転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1097話

 レモンとのデートがあった日の夕食。

 いつものように千鶴とマリューが作ってくれた食事を食べていると、不意にマリューがレモンへと視線を向ける。

 

「ちょっと、レモン。今日はアクセルとデートだったんでしょ? 例の件、聞いておいてくれた?」

「……あ、ごめんなさい。すっかり忘れてたわ。BETA世界の件でちょっと面白い話になったから」

「ああ、火星のハイヴ攻略の件か。マーズゼロとか言ったか?」

 

 マリューとレモンの会話に言葉を挟んだのは、コーネリア。

 10種類を超えるパスタの中から、自分の皿にカルボナーラを取り分けながらの言葉に、何人かが呆れた表情を浮かべる。

 既に火星攻略に関しては、皆に話してある。

 ただし、まだ確実にやると決まった訳じゃないから、可能であればという程度だが。

 特に実際に火星のハイヴを攻略するとなれば、真っ先にその役目を担う事になる実働班だ。

 その実働班を率いるコーネリアに話を通しておくのは当然だろう。

 コーネリア本人も、火星にあるハイヴの攻略に関しては結構乗り気だった。

 確かに地球にいるBETAとは色々な意味でレベルが違うだろう以上、シャドウミラーとしても苦戦するかもしれない。

 何しろ、地球とほぼおなじ大きさの火星が、丸ごとBETAの巣窟と化しているのだから。

 けど、そもそもシャドウミラーにしてみれば地球のBETAが弱すぎたというのも事実。

 勿論楽に勝てるに越した事はないが、それでも強敵を相手にしないでぬるま湯に浸かるというのは、色々な意味で不味い。

 決して侮るつもりはないが、シャドウミラー始まって以来の大規模な実戦演習に近くなるかも……という思いが俺の中にはあるし、コーネリアにしても同様だろう。

 

「火星に関しては私も聞いてるけど、それじゃないわよ。……いえ、少しは火星攻略にも関わってくるのかしら?」

 

 スープパスタを綺麗に食べながら呟くマリュー。

 

「何の話だ?」

「そうね、レモンがこの調子だし、私から聞きましょうか」

「そうしてくれると助かるわ」

 

 そんなやり取りの後、ペペロンチーノを食べながらマリューがタラコパスタを食べている俺の方へと向けて口を開く。

 

「実は、技術班で次にどんなものを開発すればいいのかって事で色々と揉めているのよ」

「揉めている? 開発したいものがない……って訳じゃないよな?」

 

 まさかあの技術班に限ってそんな事は有り得ないだろうという俺の言葉に、マリューは苦笑を浮かべつつ頷く。

 

「そうね。寧ろ、開発したいものが多くて困っているってところね。ほら、ロイドとセシルが一般の機体でも使えるエナジーウィングを開発したでしょ? まぁ、正確にはもう随分と前に開発は完了していたけど、発表する機会を逃してそのままズルズルとっていうのが正しいらしいけど」

「あー……確かにそれなら有り得るな」

 

 色々な意味で趣味人が集まっている技術班だ。

 個性的な人材が多いと言えば良い表現に聞こえるかもしれないが、寧ろそれは色々な意味で誤魔化している言葉だろう。

 そんな連中の中で、ロイドやセシルが――正確にはセシルがメインなのだが――開発したエナジーウィングがあそこまで大々的に発表されれば、羨ましく思うのも当然だろう。

 シャドウミラーに入った時は、ロイドもセシルも技術力的には下から数えた方が早かった。それこそ、マードックと同レベルに近かったのだ。

 尚、これはマードックが低レベルだという訳じゃなく、他の連中の能力が高すぎるのが原因だ。

 マードックだってシャドウミラーに来てから随分と経つが、その間ずっと技術班と行動を共にしていた。

 そうなれば、当然マードック自身の技術力が上がるのも当然だろう。

 特に技術班と行動を共にしていたおかげで、ずっと魔法球の中にいた事も影響して。年齢は殆ど変わっていないし。

 ……まぁ、技術力が上がる為にマードックが得てきた苦難の日々を思えば、寧ろそれでは足りないと思ってしまう。

 技術班の引き起こす騒動に色々と巻き込まれてたからなぁ……行動に出るのが1歩遅れて、結果的にエキドナに対するスケープゴートになったりしてたり。

 

「とにかく、何かないかしら? 面白そうな……正確には技術班の興味を引くようなものがあれば、こちらとしても嬉しいんだけど」

「まぁ、理由は分かったけど……何で俺に? 別に俺は技術班より何かの技術に詳しいって訳じゃないぞ?」

 

 基本的には士官学校で習った程度の事しか知らないんだから、専門知識的な意味では今の技術班には遠く及ばない。

 

「勿論、別にアクセルに専門的な問題でどうこうって聞きたい訳じゃないわ」

 

 レモンに代わって俺の質問に答えたマリューが、小さく笑みを浮かべる。

 

「けど、ほら。アクセルって人の思いつかないような事を時々思いつくでしょ? T-LINKフレームみたいに。だから、何かいいアイディアがないかなって思って」

 

 ああ、なるほど。T-LINKフレームのアイディア提供があったな。

 あのアイディアは色々な意味でレモンやマリューに衝撃を与えたらしい。

 実際、念動力を使える俺にしてみれば、これ以上ない程の部品なのは間違いないし。

 内骨格や装甲といった風に、機体のほぼ全てがこのT-LINKフレームで構成されている。だからこそ、ニーズヘッグは反応速度でいつまで経っても俺についてこれないって事はない、最高の機体となっている。

 唯一の難点としては、念動力者しか使いこなせないって事か。

 ただ、このアイディアにしても、大本は逆シャアのサイコフレームから来てるんだよな。

 そこにSEED世界のPS装甲技術をプラスした訳で……うん? なるほど、逆シャア、逆シャアか。それにZガンダム的な意味やSEED的な意味でも……確かにこれはいける、か?

 マリューと会話をしていて、ふと思いついたそのアイディア。

 勿論これがきちんと実現可能かどうかは分からない。……いや、違うな。シャドウミラーの技術力を考えれば、寧ろこの程度は容易にどうとでも出来るだろう。

 ただ、技術的にはそれ程難しくないのを考えれば、技術班の興味を惹くかどうかが問題、か。

 

「一応、思いついたアイディアはある」

 

 その言葉に、レモンとマリューの視線が俺へと向けられる。

 

「けど、そんなに特別なものじゃないぞ?」

「いいから、言ってみて。それが実現可能かどうかはこっちで判断するから」

 

 レモンに促され、握っていたフォークを置いてから口を開く。

 

「簡単に言えば、SEED世界のミーティアみたいな奴だな。ただし、あそこまで巨大じゃなくて、普通のPTに装備可能な追加装備というか……どちらかと言えば、グロウセイヴァーで使われていた、クロノスの方が分かりやすいか?」

 

 カスタム化されたアシュセイヴァーに装備された追加統合兵装。

 

「ただ、クロノスの場合はバックパックがメインだったけど、それ以外に腕とか足とかにも装備出来るようなのがいいな。で、ミーティアみたいに巨大だと敵の的になりやすいから、出来ればPTサイズだといいな」

 

 このアイディアの元ネタは、勿論クロノスもあるがそれ以外にもある。

 例えば逆シャアに出てきたリ・ガズィだ。

 BWSを使ってMA形態……というか、戦闘機形態になれるような感じで。

 ただし、BWSは使い捨てだったので出来れば使い捨てじゃないようなのがいい。

 確か、MSVでリ・ガズィカスタムとかいう、BWSを使い捨てにしないようなのがあったと思うし。

 他にもZガンダムでガンダムMk-ⅡがGディフェンサーと合体してスーパーガンダムになったのもある。

 まぁ、Gディフェンサーのように別々に出撃するというのは色々と無意味だから、やっぱり最初から増加装甲のような感じで装備して出撃できるのがいいだろう。

 

「PTサイズってことは、シャドウがそれを使うのを念頭に置いてるの?」

 

 マリューの言葉に、コーネリア、スレイ、レモンの視線が俺の方へと向けられる。

 コーネリアとスレイは実働班だし、レモンは技術班だけどその多彩な才能から実働班としても行動している。

 で、スレイはカスタム化したシャドウだけど、コーネリアはラピエサージュ、レモンはヴァイスセイヴァーだ。

 当然今の話の流れからすると、シャドウのみが新兵器の使用を想定しているという風に捉えられる。

 いやまぁ、確かに何だかんだでシャドウミラーが使用している機体の中で一番多いのは、人型だとシャドウだ。

 その辺を考えれば、マリューの言うようにシャドウに特化するってのが手っ取り早いだろう。

 けど……

 

「いや、出来れば他の機体も使えるような万能性を持たせたい。さすがに巨大すぎる特機や、小型機のニーズヘッグでも使用出来るようにしろとまでは言わないけど、それ以外の標準的なPTサイズでは機体差なしで使えるようにして欲しい」

「……まぁ、他の機体ならともかく、ニーズヘッグの場合は色々と特殊だしね」

 

 俺の言葉に頷くレモン。

 その言葉は確かに事実だ。ニーズヘッグにはヒュドラが6基、背中にはバリオン創出ヘイロウも存在している。とてもではないが、通常のPTと表現するには色々と無理がありすぎる。

 逆に考えれば、このニーズヘッグにも追加武装を施す事が出来たら、ある意味では凄いと思うけど、物理的に無理じゃないか?

 

「とにかくだ。特機やニーズヘッグには無理でも、普通のPTサイズならある程度の余裕があるようにして欲しい」

「技術班としては、どれか一機種に絞って貰った方が楽なんだけどね」

「難しい方が、技術班としては燃えるんだろ?」

 

 その言葉に、レモンが艶然と微笑む。

 シャドウミラーの技術班の特徴として……いや、これは普通の技術者とかも同じかもしれないけど、無理と言われたものを自分達で話しあい、相談しあい、意見を出しあって解決していくというのを好むところがある。

 それこそ、T-LINKフレームとかニーズヘッグとかはその典型だろう。

 どっちも普通に考えれば色々な意味で難しい課題だったが、前者はレモンとマリューが、後者は技術班全体で解決していった。

 ホワイトスターの解析とかもそれに入るのかもしれないな。

 

「そうね、シャドウ専用で考えれば、アクセルが言うようなのを作るのはそんなに難しくないわ、けど、PTサイズの機体を……と考えると、一気に難しくなる。それに、どうせなら火星の攻略にも使えるように間に合わせたいわね」

「そうしてくれると、こっちとしても助かる」

 

 所詮敵はBETAだ。けど、火星の丸々全てがハイヴの集合住宅状態の如き存在になっている以上、こっちの戦力を充実させるに越した事はない。

 特に、BETAは徹底して質より量の存在だ。敵を纏めて消滅させるような武器は、あればあっただけ火星での戦いを有利に進める事が出来る。

 ただ、問題は……

 

「さすがにフレイヤを積み込むような真似はしないでくれよ?」

「さすがにそれはないわよ」

 

 小さく笑みを浮かべて否定したレモンだったが、一瞬残念そうな表情を浮かべたのを、俺は間違いなく見た。

 ……まぁ、結局は言わなくてもフレイヤを積み込むような真似はしなかったと思うけどな。

 そもそも、フレイヤは現在シャドウミラーが持っているMAP兵器の中でも最も使いやすい武器だ。

 広範囲を纏めて消滅させる事が出来、G弾のような悪影響がある訳でもなし、材料に関してもサクラダイトはギアス世界に豊富に存在している。

 色々な意味で使いやすい武器であるのは間違いない以上、量産するのも難しい訳じゃない。

 それを迂闊にシャドウに装備させ、何らかの手段で他の組織に渡る事になるのは絶対に避けたい。

 まぁ、フレイヤの威力を考えれば下手に使う事が出来ないのは事実だ。

 威力が高すぎる為に下手に使えば味方をも巻き込む事になる。

 これが、サイフラッシュみたいに敵味方識別機能とかあれば話は別なんだろうが……そんな真似は出来ないしな。

 ああ、いっそ技術班にはその辺りを研究して貰えば良かったか?

 ただ、何の手掛かりもない状態だと……いや、念動力を使って敵と味方を識別は出来るかも?

 けどそれだと、結局敵味方識別機能付きのMAP兵器を使えるのは俺だけになるし……結局はシャドウミラー全体の能力を底上げ出来るシャドウの追加パーツというか、BWSとかいうか、ディフェンサーユニットというか……まぁ、そんなのの方が効果的なのは事実だ。

 

「頼んだ。期待してるから、驚かせてくれよ?」

「ふふっ、任せておいてちょうだい」

 

 レモンは艶然とした笑みを浮かべ、自信満々にそう答えるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1183

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