転生とらぶる1   作:青竹(移住)

1177 / 3408
番外編049話 凛の夢 5話

 ふと凛が気が付くと、目の前に広がっているのは巨大なベッド。

 それを見ただけで、ああ、またか……と。これがアークエネミーの記憶であることを悟る。

 既にこれが5回目である以上、当然慣れた様子で周囲を見回し……

 

「え? 遠坂? これって何だ? 何が起きてるんだ?」

 

 視線の先に、友人でもあり、同時に色々と不本意ながらもアークエネミーと3人で肌を重ねた存在でもある美綴綾子の姿があることに気が付く。

 

「綾子? ……ああ、そうか。私とアークエネミー、綾子の間にはパスが繋がっているんだから、綾子がここにいるのも当然なんでしょうね」

 

 呟くと、綾子の方も凛の存在に気が付いたのだろう。慌てて近寄ってくる。

 

「遠坂、これって一体……何が起きてるんだ?」

 

 眠っていた筈が、ふと気が付けば全く見知らぬ場所にいた。

 綾子が混乱するのは当然だろうとおもいつつ、凛は口を開く。

 

「ここはアークエネミーの記憶の中よ。パスを繋いだ影響で、アークエネミーの記憶を私達が追体験していると思って貰えればいいわ」

「アークの記憶? ……なるほど。道理で見覚えのない景色な訳だ。こんな巨大なベッド、1度見たら絶対に忘れることはないだろうし」

 

 納得したと頷く綾子だったが、そんな友人に凛は意地の悪い笑みを浮かべて口を開く。

 

「あら、そんなにゆっくりとしていていいの?」

「うん? どういう事だ?」

「このベッドが出てきたって事は、多分……」

 

 凛が最後まで口に出す前に、部屋の扉が開く。

 そこから入って来たのは、3人の女。

 桃色の髪をした知的な美人。

 赤紫色の髪をした、凛とした美人。

 茶色の髪をした、優しそうな美人。

 3人が3人共、全員が美人としか表現出来ない人物であり、そして最後には……

 

「え? あれがアーク……? うわ、今より随分と大きくなっているな」

「恐らくこれは生前の姿なんでしょうね」

「ふーん……にしても、ここは……おい、ちょっと待て」

 

 そこまで呟き、綾子の脳裏を幾つもの情報が過ぎる。

 ここは寝室、アークは大人、美人が3人、自分と遠坂の2人を相手にした夜の大魔王ぶり。

 それらが脳の中で組み合わさり……だが、それが完全に組み合わさるよりも前に、事態は進む。

 綾子の視界の先にいたアークが、他の3人の服を脱がせ始めたのだ。

 そうしながら、唇や首筋、胸元と、色々な場所に唇を這わせていく。

 3人の女達もそれを受け入れ、寧ろ気持ちよさそうに……愛おしむかのように、喘ぎ声を上げながらアークの頭を撫で、その唇や首筋へと唇を這わせていく。

 そんな光景が、美人3人とアーク1人という、見るからに退廃的な行為へと発展し……その場にいる2人は、顔を真っ赤にしながら見つめ続ける。

 これまで何度か同じような夢を見ている為か、凛の方はまだ幾らか余裕があったが、綾子の方は顔を真っ赤にしながら、それでも自分が初めてを捧げた人の情事から目を逸らす事が出来ず……意識がシャットダウンされるまで、じっとその行為を見つめるのだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。