転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1015話

「これは……凄いですわね」

「あらあら、まぁまぁ」

 

 あやかと千鶴も、視線の先……100m近い行列を見て、思わず声を上げる。

 行列の出来る店として考えれば、100m程度は珍しいものではないだろう。だが、その行列が出来ているのがホワイトスターとなれば話は変わる。

 基本的に、ホワイトスターに来る事の出来る者はそれ程多くない。それは当然だろう。もし自分達の世界の者がホワイトスターで迂闊な事をした場合、下手をすればシャドウミラーと敵対する可能性すらもあるのだ。

 そこまでいかなくても、ホワイトスターを通じて繋がっている他の世界に、自分達の世界がどれだけみっともない事をしたのかというのが伝わってしまう。

 そうなれば異世界間貿易に関しても悪影響を受けるし、恥を晒す事にもなる。

 それを考えると迂闊な人物をホワイトスターへと行かせる訳にはいかず、基本的には出身世界である程度の審査を受ける必要がある。

 つまり、それだけホワイトスターに来る事が出来る人数は少ないというのに、今俺達の視線の先では100m近い行列が出来ているのだ。

 

「超包子の威力は凄まじいな」

「あの、アクセル君。超包子が兵器か何かのような言い方は、さすがに……」

 

 苦笑を浮かべつつ告げてくるあやかだったが、この光景を見ればそう言いたくなっても不思議ではないだろう。

 にしても……

 

「確かにこれだけの客がいるなら、バイトの神楽坂や桜子が泣きついてくるのも当然か」

 

 呟きつつ、この行列では超包子の料理を食べる余裕もないので、今回はスルーして歩いて行く。

 その視線の先……超包子の店先では、麻帆良で超包子をやっていた時のようにオープンテラス状態になって、店先で食事が出来るようにもなっている。

 少しでも客を捌けるようにという、苦肉の策なのだろう。

 ただ、その苦肉の策もきちんと機能しているようで、客の回りはそれなりに早い。

 

「あら、円と美砂もチャイナドレスが似合っているわね」

 

 千鶴の声に視線の先を追うと、確かにそこではチャイナドレスを着ている円と美砂が旧3-Aメンバーの何人かと共に必死になって料理を配り、あるいは注文を聞いていた。

 ちなみに旧3-Aメンバーは、神楽坂、桜子、円、美砂以外にも、近衛、桜咲、明石、大河内、茶々丸がいる。

 勿論それ以外に量産型Wもきちんと働き、貴重な戦力となっているのは事実だが。

 量産型Wがいるおかげで、店員に対するナンパとかもないのだろう。

 ……まぁ、円や美砂は生身でも量産型Wよりも強いんだが。更に神楽坂と桜咲がいたりするのを思えば、ウェイトレスに目が眩んで妙な真似をしようとしても、あっという間に無力化されるだろうけどな。茶々丸もいるし。

 

「超包子特製肉まん6個お願いね!」

「餃子3人前、焼売2人前、回鍋肉3人前、えっと後は……麻婆豆腐1人前!」

「海鮮餡かけ焼きそば1人前アルよ!」

 

 そんな注文の声が飛び交う、まさに戦場の如き光景。

 超包子は麻帆良祭でも相当の金額を稼いでたって言うし、この祭りでも恐らく大きく稼ぐんだろう。バイトの神楽坂達にしても、死ぬ程忙しいがその分の給料は貰えるだろうし。

 

「出切れば肉まんとか買いたかったんだけど……この行列ならしょうがないか」

 

 そんな風に呟き、超包子の前を進んでいくとオープンテラスになっている場所で見覚えのある顔を見つける。

 ムウとナタル、そしてレイだ。

 

「あら、ムウさんとナタルさん、レイさんですか」

 

 あやかも俺と同じ方向に視線を向けてムウ達の姿を見つけたのだろう。そう呟くも、声を掛けようとはしない。

 

「折角の家族団らんなんだから、邪魔しない方がいいわね」

 

 千鶴の言葉に俺も頷き、そのままその場を離れてハイエルフやダークエルフのいる公園の方へと向かっていく。

 そのまま進み、交流区画の端の方まで来ればさすがに人の姿も少なくなってくるが……それでもいつもなら完全に人の姿がなくなるだろう場所にも、チョコチョコと露店や屋台があるのを見ると、本格的にホワイトスターがお祭り状態にあると納得してしまう。

 

「この分だと、恐らくワイバーンの方にも大勢人が集まってるんだろうな」

「そうですわね。他にもオークやゴブリン、オーガの標本とかの方も人気がありそうですわ」

「寧ろ、私達が向かっている方に大勢観光客が来てそうだけど」

 

 それぞれが呟くが、どれも正解だろう。中でも千鶴の言葉が一番正解に近そうだ。

 その辺に関しては、人の姿が少なくなってきた場所から公園に近づくにつれて再び人の姿が多くなっているのを見れば、それは明らかだった。

 

「ゴーヤクレープ、ネギま世界名物ゴーヤクレープはどうだい? 苦くて美味いよ! 美容や健康にもいいよ!」

 

 そんな声が聞こえてくるが……ゴーヤクレープ、ここまで浸食してきたのか。

 いや、SEED世界にいたのを思えば、既にホワイトスターにいてもおかしくはないんだが。

 しかもそのクレープ屋には、超包子程ではないにしろある程度の行列が出来ているのが驚きだ。

 ……更に言えば、その行列の中にハイエルフやダークエルフの姿を見てしまえば、それ以上は何を言う事も出来なくなる。

 

「あらあら、まぁまぁ」

 

 千鶴もそう口に出す事しか出来ないらしい。……まぁ、笑みを浮かべているところを見れば、不機嫌って訳じゃなさそうだが。

 更に周囲へと視線を向ければ、多くのハイエルフやダークエルフがクレープを……それも、ゴーヤクレープと思しきものを食っている。

 しかも美味そうに、だ。

 どんな味覚をしているんだ?

 いや、勿論ゴーヤが沖縄では普通の食材だというのは知っている。だがそれでもあの苦さは、少なくても俺の嗜好には合わなかった。

 島豆腐とか、ソーキ蕎麦とか、豚の角煮のラフテーは麻帆良にあった店で食った時に美味いと感じたんだから、決して沖縄料理が口に合わないって訳じゃないと思うんだけど……

 そんな風に考えながら周囲に視線を向けると、多くの観光客がハイエルフやダークエルフと仲良く会話をしているのが見える。

 いざこざが起きてないようで何よりだ。

 

「アクセル様!?」

 

 そんな中、ハイエルフの1人が俺の存在に気が付き、大声を上げる。

 同時に、それを聞いた他のハイエルフやダークエルフが俺の方へと視線を向け、小さく頭を下げてくる。

 色々な意味で周囲の注目を浴びているが、それでも以前のように跪いたりせずに頭を下げるだけになったんだから、俺の言葉をよく守っていると言ってもいいのだろう。……それでも結局観光客達の視線が俺に向けられてはいるが。

 

「気にするな。ホワイトスターと時の指輪の融合実験の前にちょっと見て回っているだけだ。……まさか、これ程までに大きな祭りになるとは思っていなかったけどな」

「そうですか。ですが私達エルフ族としては、シャドウミラーの皆様が私達と同じように長き時を生きるというのは非常に歓迎出来ます。……人は、その寿命があまりに短すぎますからね」

 

 そう告げるハイエルフ。

 ちなみに、今回の実験前には当然ホワイトスターに住んでいるエルフ族にも時の指輪の効果を受ける事が出来ると話したが、種族的に元々数百年、数千年、あるいはそれ以上を生きるエルフ族としては元々その辺に関しては特に気にしないのか、取りあえず現状維持を選択した。

 まぁ、別に今受信機を付けなければ後日付けられないって訳でもないんだから、それはそれでありの考え方だとは思うけどな。

 

「そうだな、お前達エルフ族……ハイエルフやダークエルフが俺達シャドウミラーにとって末永く良き友人となる事を祈ってるよ」

 

 デフォで精霊魔法を使えるエルフ族というのは、シャドウミラーにとっても色々な意味で頼もしい存在となるだろう。

 まぁ、このホワイトスターではネギま魔法と同様に精霊魔法はかなり使いにくいという面もあるらしいが。

 ただ弓とかの腕前は落ちている訳ではないので、そのうちクロスボウとか、あるいは銃を持たせてみるのもいいかもしれないな。

 そんな風に考えている間に、他のエルフ族の者達は俺から視線を逸らすと、それぞれ自分のやっていた事の続きを始める。

 この辺に関しても、俺というかシャドウミラーに慣れてきた感じはする。

 ……ん?

 

「始まったな」

 

 ふと、耳に入ってきた声に思わず呟く。

 俺の呟きに、あやかと千鶴もまた耳を澄ます。

 

『10分後、ホワイトスターと時の指輪の融合実験を行います。危険はありませんが、万が一の可能性もあるので、心配な方は至急リュケイオスを使って自分の世界へとお戻り下さい』

 

 その声と共に、この森にもマリューの姿が映像モニタに映し出される。

 柔和でありながらしっとりとした女の艶を感じさせるその美貌は、男女問わず、人間エルフ族問わず、俺の周辺にいた者達の意識を一瞬にして集める。

 

「あら、マリューさんですわね。……そう言えば、技術班の方は大丈夫なんですの?」

 

 マリューの姿を見たあやかは、他の者達とは違いマリューに目を奪われるという事はない。……まぁ、毎夜の如く色々とあられもない姿を見ているあやか、そして千鶴にしてみれば……といったところか。

 

「ああ、技術班に関しては全員魔法球から強制的に引きずり出した」

 

 ホワイトスターに時の指輪を融合させるという実験だ。同じように時の指輪を融合させた魔法球の中にいれば、どんな影響が出るか分かったものではない。

 それを承知の上で、まだ研究の途中だからと魔法球から出ようとしなかった者に関しては、エキドナとセシルによる強制執行が行われた。

 特にロイドなんかは、セシルに襟首を掴まれて強制的に引っ張り出されていたな。

 時の指輪をホワイトスターに融合させた結果の経過観察という理由もあって、明日の午前10時までは魔法球の中に入る事を禁じたのだが……技術班の事を思えば、ちょっと厳しかったか?

 いや、それでも結構前からその辺に関しての周知は徹底していた筈だから、それを思えばそこまで厳しい話でもない……と思う。

 ともあれ、先程のマリューの映像が消えると、周囲にはざわめきが戻る。

 きちんとホワイトスターでそういう実験が行われると知った上でこの祭りに参加しているとしても、やはりこうして実際に行われるとなると緊張はするのだろう。

 だが……それでも、慌てて転移区画に向かおうとする者が少ないのは好感が持てるな。

 それはあやかや千鶴にしても同様だったのだろう。小さく笑みを浮かべつつ周囲を見回している。

 

「さて、取りあえず……クレープでも食うか。ゴーヤ以外でな」

「そうですわね。時間まで残り10分。ここでその時を迎えるのもいいかもしれませんわね」

「そう? まぁ、2人がそう言うのなら私は構わないけど」

 

 2人も特に反対はないようなので、そのままクレープ屋の屋台へと向かい、俺はベリースペシャル、あやかは南国の香りという南国フルーツを多く使ったもの、千鶴はチョコバナナを選ぶ。

 それぞれのクレープが出来上がり、金を払って受け取るが……

 

「へぇ、予想以上に美味いな」

 

 クレープ屋の屋台から少し離れた場所、公園に用意されているベンチで、あやかと千鶴と共に座ってクレープを口に運び、呟く。

 

「そうですわね。酸味の強いパイナップルやキウイに合うように甘さを調整している生クリームが美味しいですわ」

「チョコバナナの方もチョコの甘さを抑えて少しビターな感じにして、バナナの甘さを引き立てているわね」

 

 それぞれが感心しながら呟くが、なるほど。わざわざ生クリームやチョコも具材ごとに甘さを控えてたりしてるのか。

 さすがにホワイトスターで店を出せるだけの実力は持っているらしい。

 

「……これだけ美味いクレープを作れるのに、何だってゴーヤクレープ推しなんだか」

「エルフ族が多いから、という訳じゃないわよね?」

 

 千鶴が小首を傾げて尋ねてくるが、それが正解ではないというのは、千鶴本人ですらも理解している。

 確かにエルフと言えば肉を食べないイメージだが、少なくてもホワイトスターにいるハイエルフやダークエルフのようなエルフ族は普通に肉を食べる。

 それに、もしもベジタリアンだったとしても、苦みが強いゴーヤを好んで食べるようになるとは思えない。

 となると……

 

「その辺は純粋に好みの差なのかもしれないな」

 

 そんな風にクレープを食べながら話していると、やがて再び映像モニタにマリューが映し出される。

 

『では、これからホワイトスターと時の指輪の融合実験を行います。理論上ではホワイトスターにいる方には特に何の影響もないと思いますが、何かありましたら近くにいる量産型Wへと言って下さい。5、4、3、2、1……開始』

 

 その言葉と共に、ホワイトスター全体が一瞬眩い光に包まれ……次の瞬間には呆気なくその光は消え、ホワイトスターと時の指輪の融合実験は、あっさりと成功したのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179

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