転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1044話

 昼食代わりのバーベキューが終わり、その後もそれぞれ海で遊び続け……やがて夕方になり、夜になる。

 一応今回の海は泊まりがけの旅行という事で、テントを持ってきた。……主に俺が。

 いやまぁ、何だかんだでこの人数分のテントを用意するとなると大量になるので、分かっていた事だけどな。

 勿論技術班が開発したテントだけに、色々と非常識で便利な代物だ。

 例えば暑さをある程度和らげる設計だとか。……これに関しては、別にエアコンのような機能が内蔵されている訳ではなく、純粋にテントに使っている生地の方に秘密があるらしい。

 何でも、俺が門世界で倒した炎龍の皮の部分を参考にして作られたとか何とか。

 確かにファイアブレスを吐き出す炎龍の事を思えば、熱帯夜の30℃くらいの気温なんかはそよ風に等しいのだろうが。

 炎龍の皮を使っているのではなく、それを参考にして作られた生地である以上、当然量産も可能だ。

 炎や熱といったものに対してはかなり強い耐性を持っており、生地自体も防弾と防刃の両方をある程度備えている。そして重量も相当に軽いという特徴を持っている。

 本来であれば防弾と防刃というのは両立しないのが普通なんだが、その辺を可能にするのがシャドウミラーの技術班たる証だろう。

 ただ、防御能力に関してはあくまでも『ある程度』レベルでしかないので、強力な銃弾……それこそ対物狙撃銃とか大口径の拳銃といったものは防げないし、当然ビームやレーザーといったものは防げない。 

 それでもその軽さに対して持っている防御力は非常に高いという事もあって、シャドウミラーの中でも目玉商品になる可能性が高い……と、あやかが言っていた。

 現にギアス世界、SEED世界、ネギま世界、マクロス世界に見本を送ったところ早速興味を抱かれているって話だし。

 そんな生地で作ったテントだけに、実は値段的に考えると相当高価な物だったりする。まぁ、使い心地とかを聞くという意味もあるという建前で皆の分も用意したんだが。

 実際には、単純に技術の無駄使いでしかないんだよな。俺にしても、まさかレモンを通してテントを作って欲しいと要求したら、この生地で出来たテントが出てくるとは思わなかったし。

 魔法球があるから、何気に前日の夜に頼んでも全く問題なく出来上がるというのは……喜ぶべきか、悲しむべきか。

 ちなみに、当然ながら星刻を始めとするギアス世界の一行は陽光へと影のゲートを使って送っておいた。

 さすがに天子の地位にあるものをテントで泊まらせる訳にはいかないし、オデュッセウスだけに留守番を押しつけるってのもちょっと可哀相だし。

 海に入った後なので、当然一旦全員が風呂に……具体的には近くにある自然の温泉へと向かい、その時に微妙に一騒動あったりしたんだが、それは取りあえず置いておこう。

 俺としては色々と眼福だった事だし。

 ともあれ、風呂に入って汗と海水を流してテントも張った、夕食のカレーも食ってとやっていれば、夜になって始まったのは……

 

「うおおおおおおおっ、おい、こっちに来るなシン!」

「待て、分かった、分かったからちょっと待つんだ」

「うるさい! アウルもスティングもステラに変な事を教えて……天罰だ!」

 

 シンがそう叫ぶや否や、その手の中からロケット花火が飛んでいく。

 ……花火を人に向けてはいけません。

 

「ちぃっ、やらせるか、やらせてたまるかよっ!」

 

 瞬動を使ってロケット花火から退避するスティング。アウルもまたその後に続くようにして瞬動を使用していた。

 

「うわっ、何て言うか……凄いですね。生身でああいう動きが出来るってのは」

「EX-ギアでああいう動きが出来るようにしてみるか?」

 

 興味深そうにスティングとアウルの動きを眺めていたルカの言葉に、思わずそう返す。

 実際、EX-ギアは簡易的ではあるがパワードスーツでもあるんだから、頑張れば……いや、さすがにそれは無理か。色々な意味で。

 

「あはははは。それが出来たらいいんだけど……あんな風に、瞬間移動染みた真似とかどうすれば出来るのか分からないよ。……あ、ちょっとアクセル君。何だか小さい子が巻き込まれて……いや、自分から混ざってるけど、いいの?」

「うん? ……ああ、小太郎か」

 

 ルカの言葉に視線を向けると、そこではどういう成り行きになったのかは分からないが、小太郎がシンに協力してスティングとアウルへ向かって気弾を放っているのが見える。確か、空牙とかそういう技だったか?

 

「おい小太郎! 何だってそっちに協力してるんだよ! お前には関係ないだろ!」

 

 放たれる気弾を瞬動で何とか回避しながら叫ぶアウル。

 生身での戦いともなれば、それを専門としている小太郎に勝てる筈もないからだろう。

 そもそも、シャドウミラーでも生身の戦闘を得意としているあやか達4人ですら、小太郎に対する勝率は著しく低い。

 いや、寧ろ小太郎を相手に白星を幾つか挙げたのを褒めるべきか。

 ともあれ、小太郎というのはそんな相手だ。生身での戦いでは円や美砂に未だ連敗しているスティングやアウルがこの状況でどうにか出来る筈もないだろう。

 実際、連続して放たれる気弾を何とか回避するのが精一杯なんだから。

 

「いけやっ、兄ちゃん。奴等の足は俺が止めたるさかい!」

「え? あ? え? あ……ああ!」

 

 一瞬何が起きたのか分からない様に動きを止めたシンだったが、すぐに小太郎が自分の味方をしてくれていると気が付いたのだろう。すぐに手に持ったロケット花火へと蚊取り線香で火を付けて放つ。

 

「うっ、うわっ! 危ないってこら!」

「ちぃっ、させるか!」

 

 気弾を回避しながら放たれたロケット花火を回避するスティング。

 アウルはとっさに『魔法の射手』を使って気弾を迎撃する。

 戦士としての技量が元々違うというのもあるだろうが、気弾は放たれた魔法をあっさりと貫通してアウルへと迫る。

 それでも一瞬であっても時間を稼げたのが良かったのか、アウルは瞬動を使ってその場を退避していた。

 

「うわぁ……色んな意味で凄い光景だな」

 

 花火を両手で持ちながら近づいてきたアルトが、片方の花火を俺へと手渡しながらそう告げる。

 

「まぁ、シャドウミラーの中ではいつもの事……とでも思っておいてくれ」

「そうか? けど、あのシンって奴はシャドウミラーのメンバーじゃないんだろ? 確かオーブ軍のMSパイロットだって聞いたが」

「そうだな」

 

 マクロス世界の住人でもあるアルトの口からMSって単語を聞くと、微妙に違和感があるな。

 そんな風に考えつつ、緑、赤、黄色、白といった風に幾つもの色を楽しめる花火に魅入る。

 少し離れた場所では地面に置いて導火線に火を付けて使う花火も行われており、線香花火を楽しんでいる者達もいる。

 

「S.M.Sでの疲れも吹っ飛んだか?」

 

 そんな様子を見ながら尋ねる俺に、アルトは小さく笑みを浮かべつつ肩を竦めた。

 

「バジュラと戦っていた時ならともかく、今はミュートスに定住しているからな。そんなに忙しくない。訓練とかはその分結構厳しいけど」

「バジュラねぇ……そう言えば、ランカの連れているバジュラはどうしたんだ? こっちで見てないけど」

「ん? ああ、あい君か。さすがに第2形態になったバジュラをこっちの世界に連れてくるのは色々と不味そうだったからな。残念だけどミュートスで留守番だ。まぁ、いつもランカと一緒だし、たまには1人……1匹か? とにかく、自分だけで過ごすってのも悪くないだろ」

 

 そう答えるアルトの瞳が向けられているのは、美砂と話をしているランカの姿。

 恐らく歌に関する話でもしているんだろう。

 ……プライバシーの問題もあって聞き耳を立てたりはしないが。

 

「まぁ、一般人もそれなりに多いから、バジュラを見れば色々と騒ぎになりそうだけどな。もっとも、幼生体のバジュラなら違う意味で黄色い悲鳴が上がると思うけど」

 

 成体になれば非常に攻撃的で凶悪なフォルムになるのに、何故幼生体の場合だとあんなに愛らしい姿なのか。これはあれか? 子犬や子猫が可愛らしさを使って生き延びる確率を上げるとか、そういう類の話なのか?

 

「うおっ、凄いな……アクセル、お前もちょっと見てみろよ!」

 

 近寄ってきたミハエルの声に視線を向けると、その先にはかなり大きめの……高さ30cmくらいもある花火が地面に置かれており、花火を高く打ち上げては大輪……とまでは言わないが、それでもかなり大きな花を咲かせていた。

 

「凄いですよね。アクセル君、この花火ってどこで買ってきたんですか?」

 

 ミハエルと一緒に近づいてきて尋ねてくるルカに、視線を元3-A組の方へと向ける。

 女子大生やら社会人の集団と化した元3-A組だが、こうしてキャーキャーと黄色い悲鳴を上げているのを見る限りではとてもそうは思えない。

 それこそ、俺がネギま世界に紛れ込んだ時のような中学生っぽい感じに見える。

 まぁ、気心の知れた仲間が集まっているからこそ無邪気に騒いでいるって事なんだろうけど。

 

「ニンニン、それだけ現実は厳しいのでござるよ。拙者も仕事はともかく、付き合いの方がこれ程面倒だとは思っていなかったでござる」

「おわぁっ!」

 

 突然背後から聞こえてきた声に、アルトが悲鳴を上げながら前方へと跳ぶ。

 この辺の素早い行動はS.M.Sという民間軍事会社にいるからこそだよな。

 ただし、当然手に持っている花火を気にしている余裕はなく、そのまま地面へと……落ちる瞬間、誰かが素早く受け止める。

 その誰かというのは、既に言うまでもないだろう。夕食の時に合流してきた長瀬だ。

 

「驚かせてしまったようでござるな。すまぬでござる」

「あ、いや……ああ、うん」

 

 要領を得ない返事をするアルトに、ミハエルやルカにしても表情に驚きを浮かべて長瀬へと視線を向けている。

 まぁ、マクロス世界の住人であるこいつらにしてみれば、忍者とか何それ? とかって事になるんだろうけど。

 もしかして忍者を知らないとか……いや、これだけ特徴的な存在なんだ。地球の復興の際に名前とかは残ってるだろ。歌舞伎とかも残ってるんだし。

 マクロス世界だと宇宙忍者とかいそうだよな。……いるのか?

 そんな風に考えながら、アルトの持っていた花火を見ている長瀬へと声を掛ける。

 

「海で泳げなかったのは残念だったな」

「確かにそうでござった。それにバーベキューパーティに参加出来なかったのは惜しかったでござる」

「ま、海で泳ぐってのは明日もあるし……何なら、今から泳いでもいいんだぞ?」

 

 テントを張っているここは、本当に海のすぐ側だ。それこそテントから3分も歩かないうちに海に到着する程度には。

 もっとも、夜の海というのは色々と不気味ではある。……いや、長瀬ならその辺は何ともないのか? 忍者だし。

 

「それは勘弁でござるよ。折角皆で集まって楽しめる機会なのだから、ゆっくりとしたいでござる」

 

 そう告げ、手に持っていた花火をアルトに返して皆の方へと去って行く。

 

「いや……分かっていたけど、世界ってのは色々あるもんなんだな。忍者とか本当にいるとは。しかもあんな美女が」

 

 ミハエルのいつもの呟きが聞こえてくる。

 

「いいのか? そんな事を言っていると……」

「っ!?」

 

 俺の言いたい事が分かったのだろう。殆ど反射的な動きで背後を振り向くミハエルだったが、当然そこにクランの姿がある筈もない。

 

「余程恐怖を刻み込まれてるんだな……」

 

 思わず呟くと、ようやく今のが俺の冗談だと理解したのだろう。ミハエルの視線が鋭く俺を見据える。

 ちなみにクランはと言えば、少し離れた場所で他のピクシー小隊のメンバーでもある2人と何やら話をしており……何故かそのすぐ近くには千鶴が存在していてクランの世話を焼いていた。

 それでいて子供扱いされるのを嫌がるクランが特に気にした様子もないところを見ると、世話焼きスキルが色々な意味でレベルアップしているように見える。

 

「あのなぁ、アクセル。やっていい事と悪い事ってのがあるんだが……理解しているか?」

 

 鋭い目つきで俺の方へと視線を向けてくるミハエルだが、その視線には明確な怒気の類はない。半ば冗談のつもりなんだろう。

 

「さて、確かにそういうのはあるかもしれないけど、今の場合はそれに当て嵌まるのかどうか微妙だと思うが?」

「……へぇ。そうか? 俺は十分当て嵌まると思うんだけどな。大体、あれだけの美人を大勢揃えているアクセルに、俺の気持ちなんか分かる筈ないだろ」

 

 そう呟く時は、紛れもない怒気がその瞳に宿る。

 本気で怒っている……いや、憤っている証なのだろう。

 

「なら、お前も恋人を複数作ればいいだけだと思うが?」

「そんな事が出来てたら最初からしてるっての! ……って訳でアクセル。彼女達との合コンセッティングしてくれないか?」

 

 ミハエルの視線が向いているのは間違いなく元3-A組。

 何を考えているかと思えば……

 俺は思わず溜息を吐き、クランを呼ぶべく息を吸い込むのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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