転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1242話

「ふーん、なるほど。確かにマブラヴ世界は技術が発展してきている以上、私達がいなくても守るだけなら問題ないでしょうね。BETAの間引きも、地上で戦うだけなら、特に苦戦はしないでしょうし」

 

 テーブルの上に乗っているピザを食べながら、レモンが呟く。

 ピザを食べ終えた後の指を舐める仕草がかなり色っぽいんだが、あれって意図的にやってるんじゃなくて自然にやってるんだよな。

 

「うーん……けどその場合、BETAの中でも最大の相手の光線級と重光線級はどうするの? マブラヴ世界の技術だと、結構な被害が出るんじゃない? かと言って、AL弾頭は技術が上がって以前より酷くなくても汚染が心配だし」

 

 円の口から出た言葉に、スレイは軽く肩を竦めて口を開く。

 

「別に完全にマブラヴ世界から手を引くという訳でないのなら、シャドウを1機派遣すればそっちに攻撃が集中するだろう。光線級や重光線級のレーザーではEフィールドすら突破出来ないのは分かりきっている」

「……けど、シャドウを派遣すると、それはそれで問題があるのよね。日本やアメリカ、イギリスみたいに私達に友好的な勢力なら問題ないでしょうけど、ソ連や大東亜連合の某国とかは、下手をすれば私達の目が届かないのをいい事に、シャドウを鹵獲する可能性もあるわよ?」

 

 確かにその辺の危険は大いにあるが……

 

「量産型Wに、相手がその辺の行動を取ったら実力行使するようにして、その時の映像データも残しておくようにすれば問題ないだろ」

「そうですわね。そこまで念を入れれば、向こうが何を言ってきたところで証拠にはなると思いますわ」

「だろ? それに、精霊の卵もマブラヴ世界で活動する。それを考えれば、多分問題ないだろう。……まぁ、マブラヴ世界でもエルフを見た事がない奴ってのは多いから、その辺で微妙に問題が起きるかもしれないが」

 

 俺の言葉に、皆が確かにと頷く。

 エルフ達も、マブラヴ世界の方で何度か顔を出したりはしている。

 だが、それでもエルフを直接その目で見た者となると、恐ろしく数が少ないのも事実だ。

 

「何より、マブラヴ世界の中で最重要だったG元素はある程度手に入れたってのもあるけどな。俺達が強引にでもハイヴを攻略する必要はなくなったってのも大きい」

 

 元々俺達がマブラヴ世界に対してこうも長期間に渡って大々的に干渉してきたのは、G元素という要素が大きい。

 ホワイトスターと時の指輪の完全融合も行われ、ブラックホールエンジンの触媒としても十分な程の量を確保した。更には、火星にある他のハイヴに侵攻してアトリエを見つけ、そこからG元素を奪い取るという手段もある。そんな状況である以上、そこまで無理に俺達がハイヴ攻略をしなくても良くなったというのは事実だ。

 勿論向こうに要請されれば応えるつもりだが、マブラヴ世界の者達も生活物資の輸入とかはともかく、戦力が整ってきたんだからそっちでまで俺達に頼るのは止めようって風潮が出ているしな。

 これは俺達をマブラヴ世界から追い出そうというのではなく、戦力が充実してきているのに自分達の世界の問題をシャドウミラーに頼るのはちょっと情けなくないか? というところから来ているらしい。

 

「なるほど。まぁ、精霊の卵が経験を積むという意味では美味しいかもしれないけど……じゃあ、私達はどうするの? 何か他にやるべき事がある、とか?」

 

 シーフードピザを手に尋ねてくるマリューに、頷きを返す。

 

「久しぶりにリュケイオスで新しい世界に行こうかと思ってな」

「……言っておくけど、まだFate世界の座標は不明なままよ?」

 

 レモンの言葉に頷きを返す。

 元々、宝具を頼りにしてFate世界の座標を見つけるというのがかなりの無茶なのだから、その辺は期待し過ぎないようにしている。

 けど……

 

「だからといって、行動を起こさなければ向こうの世界に繋がる確率はゼロのままだろ。リュケイオスで転移をすれば、ほんの僅かでもFate世界に繋がる可能性はある。それにこう言ってはなんだが、俺は色々な意味で悪運が強い。もしかしたら、一発でFate世界に繋がる可能性は皆無って訳じゃないだろ?」

 

 俺の口から出た言葉に、9人の恋人全員が納得の表情を浮かべる。

 ……俺も自分で言ってて納得してしまうんだが、転移した先で色んなトラブルに巻き込まれている俺の運の悪さというか、悪運というか、そういう巻き込まれ体質みたいなのを考えると、本気でFate世界に繋がりそうなんだよな。

 

「確かにアクセルの能力を考えると、その辺の心配はしなくてもいいだろう。何があっても無事に帰ってくる事だけは確定しているのだから」

 

 スレイの口から出た言葉も、俺を信頼しているからこその言葉だろう。……多分。

 そもそも、俺の巻き込まれ体質ってのは色々な意味で特別だ。

 いや、これは俺の運がどうこうじゃなくて、俺の転移する世界が基本的にゲームやアニメ、漫画の世界だってのが大きい。

 そういうのの、原作を前後する場所に俺が転移しているという形な訳で……

 これも俺の能力の一端と考えれば、それはそれで特殊なんだよな。

 

「じゃあ、近いうちに新しい世界に転移するってことでいいのよね?」

 

 ピザを食べて汚れた指をハンカチで拭きながら尋ねてくる美砂に、頷きを返す。

 

「ただ、一応ここまで関わった以上、マブラヴ世界の戦力だけでハイヴを攻略出来るかどうかを確認してからの転移にしたい」

「……あら、過保護ね。具体的にはどこのハイヴにするの? 地球に残っているハイヴは、もう殆どフェイズ4や5よ? 火星のハイヴに比べるとフェイズは低いけど、地球だけと限定ですればそれなりに難易度は高いわ」

「レモンの言う事も分かるけど、マブラヴ世界の戦力と精霊の卵だけで攻略するってのに、フェイズの低いハイヴを攻略するってのは意味ないだろ。きちんとフェイズの高いハイヴを攻略しないとな……って訳で、マブラヴ世界に攻略して貰うハイヴはソ連のミンスクハイヴ。フェイズ5のハイヴだ」

 

 正直、攻略するハイヴがあるのがソ連だというのは、ちょっと思うところがない訳でもないんだが……幾らなんでも、マブラヴ世界の戦力が揃ってる中で馬鹿な真似はしないだろう。

 もしそんな真似をすれば、間違いなくマブラヴ世界からフルボッコにされるのは間違いない。

 それと、精霊の卵や数は少ないだろうがメギロート、イルメヤ、シャドウといった存在に手を出したりしようものなら、ソ連との貿易は中止する事になるとでも脅しておけばいいだろうし。

 

「……なるほど、ミンスクハイヴは人類史上最初に突入したハイヴとしても知られていたな。だとすれば、妙に意味深だが……」

 

 チラリと俺の方に視線を向けてくるスレイに、頷きを返す。

 

「ああ。シャドウミラーの主戦力を抜きで、基本的にはマブラヴ世界の住人だけで攻略する、初めてのハイヴだ。だとすれば、ミンスクハイヴの攻略ってのがベストだろ。まぁ、精霊の卵も参加させる予定だけど」

 

 その言葉に、苦笑を浮かべたり、笑みを浮かべたり、溜息を吐いたりと色々な表情を浮かべる者はいたが、それに反対する者はいない。

 それに、中国側とアフリカ側からは結構オリジナルハイヴへと向けての足掛かりが多いが、ヨーロッパの方はまだまだオリジナルハイヴへと続く道は出来ていない。

 まぁ、その理由がヨーロッパに多くのハイヴが作られているからというのもあるんだが。

 このミンスクハイヴを攻略すれば、次はヴェリスクハイヴ、ウラリスクハイヴと繋がっていき、オリジナルハイヴの真上にあるエキバストゥズハイヴへと手を掛ける余裕が出てくる。

 こうしてハイヴについての話が一段落したところで皆もピザを食べ終わり、食事の方も一段落する。

 そうして、紅茶を飲んでいるところで、改めて俺はこの日の重要な話のうちの1つをレモンへと告げる。

 

「なぁ、レモン。ホワイトスターの兵器生産プラントってどうなっている?」

「兵器生産プラント? 一応進めてはいるけど、まだメギロートとイルメヤ以外は作れないわよ? それがどうしたの?」

「いや、そのメギロートやイルメヤを運用する為の艦を作って欲しいんだよ」

「……ちょっと待って」

 

 俺の言葉に、数秒程何かを思い出すように目を瞑るレモンだったが、次の瞬間には微妙な表情を浮かべて口を開く。

 

「もしかして、アクセルが言ってるのってフーレ?」

「ああ」

「フーレ? アクセルの話を聞く限りだと、戦艦の類のようだけど……」

 

 マリューの言葉に頷き、それ以外にもフーレの事を知らない者が多いようなので説明する。

 

「フーレってのは、このホワイトスターを作ったエアロゲイターが使用した戦艦だ。正確には戦艦じゃなくて、空母の類だな。エアロゲイターの運用した母艦である以上、当然メギロートやイルメヤを運用する為の設備も整っている」

「……そうね。アクセルの言ってる事に間違いはないわ。ただ、地球圏で運用するには大きすぎるのよ。何しろ、全長5kmを超えるんだから」

 

 俺の言葉に興味を持った視線を向けたマリューやコーネリア、スレイといった面々だったが、レモンの言葉に衝撃を受ける。

 当然だろうな。俺達の旗艦でもあるシロガネですら全長550m程度。つまり、シロガネの約10倍の大きさだ。

 しかもメギロートやイルメヤの類を使うとなれば、フーレの数は1隻や2隻では足りなくなる可能性もある。

 その辺を考えると、寧ろ精霊の卵が運用しているようにSEED世界のオーブへとアークエンジェル級を注文しているような感じで、艦を外部委託した方がいいと思ってもしょうがない。

 ただ……

 

「確かに元のままだとシロガネの10倍近い大きさでフーレは色々と使い物にならないかもしれない。けど、そのフーレを何とか縮める事が出来ないか? それこそシロガネと同等程度の大きさまで」

「無理ね」

 

 一縷の望みを懸けて俺の口から出た言葉は、レモンによってあっさりと却下される。

 

「確か以前メギロートやイルメヤの改造について話したことがあったと思うけど、既にある生産プラントに手を入れるのはかなり難しいわ。それこそ、下手をすれば生産プラント全体にトラブルが発生する程に。フーレを作るのは……生産プラントの復旧さえどうにかなれば、資材の類に関しては火星の息吹作戦で入手したBETAの死骸があるし、他からも色々とキブツに投入する物を得ているから問題ないと思うけど……」

「駄目か……まぁ、これに関しては駄目元で尋ねたんだからしょうがないか。けど、今の俺達が敵に攻め込む時は、基本的にシロガネとニヴルヘイムだ。それぞれの格納庫に入りきれない機体は、外に出した状態で転移をする。その辺を考えると、今後何か不味い事態が起きる可能性はかなり大きいんだよな。だとすれば、どうしても戦艦……とまでは言わないけど、空母のような艦の開発は行いたい」

 

 俺とレモンの話を聞いていた円が、ふと何かに気が付いたかのように口を開く。

 

「それこそ、精霊の卵のようにアークエンジェル級だっけ? それをオーブに注文するってのは駄目なの?」

「まぁ、それも駄目じゃないんだけどな。ただ、自軍で使う兵器の開発や製造を他国に頼むってのはちょっと不味いだろ」

「ライセンス生産とかは?」

「好き勝手に改造したり出来ないのはな……」

 

 地上でも宇宙でも利用出来て、更には水中の移動も可能なアークエンジェル級。シロガネもだが、数を作るにはコストが高過ぎるというのもある。

 勿論キブツがある以上、コストの問題はどうにでもなるんだが……

 さて、どうしたものか。

 だが、そんな俺の言葉に対し、マリューは口を開く。

 

「なら、いっそメギロートやイルメヤ、シャドウの運用艦を1から開発したらいいんじゃないの?」

「……けど、そんな余裕が今の技術班にあるのか?」

 

 今の技術班は、火星で得たBETAの研究、俺がFate世界で入手してきた宝具の研究、G元素の新たな使い方、Fate世界の座標の探索、星刻から頼まれた新型KMFの設計、そしてシャドウミラーで運用している機体に使える追加武装の件といった具合に、色々と研究して貰っている。

 その他にも自分達で自由に行っている研究もあり、結構一杯一杯に近い状態の筈だ。

 だが、そんな俺の言葉にマリューは……そしてレモンは、挑発的な笑みを浮かべて視線をこちらに向けてくる。

 

「任せておいて頂戴。他の世界に対して艦を注文するより、多少無理をしてでも私達で新しい艦を開発した方がいいわよ。そうすれば技術的な蓄積もあるでしょうし」

 

 レモンの自信に満ちた言葉。

 どうやら結構な自信があるらしい。

 もしかしたら、俺はレモンを含む技術班を少し見くびっていたらしい。

 

「分かった、じゃあ新しい艦の開発を進めて貰えるか?」

「ええ、任せておいて。基本的にはさっき言ってたように、メギロート、イルメヤ、シャドウを運用する為の艦で、大気圏内外で運用出来て、可能なら水中での運用も……って感じでいいのよね?」

「そうして欲しい。基本的に母艦としての運用だから、武装に関してはそこまで気にする必要はない。それにASRS辺りを搭載すれば、攻撃される危険も減るだろうし」

「コストの方は?」

「そうだな、そこまで高くなり過ぎなければある程度は許容範囲内だ。それと、運用するのは出来るだけ少人数で可能なように頼む」

「……なるほど」

 

 こうして新型艦についての話はあっという間に進むのだった。

 ……完成するのはそれなりに時間が掛かるだろうが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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