転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1142話

「うん……」

 

 そんな声が聞こえて、ふと目が覚める。

 ここは……俺の部屋じゃない?

 首を傾げつつ、俺の隣に裸で寝ている2人。凛と綾子を見て昨夜の出来事を思い出す。

 アサシンとキャスターの両方を倒したらお礼を貰えるという事で、結局そのお礼に3人で熱い夜を過ごしたんだよな。

 正直、複数人でこういう行為をするっていうのは、聖杯から得た知識だと一般の常識的には少し異常というか、普通はしない行為らしいんだが……その割りには、身体が覚えているというか、あまりにもスムーズに凛と綾子の相手を同時に出来ている。

 もしかして、俺が生きていた時代はこういう行為は普通だったのか? 

 いや、でも凛曰く俺は間違いなく近代の英雄だって話しだしな。

 凛と綾子の髪を撫でながら、考える。

 聖杯から得た知識は、あくまでもこの冬木で聖杯戦争をやる上で必要な一般常識だ。

 つまり、この知識は日本の常識でしかない。

 で、俺は見るからに日本人じゃなくて、外国人の……それも西洋系の顔だ。

 だとすれば、俺が暮らしていた場所ではこういう複数人での行為もおかしくはない、ような場所で暮らしていたのか?

 つまり、ハーレムとかがある場所? パッと思いつくのは中東とかそっち関係だけど、それだと俺が西洋人な理由は思いつかない。

 ……結局は不明か。

 髪を撫でられているのが気持ちよかったのか、綾子が俺に甘えるように抱きついてくる。

 一瞬起きたのか? と思ったけど、こうして見るとまだ熟睡中だ。

 部屋の中はそろそろ明るくなってきたし、起こした方がいいのか?

 左右に凛と綾子がいて大きく身体が動かせない以上、ちょっと時計で時間を確認出来ない。

 しょうがない。こんな事で宝具を使うのはちょっと勿体ない気もするけど……いや、魔力生成のスキルがあるんだから、そんなに勿体ない訳じゃないのか。

 ともあれ、スライムを使ってベッドの側にある目覚まし時計を目の前に持ってくる。

 午前6:37分。

 いつもであればもうとっくに起きている時間だが、凛と綾子が目覚める様子は全くない。

 うん、昨日の真夜中……というか、早朝に近い時間まで頑張ってたからな。最後はもう許してとか言われてしまったし。

 その証拠に、凛の部屋にはいわゆるその手の臭いが、行為が終了してから随分と経つのに未だ残っている。

 幸い学校は休校中だから、学校に行く必要もないのは助かった。

 けど、今日はバーサーカーを倒しにアインツベルンの屋敷に行くって話だったから……何時くらいに起こせばいいんだ?

 普通聖杯戦争の戦いは夜に行われる事になっているが、それはあくまでも人目につかないようにという理由でだ。

 つまり、郊外の森にある筈のアインツベルンの城で戦うとなると、人目は全く気にしなくてもいいので、何なら昼に戦いを挑みに行ってもいい。

 そうだな。そろそろ起こすか。

 

「凛、綾子、起きろ」

 

 俺に抱きつき、その豊満な胸を俺の胸板で押し潰している綾子と、俺の隣でまるで死んだようにぐっすりと眠っている凛。 

 その2人を起こすべく何度か揺するのだが、とてもではないが起きる様子がない。

 ……やっぱり昨夜はちょっと激しすぎたか? 一応それなりに加減はしたんだけど。

 そんな風に思いながら、2人を起こし続ける事、5分程。

 最初に目を覚ましたのは、俺に抱きついている綾子だった。

 

「う、ん……もう少し眠らせて……」

「いいから、起きろ。今日も忙しくなるんだから、いつまでも寝かせておく訳には……」

「……アーク? ああ、アークだぁ……お前、浮気とかするなよ。あ、でも花は綺麗だったよな」

 

 寝ぼけているのか、いつもより随分と柔らかい様子で話し掛けてくる綾子。

 ……けど、花? 一体どんな夢を見ていたんだ?

 その様子に首を傾げていると、やがて綾子が徐々に目を覚ましてきたのだろう。

 裸で俺に抱きつき、これ以上ないくらいに密着しているのに気が付くと、すぐに小さな悲鳴を上げて俺から離れ、布団でその一糸纏わぬ身体を隠す。

 

「あ、お、おはようアーク」

 

 顔を上げてそう挨拶をしてくる綾子は、小さな悲鳴は上げたものの、最初の夜程には恥ずかしがってはいない。

 もう3日目という事もあったし、何より夜の経験が強すぎて以前より羞恥心は収まってきてるんだろう。

 

「うーん……何よ……」

 

 そんな俺達のやり取りで目を覚ました凛が、気怠そうに目を開ける。

 そのまま俺の方を見て、そっと手を伸ばし、頬を撫でてきた。

 そのまま数秒。やがて我に返ったのか、こちらもまた頬を赤くしながら布団の中へと潜り込んでいく。

 

「そろそろ起きた方がいいじゃないのか?」

『あのねぇっ! すぐに起きる事が出来ないからこうしてるんでしょうが。全く、お礼云々はともかく、あんなに私と綾子の身体を貪るように……正直、壊れるかと思ったわよ!』

『……確かに。あのままもう1時間も続けていれば、壊れていたかもしれないな。特に腰の辺りが……』

 

 2人共が、言葉ではなく念話でそう告げてくる。

 ……うん、やっぱりちょっと激しくし過ぎたか。一応加減はしたつもりだったんだが、この辺がまだいまいち掴めてないってところか。

 

「悪いな、お前達2人がいい女過ぎて、つい」

「……馬鹿」

 

 顔をひょっこりと布団から出した凛が、頬を真っ赤に染めながら告げるのだった。

 

 

 

 

 

 凛にしては珍しく、寝起きだというのにゾンビ状態ではなかったのは、それ程昨夜の衝撃が強かったらしい。

 ともあれ、あのままでは3人共がとてもじゃないけど人前に出る事は出来ないので、全員が――残念ながら俺は別だったが――風呂に入ってようやく居間で食事となる。

 

「今日はいつもに比べると、随分なんというか、こう……質素だな」

 

 テーブルの上にある朝食に、思わず呟く。

 それも当然だろう。テーブルの上にあったのは、トーストされた食パンと目玉焼きと紅茶だけだったのだから。

 だが、俺の言葉に凛はジト目でこちらを見てくる。

 まだその頬が薄らと赤く染まっているのは、風呂上がりだという以外にもやっぱり昨夜の件があるからか。

 

「あのね、あそこまで体力を消耗させておいて何を言ってるのよ。殆ど眠ってないんだから、これを食べたらもう一眠りさせて貰うわよ」

「……バーサーカーは後回しか?」

「当然でしょ。今のこの状況でイリヤスフィールに戦いを挑みに行ったら、アークエネミーはともかく、私は何も出来ないままで殺される事になるんだから。……いやよ? 死因は前日の夜にアークエネミーに抱かれたせいで、体力を回復出来ていなかったからなんて事になるの」

「……確かに魔術師の死因がそんなのだと知られたら……いや、魔術師じゃなくて、女としても絶対に嫌だな。少なくてもあたしはそんな真似はしたくない」

 

 しみじみと頷く綾子。

 こちらも昨夜の件で相当に体力を消耗して回復しきっていないのか、言葉にいつものキレがない。

 顔にも若干の疲れが残っている。

 凛の言葉通り、今の状態で戦いを挑んでもとてもじゃないけどベストコンディションとは言えないだろう。

 その元凶である俺が言うのもなんだけど。

 

「とにかく、話は分かった。じゃあ、どうするんだ? 今日はバーサーカーの場所に攻め込むのを止めるのか?」

「いえ、それはそれで面白くないわ。時間を無駄に使うのも面白くないし。私は食事が終わったら体力を回復させる為に一眠りして、午後からって事になると思う」

「綾子の方は?」

「うん? あたしか? あたしも食事が終わったら一眠りさせて貰うよ。ただ、あたしはサーヴァントの戦いに付いていくつもりはないから」

 

 だろうな。そもそも、今の綾子は所詮戦いの素人でしかない。

 アサシンが持っていた長刀は一応持ち帰っているが、使うような事にならないのが一番いい。

 佐々木小次郎が持っていた長刀。つまり、物干し竿。

 これって、別に宝具でも何でもないみたいだけど、出る所に出れば相当なお宝なんじゃないだろうか。

 まぁ、これを佐々木小次郎が持っていたって証拠を出すのは難しいだろうけど。

 

「分かった。じゃあ、朝食が終わった後で凛と綾子は寝るんだな? 俺は1人で時間を潰してるよ」

「ええ、お願い。……それにしても、私達は文字通り腰砕けにされたのに、アークエネミーの方は全く問題ないのかしら。ちょっとズルいわね」

 

 凛の恨めしそうな顔がこっちに向けられる。

 綾子も凛の言葉に同意するように頷いていた。

 

「そう言われてもな。特にこれといって何がある訳でもなし……」

 

 この辺は、多分前世の影響だろう。

 そんな風に話をしながらも食事を済ませる。

 本当に簡単なものだったから、食うのはあっという間に終わったな。

 凛と綾子が部屋に戻っていくのを見ながら……うん? 凛がこっちを見てる。

 

「アークエネミー、悪いけどあんたの部屋を借りるわよ」

「は? いや、別に構わないけど。何でまた?」

 

 凛の言葉に何気なくそう尋ねると、返ってきたのは頬を真っ赤に染めた凛の顔だった。

 

「今の私の部屋がどんな状況か分かってて言ってる!? シーツとかも全部洗わないといけないし、部屋の中に匂いが思い切り籠もってるの! この季節だから、窓を全開にして寝る訳にもいかないし」

「あー……うん。なるほど」

 

 まぁ、一晩色々な意味で頑張った夜だったからな。

 俺だけじゃなく、凛と綾子の2人も色々とあった結果、確かにベッドはきちんと処置をしないと使い物にならなくなっているのは間違いない。

 臭いに関しては言わずもがなだろう。

 チラリ、と視線を居間から出ずにこちらの様子を窺っている綾子の方へと向けると、そこでは昨夜の自分の痴態を思い出しているんだろう。顔を真っ赤に染めていた。

 凛は俺をジト目で一瞥すると、そのまま自分が寝ている間は部屋に入ってこないようにと、厳しく命令した上で綾子と共に居間から出ていく。

 それこそ、ここで下手な真似をすれば令呪辺りを使われてしまいそうだったので、特に何も言わずに見送る。

 そうして、部屋の中から凛と綾子の2人がいなくなってしまえば、急に部屋の中が静まり返った。

 ……特にやるべき事がある訳でもないし、TVでも見るか。

 リモコンを操作し、TVのチャンネルを適当に変えていく。

 朝のニュースとかを見ていると、ローカルニュースでは冬木のガス漏れ事故や、学校の件をやっている場所もある。

 ただ、枠としてはかなり小さい。

 本来ならもっと大々的にニュースで取り上げてもいいような気がするんだけど……

 もしかして、これが教会の力なのか?

 聖杯戦争に関係しているだけにありそうだ。

 そんな風に思いながら、チャンネルを変えていく。

 全国ニュースで政治家の不祥事をあげつらって野党が言い掛かりとしか思えないような事を言っている光景や、近所で評判の店の特集、芸能人の不倫、等々。

 殆ど興味のない番組だけしかやっていない。

 唯一、近所で評判の店というので出ていたビーフシチューはかなり美味そうだったが。

 ただ、凛が得意なのは中華料理だから、ビーフシチューを作って欲しいと言っても無理なんだよな。

 いや、普通に作れるとは思うけど、中華料理程に際立った料理は出てこないと思う。

 そんな風にチャンネルを変えつつTVを見ていると、不意に電話が鳴っているのに気が付く。

 えっと……俺が出てもいいのか?

 凛を起こしに行ってもいいんだけど……いや、無理か。まず間違いなく寝ている以上、下手をすれば令呪が使われる可能性すらある。

 だとすれば……

 

「はい、もしもし。遠坂です」

 

 結局俺が出るしかない訳で。

 

『あ、遠坂さん? うん? 遠坂さんの家ですよね?』

「はい、そうですけど」

『失礼ですが、どちら様でしょうか?』

「同居させて貰ってる、アークです」

『アーク、アーク……ああ、そう言えば! えっと、わたしは穂群原学園の教師をしている藤村大河です。実は2-Aの担任の葛木先生に連絡が取れなくなったので、私が2-Aの生徒の連絡をしてるんだけど……えっと、ちょっと待ってね。遠坂さんの家にいるのは、アーク君と遠坂さんでいいの?』

「いえ、綾……美綴もいます」

『うん? 美綴さんも? 何で?』

「さぁ? 女同士の友情って奴じゃないですか?」

 

 俺が言うのも色々と白々しいが、それでもただの教師に正直なところを話す訳にもいかないしな。

 

『うーん……そういうものなのかな? まぁ、取りあえず分かりました。今日も学校は休校だから』

 

 それだけを言うと、すぐに電話が切れる。

 他のクラスの担任がこうして俺達に電話して回ってるのを考えると、申し訳ない気持ちになる。

 特に葛木の失踪に関しては、俺も関わっている……というか、思い切り関係者なだけに。

 藤村とか言ったか? 俺は会ったことがないけど、頑張って欲しいものだ。

 そう言えば昨日とかも葛木とかから電話が掛かってきてたのか?

 俺が気が付く前に凛か綾子が取ってたんだろうな。

 ともあれ、藤村という教師から電話があった事をメモに書き……取りあえず、昼までの時間を潰す為に外へと向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:380
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1185

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