転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1076話

「うわ、これはまた……」

 

 映像モニタに映し出された光景を見て、思わず呟く。

 そこに映し出されているのは、アメリカ軍の戦術機部隊が残り10機を切るまでに数を減らされている光景だった。

 他の戦術機は、恐らく既に撃墜されたか……あるいは損傷が酷くて戦域から離脱したのだろう。

 戦域を離脱しようとした戦術機が無事に離脱出来たのかどうかは分からない。寧ろ、これだけ被害を受けている以上、向こうにしても追撃を出来たかどうか……

 何より驚いたのは、敵味方全機がF-15Eだった事だ。

 

『どの機体が味方機なのか、判断しにくいですね。勿論細かいところでは色々と差別化はされているのでしょうが』

『敵味方識別コードを確認しながら戦うしかないだろうな』

 

 オウカとコーネリアの言葉に、俺もまた同意するように頷く。

 正直、これまで敵味方識別コードは殆ど利用してこなかった。

 それも当然だろう。どの世界でも俺達シャドウミラーの機体は特徴的な為、その機体形状で敵味方は容易に判別出来たのだから。

 このマブラヴ世界にしてもBETA相手ではその辺を考える必要はないし、戦術機が敵味方に混ざっている状態で……しかも全部が同じ機種での戦いというのは初めての経験だった。

 

『とにかく、アメリカ軍の救出を行う。各自、敵味方識別コードをよく確認して恭順派共に攻撃を仕掛けろ。敵味方識別コードを見間違えるというような馬鹿な真似は決してするなよ。シャドウミラー実働班の実力をアメリカ軍、恭順派の双方に見せつけてやれ!』

 

 コーネリアの言葉に従い、アメリカ軍へと猛攻撃を仕掛けている恭順派共の隙を突くかのように攻撃を仕掛ける。

 この場所からだと、S-11を採用したミサイルはアメリカ軍も巻き込むな。となると……こっちか。

 ミロンガの主兵装でもあるビームマシンガンを構え、アメリカ軍のF-15Eを背後から襲っている恭順派のF-15Eへと向かってトリガーを引く。

 シャドウが装備しているビームガトリング砲程ではないにしても、戦術機が使っている突撃砲とは比べものにならない程の威力を持ったビーム弾の雨が標的へと向かって行く。

 一瞬……ほんの一瞬そのビームの雨に命中した恭順派のF-15Eは、空中に部品を撒き散らし、コックピットから脱出する余裕すらないままに爆破する。

 追われていたF-15Eは何が起こったのか分からなかったのだろう。一瞬動きを止めるが、すぐにこちらへと頭部を向けてくる。

 それに軽く手を振り、次の標的を探す。

 にしても、シャドウミラー以外は敵も味方もF-15Eだけだな。この機体ってコーネリアの説明にもあったように、新型である以上はそれなりに高価な筈なんだが……ここまで大量にF-15Eがあると、ありがたみが薄れる。

 にしても……

 

「やっぱり色々とおかしいよな」

『確かに。F-15Eは最新鋭ではなくても、新型と言ってもいい機体だ。当然値段もそれなりにするし、1機や2機ならともかく、恭順派がこれだけ大量に用意出来る筈がない』

 

 O.O.ランチャーで恭順派のF-15Eを撃ち落としながら、コーネリアが言葉を返す。

 他のメンバーも、順調にF-15Eを撃墜しているのを眺めながらコーネリアの言葉に頷く。

 

「例えソ連がアメリカの仕業に見せ掛けようとしているとしても、たったそれだけの為に用意するとは思えない」

『というか、そもそもその程度の為にここまで資金を掛ける理由がありませんよね。ソ連はシャドウミラーとの取引も細々としたものですし、これだけF-15Eを用意出来るのなら、テロリストに与えるよりも自分達で戦力にするんじゃないでしょうか?』

『となると、ソ連と恭順派が繋がっているのはブラフ……という事になるのでは?』

 

 オウカとレイの通信を聞きながら、確かにと頷く。

 

「っと、俺を狙ってくるとはいい度胸だな」

 

 アメリカ軍の応援に来た俺達の中でも、ミロンガ改は弱い機体だと判断したのだろう。2機のF-15Eが両翼から挟み込むようにしてこちらに突撃砲を撃ちながら近づいてくる。

 まぁ、シャドウに比べると機体が圧倒的に華奢に見えるし、見るからに他の機体と外見が違うラピエサージュやヒュッケバインMk-Ⅱと比べると倒しやすいと感じたのだろう。

 左右からの挟み撃ちでありながらも、お互いの射線が重ならないよう微妙に機体の場所をズラしている辺り、それなりに腕利きが乗っているらしいが……

 

「甘いよ」

 

 スラスターを使いながら、右から突っ込んで来るF-15Eの方へと向かっていく。

 そうなると当然左側のF-15Eは俺の背後にいる訳になるのだが……再度言おう。甘い、と。

 後ろの映像を映し出すと、そこでは上空から真っ直ぐに突っ込んできたメギロートが、角をF-15Eへと向けて体当たりをしているところだった。

 回避に重きを置いている……ある意味で、ミロンガと同じようなコンセプトの第二世代戦術機でもあるF-15Eが、真っ直ぐに上から突撃してきたメギロートに耐えられる筈もなく、殆ど壊れた玩具のように周囲に破片を散らかしながら破壊される。

 当然コックピットから脱出するような隙は存在せず、乗っていたパイロットの命もそのまま失われただろう。

 これが、せめてミロンガと同じようなコンセプトである第2世代戦術機ではなく、防御力重視の第1世代戦術機であれば……いや、結局は同じか。多少部品が残ったとかはあったかもしれないが、それでも助かるということはなかった筈だ。

 ともあれ、背後から攻撃してきた相手を気にしなくても良くなったので、真っ直ぐにミロンガ改を残りもう1機の方へと向かって進める。

 間合いがみるみる近づいてくる中、当然向こうとしてもこっちを黙って見ているような真似はしない。手に持っている突撃砲から36mm弾を連射してくるが、ミロンガ改の運動性は伊達じゃない!

 こちらを穴だらけにしてやろうと放たれる弾丸のほぼ全てを回避しながら敵へと突っ込んで行き、どうしても当たりそうな攻撃はEフィールドによって弾かれる。

 ぶっちゃけ、これがニーズヘッグならこの至近距離からの攻撃でも全て回避してみせるんだが、T-LINKシステムを通していない操縦ではどうしても機体の追従性に難が出てくる。

 寧ろ思考した瞬間に機体がその通りに動くT-LINKシステムに特化している俺の操縦技術が異端なのだろう。

 普通の機体であれば、どうしても頭で反応し、肉体を動かしてコックピットで機体を動かし、機体がその操作を実行するという風に何手間も余計に掛かるのだからしょうがない。

 距離を詰めたミロンガ改は右手に持っているビームマシンガンはそのままに、左手でビームサーベルを展開する。

 それを見たF-15Eは慌ててそれ以上近寄らせまいとして、突撃砲についている120mm砲を放ってくるが……

 

「効くかっ!」

 

 斬っ、とビームサーベルで一閃すると、次の瞬間には砲弾が真っ二つに切断されて後方で爆発する。

 それを見て、どうしようもないと判断したのだろう。F-15Eは俺から距離を取ろうとするが……機体の加速性能が違うんだよっ!

 F-15Eの右側を通り抜け様に、ミロンガ改の左手に持っているビームサーベルを一閃。コックピット諸共に胴体を上下に切断していく。

 にしても、さすがにF-15E。戦術機の割にはかなりの飛行時間だな。

 基本的に空を主戦場としているシャドウミラーの機体相手に、何度か地上へと降りてはいるが、すぐにまたスラスターを使って上空へと戻ってきている。

 背後で生じた爆発光を感じつつ、次の獲物を探して周囲を見回す。

 この辺もT-LINKシステムがないと不便なところだよな。T-LINKシステムは空間内にいる敵機の捕捉も容易く出来る為に、こうして敵を探すのに手間取る必要もない。

 ……とはいえ、こうして見る限りだと既に殆どの敵機が撃墜されており、アメリカ軍のF-15Eも一時期の混乱から復帰して味方と共に恭順派のF-15Eへと向かって攻撃を開始している。

 正直、ここまで圧倒的に事を進めた以上は俺達がここにいてもいなくても、結局は同じだろう。

 敵機の生き残りがこっちに攻撃を仕掛けようとしてきたのを牽制するためにS-11搭載のミサイルを発射。多数のミサイルに反応出来なかったらしく、大きな爆発諸共に敵機は消滅した。

 

『全機、一応向こうの情報を聞き出す為に捕虜は取っておきたい。その辺を考えて生け捕りも考えておくように』

 

 コーネリアからの通信。

 ただ、生け捕りにするようにとは言っているが、その口調は決して厳格なものではない。

 まぁ、これまで何とかこの手の奴等を生け捕りにして尋問したけど、結局はろくな情報を持っていないただの傭兵だったり、使い捨ての下っ端だったりしたしな。

 それを思えば、あくまでも念の為という一面が強い……といったところか。

 もっとも、ここは本拠地だ。今まで捕虜にした者達と比べても、詳しい情報を持っている奴がいる可能性があってもおかしくない。

 

「了解」

 

 それ故、コーネリアに短く返事をし、映像モニタで量産型Wによって追われているF-15Eの1機に目を付ける。

 

「量産型W、そのままお前が追っている機体をこっちに追い詰めろ。そこを俺の機体で手足を破壊して胴体だけにする」

『了解』

 

 短い返事。

 だが量産型Wである以上はそれだけで十分だ。

 その証拠に、F-15Eは見る間にこっちへと向けて追い詰めてくる。

 

「集中」

 

 一応念の為に精神コマンドの集中を使用し、ビームマシンガンのトリガーを引く。

 銃口から放たれた無数のビーム弾が、こちらへと近寄ってきたF-15Eの両足を破壊、続いて両腕と頭部も破壊し、胴体だけになった状態のF-15Eが落下していくところを量産型Wが受け止めた。

 

「そいつはお前が確保しておけ。逃げられないように胴体に軽くダメージを与えてコックピットから脱出出来ないようにしておけよ」

『了解』

 

 またもや短い返事。

 シャドウの手がF-15Eの胴体を軽く歪めているのを視界の端にいれ、そのまま次の機体へと向かって進んでいく。

 その数分後……気が付けば、既に恭順派の機体は全てが撃墜されるか動けない状態になって捕虜となっており、完全にこちらの勝利という形で戦いは終わっていた。

 こっちの被害はなし。……ただし、友軍であるアメリカ軍の方はそれなりに大きな被害を受けている。

 損傷した機体は後方へと下げたといっても、全ての機体が無事に戦域からの離脱に成功した訳ではない。

 当然だろう。恭順派にしても、倒せる敵を倒せる時にみすみす逃すというような真似をする筈もない。

 特に俺達が援軍としてやって来る前は、奇襲の効果もあって一方的な展開だったのだから。

 

『そちらの被害は?』

『軽くはない……といったところか』

 

 コーネリアがロナルドと話している通信の声が聞こえてくる。

 アメリカ軍としては、俺達に助けられたのは色々と思うところはあれども、結局は生きてこそだ。

 ここで死んでいれば、こうして話している事も出来なかったのだから。

 

『取りあえず迎撃に出てきた部隊は片付けた。こうなると、既に恭順派に残りの戦力は殆どないと言ってもいいだろう。そろそろそちらを攻撃してもいいと思うが?』

『……』

『ロナルド少佐?』

 

 尋ねるコーネリアに、ロナルドは押し殺すような声で口を開く。

 

『残念だが突入部隊に関しては、シャドウミラーに答えられる事はない』

『……それは、突入部隊がロナルド少佐の指揮下にはない。そう思ってもよいのか?』

『こちらから言える事は全て言った。そちらの行動によって助かったが、これ以上の干渉は無用に願う』

 

 色々と思うところはあれども、今はなるべく話を長引かせる必要がある。

 現在長瀬達が既に本拠地に忍び込んでいる現状、下手にアメリカ軍の注意を向こうに向けられるのは困るしな。

 当然本拠地の中には既にアメリカ軍の特殊部隊辺りが潜入しているのだろうが、それでもアーティファクトがある分、こっちの方が確実だろう。

 そう思い、映像モニタに映し出されているコーネリアに軽く身振りで話を引き延ばせと合図を送る。

 コーネリアはそんな俺の様子を見て小さく溜息を吐き、ロナルドに向けて再び口を開く。

 

『干渉は無用と言っても、そちらが今回の戦いで受けた被害は大きいだろう? それに比べると私達の方は無傷に近い。ここは協力して恭順派の本拠地を占拠した方がいいのではないか?』

『元々、今回の作戦において主導権は我々アメリカ軍にあるというのは、前もって承知の上だったのでは? その権限において、そちらからの要望は却下させて貰う』

『だが……』

『しかし……』

 

 そんな風に言葉を交わしている中で本拠地への入り口と思しき場所を眺めながら……ふと気が付く。

 入り口から出てくる人の気配が全くない事を。

 普通、こういう場合は脱出しようと考える者がいてもおかしくない筈だ。なのに、全く脱出する気配がない。

 勿論、本拠地である以上は他にも外へと続いている場所があってもおかしくはない。

 だが……それでも、1人も出てこないというのは……

 そう思った時、ゾワリとした感覚が身体を襲う。

 これは……念動力が危険を知らせている!?

 本拠地を襲われたというのに、誰も脱出する者がいない。そう、まるでここが襲撃されるのを見計らっていたように。

 同時に、以前円と共に向かった恭順派のアジトの1つと思しき場所が脳裏を過ぎり……

 

『罠だ、コーネリアッ!』

『……何?』

『全機、敵本拠地から距離を取れ!』

 

 ミロンガ改を本拠地から距離を取るようにして移動させながらも反射的に俺の口から出た言葉に、疑問の声を上げたのはロナルド。即座に命令を下したのはコーネリア。

 コーネリアは俺の念動力という力について知っていたから。ロナルドの方は、そもそも俺をアクセルとすら認識していなかった。

 その差が大きく出た行動だったが、それでもアメリカ軍から今回の作戦に抜擢されただけあって、ロナルドの判断は素早かった。

 部下に命令を出している通信を、コーネリアの映像越しに聞こえ……

 

 ドガアアァァァァアッァァァァ!

 

 次の瞬間、巨大な……本拠地を丸ごと呑みこむかのような爆発が生み出されるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1183

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