転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1266話

 周囲には誰もいない中、俺はただぼけーっと壁に寄り掛かっている。

 艦長、プロスペクター、エリナ、ジュン、ゴートといった面々は連合軍の戦艦へと出向いており、既に一時間程が経過している。

 その一時間、俺はこうしてぼけーっとしているだけだ。

 一応コミュニケを使えばナデシコの外の光景を見る事が出来るのだが、そこでは何か特に騒ぎがあるようには見えない。

 

「暇だな。……そう思わないか?」

「はっ、俺が近づいてるのに気が付いてたのかよ」

「いや、普通に歩いてきたんだから、それに気が付かない筈がないだろ」

 

 驚きの表情を浮かべているウリバタケに、そう言葉を返す。

 一応ウリバタケはこっそりきたつもりなのかもしれないが、それで俺の感覚を欺ける筈もない。

 元々五感が鋭く、第六感すら完備しているのだから。

 

「ちっ、わあーってるよ。ったく。ほら、これを持ってきてやったんだよ。お前が暇だろうって思ってな」

 

 渡されたのは、何らかの雑誌。

 その雑誌を適当に捲ってみると、何やらグラビアアイドルが大量に載っている雑誌だった。

 

「どうしたんだ、これ?」

「お前が暇してると思ってな。俺の秘蔵の品だ。ありがたく受け取れ」

「……何だってこんな差し入れを?」

「賄賂だよ、賄賂」

 

 堂々とそう告げ、ウリバタケは少し離れた場所に立っているミロンガ改へと視線を向ける。

 

「賄賂?」

「ああ。今はお前さんの監視の下じゃないとその機体を弄る事が出来ねぇが、お前さんに賄賂を渡してそれをどうにかしようって魂胆だ」

 

 頭いいだろ? と言って笑みを浮かべるウリバタケ。

 

「いや、賄賂でも何でも、それを俺に言った時点で意味ないだろ」

「そうかぁ? こうしてお前さんは立派に俺の秘蔵の品を受け取ってるんだ。効果がないって事はねえだろ」

「……秘蔵の品、ねぇ」

 

 ウリバタケの言葉に、渡されたグラビア雑誌を適当に捲っていく。

 そこに映し出されているのは、確かに普通であれば美女、美少女と呼ばれてもいい女なのだろう。

 だが幸か不幸か、俺の恋人9人――今はFate世界にいる凛と綾子も合わせれば11人――は全員がちょっとどころではないくらいにお目に掛かれない程の美女、美少女揃いだ。

 そんな恋人達と毎夜の如く肌を重ねてきた俺にしてみれば、このグラビア雑誌を見ても、ふーん、いいんじゃね? くらいの感想しか持てない。

 というか、こうして見るとナデシコにいるメンバーの方が余程魅力的な感じに見える。

 艦長は色々と天然でテンカワ一筋だが間違いなく美人と評していいし、メグミやホウメイ、ホウメイガールズといった面々も美人や可愛いと表現してもいい。

 エリナはキツイ表情のせいで評価が真っ二つに割れそうだが、それでも美人なのは変わらない。

 いや、キツイ女のキャリアウーマンという風に言えば、そっち関係の属性を持った奴にはご褒美って奴だろう。……多分。

 そしてハルカは、正直グラビア雑誌に載っているモデルよりもスタイルはいい。

 その上で外見だけではなく、知性も高いのだから。

 

「どうだ? 中々凄いだろ?」

「あー……うん、そうだな。まぁ、凄いと言えば凄いな」

 

 ウリバタケが自信満々で出してきた手前、あっさりとそれを却下する訳にもいかずに雑誌を捲って読んでいく。

 

「それより、お前はここでこうしてていいのか? エステバリスの方はどうなったんだ?」

「あー、そっちはもう十分間に合ってるし、終わってる。ヤマダの奴がどうにかして自分も出撃しようとしているのを止める方が大変だよ」

「……ヤマダが?」

 

 ウリバタケの言葉に、一旦グラビア雑誌を捲る手を止める。

 そう言えば、通信で俺がこの艦の最高戦力だなんだって話題になった時、かなり激しく反発してたけど……それが理由か?

 いや、まさかそこまで単純な訳が……と思いつつも、ヤマダの性格を考えれば完全に否定しきれないのが辛いところだ。

 ああいう風に暑苦しい奴ってのは、見てて恥ずかしいんだよな。

 少なくても、俺は自分自身がああいう奴と絡みたいとはあまり思わない。

 相性が悪いんだろう。

 

「……そうだな。ヤマダが乗ってるのはエステバリスだし、もし出撃したら同じエステバリスのパイロットでもあるテンカワに任せよう」

「丸投げかよ」

 

 俺の言葉に潜んだ意味を理解したのか、ウリバタケはどこからか取り出した別のグラビア雑誌を眺めながら呟く。

 整備班を纏めてるんだろうに、今の状況でここにいても本当にいいのか?

 いや、1人で暇していた俺としては全く構わないんだが。暇潰しの相手もいるし。

 

「丸投げってのはちょっと人聞きが悪いな。実際、エステバリスでミロンガ改と一緒に行動出来ると思うか?」

「無理だな」

 

 一瞬も躊躇う様子もなく、あっさりと答える。

 へぇ。てっきりエステバリスなら何とか、とか言うのかとばかり思ってたんだが。

 ウリバタケの性格を考えれば、自分の開発した機体には結構な愛情を持っていてもおかしくないと思ったんだけどな。

 もしかして、エステバリスはウリバタケが開発した訳じゃないのか?

 ともあれ、ウリバタケの答えはミロンガ改とエステバリスの性能を正確に表していた。

 そもそも、機体性能そのものが大きく違うのだ。

 エステバリスが何機掛かりで掛かってきても、俺の操縦技能とミロンガ改の性能を考えれば負ける気が全くしない。

 

「だろ? ならエステバリスはエステバリス同士で組んで動いている方が、結局はナデシコの戦力的にはいい筈だ。ま、あの艦長ならその辺しっかりと考えてそうではあるけど」

「そうかぁ? 何かいっつもテンカワの尻を追っかけてるイメージしかないけどな。くそっ、テンカワもテンカワだ。あんな美人の艦長と一緒に歩き回って、これ見よがしにみせつけやがって。許せねえ……」

「おい、矛盾してるぞ。まぁ、それはともかくとしてだ。このナデシコってのは有能な人材を集めてきてクルーにしたんだろ? なら、艦長だけが無能って事はないと思うぞ」

「……まぁ、そりゃあ確かに……」

 

 読んでいたグラビア雑誌を閉じて、改めてウリバタケは俺の方へと視線を向けてくる。

 

「ところで、お前さんの機体はミロンガ改って名前なんだよな? つまり改って事は改造されてるって意味だろ? そうなると、元々ベースになっている機体があるって事になると思うんだが……どんな機体なんだ?」

「お前、思い切り話が変わってるぞ」

「いいじゃねえかよ。未知の機体ってのは技術屋として、どうしても興味があるんだよ。な? な? 教えてくれよ」

 

 元の機体か。……さて、どうしたものか。

 そんな風に迷ったのは一瞬。

 そもそもの話、元々の機体……ミロンガの説明を軽くしたところで、構わないだろうという思いもある。

 勿論ODEシステムとか、その辺の説明は完全にアウトだろうが。

 

「この機体、見るからに華奢だけどベースになった機体もこんな風に防御力を犠牲にして運動性を高めているのか?」

「そうだな、それは否定しない。『当たらなければどうという事はない』ってのを地でいった機体だしな」

 

 俺としてはこのフォルムは嫌いじゃないんだけど。

 どことなく、SEED世界のMSでもあるジンに似ているような印象を受けるが。

 

「へぇ。そういう意味だと、ちょっとエステバリスとも似てるな」

「……似てるか?」

「ああ。敵の攻撃を防ぐんじゃなくて、回避を前提にしているところとかな。まぁ、それでもエステバリスはディストーションフィールドがあるから、そこまで防御力が弱いって訳じゃないけどよ。それでも機体が小型化した影響で、どうしても装甲とかは薄くなっちまうんだよ」

「ま、小型化して装甲が薄くなるのは当然だよな」

 

 ウリバタケの言葉に納得したように頷くと、その瞬間周囲にウリバタケの笑みが響き渡る。

 

「はっはっは。おいおい、それをお前が言うのかよ。そもそもミロンガ改の装甲はそのサイズの機体としちゃちょっと考えられな……」

 

 そんなウリバタケの言葉を遮るかのように、ヴィー、ヴィーという音がナデシコ艦内に響き渡る。

 敵か!?

 

『敵です』

「お、おう」

 

 まるで俺の内心を読み取ったかのようなタイミングで、コミュニケの映像スクリーンが起動する。

 そこに映し出されていたのは、ルリ。

 相変わらず冷静極まりない視線を俺の方へと向けてきている。

 もしかして超能力者じゃないだろうな? ふとそんな思いを抱く。

 この世界に念動力を始めとした超能力の類がないとは限らない。

 いや、寧ろ超能力に限らず、何らかの特殊な能力があると考えた方がいい。

 それがどんな能力なのかは分からないが……いや、今はそんな事を考えている場合じゃなくて。

 

「それで、連合軍はどれだけの戦力を出してきたんだ?」

 

 気をつけろよ! とか言いながら格納庫の方に向かって去って行くウリバタケを尻目に、俺もコミュニケを起動させたままミロンガ改のコックピットへと向かう。

 もっとも、ここであまり急いだ様子を見せないのは、荷物搬入口を破壊して出撃するというのは最後の手段だと念押しされているからこそだろう。

 こっちが何か行動を起こそうと思っても、今の俺ではそれが出来ないのだ。

 いやまぁ、それこそ影のゲート辺りを使えばこの状況からでも外に出られるんだが、その辺は向こうがかなりの戦力を出してきて、こっちが本当に絶体絶命の時くらいでないと、どうしようもない。

 だが……ルリの口から出たのは、完全に予想外の言葉だった。

 

『敵は連合軍じゃありません。木星蜥蜴です。しかもチューリップ』

「は? チューリップ? 何でそんなのが近づいてくるのに気が付かなかったんだ?」

『どうやら海中で休眠状態になっていた近くを連合軍が通り過ぎたことにより再び動き出したらしいです。そして、連合軍の艦を追ってここまでやってきた、と』

「……休眠状態だったのか」

 

 ぶっちゃけ、出来れば休眠状態のままで俺がチューリップを見つけたかった。

 以前にも思ったが、チューリップってのはメギロートやイルメヤといった無人機の運用艦としては最適の存在なのだから。

 つまり、休眠状態にあるチューリップってのは、俺にとっては格好の獲物でしかない。

 ……くそう、連合軍め。余計な真似を。

 

「で、俺はどうすればいいんだ?」

 

 ミロンガのコックピットへと乗降ワイヤーを使って乗り込み、ルリとの通信を続ける。

 正直、現状で俺がどうこうする訳にはいかない。

 それはルリも分かっているのだろう。相変わらず表情を変えないままに、口を開く。

 

『どうしようもありません。連合軍からは自分達でどうにかするから何もするなと通達が来てますし、そもそも艦長はまだ帰ってきてないので、ナデシコは動けませんから』

「だろうな。……ただ、連合軍が木星蜥蜴を相手にどうにか出来るのか?」

『どうでしょう。……あ』

 

 不意にルリの口から出た間の抜けた声。

 微妙に嫌な予感を覚えつつ、口を開く。

 

「どうした?」

『テンカワさんとヤマダさんのエステバリスが2機、マニュアルで発進しました』

「あー……なるほど。やるとは思ってたけど、本当にやったか。しかもヤマダだけじゃなくてテンカワまで」

 

 ヤマダがそんな真似をするのは、俺への対抗心から予想していた。

 ただ、まさかそれにテンカワが付き合うとは全く思っていなかった。

 何だ、もしかしてヤマダが感染したのか?

 だとすれば、感染力が強いヤマダとはやっぱりあまり関わりたくはない。

 いや、それはともかくとして……

 ナデシコの外の様子を映像スクリーンへと映し出す。

 そこでは、何故か2機のエステバリスが海中に突っ込んでは飛び上がって、飛び上がっては海中へと突っ込むといった真似を幾度となくしていた。

 更に、そんなエステバリスを襲っているのは、触手のように見える何か。

 ぶっちゃけ、チューリップって母艦とかじゃなくて生体兵器なんじゃないか?

 実際、母艦としての役割は既に放棄されているのか、チューリップからバッタやジョロといった無人兵器が出てくる様子はない。

 いや、海でジョロを出しても意味はないだろうけど。

 

「……あ」

 

 連合軍から発進した戦闘機とかは、触手の攻撃によりあっさりと叩き落とされる。

 そして自分に向かってくるうざったい戦闘機を倒したチューリップが次に狙ったのは、連合軍の戦艦だった。

 それを察知したのか戦艦は何とか逃げようとしているのだが、チューリップはまるで掃除機のように戦艦を吸引し……最も近くの戦艦を呑み込む。

 呑み込んだのはいいけど、それでどうするんだ?

 このまま戦艦を捕らえたまま逃げ出すのか?

 まぁ、それはありかもしれないが……

 

『皆さん、お待たせしました! ブイ!』

 

 唐突に艦長の姿が映像スクリーンに映し出される。

 いるのは……へぇ。ナデシコのブリッジか。

 今の混乱に紛れて戻ってきていたらしい。

 

「艦長、それで俺はどうすればいい?」

『出撃して下さい。荷物搬入口、開いて下さい!』

『はいはい。全く忙しいわねぇ』

 

 ハルカの言葉と共に荷物搬入口が開き、ミロンガ改が出撃出来る用意がようやく調った。

 

『アクセルさん、目標は敵チューリップの撃破。それと出来ればさっきの戦艦の救助を』

「了解。アクセル・アルマー。ミロンガ改、出るぞ!」

 

 その言葉と共に、ミロンガ改はナデシコから出撃するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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