転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1023話

 崇継達日本御一行様の歓迎パーティが終わり、現在の時間は午後3時くらい。

 今の俺達は、ホワイトスターにある牧場のワイバーンを見に来ていた。

 ある程度自由に行動出来るように、林や森、草原といった地域で放し飼いにしている。

 それ故に、よくある動物園のように見る事は出来ないが、直接その地域に入っていってワイバーンに触れる事も可能だ。

 勿論ワイバーンが怖いって奴に対しての安全面も考えている。エアカーを使ってサファリパークのような真似事が出来るようになっているのだ。

 だが、そもそもは竜騎兵が乗っていたワイバーンだ。つまり人に慣れているんだから、余程に変な真似をしようとしなけれれば特に問題はない。

 

『これが……ワイバーン……』

 

 俺が撫でているワイバーンを見ながら、エアカーの中から崇継が呟く。

 最初は崇継や恭子も普通に生身で来たがっていたのだが、さすがに護衛の真壁や如月に強硬に反対され、エアカーでの見学となった。

 ちなみに夕呼はレモンと話をしており、霞は四葉に懐いたのか一緒に料理の後片付けをしている。

 シャドウミラーの他の面々は、それぞれが自分のやるべき事をやる為に散っていった。

 

「GRUUU」

 

 喉を鳴らしつつ、その首を擦りつけてくるワイバーンを撫でる。

 それが気持ちいいのか、ワイバーンがもっともっとと更に顔を擦りつけてくるが……空間倉庫から取り出したソーセージを食わせてその場を後にする。

 

『アクセルさん、その……怖くないんですか?』

 

 ゆっくりと俺の歩く速度に合わせて移動しているエアカーから恭子が尋ねてくるが……

 

「まぁ、あの程度ならな。……ああ、ほら。上を見てみろ。ワイバーンが飛んでいるのが見えるぞ」

 

 その言葉に、車の中にいる4人がフロントガラスから空を見上げる。

 それと同時に、数匹のワイバーンが空を飛んでいくのが見えた。

 もっとも、空といってもここがホワイトスターである以上は偽物の空なんだけどな。

 ただ、偽物の空であってもシャドウミラーの技術で作り出された映像だ。本物と見紛うようなその光景は、ワイバーンであっても誤魔化す事が出来る。

 そんな風にしてワイバーンの見学を終わった後は、牧場の別の場所……牛や豚、鶏といった基本的な畜産動物から、羊、山羊、更にはダチョウまでが育てられている光景を眺めていく。

 どの動物も、閉じ込めるのではなくある程度の空間を自由に移動出来るようにさせており、肉の品質はかなり高い。

 この牧場は、SEED世界でユウナがレモン達にちょっかいを出したのが始まりだったんだが……よくここまで大きく出来たよな。

 それもこれも、疑似記憶や疑似経験によって量産型Wが牧畜のノウハウを得たおかげだ。

 勿論疑似記憶や疑似経験では、本物の職人のような技量を得る事が出来ない。それでも、超一流ではなくても一流の腕はある為、ここまで牧場を広げる事が出来たのだろう。

 今では、超包子を含めて交流区画にある料理店にも出荷されている。

 本来なら、エアカーの中で驚きながら牛を見ている崇継達のマブラヴ世界にも輸出したいのだが、シャドウミラーは基本的に兵器を一括して他の世界から買い取り、それをマブラヴ世界へと輸出している。

 問屋や卸売業者的な立場であり、同時にBETAの死骸を有償で受け取り、それをキブツで変換した資源等や、門世界から得た資源を売ったりと専売に近い扱いになっている。

 他の世界にしてみれば、表には出さないが当然不満がある訳で……兵器や資源以外に関しては、基本的にシャドウミラーは手を出さない契約になっていた。

 ……まぁ、シャドウミラーで育てている牛や豚なんかはここにいる程度だ。ホワイトスター内にある店に卸すのには十分過ぎる量があるが、マヴラヴ世界のように1つの世界……どころか、1つの国に十分行き渡らせられる程の量を育てるのはまず無理だしな。

 そもそも、量産型Wは超一流ではなく一流の技量を持つが、それは逆に言えば特筆する程に肉が美味くないって事になる。それこそ、A5ランクでコンクールを取っている牛肉なんかには遠く及ばないだろう。

 もっとも、普通に食う分にはそこまで高級な肉を必要とはしていないだろうけど。

 個人的にはA5の肉とかになると、サシが多すぎて肉を食っているのか脂身を食っているのか分からなくなる時があるし。

 ただ……

 

「ほら、気になるならちょっと土産でも買っていくか?」

 

 じっと牛や豚に視線を向けている崇継や恭子、真壁、如月の4人にそう告げ、少し離れた場所に用意されている建物へと視線を向ける。

 一応ここの名物はワイバーンの見物だが、お土産を必要とするだろうって事で、ここで作られた肉を使ったソーセージやベーコン、チーズやバターといった風に牧場ならではの土産物が作られている。

 牧場の土産ならこれだろうって事で作らせたんだが……他の世界からワイバーンを目当てに来た客達からも意外と好評だったりする。

 殆ど成り行きで作らせたんだが。

 ……まぁ、中にはワイバーンの肉はないのかとか聞かれる事もあるらしいが、ワイバーンはそもそも貴重品だからな。

 ちなみに、こういう店では大抵賞味期限が切れたりして大量に廃棄される事になる訳だが……この店ではそういう事はない。

 何しろ、賞味期限が切れそうになったものは俺が引き取って空間倉庫に収納しているのだから。

 時の流れが存在しない空間倉庫なら、例え明日が賞味期限の加工品とかがあっても全く問題はない。

 いやまぁ、そこまでがめつくする必要もないと思うんだけど、どうしても勿体なくてな。

 ちなみに空間倉庫に収納されたそれらの加工品は家で作られる食事の材料になったり、あるいはバーベキューをする時とかに使ったり、はたまた俺の非常食となったりもしている。

 取りあえず崇継達はここで何個かウィンナーやベーコン、ハム、牛乳、チーズといった物を購入し、満足しながら牧場を後にする。

 その後に向かったのは、門世界で倒した古代龍の骨格標本や、ゴブリン、オーク、オーガといった者達の剥製やら標本やらが飾られている、一種の博物館。

 

「これは……大きいし、こうして骨だけを見てもその強大さが想像出来ますね」

「ああ。純粋な大きさで言えばBETAの要塞級よりも小さいのだろうが、感じる迫力は大きく違う。これは、ドラゴンだからこそか?」

 

 恭子と崇継が言葉を交わしているが……ぶっちゃけ、BETAが相手だと古代龍であってもどうしようもないと思うんだよな。

 いや、普通のBETAであれば古代龍ならなんとでもなると思うが、光線級と重光線級が相手だと古代龍でもあっさりと撃墜されると思う。

 門世界はファンタジーという意味ではかなりの重要度だったが、それは結局そこまででしかないしな。

 

「これを倒したのが、アクセルなのかな?」

「ああ。ハイエルフの集落を襲っているところに出くわしてな。成り行きで戦う事になった。……まぁ、その結果が今このホワイトスターにハイエルフがいる事に繋がっているんだから、不思議なものだけどな」

「同じドラゴンでも、先程の牧場で見たのとは大きく違いますね」

 

 骨格だけを見ても、その違いは理解出来るのだろう。恭子の質問に、小さく肩を竦めて口を開く。

 

「門世界のドラゴンってのは何種類かあってな。弱い奴から順番に翼龍――ワイバーン――、飛龍、成長した亜龍=新生龍、古代龍って具合になっているらしい。……まぁ、この辺に関してはハイエルフを纏めているホドリューからの聞き囓りだが」

 

 もしも門が崩壊しなければ、古代龍とは言わないが飛龍は欲しかった。実際、飛龍の捕獲に向かわせようとしていたところだったし。

 

「へぇ。ドラゴンと言っても色々とあるんだね」

 

 崇継が感心したように呟き、その後は10分程古代龍の骨格標本を眺めてから剥製の方へと移動する。

 ただ、ゴブリンやオークといった代物はマブラヴ世界の住人であれば――ある程度の地位にいる者限定だが――生きているのを映像か何かで見た事がある為か、それ程の驚きはなかった。

 ちなみに、その映像ってのはハイヴの近くに生きているゴブリンやオークを放置してBETAを誘き寄せる生き餌として利用した時のものだ。

 実際に映像とはいえ、生きた存在を見た事があったからそれ程の驚きはなかったのだろう。ただし、オーガは別だった。

 帝都での攻防戦で捕獲したオーガは、量産型Wの強化に役立つ可能性があるということで大切に生かして閉じ込めてある。

 そんな中でも、仲間同士の戦いや実験の際の事故により死んでしまう個体が出てしまい、そういう個体の剥製がここには飾られていた。

 人間とは比べものにならない程の大きさを誇るその巨体は、見る者を圧倒する。

 例えBETAという存在を知っていたとしても、だ。

 古代龍の標本もそういう意味では強い衝撃を与えたが、こっちは人型であり、肉体を持った状態で剥製としている為に、与えられる衝撃はより強力だ。

 

「これが……オーガ。日本語訳にすると巨大鬼とでも表現するのかしら?」

「確かにこの様子を見る限りでは巨大鬼というのはあっているね。それに、あの鎧を着ているオーガが現れたら、色々と凄そうではある。何も知らない者が見たら泣くレベルでね」

 

 恭子の言葉に苦笑を浮かべて答えた崇継の視線は、オーガの側にある鎧へと向けられている。

 そう、帝国軍が恐らくは俺達と戦う際の切り札としただろうオーガに着せていた鎧だ。

 その鎧を見ながら、俺もまた頷きを返す。

 

「この鎧を着ているオーガは帝国軍の切り札的存在だったらしい。実際、向こうの軍隊を率いていた奴に話を聞いたが、もしもこの鎧を着たオーガとやり合う羽目になっていたら相当な被害が出ていたのは間違いないらしい。それだけオーガってのは驚異的な存在だったって話だが……」

 

 言葉を途中で区切ったのを見て、大体理解したのだろう。崇継が苦笑を浮かべて言葉を紡ぐ。

 

「シャドウミラーにしてみれば、容易い相手だったと?」

「まぁ、幾らオーガだ何だって言っても、所詮は生身だ。メギロートを相手にしてどうにか出来る筈もないしな。幾らそこに飾られているような頑丈な鎧を着ていても、上空からサークル・レーザーを撃たれれば対抗出来る筈もない」

 

 そもそも、オーガの装備している鎧というのはあくまでも門世界の武器に対抗するものだ。例えば、剣とか槍とか斧とか弓とか。あるいはちょっと変わったところで魔法とか。

 そういうのに対してなら、確かにオーガの鎧というのはかなり効果的な装備と言えるだろう。

 だが、そんな鎧でメギロートの放つサークル・レーザー、あるいはイルメヤのビーム・ガトリング砲をどうにか出来るかと言われれば……答は否でしかない。

 事実、一方的にやられまくっていたんだし。

 寧ろ、戦術機があの戦場にいたとしても縦横無尽の活躍が出来ただろう。

 それ程に門世界の文化レベル、技術レベル。そういうのは低いのだ。

 

「なるほど。結局は物珍しさだけか」

「今はだけどな」

 

 崇継の言葉にそう返す。

 確かに門世界が文明的にかなり遅れていたのは事実だ。だが、将来的にはどうなるかは分からない。

 寧ろ、ネギま世界から向こうの貴族の婿養子に入った男や、何だかんだで向こうに俺達が残してきた機械の部品。そういうのを考えれば、どう文明が発展するのか分からない。

 下手をすれば、魔法と科学の融合により独自の文明を発展させる可能性もある。

 ……まぁ、もし本当にそうなるにしても、100年、200年といった程度じゃ利かないだけの時間が掛かるだろうが。

 ただ、シャドウミラーのメンバーは俺とレモン達は不老だし、他のメンバーもムウのような例外がない限りは時の指輪の影響を受けている。今はまだ不老という訳ではないが、マブラヴ世界でグレイ・シックスを得ていけば、いずれは完全に不老の集団となるだろう。

 美容に最適! 貴方も永遠の若さを体験してみませんか? とか広告を打てば、シャドウミラーに入隊……いや、今は国だから入国? 移住? ともあれ、シャドウミラーに入りたいって人が大量に出そうではある。

 まぁ、そういう奴がシャドウミラーに何の利益を与えるかと言われれば、首を傾げざるを得ないんだが。

 ともあれ、G元素の件もあって今のマブラヴ世界というのは色々な意味で重要になりつつある。異世界間貿易という意味でも色々と有望な世界だし。

 特にBETAによって荒らされた土地を元に戻すには、マクロス世界のテラフォーミング技術とかが必要になるだろうし、その為の人手も多くいるから雇用対策にもなる。

 ……いや、何で門世界の事を考えてたのに、話が逸れまくってるんだ?

 小さく首を振り、門世界に関しての博物館を見て回っている崇継達4人に声を掛ける。

 

「おい、次の場所に行くぞ! 交流区画だ!」

 

 その呼びかけに、4人とも頷きこちらへと戻ってくるのを待ち、博物館を出るのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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