転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1022話

 量産型Wの運転するエアカー型のバスが到着したのは、居住区画の中でもトップクラスの大きさを持つ俺の家だった。

 もっとも、バスの中にいるのは五摂家の斑鳩家当主と崇宰家次期当主有力候補だ。その護衛の斯衛が2人に、ゴーイングマイウェイの夕呼。唯一霞だけは、耳をピョコピョコと上下に動かして驚きを表していたが。

 ともあれ斯衛の2人にしても、崇継や恭子の護衛を任されているだけあって相応に力のある武家の生まれなのだろう。俺の家を見ても、特に驚いている様子はない。

 ……正直、俺自身としてもこの家は大きすぎると思ってはいるんだけどな。一応シャドウミラーの代表という立場もあるし、何よりレモン達恋人と同棲している関係上部屋数が多い方がいいというのも事実だ。

 レモン達に言わせれば、俺の恋人がもっと増えた時に対する備えって話だが……いや、それに対する抗弁は出来ないだろうな。俺のこれまでの行いを省みる限りは。

 

「いらっしゃい。もう中の準備は出来てるわよ。さ、入って頂戴」

 

 そう言いながら家から出てきたのは、レモン。

 オーストラリアの政府一行の時は色々と堅苦しいやり取りがあったのだが、今回は基本的に友人を招いたという形だから、これで問題ないんだろう。

 ……そもそも、そうでなければ夕呼や霞は来る事が出来なかっただろうし。

 

「へぇ、ここがレモン達とアクセルの愛の巣ね。……いい、霞。変な扉とかあっても、迂闊に開けちゃ駄目よ?」

「何故ですか?」

「人に見られちゃ困るものがあるからよ。それこそ、恋人同士が夜に使う時の……」

「香月博士。小さい子供に何を言っているんですか。教育に悪い事は止めて下さい」

 

 夕呼と霞にそう声を掛けてきたのは、夕呼の話を聞いて薄らと頬を赤くしていた恭子だ。

 その頬の赤さが、何を考えていたのかを物語っている。

 そんな一行に、レモンは艶っぽい笑みを浮かべてから口を開く。

 

「さて、どうかしらね? 知りたかったら貴方達も仲間に入ってみる?」

「は、は、入りません! ふしだらな!」

「ふふふ。冗談よ、冗談。でも、部屋には色々と危ない物が転がっていたりもするから気をつけてね。さ、こっちよ」

 

 悪戯っぽく笑ったレモンが俺達を引き連れ、リビングへと向かう。

 いつもは朝食や夕食を皆で食べているリビングだが、今日は色々と違っていた。

 新たに用意されたテーブルが幾つも並べられており、その上には幾つもの料理が並べられている。

 中華がメインなのは、やはり超包子に援軍を頼んだからだろう。

 ここまで案内してきたレモン以外にも、コーネリア、マリュー、スレイ、シェリル、あやか、千鶴、円、美砂と俺の恋人達全員が揃っていた。

 勿論他のシャドウミラーのメンバーの姿もここにはある。

 部屋の隅では、今日の為にバイトとして雇ったのか神楽坂や茶々丸の姿もあった。

 

「ま、難しい話に関しては、食事が終わってからでも出来るでしょ。折角の料理が冷めてしまってはなんだし、今は食事を楽しみましょ。……まぁ、諸々の事情でアルコールは抜きだけど」

 

 そんなレモンの言葉と共に、神楽坂や茶々丸がそれぞれにジュースやウーロン茶といった注文を聞いては配っていく。

 

「アクセルさんはウーロン茶で良かったですよね?」

「ああ」

 

 俺もまたウーロン茶を茶々丸から貰い……そして、レモンの目配せを受けて口を開く。

 

「マブラヴ世界の日本からやって来た友人達との友好を祝して……乾杯!」

『乾杯!』

 

 全員がグラスを掲げ、同時に言葉を発し……そうして、済し崩し的にパーティが始まる。

 本来であれば、この家に来てから少し休んでパーティにしても良かったのだが、今回はサプライズパーティなので、このままの流れとさせて貰った。

 もっとも、今日来ているのはシャドウミラーとそれなりに以上に仲のいい者達ばかりだ。特に気後れするような事もないままに、それぞれが料理を楽しむ。

 

「ねえ、ちょっと。あんた達ってこんなに美味しいのを毎日食べてるの? ちょっと羨ましいわね」

「美味しい、です」

 

 蒸したての焼売を堪能している夕呼と、青椒肉絲を口へと運ぶ霞。

 白人系の外見にも関わらず、霞は箸使いが意外と上手いな。

 まぁ、そういう意味では俺達も変わらないんだが。俺やネギま世界の麻帆良出身でもあるあやか達以外、コーネリア、マリュー、スレイ、シェリルの4人は、元々箸という文化はあっても、それを使うという事は殆どなく、ナイフやフォーク、あるいはスプーンといった食器を使っていた。

 それでも俺と暮らし始めてからは、俺が箸を使うという関係もあって全員が自然と箸を使うようになり、こうして今ではきちんと箸を使えるようになっている。

 ……そういう意味では、如月が少し驚きの様子を見せていたのが印象的だ。

 勿論、俺と暮らしている訳ではない他のシャドウミラーのメンバーに関しては、箸を使える者も使えない者もいる。

 

「アクセル、君達の世界の料理は素晴らしいね。もっとも、こうして暖かい料理を食べられるというだけで私にとっては嬉しい事だけど」

 

 崇継が、言葉通りに嬉しそうな笑みを浮かべつつ麻婆豆腐をレンゲで掬って口へと運ぶ。

 真壁の方は若干眉を顰めているが、これはやはり毒を警戒しているのだろう。

 それを言えば角が立つから、言わないだけの分別は持ち合わせているようだが。

 

「確かにこの料理が美味いのは事実だ。ただ、俺達の世界の料理全てが美味いって訳でもないぞ? 中にはとんでもなく不味いのもあるし」

 

 そもそも、俺達の世界ってどこを示すんだろうな? ホワイトスター? 確かにここが俺達の世界ではあるのは間違いないが、それでもこの大きさが世界の全てだとするのは色々と無理がある。

 なら、シャドウミラーの基本が出来上がったスパロボOGsの世界? 確かにそこも俺達の世界と言ってもいいのかもしれないが、そもそも俺達はその世界から脱出して次元の狭間に自分達の世界……というか、国を作ったのだ。

 それに、今はスパロボOGsの世界そのものとの行き来が出来ず、連絡が取れなくなっているし。

 

「へぇ? 不味いものか。でも、君達の調理技術で不味いものというのは、私達の世界では普通なんじゃないのかな?」

「あー……確かに。俺が食った合成食は色々な意味で食えたものじゃなかったな」

 

 不味さで言えば俺自身は飲んだ事がないが、クスハ汁が不味さトップクラスとして君臨している筈だ。だが、クスハ汁の場合は明確に身体の調子が良くなったり、肌の艶が良くなったり、疲労回復したりと色々な効果がある。

 いや、寧ろその効果が強すぎてあれだけ強烈な味になっているんじゃないかと思う程だ。

 

「ああ、確かに。私も何度か食べた事があるけど……」

 

 そう告げ、微かに眉を顰める崇継。

 それだけで、合成食をどう思っているのかというのは明らかだった。

 ……本当なら五摂家の人間がそういうのを口にするのは駄目なんだろうが、ここはプライベートな場であって、公の場ではない。それを思えば、この程度の愚痴を溢すくらいは特に困らないだろう。

 

「ですが、あの合成食も調理次第ではそれなりに食べられるようになる、という話を聞きますが?」

 

 皿のライチへと手を伸ばしながら、恭子がそう告げてくる。

 

「調理次第で美味くなる……か。どうだ、四葉。チャレンジしてみるか?」

 

 チャーハンを大皿に入れて持って来た四葉に尋ねると、本人は小さく笑みを浮かべて頷く。

 

――そうですね、機会があったら挑戦してみたいと思います――

 

 そう告げる四葉だが……本当にあの味をどうにか出来るのか? と聞かれれば、俺は自信を持って首を傾げるだろう。

 まぁ、元々の合成食を作るプラントに対してシャドウミラーやマクロス世界のS.M.Sの方から技術協力があったのを考えると、以前より大分マシな味になっているんだから、四葉の調理技術があれば結構何とかなるのかもしれないが。

 

「……アクセルさん。これ、美味しいです」

 

 四葉と話していると、不意に軍服をクイクイと引っ張られ、そう声を掛けられる。

 そちらに視線を向けると、杏仁豆腐を食べている霞の姿。

 

「そうか、喜んで貰えて何よりだ」

 

 霞くらいの年齢なら、甘い物を好むのは当然だろう。……いや、俺も十分甘い物は好きなんだけど。

 

「それを作ったのが、この四葉だ」

 

 そう告げ、四葉の方へと視線を向けると、その本人はいつものほんわかとさせる笑みを浮かべながら口を開く。

 

――喜んで貰えて良かったです――

「はい。美味しい、です」

 

 小さくだが笑みを浮かべた霞に、思わず驚く。

 その能力故に基本的には人見知り気味であり、あまり人に対して心を開かない霞だ。

 それが、こうしていきなり初対面で笑みを浮かべるとは……まぁ、四葉の性格を思えば当然と言えば当然か。

 恐らくは四葉の心の中を感じて、信頼出来る相手だと判断したのだろう。

 さすがに元3-Aの中でも、特にエヴァに認められている人物だけはある。

 これだけでも、四葉をシャドウミラーに引き込めたのは幸運だったと言わざるを得ない。

 

――これもどうぞ――

 

 四葉がそう告げ、差し出された皿の中にあったのは桃色の形をした中華まん。いわゆる、桃まんだ。

 まぁ、ぶっちゃけ桃の形をしているだけで、あんまんと同じようなものなんだけどな。

 ……ってな事を以前言ったら、円と美砂にこっぴどく説教された。

 何か、色々と譲れないものがあるのだろう。

 

「可愛いですね」

――甘くて美味しいですよ――

 

 にこやかに笑みを浮かべて告げる四葉に、霞もそっと手を伸ばして桃まんを手に取り、一口齧り付く。

 そして次の瞬間にはぱぁっと笑みが浮かぶ。

 この二人、相性がいいんだろうな。もしも霞がシャドウミラーに入れば、意外といいコンビになりそうな気がする。……まぁ、霞がシャドウミラーに入るかどうかというのは非常に微妙なのだが。

 何だかんだ言って、一番懐いているのは夕呼だし。その夕呼はBETAがどうにかならない限りはマブラヴ世界から離れるつもりはないって言っているしな。

 逆に言えば、BETAを何とか出来ればシャドウミラーに所属出来るという事になるんだが……あれ? 意外と結構何とか出来そうじゃないか?

 今の状態が続けば、BETAをどうにかするのは難しい話ではない。現状でもハイヴを次々に占領していっているんだから、BETAに何らかの奥の手でもない限りはどうとでもなるだろう。

 その奥の手があるかどうかが問題だが……BETAだからな。人間とは全く違う思考回路だけに、何をするのか予想出来ないのが痛い。

 人間とは全く違うという意味では、俺が召喚獣としているグリの存在もあるんだが……さすがにグリにBETAと意思疎通をしろと言っても無理だろうし。

 そんな風に何となく馬鹿な事を考えながら、大きめのエビが入っているエビチリを口へと運ぶ。

 エビのプリプリとした食感が堪らない。

 

「うん? アクセル、美味しそうなものを食べているな。私にも少しくれないか?」

 

 近くを通りかかったコーネリアの言葉に、小さく溜息を吐いてから箸で摘まんだエビチリを差し出す。

 丸まっていても6cmから7cm程の大きさもあるエビだ。食べ応えという意味ではこれ以上ないだろう。

 そして、いわゆるあーんとやっていると……

 

「うわ、アクセルが馬鹿ップルってるぞ!」

 

 不意にアウルのそんな声が周囲へと響く。

 にしても、馬鹿ップルってるって……どんな言葉だよ。

 いや、その意味は大体理解出来るけどな。

 本来であれば、ここは顔を赤くして照れる場面なんだろう。あるいは照れ隠しとして持っているエビチリを自分で食うか。

 だが……9人の恋人と同棲している俺が、今更そんなので照れる筈もない。

 周囲からの視線を向けられつつ、そのままエビチリをコーネリアの口の中へと向ける。

 どこかからキャーッって声が……って、神楽坂、お前か。

 そんな神楽坂を、あやか達従者組がどこか微笑ましいものでも見るような目で眺めていた。

 ともあれ、コーネリアへとエビチリを食べさせた俺は、アウルの見ている前でニヤリと笑みを浮かべる。

 

「ふふん」

「……ちぇっ、照れもしないのかよ。面白くないな」

 

 そう告げるアウルだが、この様子を見る限りだと既に美砂の件は吹っ切ったと見てもいいのか? まぁ、さすがにまだ話す時は多少ぎこちないように見えるけど……

 それでもまぁ、雰囲気が悪くならないのなら俺としては大歓迎だ。

 アウルにはアウルで、新しい恋を探して欲しいところだし。

 

「……アクセル、そろそろ手を離してくれないか? お前とこうしているのはいいんだが、さすがに人前では……」

 

 いつの間にか腰を抱き寄せていたらしく、薄らと頬を赤く染めるコーネリアに小さく謝罪の言葉を口にして手を離し、再びパーティを楽しむべく料理へと手を伸ばすのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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