転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1073話

 襲撃作戦決行の日、アメリカ軍と合流した俺達シャドウミラー部隊は当然顔合わせをする事になった。

 アメリカ側が用意した、アラスカ近くにある基地で顔合わせをする筈だったんだが……こっちがちょっと基地に到着するのが早かったのと、向こうの方は向こうの方で多少トラブルがあったという話でまだ顔会わせはされていない。

 ……ただ、この部屋にあるカメラの事を考えると、恐らくは今のうちにこっちの情報を調べていたり、会話とかの中から前もって約束した者達以外の者が潜んでいないかを確認しているんだろう。

 尚、本来であればアラスカにユーコン基地という比較的大きめな基地があったのだが、そこはソ連の影響力が強すぎるという事で、アラスカから程近い位置にあるこの基地での顔合わせとなった。

 ちなみに、今回の作戦の肝でもあるネギま世界の3人は、夏美と小太郎が長瀬のアーティファクトでもある天狗之隠蓑の中で寛いでいる。……いや、リュケイオスでこっちの世界に転移する前に千鶴が色々と言っていたようだから、何気に中では気まずい思いをしている可能性もあるか。

 で、天狗之隠蓑の持ち主である長瀬はどうしているかと言えば、一応この部屋にいたりする。長瀬の事だから、こっちが移動する時に使ってきた輸送機に残っていても問題はないと思ったんだが、一応念の為にだ。

 当然長瀬は普通にこの場にいるのではなく、忍術で見えないようにして貰っているが。

 

「アメリカというのは、色々と複雑な国らしいな」

「複雑な国?」

 

 この部屋に案内をしてきたアメリカ人の用意したコーヒーを飲みながら呟く。

 コーネリアの表情はいつもと大して変わらないようだが……微かに浮かんでいるのは苛立ち、か。

 その苛立ちは、コーヒーの不味さからか……それともこの部屋で待ちぼうけを食らわされているからか。

 いや、待ちぼうけは言い過ぎか。実際、まだ約束の時間にはなっていないんだし。

 

「それにしても……」

 

 次に聞こえてきたのは、同じテーブルに座っているレイの声。

 どこか落ち着かない様子で俺の方へと視線を向けている。

 まぁ、言いたい事は分かる。レイの前で10歳の姿になった事はなかった筈だから、今の俺の姿にどこか戸惑ってしまうのもしょうがない。

 ただ、前もってこの部屋の様子が監視されているかもしれないという事は言ってあるので、それを口にする事はないが。

 そしてオウカは……

 

「どうかしましたか、キョウスケ君」

「いや、何でもない」

 

 何故か嬉しそうな笑みを浮かべながら告げてくるオウカ。

 尚、キョウスケ……キョウスケ・ナンブというのがこの10歳バージョンの俺の名前だ。

 誰の名前を使っているのかは、言うまでもないだろう。

 最初はOGs世界の時の様にムウ・ラ・フラガとでも名乗ろうとしたのだが、このマブラヴ世界はシャドウミラーがこれでもかとばかりに関わっている世界だ。

 ムウにしても、シャドウミラーのメンバーって事でそれなりに有名だし……という事で、キョウスケ・ナンブを名乗る事にした。

 アクセルの身体――10歳だけど――でキョウスケ・ナンブ。人種と名前が合ってないように感じるが、その辺はOGs世界だと良くある事だしな。

 寧ろエクセレンが今の俺の姿と名前を知れば、これ以上ない程に喜んでキョウスケをからかうだろう。

 ……それ以外の、俺とキョウスケの関係を知っている者なら、疑惑の眼差しを向けてくると思うが。

 この部屋に案内してくれた軍人も、何故俺のような子供が一緒にいるのかというのを疑問に思っていたようだが、シャドウミラーの訓練を受けてきた子供ですという説明で納得したらしい。

 正直、よくそれで納得したと驚くが……色々と規格外な存在が俺達シャドウミラーだ。それこそ『シャドウミラーだし』で納得してしまうのだろう。

 で、当然俺のこの姿である以上、アクセル・アルマーとして振る舞う訳にもいかず、レイやオウカも俺に対しては言葉使いとかをアクセル・アルマーに対するものではなく、子供、あるいはちょっと難しいかもしれないが同僚に対するものにするように言ってある。

 ……俺自身は言葉遣いを変えるのを周囲から禁止されていたが。

 何しろ、この姿のままで以前にエザリアにやったみたいに某バーロゥ探偵のような言葉遣いをしたら、皆に絶望的な表情をされたしな。

 俺自身もあまり上手く言葉遣いとかを変えられない以上、無理矢理変えてぎこちなさが出るよりは、シャドウミラーで育てられてきた為にあまり常識がなく、大人に対しても敬語を使わないような言葉遣いにするという事で話は決まった。

 

「キョウスケ……その、これからの事は大丈夫だと思うか?」

 

 言いにくそうに尋ねてくるレイに、首を傾げる。

 

「これから? 敵は所詮テロリスト。攻撃側ならともかく、守りに回ってしまえばこっちをどうこうする事は出来ないんじゃないか?」

「そうか? ……そうか。だといいんだがな」

 

 どこか憂いの表情を浮かべるレイ。

 今回のような少人数でやる任務というのは初めてだけに、気後れしてるんだろう。

 それに比べると、オウカはスティング達とバーナード星系まで出向いた事があるだけに落ち着いたものだ。

 ……いや、その、何だか俺を愛でるような視線で見ているのは気になるが。

 

「ふふっ、キョウスケも人気者だな」

 

 コーネリアが何かを悟ったかのような口調で告げてくるが、その目が笑みを浮かべているのを隠す事は出来ない。

 絶対に内心では面白がっているな、こいつ。

 そんな風にやり取りをしていると、やがてブリーフィングルームの扉が開いて1人の男が入ってくる。

 年齢は40代から50代程。いかにも歴戦の軍人ですと言いたげな雰囲気を持っているその男は、ブリーフィングルームの中にいる俺に視線を向けると、さすがに驚いたように目を見開く。

 まぁ、それはそうだろう。この世界の中でも疫病神としか言えない存在である恭順派の本拠地を襲撃する為にシャドウミラーと作戦を共にしようと思ったら、そこにいたのが俺みたいな相手なのだから。

 それは隊長らしき人物だけではなく、後からブリーフィングルームに入ってきた他の軍人達も同様だった。

 俺を見て驚き、レイを見て眉を顰め、オウカを見て首を傾げ、コーネリアを見て俺とは別の意味で驚く。

 全員ではないが、殆どの者達がそんなリアクションをしながらブリーフィングルームに入って来る。

 そうして、俺達みたいな相手がいれば当然気に入らない奴がいるのも当然であり……

 

「おいおいおいおい、へいへいへいへい、いつからこの基地は幼稚園になったんだ? 俺達がこれから行くのはテロリストの本拠地だぜ? それに、他の奴等にしてもそこのガキと殆ど変わらない年齢のガキに小娘に……うん? へぇ、あの女はいい女じゃないか。どうだい、姉ちゃん。今夜俺と。一晩幾らだ?」

 

 その軍人が何を言っているのか、それは明らかだった。

 確かに俺を見て不愉快に思うのはいいだろう。レイにしてもまだ20歳前なんだから同様だし、オウカもそのお淑やかな外見から侮られてもしょうがない。

 そこまではいい。だが……それでも、コーネリアを娼婦扱いしたのを許す訳にはいかない。

 そもそも、コーネリアの顔と名前はそれなり以上に知られているんだが、それを知らないのか?

 ともあれ飛んで火に入る夏の虫って奴だ。俺達の見た目から侮る奴が出てくるというのは分かっていた。これから行われる作戦でそんな事がないように、見せしめになる奴を作る必要があったんだが……丁度いい。

 

「うるさいぞ、雑魚。そもそも自分達だけでBETA如きに勝てないどころか、無意味に地球に被害を与えているような無能な世界の奴等が、シャドウミラーである俺達に偉そうな口を利けると思ってるのか? ああ、その程度の身の程も知らないからここまで人間が追い詰められたのか。納得出来る事情ではあるな」

『……』

 

 今の俺のような子供にそんな事を言われるとは思ってもいなかったのだろう。ブリーフィングルームの中は静まり返り……

 

「んだとこらぁっ! このクソガキ、今なんて言った!」

 

 コーネリアに絡んだ男が真っ先に怒りで顔を赤く染めながら叫ぶ。

 他の軍人も同様なのだろう。それぞれが目の前で叫んでいる軍人程ではないにしろ、不愉快そうな表情を浮かべていた。

 

「おいこら、クソガキ! てめぇっ! シャドウミラーの後ろ盾があるからって、それに頼って偉そうな口を利きやがって、大体何だってお前みたいなクソガキがここにいやがる!」

「俺がここにいるのはシャドウミラーで実力を認められたからに決まってるだろ。少なくても、お前のような軍人とも呼べないような無能極まりないチンピラよりは余程役に立つ」

 

 そろそろだな。

 座っていた椅子から立ち上がり、睨み殺さんばかりにこっちを見ている軍人の方へと近寄っていく。

 

「そもそも、今回の件だってお前達の世界で恭順派なんていうテロリスト共を片付ける事が出来なかったから今まで時間が掛かったんだろ?」

 

 まぁ、それを言うのなら俺達シャドウミラーも恭順派のアナログ的な方法で本拠地を見つける事が出来なく、結局は日本からの情報でやっと見つける事が出来たんだが。

 

「大体、自分達の足下にテロリストの本拠地があったってのに、全くそれに気が付かなかったって辺りでアメリカの程度が知れるってもんだ」

「んっだとこらぁっ! ガキだからって容赦すると思ってんじゃねえぞっ!」

 

 我慢の限界だったのだろう。最初に俺達に絡んできた軍人の男が俺を狙って殴りかかってくる。

 そう、ブリーフィングルームの中で暴れても構わないようにと机や椅子のない空間に移動した俺に向かって。

 散々馬鹿にした言葉を口にしたが、俺へと放たれた拳は十分に速度が乗っており、構えも全くおかしなところはないまま、真っ直ぐにこちらへと向かってくる。

 ネギま世界の住人と比べるのは色々と間違っているが、このマブラヴ世界の住人で考えれば一流と表現してもおかしくない身体の切れ。

 本来なら混沌精霊である俺の場合、この拳を受けても全く問題がない訳だが……だからといって、ここで俺の正体が混沌精霊であるというのを現すのも色々と不味い。子供の姿になってカモフラージュしている意味がなくなる。

 という事で、俺の顔面に向かって振り下ろされた拳は顔を動かして回避しつつ男の手首を掴み、相手の力を利用しながら投げる。

 

「おわぁっ!?」

 

 予想外だったのだろう。驚きの声を上げつつ、それでも受け身はしっかりととる軍人。

 この辺もさすがと言えるが……

 

「起きるのが遅い」

 

 受け身を取って起き上がろうとした軍人の胸を踏みつけ、その動きを止める。

 

「ぐっ、くそっ、どけこらぁっ!」

 

 痛みはないが、それでも足の体重移動のせいで起き上がれないように妨害する。

 

「これで分かったと思うが、俺がここにいるのはシャドウミラーの威光を借りてのものじゃない」

「リック! おいお前!」

「待て!」

 

 軍人の1人が叫びながら俺に殴りかかってこようとしたのを止めたのは、軍人達の隊長の声。

 余程に教育がしっかりしているのか、隊長の一言で殺気立っていた軍人達の動きがピタリと止まる。

 そして……

 

「キョウスケ、お前もそこまでだ。その男を離してやれ」

「……了解」

 

 現状の俺はシャドウミラーの一隊員を装っているに過ぎない以上、コーネリアの命令には従うしかない。

 足を離すと、つい一瞬前まで俺に押さえつけられていた軍人が、素早く立ち上がって再び俺に殴りかかろうとし、俺も又それにカウンターを入れるべく行動しようとするが……

 

「やめろ、ローレン准尉!」

「……イエッサー」

 

 不承不承ながらも、軍人達の上官……階級章を見ると少佐か? その少佐に言われて渋々とだが戻っていく。

 少佐は、ローレン准尉と言われた人物が仲間の下に戻ると、こちらを見ながら頭を下げてくる。

 

「済まない、確かに今のはこちらが悪い。ローレン准尉には後でしっかりとこの事を言っておくので、穏便に済ませて欲しい。ああ見えて、ローレン准尉は私の部隊の中でも腕利きな人物でね。……まぁ、若干自信過剰になっていたようだが、その長い鼻も今ので折れただろう。ああ、自己紹介が遅れた。私はロナルド・スティッツマン少佐だ。今回の作戦の指揮を任されている」

「シャドウミラーの実働班を率いる、コーネリア・リ・ブリタニアだ。気にしないで欲しい。こちらもキョウスケが挑発するような真似をしたのが悪い。キョウスケは確かに幼く見えるが、これでも相当に高度な訓練を積んでいる。それは今の動きを見れば分かって貰えると思うが」

 

 その言葉に頷きつつも、どこか悲しげな表情を浮かべて俺を見るロナルド少佐。

 

「こんな子供まで戦場に出るとは……悲しい時代だな……」

 

 口の中だけで呟いたのだろうが、常人よりも遙かに鋭い五感を持っている俺には当然聞こえていた。

 ……ごめん、ロナルド少佐。俺のこの姿は擬態なんだよ。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:355
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1180

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