏怖か?

 どこか見覚えのある視線は、どことなくホワイトスターのエルフ達のもののようにも感じられなくもない。

 恐らく半ば本能で俺が自分達とは異質な存在であると理解したのだろう。

 厄介だな。……ああ、これはかなり厄介な存在なのは間違いない。

 この手の本能というか、野生が強いというか、そんな感じの相手ってのは理屈がどうこうじゃないからな。

 だが幸い、リョーコのその手の能力は決して突出しているという訳ではなかったらしく、俺から感じた何かも気のせいだったと思ったのか、すぐに普通の態度へと戻る。

 

「そ、そうだよな。……ああ、分かってる。いや悪いな。別にお前がどうこうって訳じゃねえんだよ。ただ、あれだけの力を持ってる奴がどんなのか会ってみたかっただけだ。そしたらあの親父がいきなり妙な事を言ってくるから……」

「ナンパされてリョーコったら殴っちゃったんだよねぇ。可哀相に」

「ナンパをするなら、何パターンも口説き文句が必要……何パターン……ナンパターン。……ウフフフ」

「あー、うるせえ。ったく、何であたしはこんな奴等とチームを組んでるんだろうな」

 

 随分と個性的な面子が揃っているらしい。

 こうして見る限り、何だかんだと言い合いながらも戦闘ではしっかりと自分の役割を果たすだろうというのは容易に想像出来た。

 

「ま、ウリバタケ……お前が殴ったって男をあまり責めないでくれ。ああ見えて腕はいいし、整備の連中も上手く纏めてる。……それに、見て分かると思うけど整備員は男しかいないんだよ。そこにお前みたいな美人がやって来れば、ウリバタケなら口説いてもおかしくないだろ。いや、ウリバタケだけじゃなくて、整備班全員に言えるだろうけど」

 

 そう告げた瞬間、リョーコの顔が急激に赤くなっていく。

 それこそ、見ていて分かる程に急激にだ。

 

「ばっ、ばっ、馬鹿言ってんじゃねぇっ! だ、誰が美人だよ!」

 

 あー……なるほど。エリナと同じくそっち系の経験は殆どないのか。

 いや、外見はともかく性格は男勝りと表現するのが相応しいような相手だ。

 そう考えれば、それ程おかしな事でもないのか?

 

「あははは。リョーコったら照れてるー」

「うっせぇぞヒカル!」

 

 こっちはそんなに男慣れしてない……って訳でもなさそうだけど。

 

「ま、ともあれだ。俺の機体は向こうにあるミロンガ改だからエステバリスと連携するのはちょっと難しいだろうけど、ナデシコには他にも2人エステバリスのパイロットがいるからよろしく頼む」

「ふーん。その2人はどんな奴なんだ?」

「1人は地球での戦闘で怪我をして、現在医務室で入院中だ。……腕自体はそんなに悪くないと思うんだが、全く人の話を聞かないで猪突猛進するような奴だな」

 

 ヤマダに関して告げると、その瞬間にリョーコの顔が顰められる。

 まぁ、普通に考えてヤマダと一緒の戦場に立ちたいと思うような奴はいないよな。

 いっそ囮と考えれば、それなりにいい働きをしてくれそうではある……というのはちょっと酷いか? ただ、実際ヤマダの性格を考えればそれがベストの戦い方になるだろうし、人の話を聞かないから最終的には同じ事になると思うんだよな。

 

「うわっ、マジかよそれ。……で、2人目は?」

「こっちはヤマダに比べれば人の話をきちんと聞くけど、コックと兼業だから純粋な操縦技術がな……」

「ナデシコのパイロットってのは、どうなってんだ一体?」

「そもそも、腕が一流なら性格に問題があっても引っ張ってきたって話だ」

 

 確か以前プロスペクターがそんな事を言っていたと思う。……エリナだったか?

 まぁ、どっちでも言いそうではあるけど。

 テンカワはイレギュラーだが、ヤマダは十分に技量はあるんだろう。……技量は。

 

「あー、なるほど。そういう意味だとリョーコも問題児だよねぇ」

「おいヒカル。お前やイズミと比べれば、あたしは一番マシだろ」

「人、それを目くそ鼻くそを笑うと言う……」

 

 ボソリと呟くイズミだったが、自分で自分を目くそとか鼻くそとか言うのはどうなんだ?

 

「それで結局俺を見に来たって話だったが、見て満足したか?」

「そうだな……出来ればシミュレータか模擬戦辺りをやって、その腕がどれくらいのものなのかを実際に確認してみたいんだけど……」

「さすがにそれは無理だろ。リョーコの気持ちは分かるけどな」

 

 腕利きのパイロットであれば、当然自分達の同僚の技量は気になってもおかしくはない。

 また、ミロンガ改の性能が気になっているというのも事実なのだろう。

 

「ちぇっ。けど同じ艦に所属するんだから、具体的にどのくらいの性能と腕なのかを確認しとかなきゃ不味いってのは事実だろ?」

「そうだよねぇ。私もあのアクセルの機体の実力が見たいなぁ。イズミもそう思うわよね?」

「ふふ……死の臭いの色濃い機体……私をあちらへと連れていくの?」

「うわっ、また始まった……ああ、気にしねーでくれ。こいつ、時々こんな風になるんだよ」

 

 イズミの様子を見ながら、やれやれといった風にリョーコが肩を竦める。

 何だかいつもの事とか言ってるけど、ぶっちゃけイズミが言ってる内容は決して間違っている訳ではない。

 ニーズヘッグ程に戦場を駆け抜けてきた訳ではないが、ミロンガ改もマブラヴ世界では結構大きな戦いに参加している。それもテロリスト共を相手にという意味では、死の臭い色濃い機体と評されてもそれ程おかしくはなかった。

 そんな風に考えていると、不意に格納庫に声が響く。

 

「ちょっと、一体これは何の騒ぎ!? アクセル、アクセルにはミロンガ改に乗ってすぐに移動出来るようにしておいてって言ったわよね? 何で遊んでいるのよ」

 

 その声の持ち主は、ネルガルから俺のサポート役兼お目付役として送られてきているエリナ。

 少し遅れると言ってたけど、確かに俺が格納庫に来てからそれなりに時間は経っているな。

 

「ああ? 何だよ?」

 

 不機嫌そうに言葉を返すリョーコ。

 まぁ、委員長体質のエリナとアウトロー傾向のあるリョーコだと、相性は悪いだろうな。

 ここで迂闊に話を拗らせるような事になったら面倒事に発展するのは間違いないので、取りあえず仲裁でもしておいた方がいいか。

 

「エリナ、こっちの3人のパイロットは、サツキミドリ2号からナデシコに乗る事になったらしい。聞いてないのか?」

「ああ、そう言えばどこかで見覚えのある顔だと思ったら……そう。でも、貴方達がナデシコに乗るのはもう少し先だった筈だと思うけど?」

 

 チラリ、とリョーコ達を一瞥して告げるエリナに、そんな行為をされた3人の方は面白くなさそうな態度になる。

 実際本来であればまだナデシコに来る予定ではなかったところを、俺が……より正確にはミロンガ改が気になって強引にやって来たんだろうから、非はリョーコ達にあるのは間違いないんだろうが。

 

「……別にいいだろ。どのみちこれから火星に行くまで一緒に行動するんだから、少しくらい早くナデシコに来たってよ」

「そうそう、それに連携を取るって意味だと少しでも多く一緒に行動した方がいいしね。そう考えれば、寧ろ来るのは遅かったんじゃないかな?」

「コンビネーション……コンビーフネーション……コンビーフカツ?」

 

 そんな風に言ってくる3人に視線を向けながら、エリナは溜息を吐く。

 

「あのね、別に合流のスケジュールは何の考えもなく決まってる訳じゃないのよ? それと、そっちの人は何を言ってるのか意味が分からないんだけど?」

「あー……イズミについては気にしないでくれ。普段からこんなんだからな。エステバリスに乗ればきちんと仕事をするから」

「……本当でしょうね? 全く、腕はあっても性格に問題ありの面子を集めたって言っても、限度ってものがあるでしょうに」

 

 エリナの口から漏れたその一言が気にくわなかったのだろう。ヒカルがジト目を向けながら不満そうに口を開く。

 

「そう言っても、このナデシコに乗ってるんだから、類友だと思うんですけどぉ」

「……何か言ったかしら? 良く聞こえなかったから、もう1度言って貰える?」

 

 視線を向けられたヒカルは、すぐさまそっと視線を逸らす。……だけではなく、リョーコの後ろへと隠れる。

 

「別に何も言ってませーん。空耳だと思いまーす」

「ヒカル……お前な。そういう事はあたしの後ろに隠れてじゃなくて、前に出て言えよ。ったく。……ま、それはそれとしてだ。あたし達はこれから一緒に火星に向かうんだろ? だってのに、何だってそんなに喧嘩腰なんだよ。あたし達が戦う相手は、木星蜥蜴だろ」

 

 そう告げたリョーコの視線は、エリナを真っ直ぐに射貫く。

 元々委員長体質だからこそか、正論に弱いところもあるのだろう。エリナはそっと視線を逸らして口を開く。

 

「そうね、ちょっと言い過ぎたわ。ごめんなさい。けど、ナデシコの方も色々と忙しいのよ。特にミロンガ改なんていう、色々な意味で規格外の機体が飛び込んできたんだから」

「あー……うん。それは何となく分かる」

 

 エリナの言葉に同意するようなリョーコの言葉。

 もしかしてこれって、地味に俺が責められてないか?

 いやまぁ、確かに突然飛び込んできたんだから文句は言えないが。

 取りあえず、最初は喧嘩腰だったやり取りはいつの間にか収まっており、これは良かったのか悪かったのか。

 

「それで、これから何かするのか?」

「ええ。ミロンガ改のミサイルをサツキミドリ2号で作ってたんだけど、これがきちんと撃てるか……規格に問題がないかを確かめるのよ。一応以前に調査はしてあるから問題はないと思うんだけど、実際に撃ってみないと何がどう失敗に結びつくか分からないから」

「あー……うん。それは否定しねえよ」

「そうなんだよね。エステちゃんも出来たばっかりだから、まだ時々不具合が出てくる事があるし。やっぱり新兵器って試験運用が大事なのよ」

 

 ヒカルもまたリョーコの言葉に同意する。

 そしてイズミはと言えば、どこかあらぬ方へと視線を向けて何かを考えていた。

 なんつーか、こういうのが不思議系って言うのか? それとも電波系? まぁどっちにしろ付き合いにくいというのは事実だ。

 

「分かって貰えて嬉しいわ。そういう訳で、アクセルを連れていくけど……構わないかしら?」

「ああ、問題ねえよ。ただ、出来ればそのミサイルのテストをあたし達にも見せて貰えないか?」

 

 リョーコの言葉に若干迷ったエリナだったが、ナデシコに乗るという事で、特に隠す必要があるとも思わなかったのだろう。やがてその言葉に頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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