転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1031話

 量産型Wからされた報告に、思わず眉を顰める。

 

「アンバール基地だと? それは確かか?」

「はい。既に実働班が相手を確保するために動いている模様」

 

 アンバールハイヴを担当していたのは、確かスレイとエキドナ、それとレイだったな。

 戦力としてはエキドナのヴァイサーガが1機に、スレイとレイのシャドウが2機、それとメギロートとイルメヤがそれぞれ10機ずつ。

 BETAの一個大隊であっても余裕で駆逐できる戦力だけに、身の安全に関しては特に心配していない。

 襲撃して来たテロリストの対処もそう難しい話ではないだろう。テロリストの戦力は、アンバール基地から盗んだリニアガン・タンクとガン・ルゥ、それと戦術機。

 元々テロリストどもが保有している戦力があるかもしれないが、あったとしてもそれ程多くはないと思われる。

 BETAを相手にするのならともかく、シャドウミラーの実働班を相手にするのはまず不可能だ。

 ……だが、問題はそこではない。

 何故アンバール基地を襲撃した?

 前回の襲撃でアンバール基地を一時的にせよ占拠した。そんな真似をされた以上、当然アンバール基地を拠点としている中東連合軍やアフリカ連合軍、そして国連軍にしても、相応の防衛戦力を割いているというのは分かる筈だ。

 それを考えれば、ここで敢えてアンバール基地の近くを襲撃する理由はない。それこそ、オペレーション・ルシファーで攻略した新しい基地を狙えば、防衛戦力はまだ完璧じゃないし、基地化そのものも現在進行形で行われている最中だ。

 当然アンバール基地を始めとした他の基地よりも索敵能力を含めて非常に低い。

 テロリスト共も、当然それは承知している筈だが……何故、ここで再びアンバール基地なんだ?

 あそこに何かあるのか? 

 それとも単純に勝手知ったるって理由なのか? 何しろ、前回占領しているだけにあの周辺に関しては色々と調べてあるんだろうし。

 それに、現在のテロリストの連絡手段は基本的に伝令の類だ。手紙とかを使うにしても、当然郵便局に出すとかしている訳ではなく、テロリストの者達が自分達で運んでいる筈だ。

 そんな風にアナログ的な方法で連絡を取っていれば、確かに隠密性に関してはかなりのものだろう。実際、この世界でテロリスト共を追っている警察組織やら軍隊やらでもまだ捕まえているのは末端でしかないという事を見れば明らかだ。

 だが……テロリスト共はその代償として入手出来る情報の種類や鮮度に限度がある。

 それはそうだろう。本来であれば情報を集めて通信で報告すればいいだけなのに、わざわざ本拠地なり専用の施設なり、あるいは専門の人員のいる場所まで移動して入手した情報を報告しなければいけないのだから。

 それを考えれば、どうしても情報の種類や鮮度は最新のものとはいかなくなる。

 そうである以上、アンバール基地以外の基地の情報を入手するのは大変だった。……そういう事だろうか?

 それとも、前回の襲撃からずっとアンバール基地の未開拓地帯とでも呼ぶべき場所に潜伏していた? まぁ、その可能性も否定は出来ない。そもそも、戦術機やリニアガン・タンク、ガン・ルゥとかは運び出すときにどうしても目立つだろうし。

 確かにその可能性は十分あるが……

 

「いや、ここで考えていてもしょうがないな。量産型W、周辺を十分注意しろ。いつ俺達の担当しているこの場所が襲撃されるか分からないからな」

 

 アンバール基地近くのテラフォーミング現場の襲撃が囮という可能性もある。それに、もし向こうが本気の襲撃だとしても、向こうにある戦力を突破してどうにか出来る筈もない。

 懸念としては迎撃で敵を倒しすぎて情報収集する相手を残せないかもしれないって事だが……いやまぁ、アンバール基地を占拠された時にも現場の人間はテロリストの上に繋がる情報を殆ど持っていなかったのを思えば、今回も無駄になる可能性は高いか。

 

「こちらの様子はどうだ? レーダーに怪しい反応とかはあるか?」

「いえ、ありません。現在敵がこちらに接近している可能性は低いかと」

「こっちのレーダーで捕らえられないって事は、安心度は高いな」

 

 一応このマブラヴ世界でもステルス性能の研究は進んでいる。もっとも、技術的に後進世界である以上、シャドウミラーの機体を誤魔化す程のステルス性能を発揮出来る筈もない。

 ASRSやミラージュコロイドのような特殊なステルスがある訳でもないしな。

 つまり、この世界では敵が接近して来るのを確実に感じ取る事が出来る訳だ。……俺達シャドウミラーなら、という条件はあるが。

 その俺達のレーダーで接近してくる敵を感じ取れない以上、この重慶基地近くでは敵の襲撃を心配する必要もない。

 にしても、本当にしくじったな。まさか再びアンバール基地の方に行くとは思いもしかなった。

 

「一応他に散らばっている部隊に対しても連絡を入れておけ。アンバール基地が囮の可能性も考えて、くれぐれも油断しないようにと」

「了解しました」

 

 量産型Wが他の部隊に連絡を入れている声を聞きながら、再び座席へと寝転がる。

 数分前まではムウやナタルの結婚に対するプレゼントを何にしようかと迷っていたんだが、一気にそんな気分じゃなくなった。

 かといって、向こうの襲撃部隊に応援に行く必要があるかと言われれば答は否だし。

 やる事がなくなったというのが正直なところだ。

 そんな風に考えながら視線を映像モニタへ向けると、そこでは俺の担当でもある帝国軍のテラフォーミングをしていた部隊の動きが俄に慌ただしくなっている。

 恐らくアンバール基地周辺に襲撃があったというのを知ったのだろう。

 今回の作戦の関係上、通信の傍受とかの可能性を考えて俺達と向こうの部隊での通信のやり取りはされていない。だからこそこうして眺めているしかないんだが……

 

「あ、馬鹿。幾ら危険だからって、銃とか持ち出すなよ」

 

 映像モニタの中では、自分達も狙われる可能性を考えたのだろう。兵士達が素早く移動して手に銃を持っている者が何人かいる。

 確かに狙われているって意味では色々と不安もあるかもしれないが、それでも囮であるお前達が銃を手にしちゃ駄目だろう。

 いや、一応ここは重慶ハイヴの近く。つまり、近くにあるハイヴはまだ攻略されてない以上、いつBETAが姿を現しても不思議ではない。

 そう考えれば、銃で武装するくらいはおかしくないのか?

 ……ただ、日本人が銃で武装しているというのはちょっと違和感があるな。

 まぁ、だからと言って日本刀を装備しろと言っている訳じゃないんだが。

 そんな風に考えていると、向こうでは例の筋肉ムキムキの上官から頭に拳骨を食らってノックダウンしていた。

 ちなみに、拳骨を食らっているのはいつも喧嘩している2人ではない。

 その2人は、いつものやり取りとは打って変わって鋭い目つきをしながらお互いにフォローしあって周囲の様子を確認している。

 へぇ。中々にいい目をする奴等だな。

 連携に関してもスムーズだし。

 

「ああいう奴等なら、シャドウミラーにも……いや、駄目か。毎日毎日喧嘩騒ぎを起こされ続けるってのは色々と面倒臭いし」

 

 小さく肩を竦め、一応念の為に量産型Wが確認しているレーダーへと視線を向け、異常がないか確かめてから、再び座席に横になる。

 さて、問題はテロリスト共の今回のアンバール基地にあるテラフォーミングしている場所への攻撃が何を目的としているかだな。

 まさか、ただちょっかいをかける為って訳じゃないだろうし。

 自分達の存在の誇示? 確かにそれはありそうだが、だからと言ってそれだけの為にって訳じゃないだろう。

 確かに少し前……それこそ、俺達シャドウミラーがハイヴ攻略をする前であれば、恭順派という存在こそが唯一BETAに対抗する手段と思わせる事も出来ただろう。

 ……奴等に命を差し出すのが対抗と言えるのなら、だが。

 だが、今は既にそんなのは意味がない。BETAに対して天秤は完全にこっちに向いているのだから。

 そうである以上、純粋に教義上の理由で恭順派に協力するような者なんてまずいないだろう。その辺を考えると、今恭順派に協力している者達はどういう奴等なのか疑問だよな。

 恐らくはアンバール基地を襲った時に言っていたものがいたように、傭兵とかそっち関係だとは思うんだが……それだと兵力を維持するのはかなりの出費になる筈。

 いくら恭順派が何らかの組織やら国やらが後ろ盾にいるとしても、傭兵を雇い続けるというのは色々と無理がある。

 そもそも、傭兵にしたところで基本的にはBETAを憎んでいる者が多い筈。だというのに恭順派に対して雇われるとなると、破滅願望的な性格を持っている者か、あるいは自らの不満を押し殺してでも雇われるだけの報酬があるかといったところだと思う。

 つまり、それだけの出費が必要な訳で……

 

「一体、どうやって戦力を補充してるんだろうな?」

「何かありましたか?」

 

 思わず出てきた俺の呟きに反応した量産型Wに何でもないと首を振って、改めて考える。

 例えば今回のように襲撃を仕掛けるのなら、当然兵力の損耗に関しても考えておく必要がある筈だ。幾ら恭順派であったとしても、それを考えないという事はないだろう。

 そうなると、何らかの兵力補充の当てがある筈で……

 ああ、駄目だな。思考がこんがらがって、同じ事を繰り返し考えている。

 この辺の難しいのは、コーネリアなりエザリアなりレモンなりに任せるとしよう。

 俺は純粋に実働班が動く時、一緒に行動すればいい。

 自慢じゃないが、個人としての戦力という意味ではニーズヘッグを使った機体の戦闘であっても、あるいは生身での戦いであっても俺に勝るだけの実力を持った奴はそう多くはない。

 それに影のゲートって手段もあるし、いざ敵地への潜入なり、攻め込むなりする時にはこれ以上ない程の戦力となるのは事実なのだから。

 ……とてもじゃないが一国の代表が自慢出来る事じゃないよな。

 

「ま、その辺に関してはいい。今はとにかくアンバール方面で起きたのが陽動じゃないと確認出来るまでは準備を怠らない事だ」

 

 呟き、映像モニタへと視線を向ける。

 そこでは先程銃を手にしていた者達も含め、それぞれが再びテラフォーミング作業へと戻っていた。

 ただし、明らかに視線に宿る力は違う。昨日までのような、どこかのんびりとしたものではなく、何かあった時にはすぐにでも行動に移せるような、軍人としての自らを自覚しているかのような、そんな意思。

 やはり実際に他の場所が攻撃を受けたというのは、意識を変えざるを得なかったのだろう。

 

「どうも日本人は少し楽になればそっちに流されるような傾向があるしな。この状態を保てとは言わないが、もう少し緊張感を持ってくれれば……」

 

 夕呼が基地の空気が弛緩しているというような愚痴をレモンへと告げていたのを、何度か聞いた覚えがある。

 まぁ、そっちに関してはある意味しょうがないんだろう。鉄原ハイヴ、重慶ハイヴと、日本を攻める上で橋頭堡となる場所をこちらが先制攻撃気味に攻撃を仕掛けて占領してしまったのだから。

 現在の日本は前線ではあるが最前線とはとても言えない状態にある以上、多少弛緩しても不思議はないと思う。

 俺なんかはそう思ってしまうが、このマブラヴ世界に生まれ育ってきた夕呼にしてみれば、それは許されることではないのだろう。

 ……いや、本人が何かとハッチャケているのは事実なんだが、それはそれ、これはこれって奴らしい。

 実際、常にハッチャケているって訳じゃないし。

 締めるところでは締めている筈だろう。……多分。

 その夕呼直属のA-01部隊とかいう奴等は色々な意味で苦労が多いだろうが、それに関しては俺からは何とも言えない。

 自分達で選んだ道なのだろうから、その道を貫き通して欲しいといったところか。

 たまには甘いお菓子辺りを差し入れしてやってもいいかもしれない。

 何となくそんな風に考えつつ、哀悼の意を表する。

 ……いや、死んではいないんだけどな。

 夕呼の我が儘に振り回されているA-01部隊の事を思えば、そんな思いを抱いてもしょうがないだろう。寧ろ当然だと胸を張って言える。

 

「アクセル代表、アンバール基地の周辺に攻撃を仕掛けてきたテロリストを全て撃破。捕虜も13人確保したそうです」

 

 量産型Wからの報告に、思わず安堵の息を吐く。

 取りあえず捕虜を得たという事は、多少でも情報を入手出来るかもしれないからだ。……まぁ、前線の一兵士にそんな重要な情報があるのかと言われれば、答は否なんだろうが。

 それでも何もないよりはマシだし、何より俺が安心しているのはアンバール基地周辺の騒動が収まった事と同じくらいに他の場所での騒動がなかった事だ。

 勿論、騒動が収まって安堵しているところを狙って……という可能性もないではないだろうが、それでも安堵の気持ちが強い。

 

「一応、全部隊に注意は怠らないように告げておけ」

「了解しました」

 

 念の為にそう告げておくが、結局その日はそれ以上の騒動がないままに作業が終了するのだった。

 ……そう言えば俺のいる場所でトラブルが起きなかったってのは珍しいな。今までだと、大抵こういう時は俺の場所に騒動が来たんだが。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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