転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1171話

「ここが……円蔵山、ですか。なるほど、確かに強力な結界が張られていますね」

 

 円蔵山の麓でセイバーが呟く。

 現在この場にいるのは、俺、凛、セイバー、衛宮、イリヤの5人のみ。

 今回はあくまでも大聖杯に異常があるのかどうかを確認する為に来たので、このような人数での行動となっていた。

 サーヴァントって意味ではライダーもいたんだけど、ライダーは念の為に衛宮の家に護衛としている。

 まぁ、異常というかアンリマユの汚染なんだけどな。

 それを知っているのは、今のところは俺だけだ。

 5人で円蔵山を見上げ、階段を上っていく。

 サーヴァント除けの効果を持つ結界は相変わらずその効果を発揮している。

 それ故に、階段を上っていくしかなく……

 やがて、山門の近くへと到着する。

 以前はここをアサシンが守っていたが、今では当然その姿はない。

 アサシン自体は俺に倒され、しかも死ぬ寸前にでも臓硯によって真アサシンを呼ぶ贄とされたのだ。

 ……正直、佐々木小次郎はキャスター共々仲間にしたかったんだけどな。

 

「それで、イリヤ。その大聖杯がある空洞って、どうやって行けばいいんだ?」

「えっと、確かこの敷地内のどこかに道があるって聞いてるけど……」

「……この中を探すのか?」

 

 イリヤの言葉に、呆然としながらここから見える寺の方へと視線を向ける衛宮。

 うん、その気持ちは分かる。

 普通に考えれば、この人数で大聖杯のある空洞へと続く道を見つけるのは大変だしな。

 けど……

 

「俺が探そう」

 

 そう告げ、1歩前に出る。

 確かに普通に探すのは色々と難しいが、俺にはそれをどうにかする手段があった。

 

「スライム」

 

 呟くと、俺の横の空間に穴が空いてスライムの触手が伸びてくる。

 

「なっ!?」

 

 そのスライムを見た瞬間、セイバーが素早く俺から距離を取る。

 同時に身体を魔力で出来た鎧で包み込み、見えない剣……エクスカリバーを俺の方へと向けてきた。

 

「アークエネミーッ! 貴方は一体何のつもりですか! シロウ、私の後ろに!」

 

 衛宮と共にイリヤを背後に庇いながら叫ぶセイバー。

 ……ああ、そう言えばセイバーはスライムを知ってたんだったか。

 バーサーカーと戦っている時に使ったし。

 そういう意味では、イリヤの方がスライムを見て怖がってもおかしくはないんだが。

 

「落ち着け。別にお前を攻撃するつもりで出したんじゃない」

 

 考えてみれば、セイバーはスライムを攻撃用の宝具としか認識してないんだから、この反応はある意味当然なのか。

 うん? けどZEROでケイネスと戦って……いや、あの時はランサーやらキャスターやらと戦っていて、ケイネスがスライム……月霊髄液を使ったところは見てないんだったな。

 というか、桜を助ける方法があるって時にも……いや、あの時は結局臓硯を殺すという目的だったから、余計に警戒心を煽って当然なんだろう。

 

「では、何の為にバーサーカーをも殺す事が出来た宝具を出したのですか?」

 

 一応俺の言葉を聞く程度の冷静さは残っているらしい。

 信頼関係を高めてきたおかげ……とは言わないが。

 そもそも、俺とセイバーの間に信頼関係なんて殆ど存在してないし。

 

「このスライムは、攻撃以外に探査能力にも優れている。こんな風に……な」

 

 そう呟くのと同時に、スライムの触手は見る間に細くなってその本数を増していく。

 触手の細さは、0.001mm程度。

 普通であれば、人間の目で捉えるのは不可能な程の細さだ。

 ……まぁ、サーヴァントなら話は別だが。

 そうして細くなった無数の触手は、そのまま境内の中へと広がっていく。

 幸いだったのは、俺達がいたのが境内に入ってすぐの場所だった事だろう。

 おかげで寺に住んでいる者達に見つかることなく、スライムは探索の手を伸ばしていく。

 やがて色々と話し声が聞こえてくるが、今回探すのは大聖杯がある空洞なので話し声の類は無視していく。

 そこまでやって、俺が何をしているのかを理解したらしいセイバーがこちらに向けていたエクスカリバーを下ろす。

 それでもまだ武装をしたままなのは、やはり完全にこっちを信用している訳ではない証拠だろう。

 そのまま約10分……やがて、境内中へと広がっていた触手の1本が目的のものと思われる場所を発見する。

 原作でも、大聖杯がある場所ってどこにあるかの明確な描写はなかったんだよな。

 この山の中にあるってだけで。

 ただ……ヒントはある。

 金ぴかがワカメを聖杯の器として使っていた時の現場である大きな池。

 恐らくはあそこの付近ではないかと。

 そう思ってスライムの触手を操作していたら、それがビンゴだった訳だ。

 

「見つけたぞ。大聖杯がある空洞かどうかは分からないが、それでもこの山の中に広がっている空洞だ」

「本当!?」

 

 嬉しげに尋ねてきたのは凛。

 まぁ、聖杯を得るというのが凛がこの聖杯戦争に参加した理由だったからな。

 ……聖杯で叶える願いがあるのではなく、聖杯を得る事が目的だってのが凛らしいと言えばらしいのだが。

 

「ああ。……案内する」

 

 凛に頷き、スライムを消してからそのまま境内の中へと入っていく。

 現在は寺の中で何かやっているらしく、外に人の姿はない。

 いやまぁ、2月の寒い時期に好んで外で何かをするなんて事は普通ないんだろうけど。

 それとも修行だからそれもあるのか?

 そんな風に思いながら歩いていたのがフラグだったのだろう。

 

「衛宮、どうしたのだ? それに、アークに……遠坂!? この雌狐めが! 何をしにここに現れた、喝!」

 

 何らかの用事があったのだろう。寺の中から姿を現した柳洞が、俺達を見るや否やそんな風に声を掛けてくる。

 衛宮を見て嬉しそうな笑みを浮かべ、次に俺を見て驚き、最後に凛を見て嫌そうな表情を浮かべる。

 ……セイバーとイリヤは取りあえず目に入ってはいないらしい。

 まぁ、全く初対面の人物なんだからしょうがないのかもしれないが。

 にしても……

 

『どうするんだ? これから大聖杯のある場所に行くって話だったのに、いきなり柳洞が現れるなんて……まさかこのまま一緒に連れて行く訳にはいかないだろ?』

『そう、ね。でも考えようによってはラッキーだったかもしれないわよ。大聖杯のある空洞を知っているかもしれないもの』

 

 念話で尋ねる俺に凛がそう答えてくるが、それは色々と難しい。

 場所を聞くって事は、俺達がそこに用事があるって理解出来るだろう。そうなれば、何でそんな場所に俺達が興味を抱いているのかって思いを抱くだろうし、下手をすれば一緒に来るとか言いかねない。

 

『けど、ここで迂闊に時間を消費すれば他の人もやって来るしかもしれないわよ?』

 

 凛の言葉ももっともではある。

 特に柳洞の兄とタイガーは友人だった筈だから、そっちの面でも色々と手を回されたりする可能性も……

 そんな風に思っていた時だ。衛宮が1歩前に出て口を開く。

 

「一成、丁度いいところに来た。実は、この2人が柳洞寺についてちょっと興味があるって事だったから連れて来たんだ」

 

 そう言い、セイバーとイリヤを示す衛宮。

 ……なるほど。セイバーにしろイリヤにしろ、見るからに外国人という扱いを考えれば、この言い訳は結構効果がある。

 ホワイトスターに住んでて、人種どころか文字通りの意味で住んでいる世界すら違う俺にしてみれば盲点だった。

 

「む? そちらのご婦人達がか? ……ふむ、なる程な。そういう事なら良かろう。だが……アークはともかく、この雌狐まで一緒にいるのは何故だ!?」

「あら、柳洞君。随分な言葉ね。私が一緒にいるのがおかしい?」

「おかしいに決まっておろう! 言え、何を企んでおる! アークだけではなく、衛宮まで危ない道に引きずり込むつもりか!」

「危ない道というのはちょっと聞き捨てならないわね。何を思って危ない道としたのか、説明して貰える?」

「戯けめが! お主のような女怪に誑かされる事に決まっておろうが! 言っておくが、衛宮をそのような道に引きずり込むことは、俺が断じて許さんぞ!」

 

 喝! と再び告げてくる柳洞。

 いやまぁ、凛の色香に惑わされたってのは間違いのない事実なんだから、俺に何を言う事が出来る筈もないんだけどな。

 

「あー……一成、悪いけどそのくらいで。遠坂の件はともかく、こっちの2人に柳洞寺を見せたいんだけど、構わないか? ああ、勿論寺の中に入ったりはしないから安心してくれ。それに、爺さんの墓参りもさせたいし」

 

 そう告げる衛宮だが、実はその言葉ってかなり正論を得ているんだよな。

 イリヤは言うまでもなく切嗣の実の娘だし、セイバーは切嗣のサーヴァントとして前回の聖杯戦争を勝ち抜いている。

 その辺を理解したって訳でもないんだろうが、雰囲気を感じ取ったのだろう。柳洞は小さく咳払いをしてから口を開く。

 

「済まぬ。女怪をこの目で見たのでついな。……うちの寺はそれ程見るべき場所も多くはないと思うが、それでもよければ見ていくといい。出来れば案内をしたかったのだが、頼まれ事をしていてな。出掛けねばならんのだ。……よければ、誰かに案内させるが?」

「いや、大丈夫。ここには墓参りとかでも何回か来てるから、その辺は大体分かるよ」

「そうか? うむ、では済まぬがこの辺で失礼させて貰おう。ゆるりとしていって欲しい。ただ、寒いから身体には気をつけてな」

 

 柳洞は確かに急いでいたのだろう。それだけを告げると名残惜しげにだが俺達の前を去って行く。

 ……もっとも、名残惜しげにってのは、俺達に対してじゃなくて衛宮に対するものだろうし、何よりも凛が衛宮に悪影響を与えないかってのが心配なんだろうが。

 

「まったく、誰が女怪よ。いつかきっちり話を付けないといけないわね」

 

 凛が不愉快そうに呟くのを、衛宮が困った笑みを浮かべて眺めていた。

 

「そう? 凛が女怪というのはあながち間違っていないと思うけど?」

「……へぇ。随分と面白い事を言ってくれるわね。寧ろそういう意味ではイリヤスフィールの方が相応しいんじゃなくて?」

「いやーん。士郎、凛が私に言い掛かりを付けてくるー!」

 

 衛宮を盾にするように後ろに回り込むイリヤ。

 いやまぁ、うん。姉弟同士仲がいい事で。

 凛が衛宮をジトリとした視線で睨み付けており、衛宮は焦って何かを言おうとしている。

 そんな様子を眺めていると、今まで黙っていたセイバーが口を開く。

 

「遊んでないで、大聖杯とやらのある場所に行きましょう」

 

 その言葉は、極めて真面目なものだった。

 まぁ、セイバーは本気で聖杯を欲しているからな。その賞品がおかしくなっているかもしれないとなれば、それはふざけてはいられないだろう。

 

「アークエネミー、お願いします」

「分かった。……行くぞ」

 

 セイバーの求めに応じ、凛の手を握って引っ張って行く。

 

「ちょっ、ああ、もう。分かったわよ。だから、手!」

 

 俺に手を握られているのが恥ずかしかったのか、頬を薄らと赤く染める凛。

 ……今更手を握ったくらいで照れる事もないだろうに。

 凛の抗議に耳を貸さず、その手を握りながら境内の奥の方へと向かっていく。

 これ以上言っても俺が手を離さないと理解したのだろう。凛もそれ以上は何も言わずに俺の後へと付いてくる。

 セイバーや衛宮、イリヤの3人もまた同様に、俺の後ろへと付いてきた。

 そのまま進み続け、やがて巨大な池へと到着する。

 原作でワカメ……いや、間桐……それだと桜と被るか。慎二が聖杯を埋め込まれて放り込まれていた場所だ。

 もっとも、この世界では記憶を失っていた時の俺が慎二の頭を握り潰して殺したが。

 記憶を失っていても結局死んだのを考えると、俺と慎二の相性ってつくづく悪かったんだな。

 そんな風に思っていると、不意に手を引かれる。

 

「ちょっと、アークエネミー。どうしたの? この池に何かあるの?」

「いや、何でもない。寒々しい景色だと思ってな」

「そりゃそうでしょ。今は2月なんだから。あと2ヶ月もすれば、春の景色を見られるんでしょうけど」

 

 そうなんだよな。この世界だと、この池って全く何の意味もない、普通の池でしかない。

 そんな風に考え、先程のスライムが感じた場所へと向かって進んでいく。

 

「ねぇ、そろそろ手、離してもいいんじゃない?」

「嫌か?」

「べ、別に嫌って訳じゃないけど……」

「ならいいだろ。俺が凛と手を繋いでいたいんだから」

「なっ、ななななっ! あ、あんたねぇ! ストレートに何を言ってるのよ!」

 

 先程よりも顔を真っ赤に染めつつ、それでも凛は俺の手を離さないでついてくる。

 

「……熱いわね」

「そうか? 寒いくらいだと思うけど」

 

 イリヤと衛宮のそんな言葉を聞きつつ、池の近くから脇道へと入っていく。

 そのまま獣道……とまではいかないが、かなり歩きにくい道を進んでいくと、やがて大きな洞穴が見えてきた。

 聖杯戦争の根幹でもある、大聖杯の存在する空洞……龍洞だ。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1187

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